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by cafegent
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戦国時代の自由奔放な鍼灸師に興味が湧いた。

「虫の知らせ」(ジェイ・キャスト刊)と云う本が面白い。
九州国立博物館が所蔵する「針聞書」(はりききがき)と云う古い書物が気になっていたのだが、「虫の知らせ」はその古書の内容を判りやすく紹介し、見識者たちが解説しているのだ。

さて、この「針聞書」とはどんな書物かと云うと、戦国時代に生きた茨木二介元行なる鍼灸師が聞き書きしたとされる医学書なのである。五年前に大阪の古書市に出た写し本を九州国立博物館が収蔵したそうだ。

偶然にも昨日の朝日新聞夕刊で、これを取り上げたコラムを読んだ。
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MIHO MUSEUMの辻館長が2月の間書いていたシリーズの最後なのだが、「針聞書」について興味深く語っていた。

「奇想とは、人目を驚かし楽しませる変わった発想のことだが、その実態はさまざまだ。奇をてらったわざとらしい奇想、作者の内側から発する天然の奇想、技のつたなさが思わぬ効果に結びついた奇想....。
天然にして稚拙、これが私の求める奇想だが、この本はまさにその見本だ。」(「辻 惟雄さん 彩・美・風」コラムからの抜粋)
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「針聞書」の内容はいたって真面目である。
針師が一人前になるために知るべき基礎をまとめたもので、針の病気別の打ち方を記した聞書、針や灸を体の何処に施すか、体内にいる虫の図解とその治療法、そして各臓器や体内の解剖図を紹介している。

だが、躯の中に蔓延(はびこ)っている虫の空想画が凄い。
様々な虫たちを何とも自由奔放な発想、奇想で描き、それぞれに名を付け説明しているのだ。
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その数63種、どれも決して上手とは云えないが、否や、むしろ下手である。それ故にユーモラスで本当に腹の虫ってこんなのが居るのじゃなかろうか、などと思ってしまう程だ。

例えば、「肝の虫」。
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「大悪虫。からいものが好き、背骨のある寄生虫。」と記してある。
脾臓に居て、六本の鋭い爪で飯を食べる「悪虫」はトボケた姿が何とも可笑しい。
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大病を患った後に胃に現れると云う「大病の血積」などはまるで胃のカタチをした宇宙人なのだ。

今年は「針聞書」が書かれてから440年目だそうだ。「虫の知らせ」以外にも数冊本が出ているらしいので、探してみようかな。
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『針聞書』 虫の知らせ
by cafegent | 2008-02-28 16:13 | ひとりごと