東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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2011年 10月 14日 ( 1 )

東京・根岸の路地裏にひっそりと明かりが灯る居酒屋が在る。
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『鍵屋』の創業は江戸時代、安政3年と聞く。創業から残る建物は、今「江戸東京たてもの園」に移築保存されている。
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店主の清水賢太郎さんに伺った話だが、昭和49年に表通りの道路拡張に伴い、当時の建物を取り壊さなくてはならなくなったそうだ。

その時、『鍵屋』を贔屓にしていた日本文学研究家のサイデンステッカーさんが、この歴史ある建築物の取り壊しを嘆き、新聞に投書をした。

「この国は、人間よりも車の方が偉いのですか」との内容がきっかけとなって、移築保存が実現したそうだ。
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現在の店も大正元年に建てられたものだが、その佇まいも長く残して欲しいものだ。
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そのサイデンステッカーさんにまつわるエピソードをひとつ。

小津の「東京物語」で助監督となった映画監督で、直木賞作家の高橋治氏が東大の学生だった頃のオハナシ。

授業に遅刻して隣りに座るなり、「今、何ページですか?」と日本語で話しかけてきたのが、サイデンステッカーさんだった。この偶然の出逢いから親交を深め、互いの母国語を教え合うことになったそうだ。

「この本をマスターすれば英語は大丈夫」と云って、渡されたテキストはアラン.A.ミルンが書いた童話『クマのプーさん』だったのだ。

さて、今日10月14日は、クマのプーさんの誕生日でアル。
      ◇        ◇        ◇
夕べは、仕事場からまっすぐ山手線で新宿駅に出た。帰宅ラッシュのただでさえ混む時間帯に中央線の中野・東中野間で人身事故が発生。新宿駅は足止めを喰らった人達で溢れていた。

東口の改札を抜けて、真っ直ぐルミネエストの中に在る『ベルク』へ。

此処は電車の足止めに関係なく仕事帰りの方々で賑わっていた。
エビスの黒生を戴いて、カウンターの端に立つ事が出来た。

ふぅ、この日最初の酒はビールから。
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昨日は気温が高かったせいか、一段と美味い。

軽くガソリン補給も出来たので、気を良くして『バーニーズ』へ。

エレベーターでメンズコーナーへと一直線。秋冬物がもう勢揃いだネ。

ひと通り見て回り、気に入ったシャツとパンツを見つけた。それにしても、改めて考えると此処って総てが高いよネ。オクスフォードのボタンダウンシャツとどうみてもアメリカの作業ズボンをデザイナーがちょいちょいとアレンジ施した様なワークパンツで、6万円近くもしたのだ。

あぁ、確かにSWEEP!!のシャツは可愛いが、考えものだナ。それでも欲しいのだから、我ながら呆れるネ。

歌舞伎町から区役所通りを抜けて、風林会館前の細い路地に入る。
ドラマ「深夜食堂」を彷彿させる裏路地には小さな酒場が軒を連ねる。

『ばるぼら』の隣りに紺地に白く染め抜かれた『三日月』の暖簾が下がっている。麻の暖簾から衣更えだネ。
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ガラリと戸を開けるとカウンターが空いていた。
サッポロの大瓶を戴いて、カミサンと乾杯。前回は、一人だったので他のご常連さんのお裾分けばかり貰っていたが、今回は二人でアル。

安心して酒の肴を頼むとしよう。

ご主人の仕入れる魚は本当に美味い。この晩は、「今年一番良いシメ鯖になったヨ」との言葉に吸い寄せられるように「はい、お願いします」と答えた。

そして、出て来たシメ鯖がこれだ。
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どうです、凄いボリュームでしょ。
福岡産の鯖は、脂の乗りが丁度良かった。やっぱり日本酒だネ。

酒は大分「西の関」をぬる燗で戴いた。
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此処は、七輪の炭の上に燗酒器が乗る。
夏は外で、今の時季は店の中に七輪が置かれる。これで、美味い秋刀魚の塩焼きやくさやが焼かれるのだナ。
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続いて、頼んだのは名物オールグリンだ。
丸い中華鍋に胡麻油、ラード、そしてバターと三種類を使い、アスパラガスから炒めて行く。ピーマン、さやえんどう、ししとう、ニラと火の通る順番を考えて野菜が鍋に放り込まれる。
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奥さんが概ね炒め終わると、味付けはご主人だ。
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最後に入れる秘伝のタレは、一体なんなのだろう。気になるなぁ。
八広の『丸好酒場』のニンニク醤油だれも美味いが、名店には秘伝のタレが付き物だ。
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ホラ!見ての通り、緑のオンパレードなのネ。美味過ぎる!

以前は、炒め物になると階段の所で大人しくしていたお母さんが、シャキっと立ち上がり勢い良くフライパンを振っていたが、最近見かけないなぁ。二階で寝ているのかナ。

お銚子のお替わりが早くなる。もっと色んな種類を食べたかったが、此処でタイムアウトだ。次の予定が有ったのを忘れそうになった。

区役所通りを横切り、元は小学校校舎だった吉本興業のオフィスを過ぎると、其処はもうゴールデン街だ。

明るい花園5番街に入るとこの日の目的であるバー『新子』に到着だ。
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細い階段を昇るとカウンターの中に知った顔が有った。
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いつも吉田類さんの句会を切り盛りしてくれるライターの伊勢さんが、毎週木曜日に此処『新子』のカウンターに立つことになったのだ。

中に入ると既に先客有り。句会仲間の藤峰さんが居た。そして、暫くすると酒仲間のcricoさんもご登場。此処でも、ドーンッ!とな。
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いつもは肩を並べて酒を酌み交わしている酒朋が、カウンターの向こうとこちらと云うのも何だか不思議な感覚だネ。
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まだ、酒場の仕草がぎこちない伊勢さんを酒の肴に吞むなんて、奇妙なひとときを味わっている。金宮のホッピーもススむススむ。

『新子』は、2009年の4月にオープンしたと聞いた。
アングラ女優の新子さんが始めたバーだ。夕べも新子さんに逢いに来た俳優の方がいたナ。

そう云えば、ゴールデン街のバー『クラクラ』も元は新子さんが経営をしていたのだネ。僕は今のオーナーになってからしか知らないのだが、ワハハ本舗の方に伺った事がある。

心地良く酔い出した頃、句会仲間の佐々木御夫妻も現れた。
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聞けば、ゴールデン街から歩いてスグにお住まいとのこと。実に羨ましいかぎり。
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差し入れをしたカツサンドや稲荷寿司を摘みながら、楽しい時が流れましたナ。
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他人様のお誕生日ケーキを便乗してご相伴に預かり、さて帰ろうと云うところで階段下が賑やかに。
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ズコズコと昇って来たのは、お馴染みトクちゃんとまきんこ姐さん、そして美弥子ちゃんの三人だった。
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さて、バトンタッチで伊勢さんを応援してくれたかナ。

この後は『川太郎』にも立ち寄らず、新宿を後にしたのであった。

伊勢さん、夕べはお疲れさまでした。
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これからは、皆さん木曜はゴールデン街の夜になりそうな気配だネ。
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by cafegent | 2011-10-14 16:15 | 飲み歩き | Trackback | Comments(1)