神楽坂「御料理 山さき」と目黒「寿司いずみ」で亥年を締めくくる。
2007年 12月 28日
クリスマスだから、いつもと違うカラーリングなのかなぁ、と思って見た訳だがいつもと変わらぬ色だった。
先日、久かたぶりに神楽坂で美味い鍋を食べた。
神楽坂の毘沙門天前に在る「御料理山さき」は、江戸庶民が愛した料理を気兼ねなく存分に楽しめる和食屋だ。
実は美香ちゃんは、僕がサラリーマン時代の後輩であり、当時は輸入雑貨の世界で頑張っていたのだが、一年発起して、料理人の世界に飛び込んだ努力家なのだ。
冬の時期になると、「鴨の巌石鍋」「ねぎま鍋」「よせ鍋」、それに鶉やふぐの鍋も加わる。最初に出されるお通し五品の中に必ず入る玉子焼きはとびきり旨い。修行時代、この玉子焼きが焼けるまでに何年もの歳月を要したと聞く。
この日は、先付けに小海老と百合根とインゲンの卵和えの小鉢から。
淡い味付けが優しい味わいである。
東京の玉子焼きらしく、可成り甘いのに後を引く味である。
続いてお造り。
酒は秋田の地酒「春霞」を燗につけてもらった。
鴨肉をミンチにして豆腐と合わせてあるのが、ここならではの一手間である。
一通り食べ終えたら最後のお楽しみ、巌石鍋の味がたっぷり染込んだ雑炊を作って戴く。
最後にお茶を戴き、「山さき」自慢の手作り菓子を戴く。「葛焼き」とか云ったかな?
昨年の夏にここで生まれたメダカの稚魚を分けてもらった。生まれたてで、体長も1,2ミリ程度。目を凝らさないと見えない程小っちゃかったのだが、今では2,3センチにまで大きく育ってしまった。
「御料理 山さき」は今話題のミシュランガイド東京版で星を一つ獲得した。
東京が世界に誇る店として、大いに讃えるべきである。ミシュランに対する意見も沢山飛び交っているが、僕はこう云う店に星を与えた事をあえて評価したいと思ったナ。
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さて、年の瀬は美味いモノが続く。
今年最後の目黒の寿司は満席のところを無理に用意してもらい奥の座敷での宴となった。
続いてお刺身盛り。と云ったって、ここの刺身は訳が違う。
同じく能登のサバ。これも脂の乗りが良い塩梅。鯖も和芥子で戴く。
あぁ、もう日本酒が欲しくなる。
ここで親方が鮟鱇の肝を持ってきた。
何でも、今ほとんどの料理屋で出す鮟鱇は大半が世界中の海で捕れ築地に送られてくるのだそうだ。国内の海で捕れた鮟鱇は市場に出ると高くて、とてもじゃないが手が出ないと云っていた。
いやぁ、本当に美味しい肝だ。
ごろりとしたアン肝は一つだけ残して、器の中でぐちゃぐちゃにかき混ぜて溶いておくようにと指示が出た。
これには、長崎県壱岐の磯で捕れた平鱸(すずき)にたっぷりと乗せて食べると美味しいとの事。
今度は親方からプレゼントだよ、と「カワハギのしぎ焼き」を戴いた。
続いて、前回も戴いた「天然真牡蠣の茶碗蒸し」が登場。
淡い味わいの茶碗蒸しを食べ、最後に味の濃い焼き牡蠣で締める。これは何度食べても感動する味である。
いつもは、温かい椀モノは一品だが、今回はまた親方が新作料理を考えたのでそちらも出してくれると云うので楽しみに待つ。
先日、お歳暮で「抹茶プリン」を頂戴し、そこから閃いて抹茶プリンならぬ「抹茶椀蒸し」を考案。
これには青森の地酒「陸奥八仙」の絞り薄濁り酒を合わせてもらう。八戸の濁り酒だが呑みやすい酒だった。
日本酒が止まらなくなってきたので、ここで珍味をもらうことに。
ここで、また凄い一品が登場である。
四万十川で捕れた「鮎の背ごし」。
稚鮎の肝のうるかを醤油で溶いたものだ。五年物のうるかだで、約80本分の稚鮎の肝が使われている。
親方と語りながら魚を食べていると日本全国魚介の旅に出た気分に浸れる。最高に美味い酒と肴を味わいながら、魚の話を沢山聞かせてくれるので嬉しい限りである。
続けて、痛風まっしぐらの勢いで親方が自家製からすみの盛り合わせを出してくれた。
このべっこう卵なるからすみは、軍鶏(しゃも)の卵黄を味噌漬けにしたものだが、半端じゃなく濃厚な味だ。
どれもが酒に合うのだが、親方のオススメはボラのからすみに時鮭と軍鶏のからすみを一緒に混ぜて食べると美味いとの事だった。でも、ホント痛風への近道って感じだナ、これは。
ここで、カウンターのお客さんたちが引き上げたので、カウンター席に移り、握りを始めて戴くことにした。
マスクメロンの溜まり酢漬けで口をさっぱりさせて、濃厚なからすみの味にさようならをする。酒は秋田の吟醸「奥清水」。
コハダ三連発に始まり、江戸前の青柳、白魚の酒塩蒸し、土肥岬の本鮪のヅケと立て続けに食べた。青柳と鮪がいつにも増して素晴らしい味だった。
親方からまた格別美味い握りを戴いた。松茸と大トロの握りなのだが、岐阜で採れた松茸で市場に出る事が無く、普段は採った家で食べるだけしか無い貴重な松茸を親方に食べてもらいたくて送ってきた物を分けてもらったのである。
本当はあの「車海老のおぼろ漬け」も食べたかったのだが、さすがに腹が一杯で無理だった。また来年の楽しみにしよう。
正月のおせちは親方にお願いしてあるので、新年早々楽しみである。
ぐふふ。
では、皆さん良いお年を!!