東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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コスモスの花咲く軽井沢まで、久々に小旅行。

     一人旅 何想うかと 問うコスモス
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日曜日、何も予定がなかったのでぶらりと旅に出てみた。

恵比寿から埼京線に乗り、大宮に出た。構内の書店で本を探してみる。
これだけ新刊が出ていると読む方が追いつかないね。まぁ、旅には文庫本の方が都合が良いので、取り敢えず新刊本は無視。文庫の棚へ移動。

買い逃していた単行本がどんどん文庫になっていた。伊坂幸太郎も奥田英朗も森見登美彦など、読みたかった本が文庫本になっている。
その中で手に取った一冊は、重松清の「その日のまえに」だった。確かこの秋に大林監督で映画化する小説だ。映画を観る前に読んでおかなくちゃ、と旅の友はコレに決めたのだ。

日常の中にあるありふれた幸せ、家族や友人の間に訪れる生と死を見つめる七つの短編が収められている。夏の終わりには丁度良いかナ。

大宮から新幹線で一駅の軽井沢まで行く事にした。ぶらりと行ける距離も良い。
短編は、短い小旅行にはもって来いだ。軽井沢駅に着く間に最初の一編「ひこうき雲」を読み終えた。秋の空に様々な想いが交差した。
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駅を出ると、風が冷たく空気が澄んでいるせいか、夕日を放つ太陽がとても大きかった事に驚いた。
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軽井沢に来るのは久しぶりだ。前に来た時はまだ夏が終わる前だっただろうか。もっと暑かったナ。

駅からまっすぐ旧軽井沢まで、ぶらりと歩いた。
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新しい店も出来ているし、人も多い。
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美味しいハンバーグを喰わす店も健在だった。階段下まで行列が出来ていたが、そんなに人気店だっただろうか。
ミカドコーヒー店も混んでいた。何も変わらない風景が時計の針を逆さに廻しているかのようだ。

軽井沢で仕事をしている友人に教えて貰った創作和食の店「Ogosso」で夕飯を食べることにした。オゴッソとは信州の方言で「ご馳走」の事だと聞いた。
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此処は大変に繁盛しており、軽井沢別荘族ご用達しだそうだ。ひっきりなしに予約客が訪れて来る。出される料理も絶品だが、何よりも店主の柳沢さんの人柄が人を惹き付けて止まないのだろう。
皆から「俊ちゃん」と声が掛かり、あっちこっちの席で笑顔のキャッチボールをしているのだ。
そうだね、さながら軽井沢の「なるきよ」って感じだろうか。料理もお任せにして、美味しい軽井沢の旬をアテに酒を嗜んだ。

先ずは地元で採れた法蓮草のお浸しから。
「喉が乾いたからビールを早く!」とけしかけたら、俊ちゃん急いで持って来た。ところが、親指サイズの小ジョッキだった。
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まったく、可笑しな計らいだネ。
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地野菜の茎ブロッコリ、モロッコインゲン、アスパラガスをそのまま茹でたボイルセットが出て来た。塩、オリーブオイル、マヨネーズで素材の味を堪能する。
続いて、カボチャの煮浸し、アメイラ・トマトが出てきた。
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このトマト、本当に甘いので最近は良くレストランのデザート等に使われているネ。

「軍鶏(しゃも)の鳥わさ風」が日本酒に合う。
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酒は諏訪湖の近くで作られる「御湖鶴」を戴いた。舞茸の天麩羅も香りが立つ。

酒が進んだところで、目当ての名物「ぎたろう軍鶏スキ」の登場だ。

シャモスキの味を更に引き立てるのが、卵だ。
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浅間鳥牧場の朝取れ卵を椀に溶き、軍鶏が煮えるのをジッと待つ。

オゴッソが扱う軍鶏は、長野県上伊那郡辰野町で飼育された鶏だ。
プリプリでジューシーな軍鶏のもも肉やレバー、砂肝、鳥皮などが特製の割下でグツグツの煮込まれる。
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お椀を持って構えていると、一番美味しい頃合いで俊ちゃんが肉や野菜を入れてくれるのだ。ホラ、元気な顔でやって来た。
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この絶妙のタイミングに心打たれるのでアル。むふふ。

心行くまでシャモスキを堪能したら、最後の仕上げはおじやなのだ。程よく甘い汁には軍鶏の旨味がたっぷりと濃縮されている。此処にご飯を入れ、卵をたっぷりと廻し入れ、蓋をしてじっと待つ。
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熱々のおじやの完成だ。
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酒は「水尾」、「登水」と続き、最後は「明鏡止水」の生酒で締めた。大いに吞んで、大いに食べたナ。

外へ出ると、軽井沢の夜は霧に包まれていた。温暖化のせいか、ここ数年軽井沢も霧の発生が少なくなっているそうだ。
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秋の夜長、イギリスの片田舎なら満月の夜、深い霧の中からオオカミ男でも現れるだろうか。そんな気配を感じさせる帰り道だった。

タイミングよくキャンセルが出て部屋が取れたと云うので、「ホテル音羽の森」に泊まる事が出来た。
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此処はレストランの方が有名だから、初めて泊まったのだが、旧軽井沢らしい古き良き洋館の佇まいはとても気分が良かった。部屋でまた重松清の一編を読んでいる内に、いつの間にか寝てしまった。

鳥の声に目を覚まし、珈琲で眠気を吹き飛ばす。
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窓を開けると清々しい空気が部屋の中を駆け巡る。
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散歩でもしようとチェックアウトをして、ホテルを後にした。
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軽井沢本通りをまっすぐ進み、ミカドコーヒーで珈琲をもう一杯飲み、六本辻方面へと歩く。
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此処を右へ曲がると「雲場池」だ。
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緑溢れる雲場池では、生まれて間もない小ガモが懸命に泳いでいた。
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あと2ヶ月もすれば見事な紅葉で池が紅く染まるのだナ。

1時間半ほど歩き、小腹も空いたのでスモークの店「薫製工房 煙事」(えんじ)で昼飯をとる事にした。
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先ずは薫製の盛り合わせをアテに生ビールをごくり。
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目の前のピッツァ専用石釜の火を眺めながら、自慢のピッツァを待つ。
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此処は全てが燻されてスモークされている。
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醤油もオリーブオイルも胡麻も全部薫製なのだ。だが、これがまた香ばしくて食を誘う。
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美味しいピッツァについついビールをお替わりしたくなったが、グッと我慢。次のビールは温泉の後に取っておくことにした。
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中軽井沢方面へと移動し、星野リゾートが在るところへ。午前中の散策でひと汗かいていたので、「トンボの湯」でひと風呂浴びる。
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露天風呂に浸かっていると、冷たい初秋の風が顔だけを叩いて行く。

じっくりと浸かり、過ぎ行く夏を洗い流そうと思うのだが、中々そんなに早く夏は終わらないのかナ。
サウナでじっくりと汗だけは出すことが出来た。
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風呂上がりに「村民食堂」でエールビールを一杯。
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ふぅ、とため息が出たが、別に寂しい訳じゃない。たまにはのんびり一人で想いにふける旅ってのも良いものかネ。

一時間に一本のシャトルバスが来るまで、まだ暫く時間が有った。また文庫本を取り出して、一編読み出した。

バスは軽井沢駅の南口、アウトレットモール側へと着いたが、さして買い物もしたい訳じゃなかったので、そのまま新幹線に乗る事にした。

軽井沢では、もう至る所でコスモスの花が咲いていた。ひと足早い秋を感じながら、残暑厳しい晩夏の東京へ戻ったのだ。
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     コスモスに 心の底を 見透かされ

帰りの新幹線の中で、最後の短編を読み終えた。
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by cafegent | 2008-09-18 16:39 | ひとりごと