東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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週末、秋の京都で芸術三昧なり。

早起きをして品川を6時台に出る新幹線に乗った。
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JR新幹線の新車種「N700」系は横揺れが意外と大きく感じたが、綺麗な車内にはパソコン用コンセントも付いていて、快適だ。そして秋の紅葉とアート三昧を堪能する為に僕は京都へと向かった。

♪三条へ行かなくちゃ。三条堺町のイノダっていうコーヒー屋へね♪
お馴染み、高田渡が唄った「珈琲不演唱」(コーヒーブルース)の一節だが、やはり京都の朝は「イノダコーヒ」のブレンドを飲まなくては始まらない。

京都駅を出て、先ず真っ先に堺町通三条へ向かう。
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カウンターに座るとポンと新聞を寄越してくれるのが、嬉しい。
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ここの珈琲は、最初からミルクと砂糖が入っており、ブラックが飲めなかった頃の子供時分の頃を思い出してしまう。修学旅行で初めて京都を訪れたときも、廻りの皆が新京極辺りをブラついていたのに、僕は必死になって中古レコード屋を巡り、「イノダ」で珈琲を飲む事を最大の目的にしていたっけ。

高瀬川、鴨川を渡り、京阪三条から電車で京阪七条へと移動。
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歩いて数分で三十三間堂前に到着。だが、今回はここでの拝観ではなく、京都国立博物館にて開催中の「狩野永徳」展を観る事が最大の目的なのだ。
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それにしても、凄い人だかりである。開館は朝9時半で、僕が到着したのが9時40分だ。それなのに、なのに!「今からですと、入場まで2時間待ちます。」と告げられる。うぅ、この時点で、本日の昼飯の予定やら綿密なスケジュールが剣もホロロに崩れたのであった。
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桃山時代に活躍した画家永徳の作品をこれだけ一堂に集めた展覧会は初めての試みだそうだが、本展が初公開となる発見されたばかりの絵も出品され見所十分であり、2時間待った事さえもすっかり忘れる程、狩野派の作品に魅入ってしまった。

美術手帖の岩淵副編集長から先に伺っていたのだが、「獅子図屏風」のその大きさにはたまげてしまった。正に「巨大」なのである。時の権力者だからこそ、これ程大きな絵を依頼し、飾る部屋が在ったのかと思うと、信長や秀吉の絶対権力の凄さがひしひしと伝わって来るようだ。

「洛中洛外図屏風」に見られる緻密で細かい京都の様子も見事としか言いようのない作品だが、それとは正反対の様な力強くて大胆な「檜図屏風」は檜の枝振りのグヮンとした描き方と岩に見られる永徳ならではの筆使いに圧倒されるのだった。全体が描ききれていない檜の大きさもまた「巨大」である。
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狩野永徳にガツンとやられてしまい、ドっと疲労感が出た。
外に出て何か甘いもので疲れを取ろうか、と七条通り沿い三十三間堂の真向かいに在る「京菓匠 七條甘春堂」へ。
併設の甘味処「且坐喫茶」(しゃざきっさ) へ上がり、「菓子膳抹茶」を戴いた。

慶応元年(1865年)創業と云う歴史ある京和菓子の老舗が始めた喫茶室は畳敷きの京町屋でのんびりとした時間を過ごすのもホッコリ出来て良い。且坐喫茶とは、禅宗から来ており、茶の世界で「且く坐して茶を喫せよ」と云うことだそうだ。「まぁ、座ってお茶でもあがりなさいな」との意味だそうだ。
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京懐石に見立てた菓子膳は、太いくずきりと白玉ぜんざい、練りきり菓子に抹茶が付いた膳で、且坐喫茶の意を味わうのに持ってこいの甘味だ。
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また、昼の「御赤飯セット」も1,050円と値頃感がとても良い。ちなみに「菓子膳抹茶」は1,260円だ。
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三十三間堂の先を左に曲がった処に在る京漬け物の「赤尾屋」へ寄って、「扇舞漬」(千枚漬)と「丸みやこ漬」(きざみ赤しば漬)を土産に買っていく。
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ここの千枚漬けは聖護院かぶらを扇の様に広げて利尻昆布に漬け込むので、「扇舞漬」と名付けられている。これは、今の時期だけしか味わえない冬の名物なのだ。

疲れも癒された所で、またも京阪電車で四条へ。
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陽が出てきて、鴨川の水面が輝いている。四条大橋を渡り、木屋町通りに曲がり、最初の小径を入ると「志る幸」の暖簾が見えて来る。
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隣のビアホール「ミュンヘン」も捨て難いが、新幹線に乗る前から昼はここでと決めていたのでアール。狩野永徳展が思いのほか時間を喰ったのだが、それがかえって昼時の混雑を避けた事になり、すんなり入れて良かった。
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ビールを貰い、利休辨當(べんとう)を戴く。甘い白味噌の味噌汁は、旬の具材を追加で入れる事が出来る。汁ものは、白味噌の他に赤味噌、すましもある。この日は、とうふの白味噌汁にした。
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扇型のかやくご飯に5品の肴と香の物が付く。山菜の煮浸しやぬた和えの素朴な味ながら、上品さを持っていた。
追加で、丹波松茸のフライと小芋煮を戴く。あぁ、至福の昼飯だ。

「志る幸」の味を堪能したあとは、食後の運動で歩くことにする。
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途中、弥次さん喜多さん像を拝む。丁度、今週から「てれすこ」も公開だしナ。

先斗町通りを抜け、東山二条へ。小さいながらいつも秀逸な作品展を企画している「細見美術館」を観る。
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ちょうど、僕の大好きな神坂雪佳の作品展「琳派展X 神坂雪佳 京琳派ルネサンス」が開催中だった。明治から昭和にかけて活躍した神坂雪佳は、「尾形光琳の再来」とも呼ばれ、琳派を後世に残そうとしながらも独自の作風を切り開いた画家であり、デザイナーだ。アールヌーボーなどの海外の様式もいち早く取り入れたり、そのテキスタイルデザインとも云える図案集は凄い。今でもそのまま活かせるデザインばかりで驚かさせられた。
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この金魚鉢を正面から捉えた「金魚玉図」もようやく本物を拝見することが出来て良かった。

東福寺の紅葉でも見ようかと地下鉄に乗ったのだが、17時までしか入れないと云う事を知り、諦める。四条で電車を降り、「南座」から四条通りを八坂神社方面まで歩く。

「何必館(かひつかん)京都現代美術館」にて『「昭和」を撮る 木村伊兵衛の眼』展が開催中だったので観る事にした。入場が17時半までだったので、ギリギリのタイミングで間に合った。
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何必館のコレクションの中から厳選された作品が「戦前」「戦後」「庶民の町」「日本列島」「人物」「秋田」の6つに構成されていた。
1954年、渋谷の風景に切り取られていたのは、のんべい横丁の「鳥福」と「野川」だった。京都の地で、自分が生まれる前の渋谷のんべい横丁を観ると云うのも何とも不思議な感覚を味わった。

「いよいよ写す時は自分はないんですよ。ほんとうに機械の機能で持ってパッと写して木村というものは、どこかへ消えちゃって相手の人物を出したい。」
木村伊兵衛のことば通り、茶室の横に飾られた「永井荷風」は実に愉しそうな笑顔を捕らえていた。

外はすっかり暗くなっていた。「辻利」で抹茶パフェでもと思って近くまで行くと20人位が列を作っているではないか。甘い物は昼間も食べたしまぁ良いか、とサッさと諦める事にして、寺町京極へ。
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「京都サンボア」の扉を開くと、実にホっとする空気が漂っていた。マスターの前に座り、ハイボールを戴く。マスターが新聞を寄越してくれる。イノダといい、サンボアといい、座ると「ハイ」って新聞を渡してくれるのが嬉しいナ。
サンボアの店内はBGMと云うものが何も流れておらず、外のアーケードを歩く人々のざわめきが時折耳に入るのだ。普段、オフィスでも音楽を流しっぱなしにしており、何処に飲みに出掛けても大抵は音楽が架かっている。
たまに、音楽のまったく架からない場所で一息つくと云うのも大切かもしれないと思ってしまった。
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コンビーフをアテにハイボールを三杯。うん、京都に来たら絶対に外せない店だナ。

アーケード街をまっすぐ戻り、新京極の「スタンド」へ。
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ここはさながら椅子のある「富士屋本店」と云う雰囲気か。湯とうふ470円に安酒を戴く。「ちろりん」と云えば瓶に入った二級酒が出て来る。でも、なんでちろりんなのかは謎だ。
湯とうふも熱々でハフハフしながら食べると実に美味いなぁ。

京で湯豆腐ならば「南禅寺に限る」と言われそうだが、僕は「スタンド」の湯豆腐で大満足であった。串カツも食べ、程よく酔いが廻って来たので、京都駅に向かうことにした。
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by cafegent | 2007-11-14 18:16 | ひとりごと