東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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冬の奈良は面白い。十二月「遷幸の儀」と二月「修二会」は必見だろう。

街はもう正月の準備で活気付いている。

昔は地元の鳶職人さん達がしめ飾や門松などの正月飾りを造って店を出していたのが年の瀬の風物詩のように感じていたものだが、今ではコンビニや花屋で扱っていて、風流なんて味わう事が出来なくなってきた。
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十二月は奈良の春日大社にて「遷幸の儀(せんこうのぎ)」なる神聖な祭りが行われた。寒さ厳しい深夜零時から真っ暗闇の中、宮司や巫女さんたちが列をなし若宮神を本殿よりお旅所の行宮(あんぐう)へと深夜お遷しする行事である。これに参列する者は懐中電灯も写真も許されず、ただ厳粛の闇の中でご神霊が降りてくるのを迎えるのだ。パチパチと火が跳ねる音と共に巨大な松明を引いて参道を歩く光景は幽玄だ。二月の東大寺のお水取りと共に欠かせない冬の行事なのである。

星が天高く輝く午前1時になると、ご神霊がお旅所に入る。
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ここから「暁祭り」が始まり、大きな松の前で神楽、田楽、能楽などの奉納舞いが行われる。
この松の木は「影向(ようごう)の松と云うのだが、神様はこの影向の松の前で巫女たちの舞う姿を観る事になる。

全国の能舞台の後ろの背景には必ず大きな一本松が描かれているが、これが影向の松なのである。しかし、能舞台では後ろに松が在るために、これではご神霊にお尻を向けてしまうことにってしまう。しかし、松に向かって能を舞えば今度は観客に背を向けることになる。
そこで、この松の事を「鏡の松」と呼ぶことになったそうだ。神様よ、決してそなた様に尻を向いて舞っているのではない、これは鏡に映っている後ろ姿の松なのだ、と云う訳なのだ。
観客から見れば松の木が後ろを向いている形になるのだが、これはお客の方が南を向いて座っている事を表しているそうだ。中国の故事の「君子南面」が由来とも聞く。
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奈良町もすっかり冬支度。

奈良町の猿沢の池から程近い光明院町に在る「酒処 蔵」は古い呉服屋だった所を改築した居酒屋なのだが、中々雰囲気も良く美味い焼き鳥を食わせてくれる。奈良の地酒「八咫烏」も美味い。
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50年近く継ぎ足し続けてきたタレで煮込む「きも焼き」が絶品だ。
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きんかん(鶏の卵巣)なども一緒に入っており、濃厚な味わいながら熱燗が進むのである。
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お次は揚げたてカキフライ。
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どうですか、このカキフライのボリューム、これで800円なのだから幸せである。

先日はカウンターで呑んでいると偶然、映画「殯(もがり)の森」で主役を務めたうだしげきさんに出会った。隣のオッサンほろ酔いである。
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うださんは奈良で「古書喫茶ちちろ」を営んでいるのだが、居酒屋で河瀬直美監督と出会い、それが縁で役者に初挑戦したそうである。この映画は今年カンヌ映画祭でグランプリを受賞したが、ヨーロッパの人たちにこの映画はどう映ったのだろうか。「老い」と「認知症」については身近な問題として考えなくちゃなぁ、とは思ったが。
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それにしてもこんな居酒屋には、どうして猫が似合うのだろう。
by cafegent | 2007-12-28 15:37 | ひとりごと