東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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大自然に囲まれた美術館でモーリス・ルイス展を観る。

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先日、千葉駅から電車を乗り継いで佐倉まで足を伸ばしてみた。
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週末に渚ようこリサイタルを一緒に観た友人は長年四街道と云う街に住んで居たのだが、佐倉は四街道よりもまだもう少し先だ。成田方面はゴルフをしていた頃は良く来たものだが、最近はトンと縁が無い。

佐倉駅を出ると先ず閑散とした駅前の広場に驚いた。普通、駅前と云えばファーストフード店や大型スーパーマーケット、喫茶店等が軒を揃えているのかと思ったが、余りに何も無いので昼食を取る店さえ見つからなかったのだ。仕方無くコンビニのおにぎりを買い、ベンチで食べた。
30分に1本の送迎バスに乗り、「川村記念美術館」を目指す。
それにしても、美術館までの無料送迎が有るってのは随分と親切だネ。
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バスに揺られ、景色を眺めながら小旅行の気分だ。途中、テレビ通販でお馴染みのQVCの巨大センターの出現に度肝を抜かされたが、それ以外は本当に長閑な田舎の風景が広がっていた。
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約20分程で美術館に到着だ。
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おや、久しぶりにイトトンボを見つけたよ。
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タマスダレの花も咲いている。虫にも植物にも優しい環境なのだナ。
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此処は今から18年程前に出来た美術館で、デザインや印刷関係の方なら知らぬ物が居ない程有名な「DIC」、そう大日本インキが創設した私立美術館なのである。

僕も知らなかったのだが、今年の四月に社名を大日本インキからDIC株式会社に変更していたのだね。川村一族が親子三代にわたり世界中から収集した美術作品を展示しているのだが、マーク・ロスコの作品やフランク・ステラの数々のコレクションは圧巻だ。
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また、30万平方メートルと云う広大な敷地に建てられた美術館はまるでヨーロッパの古城を彷彿させる素晴らしい建物だ。
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緑の小径を抜けると目の前に広がる池。
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白鳥がのんびりと羽根を休めている。
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美術館のエントランス脇にはハウルの動く城よろしく巨大なステラの彫刻が目をひいた。

館内に入るとモネ、ルノワール、マティス、フジタ、レジェ、ピカソ等々、印象派から1920年代以降のエコール・ド・パリの作品群がずらりと展示されていた。
よくこれだけの作品を収集出来たものだ。殆どがサザビー等のオークションで集めたのだろうか。いやはや凄い。

そして、隣の部屋に入り息が止まるのだ。レンブラントの「広つば帽を被った男」が一点展示されているだけの部屋である。じっくりと作品と向き合う事が出来、370年も前に描かれた絵画を間近で観る事が出来るのは幸運だろう。

此処は日本美術の所蔵品も優れている。今、話題の尾形光琳、坂井抱一から横山大観、橋本関雪、長谷川等伯と云った素晴らしい作家を集めているのだ。丁度今観られるのは、鏑木清方、池上秀畝、橋本関雪だったが、橋本関雪の「秋桜老猿」は素晴らしい。
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老猿の何とも云えない表情と右下の枝との構図が凄い。

シュールレアリズムの展示室へ入ると、マックス・エルンスト、ルネ・マグリット、ヴォルス等の作品が並ぶ。

ジョセフ・コーネルだけを展示した部屋も良かった。小さな箱庭的な作品「海ホテル」、「鳩小屋/アメリカーナ」やコラージュの作品は暫く足を止めて観てしまう。
コーネルの部屋を出て、愉しみにしていたマーク・ロスコの展示室に張り紙が。
ガーンッ!、英国テート・ミュージアムでのロスコ展の為に全てを貸し出し中との事だった。今回、マーク・ロスコが一番観たかったので、ちょいとショック。まぁ仕方無い、また観に来よう。
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途中に見える中庭の風景はまるでヨーロッパだね。
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クモも美術鑑賞したいのかな。

二階に上がると「ニューマン・ルーム」だ。此処が圧巻かナ。真っ白な広い部屋にバーネット・ニューマンの赤と白の作品「アンナの光」が唯1点飾られているのだ。正面に横長のソファーシートが有り、そこで暫く眺めると良い。カーテン越しに溢れる薄い光と真っ白な空間。其処へ鮮明な色が広がっているのだ。
うーん、素晴らしい。

二階はジャクソン・ポロック、サム・フランシス、ブリジット・ライリー、フランク・ステラと云った50年代以降のアメリカン・アートのコレクションが展示。
ライリーの「朝の歌」と云う優しい色で構成されたまるでテキスタイルの様な作品に惹かれてしまった。制作された1975年と云う時代らしい絵画だ。

また、時代毎に陳列された巨大なフランク・ステラの立体作品は圧巻だった。カンヴァスからアルミ、スチールへと、1951年から1991年までの時代変遷を垣間みる事が出来てとても興味深く拝見した。

そして、今開催中の「モーリス・ルイス 秘密の色層」展を観た。
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広い会場を埋め尽くす巨大な作品群に先ずは圧倒される。今まで書籍等でしか観た事が無かったが、こんなにデカい作品だったとは驚いた。

ルイスは、カンヴァスの布を広げ立てかけ、薄くのばしたアクリル絵の具を幾層にも塗り重ねる技法で絵を描く。何とも表現しきれない色彩の染物のような抽象画。しかし、グイグイとその絵に惹き付けられて行く自分が其処に居る。ほんの少しだけ顔を覗かせる色鮮やかな色の群。その色数も相当の数だ。
ルイスの創作活動期間は意外に短い。1912年、ワシントンで生まれたルイスは、1950年頃からニューヨークのギャラリーで次第に注目を集める様になるが、62年ガンに冒され49歳と云う若さでこの世を去った。おやおや、僕と同じ歳だネ。

そして、彼が亡くなって間もなく、600点にも及ぶ膨大な未発表作品がアトリエから見つかり、グッゲンハイム美術館で大きな展覧会が催され、全米はもとより世界中に注目される作家となったのだ。その作品の技法は未だに謎に包まれており、研究家たちが何度トライしても上手く描けないらしい。

本展覧会で興味深かかったのは、ルイスが実際に創作活動をしていた自宅の小さなダイニングルームと同サイズの部屋を再現していたことだ。明らかにその部屋よりも作品の方がデカいのだから。益々、謎が深まるばかり。
モーリス・ルイスの作品が今回16点も一同に集められているのはとても凄い事だ。11月30日まで開催しているので、是非多くの方に観て欲しい展覧会だナ。

美術館を出ると廻りは広大な自然散策路になっている。次のバスが来るまでの間、秋の花などを観察しながら、散歩でもしよう。
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写生をしている方々も結構居るのだナ。
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池では睡蓮の花が綺麗に咲いていた。
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葉の上には親子バッタが休んでる。
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こっちの睡蓮は淡いピンク色の花を咲かせていた。
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おや、まぁるい葉の上ではカエルがのんびりと佇んでいた。
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広い芝生の上では小さな指くらいのキノコが沢山生えていた。
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小さな赤ちゃんを連れた親子がのんびりとピクニックを楽しんでいる。良いね、素敵だね。
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紅葉までは未だ早いが、ホトトギスの花が咲いていた。
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キキョウも綺麗な色だナ。
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トンボも長閑に休んでるし、僕も珈琲でも飲みながら一休みしよう。

秋風も心地良く肌に当たり、思い切り深呼吸が出来る。あぁ、とても素敵な休日を過ごせたかな。
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そして、この日観る事の出来なかったマーク・ロスコの作品集を眺めながら酒を一杯やるとしよう。
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by cafegent | 2008-10-08 12:28 | ひとりごと