東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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カテゴリ:飲み歩き( 771 )

以前、歌川広重が浮世絵に残した風景を辿って歩いたことがある。「東都三十六景」の中で描かれた富岡八幡宮は、今でも東京の名所として親しまれているネ。僕が門前仲町に足を運ぶきっかけとなったのも、「東都三十六景」シリーズの「深川八まん」と云う浮世絵だった。

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この絵はちょうど桜が満開の季節。鳥居の上から鳩たちが参道に向かって飛び立つ姿が印象的だ。広重は、この版画の他にも「江戸名所」や「江戸高名会亭尽」などで何度もこの場所を描いているのだナ。

この「深川八幡境内」の絵では蘇鉄(ソテツ)の木が大きく描かれており、周りを料理茶屋が囲んでいる。この頃から、此処は多くの人々が訪れ賑わいを見せていたのだネ。


荒川と隅田川に囲まれた門前仲町は、周辺に木場公園や清澄庭園、深川不動堂などが在り、いつも大勢の人々が訪れている。駅から十分も歩けば、越中島の水上バス乗り場も有るので天気の良い日に東京水辺ラインの船旅もまた愉しい。


江戸三大祭りの一つ「深川八幡まつり」で知られる富岡八幡宮では、日曜に骨董市が催され、掘り出し物を見つける事が多い。僕も此処で「民平」(淡路焼き)の皿を見つけて、値段交渉をして手に入れた事があったナァ。


江戸情緒が随所に残る深川の中心、門前仲町の名は、永代寺の門前に開かれた町であり、江戸時代には辰巳芸者目当てに多くの旦那衆が茶屋に集まり賑わっていた。


その門前から真っ直ぐ清澄通りへと続く通りを歩く。深川公園を過ぎた辺りに、そこだけ昭和にワープした様な「辰巳新道」が在る。かつては、江戸から続く辰巳芸者たちが通りを行き交い、色香を放っっていたことだろう。男を真似て羽織を纏った辰巳芸者は、吉原芸者の派手さに対し、粋さを重んじ、いなせと俠気を売りにしたと云う。そんな気質が江戸っ子たちにウケて、広重の浮世絵などにも頻繁に登場したのだろうネ。


「辰巳新道」は、間口九尺二軒の小さな店が三十店近く軒を連ねており、夕暮れと共に酒を求める人たちが集まって来る路地だ。


辰巳新道と清澄通りの間にひっそりと佇む『大阪屋』は、大正時代から続く牛煮込みの酒場でアル。

使い込まれた白木のカウンターには「この店の主人は私だ」とでも言わんばかりに、真ん中にデンと煮込み鍋が鎮座している。


サッポロ赤星の大瓶をお願いすると、シュポンッと栓を抜いてくれて小さなビールグラスと共に白木のカウンターに置いてくれる。

此処では、席に着くと四つに折った白い布巾と自家製のお新香が出てくるのだ。この白い布巾はよくおしぼりと勘違いする方も多いのだが、大坂屋の煮込みは濃い色の煮込みツユの中に串に刺さった牛モツが浸かっているので、串もしっかりと鍋に浸かっているのだネ。そんなワケで、串を持った手を拭くために用意されているのだ。

 

鍋から聞こえるグツグツと沸く音が至福の時へと誘ってくれるのだ。此処の煮込みはシロ、フワ、ナンコツの三種のみ。甘過ぎず、辛過ぎず丁度良い塩梅に煮込まれて、どの酒にも合う。焼酎の梅割りが一番だが、三杯も呑めばボディーブロウのように酔いが回って来る。


夕方四時の口開け時は、先代の頃からの古いご常連が多い。

今は、三代目に当たる佐藤元子さんとお嬢さんが煮込みの味を守っているのだが、天井近くを覗いてみると、先代がじっと鍋を見つめているのだナ。


2010年の春の紫綬褒章を受賞した映画監督の根岸吉太郎さんも此処の煮込みが好きでアル。監督が色紙に残したコトバが何とも素敵なのだ。


        写真の中の親父の煙草 

        灰が鍋の中に落ちないか

        気にかかる。

        それにしても、いい顔。


頑固な親父さんの意志をしっかりと受け継いだ元子さんも、行儀の悪い人やタチの悪い酔っぱらいには手厳しい。ちゃんと酒の吞み方を判っている方には、とても優しい笑顔で迎えてくれるのだナ。皆さんも是非、此処を訪れたら鍋の上に飾られている先代の写真と根岸監督の色紙を見てもらいたい。この酒場を知って良かったと、しみじみと感じる筈だから。


僕はもっぱら一人で訪れるのだが、俳句の話や旅行の話でいつも愉しい酒となる。


今は、元子さんの厳しい指導の元、四代目を受け継ぐお嬢さんも店に立っている。元々、ピアノの先生をしていたのだが、以前から店が忙しい時は手伝いに来ており、古いご常連さんたちからも可愛がられていたので、四代目になると聞いた時もそんなに違和感はなかったナ。


都会の喧噪を逃れ、ちょいと路地に入れば、ほっこりとなれる酒場が待っているのだ。ビールを飲み干したら、梅割りにしよう。ストレートグラスになみなみと注がれた焼酎に下町ハイボールでお馴染みの梅エキスを垂らしてくれるのだ。冷たく冷えた梅割りが呑みたければ、氷の入ったグラスを出してくれる。こんなちょっとした気遣いが名酒場たる所以なのだナ。


小さな半円カウンターと壁際の席で十人も入れば一杯になってしまう小体の店だが、此処は心優しい客が多く、席を詰めてくれたり切り上げて席を譲ってくれる。そんな下町の心意気に触れられるのも、煮込みの味と共に「大坂屋」の魅力である。四時開店なので、深川散歩に疲れたら此処の暖簾を潜ると良い。牛もつ煮込みを肴に、焼酎の梅割りや燗酒が疲れを癒してくれるのだ。


煮込みの〆には、名物の卵スープがおススメだ。崩した黄身に串から外したシロをつけて食べてみて欲しい。ほっぺたが落ちそうになる程に美味いのだ。


小さな酒場故に長ッ尻もいけない。程よく酔ってきたら、新客に席を譲ろう。路地を曲がれば「辰巳新道呑み屋街」も在るし、永代通りを渡れば魚が旨い『魚三』だって開いている。さぁ、広重も愛した街を歩いて、酒場の暖簾を潜ってみてはいかがかな。



東京黄昏酒場/大坂屋
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by cafegent | 2017-07-14 14:51 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)

梅雨明け間近の東京は暑い日が続いている。先日の日曜日も灼熱の太陽が強い西日をアスファルトに叩きつけるように放っていた。
午後3時半過ぎ、東中野の駅近くに扇子片手にパナマ帽姿の酒朋たちが続々と集い始めていたのだナ。

そう、最近の日曜日の夕暮れは東中野の「丸松」で酒を酌み交わすのが恒例となってきた。

歳を重ねると、自然に浴衣姿も板に付くから粋だよネ。


今年の三月、東中野の駅からスグ近くに『もつ焼き 丸松』が開店した。店主の松浦辰也さんは、城西地区を代表する野方の名店「やきとん 秋元屋」で8年半もの長きに渡り働いて、先輩のたっつんが独立した後は、店長として店を切り盛りし、満を持して独立開業したのでアル。

僕は10年以上「秋元屋」に通っていたので、松っちゃんが入った頃から知っている。秋元屋の桜台店を任されている三浦さんの下で長い間修行していた「たっつん」こと藤井龍成さんも沼袋で『やきとん たつや』を営み、この10年の間にも多くのスタッフが巣立ちして、都内各地に12店舗以上もあるだろうか。まっちゃんより後に入った者が先に独立したりしており、僕らも彼がいつ独立するのか、と気を揉んでいたっけ。


西武新宿線エリアには既に何軒もの秋元屋出身者の店が在るので、松っちゃんも違う沿線で物件を探していたのだが、随分と物件が見つからなかった。そして、偶然この場所に出会ったので開業を決めたのだネ。

L字型のカウンターが12席、小さな4席の卓が一つ、壁際に2席程度のスペースが有るが、決して広いとは言えない空間に連日多くのお客さんが足を運んでいる。


秋元屋出身らしい味噌だれのもつ焼きをはじめ、白レバ、せせり、ねぎま、ぼんじりなど鶏の部位も用意してあるのがウレシイ限りだナ。


生ビールはサッポロ、瓶ビールは僕の大好きなサッポロ赤星だ。ホッピーや酎ハイ用の焼酎は、お馴染みのキンミヤ焼酎なので、クィクィとイケるのだナ。


この日は白ホッピーを頂いた。

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暑い夏の盛りにはシャーベット状に凍ったシャリ金ホッピーが最適だ。注文の仕方は秋元屋と同様にメモ用紙に自分で書いていく。


    かしら タレ 1

    レバー 味噌 1

    なんこつ 塩 1

    せぎも タレ 1

    手羽先 塩  1

  ーーーーーーーーーーー

    もつカレー  1

    ゆでたん山葵 1

    キャベツみそ 1

    自家製ぬか漬 1


と、こんな具合にネ。秋元屋スタイルだとメモ用紙の真ん中に横線を引いて、上段に串もの、下段に単品料理を記すのだ。それ故に、僕らは自然にその調子で書いているのだナ。


書いた紙をスタッフに渡し、暫しの間飲んで待つ。小体の酒場のよい所は、厨房との距離が近く炭火で焼かれていく串を眺めたりするのも愉しいし、店主との他愛ない会話もまた楽しいひとときとなる。


キャベツやぬか漬はスグに出てくるので、酒の肴にちょうど好い。焼きモノ以外を用意してくれているのは松っちゃんの同級生だそうだ。そうか!狭いカウンターの中でも、あ・うんの呼吸でスムーズに切り盛りしていたのは、少年時代の絆がもたらしていたのだネ。


この日はちょうど大相撲名古屋場所の初日だったので、入口上に有るテレビで相撲中継を流してもらい、皆でそれぞれの贔屓の力士たちの応援となった。


もつカレーには炭火で焼いたバゲットが二つ添えられる。

バゲットが無くなったら、キャベツにもつカレーを載せても実にウマいのだヨ。

さぁ、お待ちかねの串モノが焼き上がってきた。

先ずは、せぎも串から。タレで焼いたせぎもに山椒が香ばしい。

ハラミもジューシーで美味いナァ。この自家製ぬか漬も、漬かり具合が抜群なのだ。これは日本酒がススみそうだネ。「丸松」では、定番の酒「宮の雪」が醸造、純米、にごり酒と常備されているのだが、季節に合わせた純米酒を数種類用意している。この日の日本酒は、静岡の土井酒造場が造る「開運 涼々」特別純米だ。
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夏限定の純米酒で、仄かな酸味が喉に涼しさを感じさせて、クィクィとススむ夏らしい一杯だ。この他にも神奈川は海老名の泉橋酒造が造る「夏ヤゴ」も仕入れていたネ。こちらも夏季だけの限定で、冷酒でクィッといきたいもんだナ。

ゆでたんは、豚の舌をじっくりと柔らかくなるまで茹でてあり、柚子胡椒か山葵で戴く。


「丸松」では、他にも上タン串や自家製つくね、てっぽうなど絶品な焼き加減の串も多い。オープンした日にひと串の大きさが大きいなぁと思っていたのだが、松っちゃんは「原点回帰じゃないけれど、自分が衝撃を受けた頃の秋元屋で食べたもつ焼きの部位の大きさにしたんです」と語ってくれた。なるほど、そう云えばこの食べ応えのある大きさは昔の秋元屋を思い出させてくれたナ。


おっと、テレビでは幕内の力士たちの取組も中盤を迎えていた。外では待っている方々も数人居たし、そろそろ席を空けるとしよう。
松っちゃん、ご馳走さま、また来週ネ!


「もつ焼 丸松」

中野区東中野1-56-4 第一ビル1F TEL 03-5338-4039

16時~23 月曜定休

JR東中野駅 西口2番出口を降りて右手へ進み、正面の通りを左折してスグ


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by cafegent | 2017-07-11 16:40 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
先日、神田の出世不動通りに在る居酒屋『あい津』のご常連さんたちと集い京成曳船駅近くに佇む『岩金酒場』へと出かけた。
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この日は、浅草駅で集合し、東京スカイツリーラインに乗り、二駅目の曳舟駅で下車。曳船文化センター前の大通りへ出たら、左へと曲がり八広方面へと歩く。約10分程歩けば、目当ての『岩金酒場』に到着だ。

この界隈には、八広の『丸好酒場』や『三祐酒場』『亀屋』など下町ハイボールの旨い酒場が多いので、僕もよく来るエリアだ。
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岩金酒場の建屋も随分と年季が入っておりとても渋く、初めて訪れる方は「オォっ」と声を上げることだろうナ。
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暖簾を潜り、ガラリと戸を開けると、L字型のカウンター席はもう満杯だ。でも、この日は予め人数を言っておいたので、卓席を3つ開けていてくれたのだヨ。
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かくして、総勢15人の酒宴が始まった。

此処に来たら、先ずは迷わずハイボールだネ。
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焼酎に天羽の梅エキスが入っているグラスと炭酸が運ばれてくる。氷ありと無しを選べるのだが、僕は氷無しにするのだ。そこへ下町でお馴染みのヤングホープ炭酸を一気に注ぐとシュワシュワッと泡が立ち自分だけの特製ハイボールの完成だ。1/4にカットされたレモンが良いアクセントになる。
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酒朋Qちゃんは、ビール党だから、こちらでもやっぱり瓶ビールだったネ。

この日は僕らのために、紅ズワイガニを仕入れていてくれたそうだ。
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どうですか、このボリュームでなんと480円なのだから恐れ入りやの鬼子母神。
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こちらのちくわカレーきんぴらも酒の肴に好い。350円でこの量なのだから、ウレシイ限りだネ。

そうそう、此処に来たら絶対にオススメなのが、この特製ニラナンコツつくねだヨ!
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コリコリなんこつの食感とニラの風味が効いて、酒との相性バッチリだ。

この酒場は素敵な女性たちがテキパキと仕事をこなしている。ベテランの女将を筆頭に若いコたちまで、実にリズミカルに陽気に動いており、見ていてとても心地が良い。で、肝心のマスターは?と云えば、いつものようにカウンター席の隅っこでご常連さんたちと笑顔で酒を酌み交わしているのだナ。
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この酒場は、酒の肴も充実しているが、実は炭水化物メニューの品揃えも豊富でアル。
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「あい津」と「岩金酒場」両方のご常連である市村さんは、この炭水化物たちをこよなく愛している。
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うっかりしていると僕らの隙を見ては何品も頼んでしまうのだネ。

岩金のナポリタンも絶品だ。
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懐かしい昭和の喫茶店の味がするのだヨ。

そして、こちらがもんじゃグラタンだ。
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熱々ウマウマだ!
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この明太もちピザも大衆酒場ならではの味で、イタリアンな店では絶対にお目にかかれないひと皿だ。

お次は、明太バターうどんだ。
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刻み海苔がイイネ!ハイボールのお代わりもススむススむ。

続々と炭水化物メニューが運ばれてきたが、皆さんペロリと平らげているネ。僕もハイボールを8杯ぐらい飲んだんじゃないだろうか。

そろそろ満腹だナァ、と思っていたら岩金特製のタンタン麺を作ってくれるとのことだった。これも市村さんがお願いしていたんだろうナ。嬉しいネ。此処のタンタン麺は、何故か千葉のB級グルメとして有名な勝浦タンタンメンなのだネ。
勝浦タンタンメンは醤油ベースのスープに真っ赤なラー油が特徴的なラーメンで、ゴマや芝麻醤(チーマージャン)は一切使わないのだ。
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女将さん特製の味は最高に美味い。しかも、人数分に小さめなお椀に小分けして作ってくれたのには感謝多謝!ありがとうございました!

あぁ、喰った喰った!呑んだ呑んだ!

外に出るとちょうど日が沈んだ頃だった。何処かの民家で育てているのだろうか。オシロイバナの香りが通りに漂っていたナ。この花は夕方に咲き始めるので、夜になると強い香りを放つのだネ。
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酒朋の荒木マタェモンさん、Qちゃん、愉しい酒宴でしたネ〜!

夜の帳が降りる時刻、曳船駅界隈のスナックの灯りも点き始めた頃だ。そして、僕ら一行は次の酒場へと移動。
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夜空に輝くスカイツリーを目印に『岩金酒場』のマスターが、先頭をズンズンと歩いていく。

そして、僕らはカラオケスナック『輝 in(シャイン)』の扉を開けたのでアール。
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あい津マスターの石村さん、楽しい酒宴をありがとうございました!また行きましょうネ〜!!
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by cafegent | 2017-07-03 17:00 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
西武新宿線の沿線を散歩していると、民家の庭から線路際まで伸びた木にたくさんの枇杷の実がなっていた。枇杷の旬が終わると、東京も暑い夏に突入だネ。

西武新宿線の野方駅には人気のもつ焼き店「秋元屋」が二店舗営業しているが、この街にはもう一軒忘れちゃならないもつ焼きの名店が在る。駅を出て交番の前の道を左へと進み、野方文化マーケットの手前の道を入ると右手に『すっぴん酒場』の赤い提灯が見えてくる。
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暖簾を潜りガラリと戸を開けると細長いコの字のカウンター越しにご主人とママさんの笑顔が出迎えてくれる。
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小体の立ち飲み酒場だが、アットホームな雰囲気でいつも奥席ではご常連さんたちで賑わっている。

先ずは財布から千円札を2枚ほど出してカゴの中へと放り込む。さて、飲み物は何にしようか。下町ハイボールも好いが、黒ホッピーにしよう。此処のホッピーは黒しか置いていないのだネ。
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此処は焼酎が多めに入っているので、ホッピーのボトルでナカ焼酎がもう3杯ぐらいはイケるのだヨ。

ご主人が焼き台に立ち、ママさんは酒やサイドメニューの支度と、夫婦二人三脚で切り盛りをしている。

ご主人が目の前でコブクロを捌いている。よし、コブクロ刺しを戴こう。
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その丁寧な仕事ぶりを眺めているだけで、この店の揺るぎない自信が感じられるのだ。
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店主の徳宿(とくしゅく)さんは、元は洋食店で働いていたのだが、もつ焼きに惹かれ神田の焼き鳥・焼きとんの名店で修業を積み、11年前にこの地に「すっぴん酒場」を開いたのだナ。

此処は素材の仕入れに絶対の自信を持っており、ひと串、ひと串を絶妙な焼き加減で提供してくれるので、タイミングを逃すとスグに品切れとなってしまうのだ。カウンター上の木札が裏返しになって赤い文字になっている品書きは売り切れという訳だ。

焼き物も他店とは一味違う工夫が感じられる。中でもピータンを使った「ピータンピーマン」串や豚肉でミョウガと生姜を巻いた「しょうがみょうが」串は絶大な人気を誇っている。フゥッ、ホッピーのナカをお代わりし、クィクィと喉を流れていく。

此処は焼きとんも美味いが、ツクネも素晴らしい。
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定番のつくね串の他に、ニラの風味が効いたオヤジつくね、チーズつくね、そしてたたきつくねと4種類もあるのだヨ。

串が焼きあがるとキャベツを敷いた皿に乗せて出してくれる。この皿もひとひねりしていて楽しい。カツ丼や親子丼を作る時に使う親子鍋の木の持ち手を取り払って、皿代わりにしているのだネ。

料理が来ると、ママさんがカウンター上のザルから代金を取っていく。キャッシュ・オン・デリバリーなので明朗会計だ。僕らもザルの中の小銭を数えて、千円札を追加したり、これで打ち止め!と思案するわけだ。

ご主人は僕と同い年なので、特撮映画や懐かしいドラマの話などで盛り上がってしまう。
焼酎の濃いホッピーを飲み続けていると酔ってウトウトしてしまいそうだが、立ち飲みなのでナントカ持ちこたえるのだナ。そんな時は、酔い覚ましにママさん特製のガラスープが効くのだ。
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鶏の旨味が凝縮した熱々のスープで、酔った頭もシャッキッとして、また酒に戻れるのだナ。

さて、ザルの小銭も僅かになった。
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空はまだ青紫色のマジックアワー、もう少しこの界隈を散策して、次の酒場へと向かおうか。
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by cafegent | 2017-06-28 17:09 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
朝の公園散歩の時、いつも居る留鳥を観察たり、他の地からやって来た野鳥を探したりしている。
今の時期はあいにく渡りの途中の鳥は少ないので、スズメやシジュウカラ、コゲラなどの姿を眺めているのだ。五月六月あたりは営巣をしてヒナが巣立つ季節だネ。
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木々の上では親鳥がせっせと虫を捕まえては、小さなヒナに餌を与えているのだナ。大きな口を開けたヒナにクチバシを突っ込んで餌を与える姿の、なんと微笑ましいことか。

ようやく飛べるようになったシジュウカラは、なんとか自力で虫を捕まえたようだ。
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小さなスズメのコも地面を突いてミミズなどを探しているのだが、時折目を閉じて眠ってしまう姿も実に可愛い。
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コゲラはオスとメスが交互に餌を運んでいる。口いっぱいに虫を咥えて巣穴に戻っていく姿は頼もしいネ。

そんなヒナたちもうっかりしているとカラスの餌食になってしまうのだヨ。カラスだって営巣をしているので、ヒナに餌を運ばなくちゃならないのだからネ。先日もコゲラのヒナがカラスに襲われてしまったし、猛禽類のツミ(雀鷹)のオスがこの公園に毎日のように現れている。
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ツミもスズメやシジュウカラなどを襲い餌にするのだネ。

ツバメは賢くあえて人間が出入りする所で巣作りをするのだヨ。
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ガレージの天井とか民家の軒下で営巣すればカラスなどに襲われる危険性が少ないからネ。

我が家の近所でも次々とツバメの巣立ちが見られるようになった。
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都会に暮らしていても、多くの野鳥の姿を見られるから朝の公園散歩がやめられないのだナ。
       ◇           ◇           ◇
閑話休題。

赤羽ハシゴ酒は『まるます家』からスタートし、二軒目へ。「まるます家」の前の路地へ入ると赤羽一番街シルクロードに出る。足を進めるとスグに外で立ち飲みをしている方々が目に入る。そう、お次はおでんで立ち飲みが出来る『丸健水産』だ。
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手作りおでんの具材は、昭和33年から販売している老舗なのだヨ。いつも出来たてのおでん種を追加しているので、その時々でオススメのおでんを味わえるのがウレシイ限りでアル。
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赤いバンダナ姿がいなせな大将は、地元でも有名な堀井浩二さんだ。毎年四月末に催される「赤羽馬鹿祭り」ではバンド丸健’ズのリーダーとしてカッコイイ演奏を聴かせてくれるのだ。今年はクレージーケンバンドのギタリスト小野瀬雅生さんもゲスト参加したんだネ。

おでんの盛り合わせとカップ酒を戴いた。
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酒は地元赤羽が誇る丸真政宗のマルカップを常温で!

以前は自分で立ち飲み席まで運んで勝手に空いたテーブルに向かったのだが、システムが変わったようだ。なるほど、最近の赤羽ブームでお客さんが激増したことから、お店の方がスムーズに卓を空けて誘導してくれて、おでんも運んでくれるようになった。

オォ、相変わらず此処のおでんは最高だ!
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大将はボクがちくわぶ好きなのを知っているから、いつも忘れずに入れてくれるがウレシイのだナ。むふふ。カツオのダシがしっかりと大根に沁みていてウマイのなんの南野洋子!なんちて!

僕が頼んだ「おでんセット」は、お任せで4種類のおでんを盛り合わせてくれる。それに缶ビールか缶チューハイ、またはこの丸真政宗マルカップから一つ選んで、なんと800円なのだヨ。

カップ酒は最後まで飲み干さずに八分程飲んだら注文カウンターへと持っていくのだ。すると大将がおでん鍋から熱々のダシを慣れた手つきでカップ酒へと注いでくれる。このカッコよくダシを注ぐ姿を見るのも此処に来る楽しみのひとつなのだナ。ダシを注いだら、ニンニク七味をたっぷりとふりかけてくれる。
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さぁ、これでダシ割り酒の完成だ。これは是非とも皆さんにも飲んで貰いたいナァ。

ひっきりなしにお客さんがやって来るので、長居は無用だ。サクッと吞んで食べて席を譲ろう。

大将、ご馳走様でした!
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下北沢のアーケード「下北沢駅前食品市場」も今夏には解体されることになったし、昭和レトロな風景がどんどんと東京から消え去ってしまう中、このアーケード商店街「一番街シルクロード」はいつまでもこのままの姿で残っていてほしいネ。

この後、三軒目にやって来たのは立ち飲み『喜多屋』の裏手に佇む居酒屋だ。
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黒地に金色で描かれた手書きの『立呑み居酒屋 桜商店』の看板が目立つのでスグに分かるだろうネ。

此処は兎に角赤羽らしい価格設定がウレシイ居酒屋だ。
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プレミアムモルツの中ジョッキが350円、トリスハイボールはなんと220円。ホッピーは瓶が300円で焼酎は150円だからナカをお代わりしたら一杯300円になるのだネ。

椅子席が有るが、300円の席料がかかるので迷わずカウンターの立ち飲み席に向かうのだ。
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そして、此処に来たら絶対に頼んで欲しいのが「レバテキ」と「ハツテキ」だ。どちらも350円で、鶏のレバーとハツを絶妙なレアに仕上げ、たっぷりの刻みねぎが乗っている。
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もうこの二皿だけで酒がススむススむ。

懐具合が寂しい時だって、此処ならバッチリさ!煮込みだって武蔵小山『牛太郎』に負けず劣らずの堂々150円だし、ハムマヨネーズや冷やしトマトも100円だ。

二杯目のホッピーを飲み干して切り替えた緑茶ハイも空になってしまった。時計に目をやると午後8時を回ったところだ。帰りは赤羽岩淵駅から一本で戻れるし、久しぶりに『米山』に行ってみようかナ。
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by cafegent | 2017-06-16 13:06 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
東京も梅雨入りを迎え、蚊が飛び交う季節となったネ。季節を72に分けて表す七十二候では「腐草為蛍」(くされたるくさ、ほたるとなる)、暑さが草を腐らせて、蛍が飛び回る頃になったという訳だネ。昔の人は、腐った草や竹が蛍に生まれ変わると信じていたとも聞いたことがある。

蚊やブヨは嫌だが、夕暮れ過ぎに蛍が揺蕩(たゆた)う光景は心を癒してくれるネ。五月の後半頃から源氏蛍が舞い、六月からは平家蛍が乱舞する頃だろうか。目白の椿山荘の庭園やほたる沢でも、蛍の幻想的な輝きを観ることが出来るので、僕も毎年足を運んでいる。

今年も梅雨の合間の晴れを見つけて、蛍の飛翔を愉しみに行こうかナ。
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我が家の近くではピンク色のホタルブクロの花が咲いていた。
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昔の人はこの花の中に蛍を入れて、夕涼みを楽しんだのだナ。

さて、先週の土曜日は京成立石での朝酒を控えて家の近所の公園でピクニックを楽しんだ。
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家から公園までの道すがら巣立ちしたばかりのツバメの家族が電線に止まっていたヨ。

この日は天気が良かったので、公園のバーベキュー広場では大勢で肉や野菜を焼いていた。僕らも空き地を見つけてお弁当を広げた。
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ポルチーニ茸の炊き込み御飯でおにぎりを作り、お菜は卵焼きにえのき茸の肉巻き、人参とチキンのサラダだ。朝からカミさんが頑張って作ってくれたのだナ。感謝!
ポルチーニの豊かな香りにパルミジャーノチーズが合うのだナ。むふふ。

蝶々を追いかける子供たちの声が響き、とても清々しい気分で過ごすことが出来た。公園の周りは元々川が流れており、今は暗渠となり上が歩道になっている。此処には色々な種類の紫陽花が咲いている。
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紫陽花の葉にはカタツムリの赤ちゃんが居たり、虫たちもたくさん見つけることができる。
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このミズイロオナガシジミも珍しい蝶だネ。
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他にも葉巻のカタチをしているビロードハマキや綿が動いているようなワタムシの姿を見つけたヨ。
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ピクニックを終えたら、馴染みの酒場へと繰り出すのだナ。

武蔵小山の駅から5分ほど西小山方面へと歩くと紺地に白で染め抜かれた『牛太郎』の文字が風に揺れている。いつもならば後ろに何人もが並んでいる程に混んでいるのだが、この日は珍しく先客が3人しか居なかった。
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開け放たれた入り口から誰も居ないカウンター席へ初夏の風が流れ込む。あぁ、心地よいナァ。

アサヒのスーパードライを飲んでいると隣に酒朋コンちゃんがやって来た。彼はキリンビール派なのだネ。そして、またスグに酒朋の阿部ちゃん登場。
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阿部ちゃんはプレミアムモルツなのだナ。三者三様のビールを愉しめるのも牛太郎のスバラシイところだネ。

そして、あっと云う間にカウンター席も満杯になってしまったヨ。
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呑んだフル氏もご来店!
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この日は馴染みの顔ばかりが集まり、終始穏やかな雰囲気で酒を味わった。
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店主のジョーさんもマイペースで仕事をこなしており、笑顔が素敵だったナ。
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ジョーさん、オイシイお酒、ご馳走様でした!

武蔵小山では駅前の再開発が始まっており、最初のタワーマンションの工事が日々進んでいる。そして、第2期の着工となる隣のエリアの立ち退きが加速している。僕がいつも「牛太郎」の後に立ち寄っていた居酒屋『長平』も五月末日をもって閉店となった。まぁ、幸い「長平」は駅の近くに新しい場所を見つけたので、再開が待ち遠しい限り。七月中には復活してくれることだろう。

もう一軒、来週の土曜日で閉店してしまうのが、僕らの深夜食堂としてお世話になった『いちりん』だ。
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ママのノブちゃんは、もう再開する予定はないヨ、と言っているのだが、出来ればまた何処かで復活してほしいナァ。
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「いちりん」の焼酎ボトルも閉店前にもう一本ぐらい入れられるかナ。
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ママ自慢の焼きカレーをつまみながら、緑茶割りをゴクリ。あぁ、最高に旨い。

そして、もう一皿いちりんの名物がサンドウィッチだ。
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酒の肴になる程の美味で、これを頼めばみんなが笑顔になるのだネ。黄身をちょっと崩した卵焼きとハム&レタス、それをマスタードとマヨネーズで味付けし焼きたてのトーストで挟むのだ。香ばしく焼かれたパンをサクッと一口!あぁ、堪らん!この味がもう味わえないと思うと、やっぱりノブちゃん何処かで復活して欲しいものだナ。
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by cafegent | 2017-06-12 15:45 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
2月の最終日、午後4時口開けの酒場へと足を運んだ。武蔵小山から地下鉄に乗り大手町で、東西線に乗り換える。日本橋、萱場町、門前仲町と駅を通り過ぎ、4つ目が木場の駅だ。地下鉄の駅を出て細長い階段の上を見上げると眩しい西日が目に入る。なるほど、東京の空は四角いのだナ。

階段を登りきると道幅の広い永代通りだ。通りを門前仲町方面へと進み、大横川が流れる木場二丁目の交差点を左へと折れる。川に架かる平野橋を渡ると橋の袂にひっそりと佇むように建っているのが、目指す酒場『河本』だ。

今は、暖簾を出さず、交差点の角に面した正面玄関は閉ざされている。
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橋に面した方の小さな扉を引くと、中から「いらっしゃい」と優しい声がかかる。今、店を切り盛りしているのは、お姉さん。名物女将の真寿美さんの義理の妹さんだ。真寿美さんは現在病気療養中で、二階で休んでいる。厨房で料理を受け持っていた弟の兄(あん)ちゃんも目を患ってから、休むことが多くなり、今は足も悪くなってしまい療養生活を送っており、兄ちゃんの奥さんが一人で頑張って店を守っているのだネ。
巷では、もう閉店してしまって営業していないのでは、との噂も立っていたが、どっこい『河本』は健在だ。

現在、此処の営業は火曜・木曜・土曜の週三日でアル。午後4時から8時まで開いており、土曜日だけは午後7時閉店となる。

『河本』には、なんとも言えない穏やかな空気が漂っている。
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僕は大抵一人で訪れ、静かにホッピーを愉しむのだが、時間が経つにつれ知った顔が集うので、他愛ない世間話に花を咲かせて、数杯のホッピーを戴くのだナ。
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酒の肴は、冷やっこだ。絹ごし豆腐半丁を鰹節の入った醤油につけて口へと運ぶ。昭和な佇まいの中で、冷やっこをつまみにホッピーをゴクリ。あぁ、至福のひと時だ。外を走るクルマの音や学校帰りの小学生たちの笑い声をBGMに酒がススむススむ。
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この日は二階から猫が降りてきた。お姉さんが焼いたアジの開きの匂いに敏感に反応したのだネ。
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昔は17、8匹飼っていた河本の猫たちも今では、この黒猫1匹になってしまった。毛がフサフサだったモコちゃんも昨年亡くなってしまったのだネ。

此処のホッピーは、東京で一番旨いと思うのだナ。氷を入れないホッピージョッキにサッと金宮焼酎を注ぐ真寿美さんの姿もこの酒場を訪れる客たちの目当てになっていた。ホッピーは自分たちでジョッキに注ぐのだ。上手く注げば、ちょうど良い塩梅でジョッキに入り切る。
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勢い良過ぎるても泡が溢れてしまうから、結構難しいんだよネ。

お姉さんのキンミヤの注ぎ方も結構板に付いてきた。時々サービスで出してくれる煮物も実に美味い。兄ちゃんも久しぶりに顔を出してくれたし、程よく酔っ払った。タイミングが合えば、二階から真寿美さんも降りてくる時があるので、暫く足が遠のいていた方々も是非また美味しいホッピーを飲みに来て欲しいのだナ。
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この日は、神保町の酒場『兵六』へハシゴ酒の予定だったので、小一時間で切り上げた。お姉さん、ご馳走さまでした。
     ◇          ◇          ◇
以前、書いた「東京黄昏酒場」の『河本』をもう一度紹介しようか。

☆東京黄昏酒場/その2.木場平野橋たもとの『河本』

木場駅を上り永代通りを門前仲町の方へ歩いて木場二丁目の交差点を左に曲がると大横川が流れている。

此処から新木場辺りは、広重の江戸百景にも見られる様に深川の堀割を整備し江戸城の築城に必要な大量の木材を保管する貯木場であった。木場の名もここから付いた。
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今はもう川が埋め立てられて、材木問屋も木場から新木場に移っている。江戸から続く川並衆が材木に乗る伝統芸「角乗り」の姿は、木場公園で年に何度か観ることが出来る。
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日が暮れ始め、夕映えが川面を茜色に染めると、波が生き生きと輝き出す。川に架かる平野橋を渡ると昭和の面影を色濃く残した侘びた佇まいが見える。
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交差点の角に面しており、川の高低差なのだろうか二カ所有る入口は通りより低くなっている。

石段を降り、暖簾を潜ると真寿美さんの笑顔が迎えてくれるのだ。

『河本』では、殆どの客がホッピーを頼む。すると真寿美さんが手慣れた仕草で厚手のグラスに金宮焼酎をなみなみ盛り切りに注ぐのだ。それをジョッキに入れるのだが、手首をクィっと曲げて美味い具合に注がれるのだ。
この光景を見るだけでも幸せな気分になれるのだナ。後は栓を抜いたホッピーと共に目の前に置かれるので、自分で作るのだ。

最近、何処の酒場でも一本のホッピーで焼酎のナカを何杯かお代わりする方が多くなっているが、此処でそれは禁物だ。「ナカひとつ!」なんて云おうものなら、真寿美さんが「ウチはホッピー屋だから、ナカソトなんて無いんだヨ!」と激が飛ぶ。
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此処『河本』の創業は昭和7年と古い。先代が、甘味処から大衆酒場へと変えたそうだ。疎開先の広島で原爆投下を受け、引き上げたのが木場である。真寿美さんは店の前に在る平久小学校に通いながら、12歳で父親の店を手伝っていたと聞く。

高価なビールに替わって、大衆向けにホッピーが生まれたのが昭和23年。河本では、その時からずっとホッピー一筋で営業しているのだ。
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鍋で煮込まれた牛モツをアテにホッピーを呑み干せば、一日の疲れも吹き飛ぶってものだ。此処は、仕事から開放され、独り酒と向き合うには打ってつけの酒場かもしれない。

冬の間は練炭で温められたおでんも美味い。つけ過ぎの芥子に泪しながら、三杯目のジョッキが空けば、いつしか心も軽くなる。
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外に出て平野橋を渡ると、頬に当たる風がこんなにも気持ちの良いものかと実感出来ることだろう。此処は、そんな酒場である。

そして、また幾日かが過ぎると、真寿美さんのホッピーが恋しくなるのだナ。

注)今は、牛モツ煮込みは出していないので、ご注意を!
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by cafegent | 2017-03-02 17:41 | 飲み歩き | Trackback | Comments(1)
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大寒が過ぎ、毎朝歩く公園の池の水も寒さに凍り、舞い降りた鳩たちが足を滑らす姿を見て、思わずクスリと笑ってしまった。
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僕の住む街でも大寒の日は小雪が降り、冬の寒さに拍車がかかっているネ。

夏の間、山の方に生息していたアオジやシベリア辺りから渡って来たアトリたちが都心で越冬を始め、群れをなして地面に落ちた木の実などを啄む姿を毎朝眺めている。
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どちらもスズメに似ているが、胸が黄色いアオジや胸が橙色のアトリの羽はとても美しい。
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また住宅地のアンテナの上やベランダなどで「ヒーッヒッ」と啼く声がしたら、ジョウビタキに出会えるだろう。
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これも冬の渡り鳥だが、何故か林などより住宅地を好むのだナ。

野鳥観察が好きな僕には、冬は様々な鳥たちに出会える絶好の季節なのだ。
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空高く上を見上げるとオオタカやノスリ、チョウゲンボウなどが獲物を探して舞う姿を見つけることが出来るし、普段見られないような鳥も渡りの途中で立ち寄ることがあるからネ。
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公園の紅梅も見頃を迎え、河津桜の蕾も見るたびに膨らみ、もう幾つかの枝では花が咲いている。
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春の息吹を一足早く感じながら、野鳥と花を探して明日も歩こう。
       ◇           ◇           ◇
閑話休題。

品川区の住宅地、中延駅と荏原中延駅を結ぶ商店街「なかのぶスキップロード」は、武蔵小山「パルム商店街」「戸越銀座商店街」と並んで、どこか下町情緒に溢れている。お肉屋さんや総菜屋さんから聞こえる主婦とのやりとりが商店街の賑わいを作り、行き交う人々の姿がこの街に彩りを添えている。

昨年11月、なかのぶスキップロード商店街の中に一軒の酒場がオープンした。
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その名も『宅飲み酒場 アヤノヤ』だ。8年間、外食産業で経験を積んだ店主の西田彩乃さんはまだ20代と若いが、持ち前のバイタリティと明るい笑顔で僕らを惹きつけるのだナ。
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コンセプトも面白い。家のリビングで「宅飲み」している気分で、心地よく酒を愉しめる場を提供し、しかも飲み物は総て一律300円なのだから驚きだ。生ビール、チューハイはもちろんのこと、ウィスキーの山崎も300円で飲めるのだヨ。

彩乃さん曰く「1000円で三杯飲めて、お釣りまでくるお店。だからこそ、お客さまが週4で来てくれる」そんなお店を目指したそうだ。
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彼女は料理が作れない。だけど、美味しいお酒を提供し、楽しく語り合うことは出来る。
酒のつまみは店を取り囲む商店街の中で好きな惣菜を買っていけば良いのだ。
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持ち込み自由、しかもカラオケまで無料と思い切りが良すぎるのでアル。
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ユルいカーブのついたカウンター席とテーブル席には、開店以来、贔屓にしてくれている御常連たちが酒を楽しみ、笑い声も絶えない。

僕も武蔵小山でスタートしてから、此処に移動することが多い。
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『牛太郎』から歩いても15分〜20分ぐらいなので、酔い覚ましの散歩にも丁度良い。一人で訪れても、彩乃さんをはじめ、知った顔が大抵飲んでいるから、ホッと出来る。
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ハイサワーの杯もススむススむ。

15時からオープンしているので、たまの平日休みなどに訪れてみて欲しいナ。皆さんもきっと彩乃さんの笑顔に癒され、楽しく酔える筈だ。
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そうそう、1月28日にぴあmookより発売の「東京はしご酒」の巻頭特集の中でも、僕が『宅飲み酒場 アヤノヤ』を紹介しているので、是非とも読んで戴ければ幸い。

「宅飲み酒場 アヤノヤ」のサイト
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by cafegent | 2017-01-24 13:29 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
「街歌」(がいか)と云う言葉を知った。庶民の住む街の情景を歌った、いわゆる都々逸(どどいつ)のことでアル。

俳句と違い七・七・七・五の26文字で男女の色恋や日常の風景などを詠んだ口語の定形詩だネ。

誰もが一度は聞いたことがあるだろう有名な都々逸をちょっと紹介してみようか。

    君は野に咲くあざみの花よ 見ればやさしや寄れば刺す

    ぬしと私は玉子の仲よ わたしゃ白身できみを抱く

    信州信濃の新蕎麦よりも わたしゃお前のそばが良い

    惚れた数から振られた数を 引けば女房が残るだけ

まるでフーテンの寅さんの口上のような粋な歌だよネ。
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先日、神保町の古書店で一冊の美しい装丁の本を見つけた。
「亀屋忠兵衛 情歌集 都々逸 下町」と云う都々逸集なのだが、粋な歌に加え各ページに描かれた装画が実に美しいのだナ。
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明治から昭和初期に活躍した新聞記者、平山蘆江(ろこう)が東京新聞の前身である都新聞に連載していた都々逸のことを先に記した「街歌」と呼んだ、とこの本の中で知ることが出来た。
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亀屋忠兵衛の詠んだ都々逸は情歌と言うよりも、実に詩的な歌が多いのだナ。

    嫌いではないさりとて好きと いえぬ二人で踏む落ち葉

    このまま死んでもいい極楽の 夢をうずめる雨の音

    風の便りも淋しい秋の 独りぼっちを泣かす雨

    海の広さは男のこころ 波は女の小(ち)さい胸

この最後の歌なんか、好いよネェ。 

今まで俳句ばかり詠んでいたけれど、これからは即興の都々逸を歌ってみようかナァ。
     ◇         ◇         ◇
閑話休題。
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先日、木場のホッピー酒場『河本』へお邪魔した。

表向きには昨年の6月より長期の休業となっていたのだが、先月からは「仮営業」という形をとって営業を再開したのだネ。
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女将の眞寿美さん、厨房に立っていた眞寿美さんの弟さんの「あんちゃん」もまだ療養中の身ではあるが、時折店にも顔を出してくれるので、タイミングが合えばご挨拶できることだろうネ。

現在はアンチャンの奥様が一人で切り盛りをしているので、名物の牛モツ煮込みも冬のおでんも無い。だが、日本一旨いホッピーと冷や奴は健在だ。
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また、一袋200円のスナック菓子も幾つか用意してあるので、ホッピーのつまみには事欠かないだろう。
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いつもはハシゴ酒をするので、此処のホッピーは二杯までと決めているのだが、この日は偶然にも酒朋のフルキさんが先客で飲んでいたので、ハシゴをせずにじっくりとホッピーを酌み交わすことにしたのでアル。(久しぶりに沢山のホッピー空瓶が並んだナァ)
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そうそう、「仮営業」と云うのは営業日が火曜・木曜・土曜(但し、第3火曜、第2土曜休み)で営業時間は16時から20時(土曜は19時)までと以前と同じだ。また、正面の入り口は閉めており暖簾も出していないので、永代通り寄りの小さい方の入り口から入ってくださいナ。

お姉さん(アンチャンの奥様)も新しいお客様大歓迎と言ってくれました。しかも、火・木・土曜は、入って右側の「大ご常連席」(笑)も自由に座ることが出来るので、暫く「河本」をご無沙汰していた皆さんも是非是非遠慮なく再訪してみてください。
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暫くの間セルフサービスで作っていたホッピーもお姉さんがちゃんと引き継いで作ってくれます!

と云う訳で、『河本』営業再開のご案内でした!CHAO!
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by cafegent | 2016-10-24 16:21 | 飲み歩き | Trackback | Comments(2)
ここ数日間、東京に青空が広がっているネ。気温も高く夏日となった。それでももう10月も後半、路地の草むらからは秋の虫が集(すだ)く声が聞こえている。

気温が高いと何処からともなく様々な蝶々がやって来る。今朝もユラユラと飛来するアサギマダラを見つけることが出来た。
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アサギマダラは2千キロもの距離を飛ぶ旅する蝶だネ。
福島で翅にマーキングしたアサギマダラを沖縄の黒島で捕獲したことがあり、これが2,140キロメートルと日本記録となったとニュースにもなったことがある。
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東京でも自然教育園で孵化したアサギマダラもいるので、今朝見かけた蝶は旅の途中なのかどうかは判らないナ。

秋が深まると渡りの途中の野鳥たちが続々と都内にも舞い降りてくる。僕の住む街の公園でも木の実や小さな虫を求めて旅の途中に立ち寄る鳥が多い。
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キビタキ、オオルリ、センダイムシクイ、コサメビタキ、エゾビタキ、マミチャジナイ、クロツグミ等々が次々とやって来て鳥好きの僕を愉しませてくれるのだナ。

昨日はカケスやアオバトを見つけることが出来た。
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カケスはジェイジェイと鳴き声こそ美声とは言えないが、その姿は実に美しいのだヨ。特に羽の脇の水色は特に美しい。

アオバトもとても美しいハトだ。
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頭は黄色味がかっており、全体にはオリーブグリーンなのだネ。

今朝はマミチャジナイ(眉が白いアカハラ)にも遭遇した。
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ツィーッと独特の声で鳴くので居ることは判るのだが、高い木の上を飛び回るので見つけるのは容易ではないのだナ。

季節を楽しむ七十二候では「蟋蟀戸に在り」(きりぎりす、とにあり)の季節。キリギリスが家の戸口辺りで鳴く時季が来たって訳だ。

マンションが多く立ち並ぶ都会ではギッチョンギッチョンと鳴くキリギリスの声も余り聞けなくなったかもしれないネ。
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それでもカネタタキやコオロギの鳴く声はマンションの上階まで響き渡るのだから恐れ入る。

秋の夜長、窓を開けて虫の音を聞きながら飲む酒も実に旨いのだナ。
     ◇          ◇          ◇
閑話休題。

さて、僕が毎朝歩く都立林試の森公園の近くにひっそりと佇む渋い居酒屋が在る。その名も『豚太郎』(とんたろう)だ。
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武蔵小山駅近くには老舗の居酒屋『牛太郎』(ぎゅうたろう)が在るのだが、どちらも実に居心地の良い酒場なのだナ。

ガラリと戸を開けるとコの字のカウンター席がドーンと構えてあり、その奥に小上がり席が在る。
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和服姿に割烹着が似合う女将さんが笑顔で迎え入れてくれるので、初めて訪れる方でもホッと出来ること間違い無いだろう。
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カウンター上の冷蔵ケースの中には20種類近くもの魚介類が並べられ、その上には幾つものおばんざい料理の器が並ぶ。

昨夜は酒朋ワタベ君を誘って、お邪魔した。いつもならレモンサワーにするところだが、この日はご常連さんからのお裾分けのカボスで酎ハイを戴いた。
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此処は昭和38年創業なので、今年で53年になるのだネ。道路拡張で45年前にこの場所に移ってきたそうだが、石造りの内壁や年季の入った冷蔵庫に昭和の香りが染み付いており、まるで小津安二郎の映画のワンシーンに出て来そうな酒場なのでアル。

さぁ、カボスサワーでカンパ〜イ!
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新鮮なカボスは香りも味も良いナァ。

ハイ、こちらは自家製のバクダンだネ。
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中身は卵にひじき、インゲンに人参だ。おぉ、これは美味い。

こちらは、ミートボール!
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玉ねぎとケチャップで和えた肉団子は、懐かしい家庭の味だナ。
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カボスサワーもススむススむ。

お次は、牡蠣とほうれん草炒めだネ。
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小粒ながら牡蠣の旨味がほうれん草に沁みていたヨ。そして、女将さん特製のスペアリブだネ。
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付け合わせのブロッコリーも人参、カリフラワーも柔らかく蒸されていたナ。

カボスサワーの杯もススみ、女将さんからお雑煮のお裾分け。
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関東風に三つ葉だけの実に清いお雑煮だった。あぁ、美味し!
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前回は小さなお蕎麦の椀を戴いたのだが、このささやかな気遣いが嬉しくて、また来てしまうのだネ。

焼き物の注文が入ると仕込み担当のご主人が奥からやって来て入口脇の焼き場に立つのだヨ。
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このなんともアットホームな居酒屋『豚太郎』は、正に「武蔵小山の良心」と呼ぶに相応しい一軒だネ。

皆さんもこの街を訪れたら、是非『牛太郎』からスタートして『長平』『豚太郎』とハシゴ酒を楽しんでみては如何かナ? では、また!
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by cafegent | 2016-10-21 16:13 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)