東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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神楽坂「御料理 山さき」と目黒「寿司いずみ」で亥年を締めくくる。

ベランダから双眼鏡で東京タワーを覗いてみた。
クリスマスだから、いつもと違うカラーリングなのかなぁ、と思って見た訳だがいつもと変わらぬ色だった。
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双眼鏡をデジカメで撮ると不思議な写真になった。

先日、久かたぶりに神楽坂で美味い鍋を食べた。
神楽坂の毘沙門天前に在る「御料理山さき」は、江戸庶民が愛した料理を気兼ねなく存分に楽しめる和食屋だ。
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大塚「なべ家」で修行を積み、5年前に独立した料理人、山崎美香が独りで出来る範囲の仕事に精を出し、実に丁寧な料理を出してくれる。4人席が四つのみと云うのもその姿勢の顕われである。
実は美香ちゃんは、僕がサラリーマン時代の後輩であり、当時は輸入雑貨の世界で頑張っていたのだが、一年発起して、料理人の世界に飛び込んだ努力家なのだ。

冬の時期になると、「鴨の巌石鍋」「ねぎま鍋」「よせ鍋」、それに鶉やふぐの鍋も加わる。最初に出されるお通し五品の中に必ず入る玉子焼きはとびきり旨い。修行時代、この玉子焼きが焼けるまでに何年もの歳月を要したと聞く。

この日は、先付けに小海老と百合根とインゲンの卵和えの小鉢から。
淡い味付けが優しい味わいである。
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続いてお通し盆が来た。牡蠣、岩海苔、法蓮草、そしてあの玉子焼き。
東京の玉子焼きらしく、可成り甘いのに後を引く味である。
続いてお造り。
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ひらめの糸造りと生雲丹だ。あぁ、酒に合う。
酒は秋田の地酒「春霞」を燗につけてもらった。
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さぁ、いよいよ本日の御料理「鴨の巌石鍋」の登場だ。
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「山さき」の鍋の特徴はクレソンがたっぷりと入っていることである。またフランスのビオワインも厳選して揃えて有り、これがクレソンの入った鍋に抜群に合うのである。
鴨肉をミンチにして豆腐と合わせてあるのが、ここならではの一手間である。
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鴨肉に仙台で採れたセリ、生粟麩、ぎんなんとたっぷりの素材を少しづつ食べる分だけ鍋の中に落としていく。
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食べて行く都度に鴨の脂が旨い出汁となってくるのだ。躯もぽかぽかと暖まってくるし、幸せだ。
一通り食べ終えたら最後のお楽しみ、巌石鍋の味がたっぷり染込んだ雑炊を作って戴く。
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「ねぎま鍋」の最後の汁掛けご飯も本鮪の大トロの脂がたっぷりと落ちた出汁を掛けた絶品ご飯だが、こちらの雑炊もすこぶる美味い。
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酒も進み、いい具合に酔いも回った。
最後にお茶を戴き、「山さき」自慢の手作り菓子を戴く。「葛焼き」とか云ったかな?
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うん、これも大変美味しかった。
昨年の夏にここで生まれたメダカの稚魚を分けてもらった。生まれたてで、体長も1,2ミリ程度。目を凝らさないと見えない程小っちゃかったのだが、今では2,3センチにまで大きく育ってしまった。

「御料理 山さき」は今話題のミシュランガイド東京版で星を一つ獲得した。
東京が世界に誇る店として、大いに讃えるべきである。ミシュランに対する意見も沢山飛び交っているが、僕はこう云う店に星を与えた事をあえて評価したいと思ったナ。
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さて、年の瀬は美味いモノが続く。

今年最後の目黒の寿司は満席のところを無理に用意してもらい奥の座敷での宴となった。
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座敷のこう云う奴、好きだなぁ。「親父の小言」だぞ。
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サッポロの赤星で喉を潤し、先付けは津軽海峡の本まぐろの血合いの部分のヅケ焼きステーキから。
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二月上旬までしか捕れないと云う鮪の肉をラフランスやニンニク、酒等々で仕込んだ自家製醤油に漬け込んだ一品。まるで肉かと思う様な鮪は口の中で仄かに甘い香りを放ちながらも濃厚である。牛で云うとハラミやチレの味わいかな。

続いてお刺身盛り。と云ったって、ここの刺身は訳が違う。
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能登の富来で水揚げされた寒ブリ三種。これは底引き網で夜釣りした10キロ級の鰤だそうだ。鰤の背の部分、背びれの真下の部分、そして脇腹の部分。どれも味が違うがとりわけ脇腹のところは絶品だった。すりおろしたタマネギと和芥子を乗せて戴いた。
同じく能登のサバ。これも脂の乗りが良い塩梅。鯖も和芥子で戴く。
あぁ、もう日本酒が欲しくなる。

ここで親方が鮟鱇の肝を持ってきた。
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これも能登で捕れた国内産の10キロ級の鮟鱇から取ったものらしい。
何でも、今ほとんどの料理屋で出す鮟鱇は大半が世界中の海で捕れ築地に送られてくるのだそうだ。国内の海で捕れた鮟鱇は市場に出ると高くて、とてもじゃないが手が出ないと云っていた。
いやぁ、本当に美味しい肝だ。

ごろりとしたアン肝は一つだけ残して、器の中でぐちゃぐちゃにかき混ぜて溶いておくようにと指示が出た。
これには、長崎県壱岐の磯で捕れた平鱸(すずき)にたっぷりと乗せて食べると美味しいとの事。
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親方は鱸は五島か壱岐で捕れたものしか使わないと云っていたが、無茶苦茶美味しい。歯ごたえも良いし、アン肝との相性もバツグンだった。
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日本酒は兵庫の「奥播磨」のナントカと云う酒を戴いたがクイクイといってしまった。この酒は皇室御用達らしく世間には出ない酒だそうだ。

今度は親方からプレゼントだよ、と「カワハギのしぎ焼き」を戴いた。
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ぷりっとしたカワハギの身に一味を効かせて焼いた一品だ。これも酒が進む味だ。山廃仕込みの杉錦でふぐのしぎ焼きより美味いカワハギを食べた。

続いて、前回も戴いた「天然真牡蠣の茶碗蒸し」が登場。
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牡蠣15個をすり潰し、それを裏ごしして蒸す。味付けはせず、牡蠣の持つ味のみ。蒸し上がりの上に薄い味噌を羽二重仕立てにし、その上にガーリック味噌で味付けした焼き牡蠣が乗る。
淡い味わいの茶碗蒸しを食べ、最後に味の濃い焼き牡蠣で締める。これは何度食べても感動する味である。

いつもは、温かい椀モノは一品だが、今回はまた親方が新作料理を考えたのでそちらも出してくれると云うので楽しみに待つ。
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青森十三湖で狩るしじみを六時間じっくりと蒸し、そのエキスで蒸し物を作ったそうだ。
先日、お歳暮で「抹茶プリン」を頂戴し、そこから閃いて抹茶プリンならぬ「抹茶椀蒸し」を考案。
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同じ青森津軽産の林檎も入れてみた。しじみや林檎と共に中に入っていたのはあん肝酒粕漬け。様々な素材のマリアージュを抹茶で整えた蒸し物は、絶品。
これには青森の地酒「陸奥八仙」の絞り薄濁り酒を合わせてもらう。八戸の濁り酒だが呑みやすい酒だった。

日本酒が止まらなくなってきたので、ここで珍味をもらうことに。
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三年物の鰹の酒盗と二年物の鮪の酒盗。座敷で呑んでるとなんだか家で寛いでいるみたいでどんどん酒が入るなぁ。親方はどんな魚の内蔵や卵でも酒盗やからすみを造る。酒好きにはたまらないのである。

ここで、また凄い一品が登場である。
四万十川で捕れた「鮎の背ごし」。
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鮎を背中の上から縦に骨と一緒に細かく切ってお造りにした料理で、今ではもう誰もやっていないと云っていた。この鮎につけるタレも凄い。
稚鮎の肝のうるかを醤油で溶いたものだ。五年物のうるかだで、約80本分の稚鮎の肝が使われている。

親方と語りながら魚を食べていると日本全国魚介の旅に出た気分に浸れる。最高に美味い酒と肴を味わいながら、魚の話を沢山聞かせてくれるので嬉しい限りである。
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箸休めに玉子焼きを戴いた。云う事無しの旨ささだ。美味い玉子焼きが続くなんて嬉しい限りだ。

続けて、痛風まっしぐらの勢いで親方が自家製からすみの盛り合わせを出してくれた。
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ボラの風干しからすみ、ボラを8週間干した味噌漬けからすみ、時鮭の卵のからすみ、そしてべっこう卵の4種。
このべっこう卵なるからすみは、軍鶏(しゃも)の卵黄を味噌漬けにしたものだが、半端じゃなく濃厚な味だ。
どれもが酒に合うのだが、親方のオススメはボラのからすみに時鮭と軍鶏のからすみを一緒に混ぜて食べると美味いとの事だった。でも、ホント痛風への近道って感じだナ、これは。

ここで、カウンターのお客さんたちが引き上げたので、カウンター席に移り、握りを始めて戴くことにした。
マスクメロンの溜まり酢漬けで口をさっぱりさせて、濃厚なからすみの味にさようならをする。酒は秋田の吟醸「奥清水」。

コハダ三連発に始まり、江戸前の青柳、白魚の酒塩蒸し、土肥岬の本鮪のヅケと立て続けに食べた。青柳と鮪がいつにも増して素晴らしい味だった。
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お馴染み「さくらんぼのしば漬け」で口を休め、味噌椀が出る。
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椀の具は有明の新海苔だと云う。うーん、酒が沁みた胃に優しい味噌汁だった。

親方からまた格別美味い握りを戴いた。松茸と大トロの握りなのだが、岐阜で採れた松茸で市場に出る事が無く、普段は採った家で食べるだけしか無い貴重な松茸を親方に食べてもらいたくて送ってきた物を分けてもらったのである。
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最後に蝦夷あわびの握りを戴いて、今年のいずみ劇場は終演だ。
本当はあの「車海老のおぼろ漬け」も食べたかったのだが、さすがに腹が一杯で無理だった。また来年の楽しみにしよう。

正月のおせちは親方にお願いしてあるので、新年早々楽しみである。
ぐふふ。
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「一陽来復」
では、皆さん良いお年を!!
by cafegent | 2007-12-28 18:05 | 食べる