東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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夏の夕暮れ、業平公園近く「もつ焼き まるい」で憩い。

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三遊亭小遊三師匠が得意とする落語に、「千早振る」と云う噺が有る。

  千早振る 神代も聞かず竜田川
      唐紅(からくれない)に 水くくるとは

ご存知、百人一首の中で有原業平が詠んだ歌だが、幼い娘に質問され、この歌の意味を聞きにきた長屋の八五郎。ところが、とんだ知ったかぶりのご隠居が途轍もないデタラメな解釈を思い付き、一気に即興でまくしたて誤魔化して仕舞う一席だ。

竜田川と云う相撲取りが吉原の花魁「千早」に一目惚れしたが、振られて仕舞い、それじゃあ妹の「神代」を口説こうとするが、話すら聞いてくれない。
この調子で「千早振る神代も聞かず竜田川」を説明しちゃうのでアル。

相撲を引退して、家業の豆腐屋を継いだ竜田川。そこへ、吉原を出て、喰うや喰わずの空腹で旅をしていた千早が現れる。おからで良いから恵んで欲しいと慈悲を乞うが、昔自分を振った花魁千早大夫だと判り、恨みが蘇った。「お前には、おからはくれてやれねぇ!このアマーっ」と引っ掴んで、裏の土手まで千早を放り投げてしまったのだ。目に涙を浮かべた千早はすぐ傍の井戸の水の中に身を投げて仕舞うのでアル。
コレが「から(オカラ)くれないに 水潜るとは」になる訳ダネ。
大変面白い話だが、最後のオチは、是非師匠の落語で聞いて欲しいナ。

まぁ、これじゃあ、有原業平もさぞ腹を抱えて笑うコトだろうネ。

とマクラ話が長くなったが、先日は「宇ち多”」の常連ご夫妻に連れられて、押上は「業平公園」方面へ遠征に行って来た。業平と云う場所は、そう有原業平にちなんで付けられた地名なのだ。

その業平公園のちょいと先の「まるい」へお邪魔することになった。
開店まもない時間だと云うのに、一階は既に満席で二階の座敷へと上がることに。
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こりゃ、まるで昭和の時代に逆戻りして、誰かの家に遊びに来たみたいだね。すっかり和んで仕舞う。
二階に上がると、不思議と下のざわめきが一切入って来ず、時が止まったようなのだ。テレビを付けたら「シャボン玉ホリデー」なんか映ってたりして。

「まるい」と云えばエッジの立った牛のレバー刺しや〆の仔牛サンドが有名だが、この日は牛が早々に品切れとの事で、残念無念、皆ウ~ンっと唸って仕舞ったのだった。
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だが、生ビールのジョッキで乾杯して、先ずは「煮込み」から。
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此処は二階に上がって仕舞うと忘れられたんじゃなかろうか、と云う程次の料理が出て来ない。
なんせ、夫婦と息子の三人で一階と二階を切り盛りして居るのだから仕方無いよネ。のんびりと夜風が通る座敷で呑んでいると、次の料理が来た。「地鶏すきみ焼き」だ。
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こりゃ旨いねぇ。酒を焼酎に替えて正解だ。酒のアテに良いお味。

お次は「まるいサラダ」の登場。
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新鮮なガツの上に何だか訳の判らない絶品タレが沢山かかっており、サラダとは名ばかりなホルモン料理なのでアル。

まるいサラダをアテに、暫くまた料理の来ない時を焼酎でまったりと過ごす。そして、忘れた頃に「シロ」登場。
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此処のはシロと云っても、テッポウがたんまりと入っているのだ。ウレシイ限り。
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で最後に「軟骨ホルモン焼き」でガツンと脳天一撃を喰らうのでアル。一階でトントントントン...と包丁で叩く音が聴こえてくるとウチらのかなぁと思いながら、暫く運ばれてこないと「あぁ、下の注文かぁ」とガックリ肩を落とすのだ。
暫くしてまたトントントンの音がして、漸く僕らの軟骨ホルモン焼きが出来上がって来た。
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アッサリした味に細かく刻んだ新鮮なタマネギがたっぷり乗っている。
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コレはもう食べた人じゃなきゃ判らない至福の味だナ。

押上に新しい東京タワーが建ったら、「まるい」はもっと入れなくなるのだろうネ。

さて、最近、立石「宇ち多”」仲間と呑む機会が多い。いつもは僕が立石方面へお邪魔しているので、この日の夜は渋谷のんべい横丁の「鳥重」へ連れて行く事にしたのだ。

此処も以前はその日に電話をすれば入れる事が多かったのだが、最近は随分と前に電話をしないと席が取れない程になっている。エチエンヌが朝日新聞に紹介したからか、モリンコが料理通信に紹介したからだろうか、ネェ。嬉しいやら悲しいやら、なのでアル。
それでもお母さん、普段大勢の予約は受けてくれないのに、僕の予約を快く引き受けてくれたのだ。そして九時半の会を外で待つ。
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あいちゃん、仕事帰りと思えぬ様な、バッチリ横須賀の不良娘的ポーズになっているネ。
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岩崎さんは相変わらず呑んだくれての登場だ。

「鳥重」は焼き鳥屋の顔をした鳥料理屋である。
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先ずは「柔らかいモツ」をタレで焼いて行く。他店の焼き鳥屋ならば、4串分は有るだろう程の大串だ。コレにこれでもかと云う程モツが串刺しされており、炭火でじっくりと焼くと、レバがくっつき合った箇所がレアに仕上がり絶品の美味さになるのだナ。

一本目が焼き上がると、漸くお酒を聞いてくれる。外の猛暑にバテ気味なので、冷たい瓶ビールにした。ひとみ姐さんと岩崎さんは既に酔いの口なので、ノっけから日本酒をつけていた。

続いて、心臓が焼き上がる。
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焼き台では煙が天井高くまで立ち上り、その匂いが食欲を誘うのだ。心臓はいわゆるハツだが、これも他店だと半身に開いたハツを3つ程串に刺しているが、鳥重は違うぞ。ナント、一串に鶏の心臓が12,3個まるごと刺さっているのだから。
これに柚胡椒を付けて食べると、もう「ぐふふ」状態なのだ。
ビールをお替わりし、合鴨を戴いた。これも脂が乗っていて素晴らしい。

此処の名物だった生の鳥レバーが仕入れ先の倒産によって、手に入らなくなって仕舞ったと聞いた。先月、タイミング良く食べられたので僕は良かったが、初めての皆さんに食べさせてあげたかったナぁ、残念。

その代わり新しい一品を戴いた。「鳥ささみの炙り焼き」だ。
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表面だけ焼いたささみの美味い事、旨い事。これなら、すぐまた名物になるね、お母さん。
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気分良く酒に良い、旨い鳥料理を戴いたが、時計の針はもう12時近くになっていた。すっかり長いをしてたんだね。立石組が帰れなくなると困るので、彼等を送り、僕はまた横丁へと戻る事にした。

「Non」へ戻ると、いつもの顔たちが集って居た。真夏の深夜、虫の音を肴に呑む酒もまたオツだねぇ。
by cafegent | 2008-08-12 13:22 | 飲み歩き