東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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カテゴリ:食べる( 279 )

暦が「処暑」を迎えた途端、東京の気温がグンと下がったネ。今朝は肌寒ささえ感じて、長袖のシャツを着た。

この時季、台風が次々と到来する季節でもある。沖縄から九州にかけて猛烈な勢いで台風が襲来したネ。今後の台風が日本列島を直撃しないことを願うばかりでアル。

夏の間、毎朝の公園散歩は野鳥が居ないため足元の昆虫ばかりを探して歩いたが、昨日は秋の気配を感じたのか、渡りの途中の野鳥が公園の樹々に舞い降りて来た。

留鳥の四十雀(シジュウカラ)の群れに混じり、センダイムシクイが数羽入っていた。
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小鳥だから撮影が難しい。
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派手に飛び廻るサンコウチョウも二羽見つけることが出来た。
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懸命に虫を捕らえて食べているのだナ。

これから九月に入ると更に色々な種類の渡り鳥がやって来る。大きな筒鳥(ツツドリ)の姿も来週あたり見られるだろうか。
    ◇           ◇           ◇
閑話休題。

行きつけの酒場の夏休みが終わり、酒場難民もやっと救われた。と云う訳で、いつもの武蔵小山『牛太郎』の暖簾を潜った。
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馴染みの酒場は、どの時間帯に訪れても知った顔に出逢えるから愉しいのでアル。

先ずは、瓶ビールの大瓶を戴いて、喉を潤す。

「牛太郎」には冷暖房という設備が無い。故に此処に来る連中は、皆さん扇子(せんす)か団扇(うちわ)を持参して来るのだナ。
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中には小さな扇風機持参の御仁も居るのが笑える。

左手で扇子を扇ぎ、右手でビールグラスを持ち上げる。クゥーッ、冷えたビールが「命の水」の如く乾いた喉を滑り落ち一気に火照った躯を爽快にしてくれた。
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アテに頼んだのは、煮込みだ。此処の煮込みは玉ねぎが入っているのが特徴的だネ。玉ねぎの甘さとモツの味が絶妙に絡み合い酒に合うのだ。

昨日は俳優の金井裕太クンもやって来た。
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映画にドラマにと大活躍だけに中々飲みに来られない様子だが、合間を縫って「牛太郎」には来てくれるのだからウレシイ限りでアル。

お次は、名物の「とんちゃん」だ。汁気が飛ぶまで鍋で蒸し焼きにされたモツはニンニクが効いて酒がススむススむ。あぁ、薩摩白波の水割りも旨いナァ。

「牛太郎」を出て、向ったのは武蔵小山駅前の飲食街「りゅえる」に在るビストロ『キャトル・アブリル』だ。フランス出身のジャン・ボスコさんがオーナーシェフを務める小さなビストロはいつも混んでいるのだが、この日はタイミング良くカウンター席に座ることが出来た。
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此処は何を頼んでも美味しくてハズれが無い。しかもボリューム満点だからワインもススむのだ。

先ずは前菜の盛り合わせから。皿が見えなくなる程に盛られた料理はビストロならではだネ。
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サクサクの生地が美味しいキッシュもボスコさんの自信作だネ。鴨のスモークも赤ワインに合うのだナ。

二杯目のカラフェをお願いした頃にお待ちかねのメインディッシュが完成した。この日ボスコさんがオススメしてくれたのは大きなラム肉のローストにたっぷりのロックフォールチーズがかかった一皿だ。
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ブルーチーズの青カビ臭は好きな人には堪らないのだヨ。フランス最古のチーズと云われているだけに、ボスコさんのレシピは抜群だ。さすが、フランスの三ツ星ホテルでシェフを務めていた経験が存分に生かされているのだネ。付け合わせのレンズ豆のソテーもラタトィユも美味しかった。
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満席の店内をボスコさん一人で切り盛りしているのだから、大変だネ。もうスグこのエリアは再開発のために取り壊しとなる。「キャトル・アブリル」も新たな移転先を探している最中だと伺った。好い場所が見つかることを願うばかりでアル。

ボスコさんのビストロを後にして、スグ近くの酒場『長平』へ。
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この日は日付が変わると我がカミサンの誕生日だったので、店主の充クンから赤のスパークリングをプレゼントして戴いた。
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こちらも満席だったので、暫くはスタンディングでワインを愉しんだ。
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カミサンがゴキゲンだと実に平和なのだ!
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「牛太郎」のご常連たちも集まり、賑わっていたナ。
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そんなこんなで夜が更けて行ったのでアール。
by cafegent | 2015-08-26 16:56 | 食べる | Trackback | Comments(1)
季節を72に分けて表す七十二候では「土潤溽暑」(つちうるおいて、むしあつし)の頃、ムッとした熱波が漂い肌にまとわりつく蒸し暑い季節がやって来た訳だネ。「溽暑」とは、いささか難しい漢字だが「じょくしょ」と読む。腕の毛穴から汗が吹き出して来る、そんな湿度の高い蒸し暑さを指す言葉でアル。
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「溽暑」が過ぎれば、今度は「炎暑」の到来だ。クラッと目眩のする様な砂灼(すなや)くる暑さは堪ったもんじゃない。ゆらゆらと陽炎の様に熱波が揺れる灼熱のアスファルト、打ち水をして涼をとる光景を目にする季節だネ。

    柔らかく女豹がふみて岩灼(や)くる    富安風生

酷暑が続く八月の夏真っ盛り、長屋の一角、開け放たれた玄関の簾の向こうに肌襦袢姿で畳の上に横になる女の姿を目にして、灼けた岩の上でしなやかな姿態をさらけ出す女豹(めひょう)にでも見立てたのだろうか?
あぁ、そんな光景に出会(でくわ)してみたいものだナ。
      ◇           ◇           ◇
閑話休題。

先日、久しぶりに大好きな寿司屋へと出掛けた。我が家から歩いても10分程に在るのでもっと通えるのだが、如何せんその店の主人(あるじ)が15年以上修業した寿司屋さんに行くことが多いので、ご無沙汰してしまっている次第なのだ。

その店は目黒と五反田の間、桐谷斎場の通りから脇に入った処に在る。
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『なかのや』の暖簾を潜ると主人のキンちゃんが笑顔で迎えてくれた。

席に着くと、先ずは日本酒と塩のみで味つけした白身の骨と貝ヒモの出汁で仕上げた一口大の雑炊が出て来た。
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柚子の香りが立ち、胃に優しい一品だ。最初にこれを戴くと悪酔いしないかもしれないナ。

続いて、三浦半島で獲れた蛸を粗塩で戴いた。
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うん、旨味が凝縮して噛めば噛む程に美味さが広がっていく。これに合わせる酒は、「魚沼」の辛口純米だ。むふふ。
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出汁に漬け込んだ子持ちシャコも実に美味い。そして、漬け込んで二ヶ月の茶ぶり赤なまこの登場だ。
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こんな手間のかかる仕事ぶりは、キンちゃんが研鑽を積んだ目黒の『寿司いずみ』仕込みだネ。さっぱりとして、涼を感じる一品だ。

再び、シャコが出てきた。
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愛知産の蝦蛄を酢で〆ている。おぉ、これまた美味い。酒を和歌山の地酒、平和酒造の「紀土(キッド)」に切り替えた。純米の風味豊かな香りにしっかりとキレのある口当りの酒だった。クゥーッ、旨い。

お次は、琵琶湖の天然鮎だ。
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季節を味わうってのは、至福のひとときだナ。小さいながら、豊富な藻を食べて育った鮎の肝に琵琶湖の味を感じることが出来た。
今度は、ホシガレイだ。
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こちらは、肝ポン酢に付けて戴いた。ギュッとした歯ごたえも美味さを引き立てる。続けて、ホシガレイのエンガワの炙りだ。
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皮付きのエンガワは、口溶けが凄かった!あぁ、幸せだ。

さぁ、この季節がやって来た。
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エゾバフンウニの濃いオレンジ色が磁器の器に映えている。ムヒョーッ、口へ運ぶと濃厚な旨味と甘味がズンと残る。可成り後味が強いウニだネ。冷酒がクィクィと進むのだ。
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外房で獲れたアワビの蒸しも素晴らしい。
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山葵をちょいと載せて口へ運ぶ。おぉ、身が柔らかく味も濃い。

次に出て来たのは、青柳を干したモノだった。
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コレは酒に合う珍味だナ。噛めば噛む程旨味が口一杯に広がり、酒を誘う。

続いてもまた珍味だ。
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アワビの肝の味噌粕漬けか。キンちゃん、「寿司いずみ」の大将仕込みの味をしっかりと受け継いでいるネ。酒は山形の地酒「銀嶺月山」の純米だ。おぉ、酒米の仄かにフルーティな香りが僕の鼻腔をくすぐる。月山の名水で仕込んだ酒ならではの、まろやかで優しい喉越しの酒だ。クィッと呑める一杯だ。

さぁ、キンちゃん劇場の第一幕が終わり、握りの幕が上がった。

先ずは、小鯛のおぼろ握りから。
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おぼろに漬け込んで小鯛の味を濃く出していた。こんな江戸前の仕事は、中々他店では味わえないのだナ。むふふ。

こちらは、蒸しあゆの握りでアル。
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鮎の肌の色が美しいネ。
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続いて、中トロの握りと静岡で獲れた小肌の握りだ。
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どちらも云うこと無しの美味さだネ。

続いて出たのは、キタムラサキウニの握りだ。
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こちらは、エゾバフンウニよりも色が白い淡い味が特徴のウニだネ。
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愛知のトリガイは、歯ごたえも良く良い味がしていた。
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鹿児島のアジ握りも脂の乗りが良く旨い。
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マグロ赤身、クルマエビおぼろ漬け握りと美味い寿司が続く。
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そして、箸休めになかのやの焼き印が押された卵焼きを戴いた。
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おぉ、甘くて美味い。
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キンメ昆布締めには、広島の地酒「極鳳」の純米酒を合わせてみた。間違いない取り合わせだナ。
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沢庵をかじり、ホッと一息。

お次は、三重桑名のはまぐりの二つ合わせ握りだ。
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あぁ、もう申し分ない美味さに感動だナ。

立て続けに煮穴子の登場だ。
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穴子のためだけに煮詰めたツメが極上のテリを魅せていた。
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イカの握りも甘い。

マイワシの細巻きをリクエストしてみた。
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むほッ、脂の乗りが絶妙で美味い。細巻きなので、パクパクとイケるのだナ。

そして最後の締めくくりは、銚子の金目鯛の炙りだ。
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脂乗りも凄い!口の中で溶けるようだった。

キンちゃんの握り劇場も無事に終演だ。
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〆の味噌汁が満腹の胃袋をサラリと流してくれた気がした。

相変わらず、良いおもてなしをしてくれたネ。残った酒をグィと飲み干し、ご馳走さま。
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渋めのお茶を戴いて、酔いを冷ますことが出来た。

次回はいつ訪れようか。ウニの季節にもう一度来ようかナ。外はすっかり暗くなっていた。我が家を通り過ぎ、そのまま武蔵小山『長平』に向ったのでアール。
by cafegent | 2015-07-29 16:49 | 食べる | Trackback | Comments(0)
台風6号が本州を通り過ぎ昨日から夏日が続いている。今朝も東京は朝から青空が広がった。午前中からどんどん気温が上昇し、昼過ぎには30度を記録したそうだ。毎朝1万歩を歩くようにしているが、さすがに今朝は汗をかいた。

いつもの公園では、今年初のセンダイムシクイに出逢うことが出来た。
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野鳥の鳴き声を言葉になぞらえて表現することを「聞きなし」と云うのだが、有名なのはホトトギスの「特許許可局」だが、このセンダイムシクイの場合「焼酎一杯グィーッ!」なのだナ。普通に聴けば、ツィツィツィッツィーッ!なのだが、よっぽどの酒好きの野鳥研究家が、こう「聞きなし」したのだネ。

樹の幹などに居る小さな虫が好物なので、鳴き声を頼りに樹の上をじっと探し続けると見つけられる。だが、上ばかり向いているので首が疲れるのが玉に傷だ。
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ウグイスの仲間で、目の上の白い眉線がウグイスに似て特徴的なのだ。

百合の木の花も咲いていたナ。
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この樹は、チューリップに似た花が咲くので、別名「チューリップの木」とも呼ばれている。また、葉っぱが軍配に似ていることから「軍配の木」の名も持っているのだネ。

夏の様な温かさになったら、急に蝶々も沢山飛び廻るようになった。
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ツマグロヒョウモン蝶は日向に咲く花の蜜に夢中だった。
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クロアゲハは3羽のオスがメスを巡って飛び廻っていた。
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アオスジアゲハは葉っぱで一休みしていたナァ。
      ◇          ◇          ◇
閑話休題。

先週の金曜日、久しぶりに吉祥寺に出掛けた。目的は山登り!と云っても『肉山』登山でアル。今年の1月以来なので、4ヶ月ぶりの登頂となった。
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この日は、ゴールデンウィークで仙台から戻って来ている酒朋ビリー隊長と登ることにした。

先ずは一人、武蔵小山の老舗酒場『牛太郎』にて0次会。
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ビールで始めて、夜の赤身肉への思いを馳せて赤ワインを戴いた。
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この日の予約は午後8時、中央線が人身事故の影響でストップしていたので、渋谷から井の頭線で吉祥寺へと向ったでアル。

吉祥寺の駅前は学生たちで溢れ返っていた。5月に入り、新入部員が増えた同好会の飲み会の集まりだろうか。僕らオジサン連中も気だけは若い。学生に負けじと、颯爽と吉祥寺の街を歩いていったのだナ。

駅から10分弱で『肉山』に到着だ。
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この日は天候にも恵まれ、素晴らしい登山日和となった。階段を上がり、いざ登山の開始だ。

此処は赤身肉の専門店なので、牛肉、豚肉、馬肉、鹿肉等々の様々な種類の肉の赤身をシンプルな味付けで喰らうのだ。

先ずは生ビールでカンパイだ。クゥーッ!「立夏」を迎えた東京の夜8時、喉を通るビールが最高に美味い季節到来となったネ。
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プチトマトとキムチをアテにビールがススむ。

最初はお馴染み、池尻大橋のフレンチ『OGINO』が造るパテ・ド・カンパーニュから。
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店主の光山さんが懇意にしているので、この絶品パテを分けて戴いてるそうだ。濃厚な味で美味い。

続いて出たのは、80分間じっくりと焼いたした豚ロース肉からスタートだ。
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肉山では、肉本来の持つ旨味を最大限に活かすように調理している。
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このエリンギのローストもバカウマだ!

よし、赤ワインを戴こう。
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AOCテール・デ・シャルドンのマージナルの赤を選んで頂いた。
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シラーの持つスパイシーな香りが口の中に広がるのだナ。このワインに合わせるかの様に登場したのが、赤牛のもも肉ローストだ。
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ワサビを載せて口へと運ぶ。牛の赤身は噛む程に旨味が増幅する、肉らしい味わいだ。

箸休めならぬ肉休めは、もろきゅうだ。
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甘辛の味噌をつけてポキリと噛む。まだ登山は五合目あたりか。
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こちらは、牛肉のソーセージ!
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肉山自慢のチリマスタードを載せて戴くのだ。うひょーッ!むふふ、な美味さだナ。
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お次は、牛のランプ肉!ウヒョーッ!としか喩えようがない。
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アスパラガスも甘くて美味い。二本目のワインもAOCのボルドー、シャトー・オー・コロンビエ赤をチョイス。
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結構ガツンとくる濃い目の赤だったナ。赤身肉に合うぞ、コレは!

さぁ、出てきたのは馬肉のフィレだ。
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これは柔らかくて赤ワインがススむ味だった。この日は馬肉まつりか!
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続けざまに出てきた馬のハラミ肉は、この日ナンバーワン間違い無しの一皿だった。馬肉がこれほどまでに美味かったとは、恐れ入った。

そして最後の肉は、40日間熟成したリブロースだ。
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エイジングならではの旨味を纏っており、ここで再び牛肉に戻るとはヤラレたネ。無事に山頂に到着出来た!

あぁ、大満足。

〆は名物の肉山カレーと卵かけご飯を1つずつチョイス。
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此処の卵かけご飯は、醤油ではなく塩とごま油で食すのでアル。これが、実に美味い。
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カレーの味は日々進化しているそうだ。開店当初の味は、レトルトカレーとして販売されており人気上々だそうだが、現在は更に美味しくなったとスタッフが笑顔で答えてくれた。

ビリー隊長御夫妻も喜んでくれたみたいで、次回の予約をしっかりと取っていた。さて、満腹満足、お土産に自家製チリマスタード瓶も買わなくちゃ。

こうして吉祥寺の夜が更けて行くのでアール。
by cafegent | 2015-05-14 16:48 | 食べる | Trackback | Comments(0)
久しぶりに目黒の『寿司いずみ』にお邪魔した。

都立林試の森公園の裏手の住宅街にひっそりと佇む寿司屋は、開店以来ずっと「準備中」の札が出ているままだ。
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何故ならば、小体の店ゆえに常に予約の客で埋まっているので、ふらりと訪れても空いていないのだネ。

この日は「名残の鮟鱇を食べ尽くす」と云う会が催されており、たまたま二席だけ空いていたので、入ることが出来たのでアル。

そんな訳で、僕ら以外は皆さん鮟鱇づくしの宴となっていた。
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もちろん、僕らはいつもの様に大将にお任せだ。

先に『牛太郎』でビールを戴いていたので、此処では日本酒からスタートしよう。先ずは富山県滑川の「千代鶴」純米吟醸を戴いた。
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口当たりは少しトロッとした感じだったが、後味がサラリとして旨い。

此処では、料理が出ても決して先に箸をつけてはいけない。そんなルールがあるのだ。どの料理も大将が手間を惜しまずに試作を繰り返し完成したものばかりなので、大将の講釈(料理の説明、魚の産地など)を聞いてからじゃないと食べてはいけないのでアル。

もしも先に勝手に食べたなら、「勝手な行動をすると感情的になって、勘定100倍にやるよ!」と一括だ。この究極なオヤジギャグに苦笑いしながら、過ごすひとときもまた愉しいのだヨ。

そして、この日も「名残の鮟鱇を食べ尽くす」会の方々に同じギャグを言いながら、突然こちらに振るのだナ。
「アチラのお客様は、常に勘定二倍を戴いているので、いつでも好きな時に食べていいんですヨ!」だとサ。この容赦ないイジリに心ならずも幸せを感じるのでアール。

さぁ、「いずみ劇場」の幕開けだ。最初はお隣さん達の鮟鱇のお裾分けから。「あんこうの冷や汁」の登場だ。
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能登では、あんこうの卵巣を「布」と呼ぶ。平板状で布切れのようなので、ヌノと呼ばれているそうだ。この布を大根と一緒に冷や汁仕立てにしているのだが、凝縮された旨味がすべて大根に滲みていた。まさに深まる春に相応しい一品だったナ。

お次は「焼き蝦蛄」だ。
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岡山浅口で獲れた蝦蛄は、香ばしくて酒がススむ。岡山ではシャコはおやつ代わりに食べているらしく、我が家でも毎年カミサンの実家から大量の蝦蛄が届く。カミサンは手慣れた手つきで殻を剥くのだが、僕は可成り手間取りながら剥くことになる。慣れとはスゴイよネ。

そして「タコの桜煮」が出た。
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桜の花と葉を一緒に煮込むため、桜の良い香りが食欲をソソルのだナ。
タコは「明鏡止水」でお馴染み大澤酒造が作るサイダーを使って煮込んでいるのでとても柔らかい。器まで桜の花とは、この時季ならではの料理だ。

酒は富山県高岡の「勝駒」しぼりたて新酒を戴いた。
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これはまたフルーティで爽やかな新酒だナ。

この酒に合わせるようにカツオと花鯛の刺身が登場。
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「いずみ」では、刺身は玉葱の擦りおろしに和芥子を載せて食す。今回は静岡山の新玉葱に、いずみ自慢の和芥子を合わせる。大将曰く、この和芥子はユーサイドの久保田社長渾身の本物の和がらしで、からしの産地は季節によって変わるそうだ。
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カツオに載せて口へ運ぶ。あぁ、むふふの瞬間だ。
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花鯛は、きび酢で軽く〆ており、酒がススむススむ。

お次は再び、あんこうのお裾分けだ。
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「あん肝玉子」は、たっぷりのあん肝が入っており「痛風まっしぐら」な一品だった。赤山椒をパラリと振り掛けて、戴いた。あぁ、最高に美味い。

今度の酒は千葉県の飯沼本家が造る「一喜」を戴いた。
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この酒蔵は「甲子(きのえね)正宗」が評判だが、この一喜もフルーティでスッキリとした呑み易い酒だ。では、この一杯の喜びをじっくりと味わおう。

蕗(フキ)味噌をアテに酒がススむ。
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油炒めをしていないので、蕗の旨味をストレートに味わっている感じだったナ。

料理は続く、どこまでも!
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さぁ、お次は大将自信作の「桜蒸し」の登場だ。
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お椀の蓋を取った瞬間に桜の香りが、僕の鼻腔を突き抜けた。芝えびのすり身でサクランボの実を包み込み、大島桜の葉で巻いてある。その下には桜鯛の身だ。これを大島桜の花と葉を刻んだあんに絡めて戴くのだナ。むふふ。視覚、臭覚、味覚が渾然一体となって、小さな椀の中に百花繚乱の桜を表していた。

     世の中にたえて桜のなかりせば
            春の心はのどけからまし

この味に、思わず在原業平(ありわらのなりひら)が詠んだ歌が浮かんだ。
この世の中に、桜の花がなかったら、どんなにも春を長閑(のどか)な気分で過ごせただろうに、と詠っているのだネ。

親方の料理の世界は、本当に素晴らしい。お椀の中の壺中天だナ。小さな器の中に無限の宇宙が広がっているかのようだ。
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お次もまた蓋物だった。
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こちらは、あんこうの肝と身のクリーム煮だ。濃厚なあん肝を優しい味で上品に仕上げてあるのだが、これも間違いなく「痛風まっしぐら!」な一椀だネ。ぐふふ。

酒は東北・塩釜の阿部勘酒造が造る「阿部勘」特別純米を戴いた。
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阿部勘と云えば、東日本大震災の被害を受けた酒蔵だが、この4年間で完全に復活したのだネ。

2006年に他界した阿部勘の名杜氏・伊藤栄さんの愛弟子である平塚杜氏が仕込んだ渾身の酒は、僅かに感じる酸味と米の旨味が口一杯に広がり実に味わい深い一杯だった。

この酒に合わせてもう少し珍味を戴こう。
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今回は鯛の子で造った明太子、赤貝の塩辛、それにアワビの肝を出して戴いた。
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あぁ、シアワセのひとときだ。もう、痛風でも何でも来いってもんだ!

更に追い打ちをかけるように出てきたのは、再びあんこうのお裾分け!
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あん肝の酒だった。
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おぉ、濃厚な甘みと旨味が酒とマリアージュしていたナ。

料理の最後は、北寄(ホッキ)貝のお造りだ。
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北海道出身の僕は、この貝に目がない。ほんのり桃色の貝は、本来東北北海道あたりの食べ物なので、東京では馴染み薄だったが、回転寿司屋さんのお陰でやっと日の目を見ることとなった貝かもしれないネ。食感も良く、噛むほどに旨味が広がるのだナ。
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さて、酒を切り替えて「いずみ劇場」第二幕の幕開けだ。

白く濁った酒は「アームストロング砲」の異名を持つ「鍋島」の特別本醸造活性にごり生酒だ。
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フルーティーで甘みの強い酒だが、シュワシュワッとしたスパークリングの炭酸感が食事の幕間をリフレッシュさせてくれた。

握りの最初は細魚(サヨリ)から。
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季節を味わうって素敵だネ。

こちらは、鯵の赤ちゃん仁丹(ジンタン)だ。
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先ずは酢〆で戴く。うん、美味い。
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続いて白板昆布を載せた仁丹の昆布〆だ。甲乙つけ難くどちらも素晴らしい。

そして、陸奥湾の内側、関根浜で獲れた本州ムラサキウニの握りを戴いた。
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口に入れた途端、思わず口角が緩んだ。いやぁ、本当に甘くて旨味が凝縮されいる。

寿司いずみでは、季節毎に美味いウニを各地から取り寄せているので東京に居ながらにして全国ウニの旅が出来るのだナ。

酒は新潟の大洋酒造が造る「越の魂」純米吟醸を戴いた。キレがよく爽快な口あたりの辛口で、いずみの大将もお気に入りの酒でアル。

握りは、春を告げる魚シロウオだ。
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純白なシロウオの群れが泳いでいるような握りだネ。むふふ、のふ。こちらは、マカジキだ。あぁ、これも美味し。

さぁ、寿司いずみ恒例の「小肌三本〆」でアル。
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先ずは赤酢で〆た小肌から。云わずもがなの美味さだネ。お次は、白酢で〆た小肌だ。
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そしてトリは、白板昆布で〆た真打ち登場。いずみと云えば小肌三種の食べ比べだが、時には柚子酢になったり、洋酒ジンを用いたジン酢だったりと大将の遊び心が溢れている。だが、何れもが大変に美味いのだから、只々驚くばかりなのだナ。

最後の酒は、「明鏡止水」でお馴染み長野の大澤酒造が造る変わり種「ラヴィ・アン・ローズ」で締めくくった。盃を口に持って行けば、鼻腔をくすぐるマスカットの様な果実香にクラッとし、口に含めばサラリとした軽やかな味に安堵する。そう、少々呑み過ぎたかナ、と思った時の〆に持ってこいの日本酒がコレだ。

新玉ねぎの擦りおろしを載せたカツオのヅケも味に深みがあり美味し。
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花鯛の握りは、歯ごたえも良く甘い。
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本マグロも云うこと無し。
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香ばしく炙った筍の握りも最高に美味かったナァ。

この後、いずみ自慢の煮蛤に煮穴子も握って戴き、最後は大好きな海老のおぼろで終了した。「おぼろ」とは江戸の頃の寿司種の保存法であり、保存用に車海老を漬け込んでいたおぼろを酢飯に見立てて、握りにするのだネ。
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最後は、春を運ぶ桜のお吸い物で締めくくった。

あぁ、この夜も最高に幸せな時間を過ごすことが出来た。我が家では、ハレの日は大いに奮発することにしている。この日は結婚記念日だった訳だが、夫婦二人が幸せな気分に浸り、酒に酔えるなんてちょっと贅沢だが、これからも続けて行けることを願うばかりでアル。

ご馳走さまでした。次回は北海道のウニの季節に来れたら良いナァ。穏やかな気候の春の夜、林試の森公園を抜けて武蔵小山まで歩こう。まだ『丸佐 長平』が開いている時刻だしネ。
by cafegent | 2015-05-01 15:37 | 食べる | Trackback | Comments(0)
今年は、弘法大師空海が高野山に道場を開いていから1200年目である。

最近、若い女性を中心に日本各地の仏像を巡る旅が流行っており、僕の俳句仲間、イラストレーターで文筆家の田中ひろみさんもコミックエッセイ『真言密教の聖地 高野山へ行こう! (単行本)』を上梓した。
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高野山でも今年は春の大法会に始まり、様々な記念行事もとり行われるそうだ。

この開創1200年を記念して、日本橋高島屋にて「高野山 祈りの美」が催されている。
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守屋多々志画伯の手による襖絵など、これまで高野山に奉納された美術品・工芸品の数々が一堂に集められ、1200年の時空の旅を愉しむことが出来た。その中でも今回注目されるのは現代を代表する日本画家・中島千波氏による全12面の桜の襖絵だ。

この「桜の間障壁画」は中島氏が開創1200年を記念し制作した作品で、今回の展示が終了すると襖に仕立てられて高野山の金剛峯寺奥殿に納められるそうだ。
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明け方の桜を描いたそうだが、左右、正面と三方に咲き誇る満開の桜に一足早い春の息吹を感じた。金箔、銀箔に描かれた幽玄な桜の姿に、1200年の悠久の歴史を旅することが出来た。暫く三面の桜の前に立ち、満開の桜に酔いしれていたが、近くに寄って改めてその絵を眺めてみた。

中島画伯の気の遠くなる様な緻密な桜の花びらの画筆は、本当に驚かされた。高野山に納められると非公開となるため、この機会に是非目に焼き付けて欲しいものだナ。
      ◇            ◇            ◇
閑話休題。

今年もまた新橋の小さな店『すし処まさ』へとお邪魔した。今回の予約をしたのは、2年前だったか3年前だったか、もう定かじゃない!ハテ?でも、万が一、忘れていても必ず一週間程前に店主の優(まさる)さんから電話が入るから助かるのでアル。

今回は、いつも立石でお世話になっているダンディ岩崎さんとホッシーを誘っていたので、先ずは新橋駅前ビルに在る『信州おさけ村』で集合となった。
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此処で余り吞み過ぎてしまうと旨い寿司の味がボヤけてしまうので、僕はビールを戴いた。
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午後8時半、待ちに待った「すし処まさ劇場」の幕開けだ。
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信州おさけ村で仕入れた酒は中山道宿場町の造り酒屋「小野酒造店」が造る純米吟醸「夜明け前 生一本」だ。
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果実の様な仄かな香りが、料理や寿司の邪魔をしないのだナ。

この後はもう他のお客さんも来ないので、優さんとも乾杯!
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この日の刺身は、三宅島のメジマグロと北海道の牡丹海老だ。
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海老のねっとりとした食感と甘みに日本酒もススむススむ。

お次は、のれそれだ。「のれそれ」とは、穴子の稚魚だネ。
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こちらは、愛知県産だそうだが、喉越しを愉しむ一品だナ。

そして、アワビだ。
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これも身肉が柔らかく、山葵を少し載せて口へ運べば、自然と笑みが出てしまう。こりゃ、酒との相性も抜群だ。
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皆で顔を綻ばせながら、酒を酌んでいると恒例の一皿が登場した。
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庭先に咲く一輪の椿の様に盛りつけられたのは、メジマグロでアル。
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横に添えられた小皿には自慢のつけダレが黄金色に輝いている。このタレは粒マスタードを裏漉しして、同量の醤油でなじませて、酢を少量だけ加えて作っていると伺った。
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刺身でも食べられるメジマグロの切り身を熱々の鉄器の上で炙り、マスタード風味ダレを付けて口へ運ぶ。あぁ、至福のひとときだ。

続いて出して戴いたのは、自家製の濃い豆乳で作った豆腐だネ。
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これは、何も付けずにこのまま食べる。大豆本来の旨味と風味を五感で戴く逸品だナ。
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さぁ、ここからは二幕目、握りの始まりだ。

先ずは、本マグロのヅケから。
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むふふ、の旨さに皆大喜びだ。

お次は大分は中津の赤貝だ。
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これは噛む程に貝の旨味が口の中一杯に溢れ出したネ。
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僕は、店主の優さんのこの優しさに満ちあふれた笑顔が大好きなのだ。寿司の味はもちろんのこと、この笑顔に包まれながら過ごすひとときが堪らなく好きなので、何年先でも待ち、通っている訳だ。

この細かい仕事を施してある握りは、天草産の小肌だ。
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おぉ、〆具合も抜群だった。

続いて細魚(サヨリ)の握りだ。
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目にも美しく、食べて旨い。もう最高だナ。
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鹿児島の鯵は、脂の乗りも程よく日本酒と良く合った。
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この蛤(ハマグリ)の握りは、上に塗るツメも蛤の汁を煮詰めて作ってあるので、実に美味い。思わず唸ってしまったヨ。

このウニは根室産だったかナ?忘れてしまったが甘く濃厚な味は記憶している。
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軍艦ではなく握りなので、海苔の香りが無く純粋にウニの味を堪能出来るのだネ。

そして、鉄火巻き。
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赤酢の飯とマグロの朱色が美しいネ。
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最後は、子安で獲れた穴子を白焼きにしてタレで握って貰った。

持ち込んだ酒一升もすっかり空になり、大満足、大満腹だ。
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優さん、毎回本当に美味しいお料理とおもてなしに感謝多謝!ご馳走さまでした。
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次回の予約は2019年、東京オリンピックの前の年だナ。その時もまた、気心知れた酒朋たちと愉しいひとときを過ごしたいものだ。
by cafegent | 2015-03-13 14:14 | 食べる | Trackback | Comments(1)
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「奇跡のリンゴ」で全国的に知られるようになった青森の無農薬リンゴ栽培の木村秋則さんが作ったリンゴふじを戴いた。
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木村さんが監修をしている雑誌『自然栽培』に僕も旅の紀行文を連載しているご縁で、頂戴した貴重なリンゴだ。
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収穫前の2週間以上続いた異常寒波によりリンゴが凍り収穫できない状況が続いたそうだ。
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木村さん自身、樹の上でこれ程何度も凍りついたリンゴは初めての経験だったそうだ。それゆえに味はバラツキがあるとのことだったが、木村さんが手塩にかけて育てたリンゴなのだから、心してじっくりと味わってみたいのだナ。
    ◇          ◇          ◇
閑話休題。
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天麩羅屋の名店老舗がひしめく茅場町・八丁堀界隈に於いて、革新的な天ぷらに挑み訪れる人達をもてなしてくれるのが、八丁堀2丁目の雑居ビルの中にひっそりと佇む『てんぷら小野』だ。
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二代目のご主人、がっしりとした躯とは対照的に、実に優しい笑顔で客を出迎えてくれるのだナ。
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L字型カウンターは、総てのお客さんをもてなすのに丁度良い大きさだ。この日は早めの時間に訪れたので、店主とゆっくりと会話を愉しみながら、旬の野菜や魚介を味わうことが出来た。

毎年、誕生日には大好きな天ぷらを食べに出掛けることが多い。
『みかわ』、『てん茂』、『近藤』、『山の上ホテル』『よこ田』しかり、でアル。ここ『てんぷら小野』は前々から友人たちに薦められていたのだが、今回初めての訪問となった。

先ずはビールを戴き、喉を潤す。
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その間、主人は黙々と天ぷらの支度に動いている。

先ずは、対馬の鱚(キス)からだ。添えられた塩で戴いた。
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おぉ、ふっくらとした鱚の白身に香ばしい衣が絶妙だったナ。

続いて、沖縄産の車海老だ。
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さいまき程の大きさの海老には、同じく沖縄の紅芋の色素で色付けされた塩で味わった。
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頭も香ばしく揚がり、実に美味い。

ビールの次は白ワインを戴いた。
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奥様がずらりとオススメのワインを出してくれた。大いに悩んだが、サンセールを選んだ。
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アンドレ・ヴァタンが生産するAOC.サンセールのシャルム2013年は、程よい酸味とフルーティな香りで、芽キャベツの天ぷらに実に良く合った。

お次は、二代目店主が自信を持って薦めてくれた三陸沖のホタテ貝の天ぷらだ。
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贅沢な白トリュフを使った塩で戴いたが、芳醇なトリュフの香りが、ホタテの旨味と絶妙に絡み合った。むふふ、な味わいだったナ。

続いては、神経〆をして四日目の墨イカだ。
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しっかりと熟成されたイカはとても甘く、頬が緩む美味さだった。

そして、山形の蕗の薹(とう)の天ぷらだ。
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まだまだ冬が続いているが、暦ではもう春でアル。蕗の薹の苦みに一足早い春の息吹を感じることが出来た。
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主人に薦められて、この蕗の薹にこれから旬を迎えるホタルイカを載せて、一緒に口へと運んだ。ガーンッ!ふきのとうのほろ苦い味わいとホタルイカのワタの旨味が渾然一体となって、僕の脳を刺激した。

聞けば、二代目の志村幸一郎さんは、縁あってこの『天ぷら小野』の娘さんと夫婦になったそうだ。以来、初代の味を活かしながら、革新的な天ぷらを日々探求し、天ぷら激戦区に於いて暖簾を守り続けているのだネ。志村さんのホスピタリティは、天ぷらの味はもちろんのこと、お客への気配り目配りにも冴え渡っている。
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得意の英会話を活かし、海外からのお客様からの人気も絶大だ。この日も馴染みのイタリア人が休暇を取って家族4人で日本旅行をしている途中に、此処を訪れた。

小さなお子さんたちにも天ぷらを好きになって貰いたいとの思いから、揚げ方、衣の付け方、食材と、きめ細やかに対応していたのにも驚かされた。イカの天ぷらもイタリアに行けば「フリット・ディ・カラマリ」と似て非なる食べ物があるからネ。

不器用にも必死で箸を使うイタリア人一家に、自らフォークを差し出さないことも、彼らの努力を尊重した見事なもてなしだったナァ。
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さぁ、天ぷらは群馬のアスパラガス、椎茸と続く。

僕はこの日、この椎茸が一番感動したナ。
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肉厚で濃厚な味と薫りをしっかりと衣で包みじっくりと時間をかけて揚げていた。食材の味や時季によって、衣の厚さ、硬さを変える辺りも心憎いのだナ。この椎茸にはブルゴーニュのピュイ・フュッセ、白ワインがベストマッチ。
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ドライでガツンとくる味に椎茸の旨味が絶妙に絡み合った。

志村さん、仕事の合間を縫って日々、多くの料理人と交流を深め、刺激しあっているそうだ。それは、料理人だけではなく野菜を作る農家の方々も同様だ。足で探し歩いて自分で納得した野菜農家と契約して分けてもらっていると伺った。鶴岡の井上農場の小松菜を使った野菜サラダは本当に旨いと思った。
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この武井ファームの無農薬で育てた蕪の天ぷらも絶品だったナ。
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熊本産の早採りの筍、沖縄のさんぴん人参も甘くて美味い。
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旬の野菜の天ぷらが続いて、春を独り占めした感じだったネ。

お次のワインは、ブシャール・ペール・エ・フィスのピュリニー・モンラッシェだ。割と良いワインだが、誕生日と云うハレの日なので、まぁ良いか。
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遥か遠くのブルゴーニュの葡萄園に思いを馳せながら、天ぷらとのマリアージュを愉しんでいる。
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さぁ、今度は〆てから一週間置いた天然とらふぐの天ぷらだ。
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これにも重めのモンラッシュが合ったナァ。
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完熟の赤胡椒を振り掛けたとらふぐは香ばしくて頬が緩むゆるむ。
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白子の天ぷらには、沖縄産もずくを合わせて食べた。
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菜の花、長野の自然薯(じねんじょ)も素晴らしい味だった。
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ワインはムルソーへ。
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木の実の薫り漂う濃厚なワインの味に合わせたのは穴子と大間のウニだ。
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ウニは、沖縄のあおさを和えて揚げてくれた。あぁ、むふふ、な旨さに脱帽だった。

一通りの食材を戴いたが、小ぶりだけど旨味の詰まった牡蛎が有ると云うので、それも追加で揚げて貰った。
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その間も店主は、イタリア人一家を相手に饒舌な会話で食材の説明などをしていた。ホタルイカを「ピッコリ・カラマーリ!」と云うなんて、ニクいよネ!

〆のご飯は、卵の黄身を天ぷらにした卵ごはんにし、連れは天茶をお願いした。
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卵の天ぷら飯しと云えば、高円寺の大衆天ぷら『天すけ』がお馴染みだが、此処のはその極上版といったところか。
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十二分に満腹となったが、最後の金柑が口の中をさっぱりとしてくれて、良き〆となった。

此処は誰かをもてなす時に最適な一軒だナ。居心地も天ぷらの味もワインの味も、総てが僕の心を捕らえてしまったようだ。こりゃ、ハレの日と云わず、旬毎に訪れてみたくなった。
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ホッコリとしたひととき、実に最高な誕生日の夜であった。

外に出ると雨もすっかりあがり、少しだけ春の香りが漂っていたナ。
by cafegent | 2015-02-24 16:30 | 食べる | Trackback | Comments(0)
早いもので、今年ももう一ヶ月が過ぎたのだネ。
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今月は「如月(きさらぎ)」でアル。本来、旧暦の2月を如月と呼ぶのだが、今では新暦の2月として用いられている。旧暦の2月はまだまだ寒さ厳しいので、衣服を更に着重ねる時季だから、衣を更に着る月で「衣更着(きさらぎ)」となった説がある。

如月は、耳に響く語感が素敵だよネ。2月は他にも、梅が咲き始める時季だから「梅見月(むめみつき)」とも呼ぶ。

2月3日は節分だ。
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今年もまた早稲田の穴八幡宮にて「一陽来復(いちようらいふく)」のお守りを授かって来た。毎年、冬至から年明けの2月3日の節分までの期間に頂けるお守りだ。
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商売繁盛や開運に御利益が有り、特に「金運」に強いと言われているから、この日も穴八幡宮では長蛇の列が出来ていた。

古いお守りを納めて、今年も無事に新しいお守りを頂くことが出来た。
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「一陽来復」とは、陰の気が去って、陽の気が再びやって来る、良く無いことが続いた後に、ようやく良いことが訪れると云う意味でアル。

毎朝歩く公園ではもう紅梅の花が咲き、そこはかとなく春の薫りが漂い始めていた。
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時折吹く風はまだまだ冷たいが、陽射しはもう春色だ。あと数日で暦も大寒から立春に移るネ。今年も恵方の方角に「一陽来復」のお守りを祀るとしよう。そして明日は運気好天を願ってお不動様へ節分のお詣りに行こうかナ。
     ◇           ◇           ◇
閑話休題。

先日、酒朋ネイリストまゆみちゃんに誘われて美味い肉の宴を催した。
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向うは吉祥寺の名峰『肉山』だ。過去、多くの方々が肉山の頂上を目指し、その美味さと豪快さに圧倒されて下山している。
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この日も完全踏破に向けて昼飯を抜き、万全に体調を整えて肉山に向った。そして午後五時、男女五人のパーティで挑んだのでアル。

此処は一人五千円の「お任せコース」なので、お酒だけを頼めばあとは店主にお任せだ。
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プラス五千円で「飲み放題コース」にもなるのだが、この日は酒より肉を喰らおうと意気込んでいたので、飲み物は個別にしてみた。
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チャンンジャやプチトマトで肉を待つ。
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先ずは生ビールでカンパイだ!

最初に登場したのはエリンギだ。(画像、ブレブレだネ!)
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このままでも十分美味しいが、自家製マスタードを少し付けると更に美味さが増したナ。

そして肉の登場だ。
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先ずは80分かけて焼いたと云う豚ロース肉だ。
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豚肉ってこんなに美味しかったのか、と再認識させられる美味さに一同唸ったネ。

お次は、牛モモ肉の赤身だ。
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これは山葵を付けて戴いたのだが、赤身肉ならではの噛む程に増す旨みに感動した。
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肉が来たので、赤ワインをお願いした。
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此処は肉に合うワインをお任せで選んでくれるので、実にラクチンでアル。
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あぁ、幸せなひとときだネ。
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アスパラガスとパテの登場だ。

このパテも濃厚な味わいでワインがススむススむ。
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聞けば、池尻大橋のフレンチレストラン『OGINO』のパテ・ド・カンパーニュを分けて貰っているそうだ。どうりで、こちらも美味しい筈だ。
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箸休めのキュウリで口をさっぱりとリフレッシュ!
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赤ワインをもう一本追加ッ!

続いて、馬ヒレ肉がドーンッ!と登場。
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どうですか!このボリュームを楽しみたいなら大勢で来た方が良いね。
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みんな馬肉の旨さに驚いていたナァ。

そして、知り合いが仕留めて送って来たと云う鹿肉のローストだ。
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どの肉も凝った味付けはせずにシンプルな塩加減を効かせている。これが、肉本来の味を堪能出来る秘訣なのだネ。冷凍じゃない生の鹿肉ならではのレアな赤身が最高に美味しかった。

さぁ、肉の最後は牛イチボだ。
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これはもう何も語る必要無しだナ。あぁ、完璧に肉山の凄さに圧倒された。無事にこのパーティ全員で頂上に辿り着いた。
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〆の飯は、カレーライスと卵かけご飯だ。
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此処の卵かけご飯は醤油ではない。胡麻油と塩で味付けがしてあるのだが、これがまた旨いのだナ。

たっぷり二時間の肉山登山が終了した。
次回の予約もしっかり取ったし、安心して下山した。店主の光山さん、本当に感動しました!ご馳走さまでした。
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無事に下山した一行は、ハモニカ横丁へと移動。
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『ハモニカキッチン』の屋上階で二次会と相成ったのでアール。
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『肉山』の予約を入れてくれたマユミちゃんに感謝多謝!
by cafegent | 2015-02-02 15:54 | 食べる | Trackback | Comments(0)

    古池や翡翠(かわせみ)去って魚浮かぶ   子規

早いもので、もう年の瀬の十二月となったネ。二十四節気でも今週末で「小雪」が終わり「大雪」となる。関東ではようやく樹々が紅葉の葉が赤く染まり、イチョウ並木は黄金色に輝き出した。
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空気が澄んだこの時季、西日を浴びるイチョウの葉は実に美しい。
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我が家の近くに在る星薬科大学の正門から続くイチョウも見事だった。

忙しさにかまけてしまい11月は一度も日記を更新出来なかった。四月から開始した全国酒の旅も八ヶ月が過ぎたのだネ。

東京に居る時は毎朝近所の公園に出掛けている。此処にやって来る野鳥たちを探すのが朝の愉しみのひとつでアル。グッと気温が下がって来たので、冬鳥が入り出す頃だが、今年は何故か遅い。いつもならば11月からツグミやジョウビタキ、ルリビタキが入り出すのだが、今年はまだツグミも一度しか見つけていない。
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シメは時々降りて来るようになった。それでも、まだ少ないナ。

池にも時々カワセミが餌を求めてやって来る。
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翡翠(ひすい)と書いてカワセミと詠ませるほど、その姿態の色は美しい。青とオレンジのコントラストは自然界が生んだ宝石の様だネ。石の上から細長いくちばしを水面に向けてサーッと舞い降りて水の中に飛び込み、小魚や小エビを捕まえる姿もまた見事だ。
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俳句の世界では、カワセミは実は夏の季語となっている。だが、鳥の専門家たちは、それが解(げ)せないと言っている。僕もそう思っているのだナ。冬枯れの水場をサーッと飛ぶ姿は煌めく宝石の如く美しく自然と融合している。

    しぐれつつ翡翠翔(かけ)て蘆(あし)に消ゆ  水原秋桜子

昨日は可愛いウグイスを見つける事が出来た。
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今日はあいにくの雨なので、一日机に向って原稿を書いていたが、明日の朝は雨が上がってくれている事を願うばかりでアル。
      ◇           ◇           ◇
閑話休題。

先週、新潟は糸魚川へと旅をした。只々日本海の旬の旨い魚が喰いたくて、東京駅へと向った。

新幹線Maxときに乗り、一路越後湯沢駅へ。此処からは特急はくたかに乗り、直江津へ。
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そして直江津から特急北越でようやく糸魚川に到着だ。来年三月の北陸新幹線の開業に伴い、特急はくたかは、その18年間の雄姿に幕を下ろすこととなった。

この路線、大半がトンネルの中なので余り景色を楽しむ事が出来ない。だが、その路線の特徴を逆手にとって土日祝日には車内で映像を鑑賞出来る「ゆめぞら号」という車両が運行されているのだネ。今回の旅は平日の朝だったので、ゆめぞら号は無かったが、時折垣間みれる車窓からの景色は、みごとな紅葉を望むことが出来た。
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特急はくたかへの乗車もこれが最後かと思うと感慨深かったナァ。
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糸魚川駅から15分程歩くと目指す店『地魚料理 すし活』さんの暖簾が見えた。
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此処は大将の渡辺篤さんが奥様と二人で切り盛りする小体のお寿司屋さんだ。

先ずは、生ビールをゴクリ!
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あぁ、ウマイ!約三時間の旅の疲れも吹き飛ぶネ。

糸魚川の能生で水揚げされた小伏(こぶせ)がにを戴いた。
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ズワイガニの子持ちのメスを「小伏」と呼ぶのだが、金沢では「香箱(こうばこ)」と呼ばれいるネ。福井では「セイコガニ」と呼ぶが、同じものだ。オスのズワイガニも福井では「越前ガニ」と呼び、京都や鳥取では「松葉ガニ」となるのだネ。そう云えば、鳥取の境港ではメスを「セコガニ」と言っていたのを思い出した。

そのメスの腹に抱えている外子と甲羅の中の内子(未成熟卵)とかにみそを丁寧に酒とみりんと合わせ醤油で和えて「沖漬け」にしてあるのだヨ。プチプチした食感の外子と濃厚な内子が織りなす味のハーモニーは絶品だった。
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これには酒しかない。
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燗酒をつけてもらい、冬の味覚の女王を讃える事にした。

大将から「外子だけ先に食べて内子は半分程残しておいてネ」と声が掛かった。一合徳利の燗酒はスグに空になってしまう。

次の燗酒と共に登場したのは、これまた小伏がにと同じ様な色の珍味だった。
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ハテ、なんだろう。一口舐めてみても、旨味が先にきてそれが何か検討もつかなかった。大将も「判んないだろうなぁ。コレ、海老の頭部の味噌のところだけを麹でじっくりと煮詰めて水分をすっかり飛ばしたものだそうだ。これだけで海老6尾も使ったのだとか。いやはや恐れ入る。これもまた日本酒の肴にぴったりの珍味だったナ。

続いて出てきたのは、串が二本だ。手前がヒラメの皮で奥のがカガミダイの皮とのこと。
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香ばしく炙られて、これも酒の友だネ。

珍味が続いていたら、先程の小伏がに沖漬けの卵と足の身をふんだんに寿司飯に混ぜ合わせた一品が登場した。
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かにの旨味が目一杯詰まったかに寿司は本当に唸るような旨さだった。

さぁ、ここからは大将の地物の握り寿司劇場の始まりだ。「すし活」さんでは、白身の魚に相当入れ込んでいる。大将の渡辺さんは「出来ればマグロなんて他の店で食べて貰えれば良いんだよ。熟成させて旨味を引き出す赤身と違って、白身魚は鮮度が命!短期決戦なんだよネ!」と熱く語ってくれた。

先ずは日本海のアラから。
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おぉ、歯ごたえ抜群で美味い。
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こちらは、カガミダイだ。
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続いて1.5キロ物のヒラメ、甘いアオリイカと続く。
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アオリイカは塩で戴いたが、ねっとりと甘いアオリイカの旨味がより一層際立ったナァ。

そして、〆サバだ。
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これもしめ具合抜群だった。

こちらは、メダイの炙りだ。
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塩で戴いたが、脂の乗りも良く最高だ。
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お次は、イシダイにキジハタの握りだ。
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これは身がギュッと締まっていて歯ごたえ良し!

こちらは、イナダだ。
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これは白身と赤身の中間だネ。脂の乗りが丁度良く美味。

続いて出たのは「つづらめ」という魚だった。
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初めて食べたのだが、身が硬く締まっており美味い。メバル化の白身魚なのだとか。
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続いて、あっさりとしたマトウダイに身がねっとりとして甘い赤ガレイを握って貰った。赤ガレイは普通煮付けや鍋にする魚だネ。さすが、鮮度が命なだけに、握りも抜群だった。

最後はキクガレイの握りだった。これも余り聞き慣れないカレイだと思っていたら、関東で言うところの「ムシガレイ」のことだった。殆ど干物でしか見ないのだが、生も大変美味だったナ。
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握り十三貫、大いに満足した。こちらでは、どんな握りも一貫ずつ握ってくれる。美味い地物を沢山食べて貰いたいと言う大将の心遣いなのだネ。心地良い気分で過ごす事が出来た。
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美味い魚を堪能し、程よく酔った。さて、次は何処に向うとしようか。
by cafegent | 2014-12-04 19:22 | 食べる | Trackback | Comments(2)
カミサンの誕生日と夫婦の結婚6周年の祝いを兼ねて、銀座の和食料理店『小十』にお邪魔した。
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陶芸家の故・西岡小十氏の名前を冠した店は店内に入った瞬間から美しい陶芸の作品群に目を奪われた。店主の奥田透さんは静岡出身で、地元の割烹旅館『喜久屋』から料理の世界に入り、あの名店『青柳』で修行を積んだ料理人だ。

西岡小十さんの作品が好きで、店を出す時にも使う器を焼いて戴いたそうだ。小十翁最後の作品になったと言うのだから感慨深いネ。

11年前に『銀座 小十』を開いて以来、ミシュランで三ツ星を獲得し続けており昨年はフランスのパリにも出店を果たした。オープン間もない頃はパリと東京との往復が続き、東京の店に居ない時も多くなっていたそうだが、最近は銀座の店に居ることも多くなったみたいだ。

今回も奥田氏が自ら腕を振るってくれる事を期待して、カウンター席が取れる日を予約した次第でアル。

美しい一枚板のカウンターは樹齢700年の檜だそうだ。席に座った時から「奥田劇場」の幕が開く。此処はワインも充実しているが、前日にワインを飲み過ぎたので、先ずは生ビールで始めることにした。バカラのローハンに注がれたビールで乾杯!

そして、最初に登場したのは、毛蟹と北海道産の生雲丹を焼き茄子とズイキの冷製和え物だ。毛蟹と茄子、雲丹と茄子、毛ガニとずいき、雲丹とずいき、と交互に味の変化を楽しんで戴ければ、と奥田さんが薦めてくれた。

この料理が載る器もまた素晴らしかった。真白き岩の砦の頂上に色鮮やかな雲丹と毛蟹の色が映える。青白磁の斬新な器は、陶芸家の加藤委(つばさ)さんの作品だ。加藤さんは僕より二つ若いが、僕が六本木のAXISで仕事をしていた時に同じビル内の陶芸ギャラリー『サボア・ヴィーブル』での初個展を観たのが最初だった。ギャラリー店主の宮坂さんに薦められて以来、好きな作家の一人となった。多治見出身の作家だが従来の多治見焼き、美濃焼きとはまるで違う作風は現代の陶磁器を牽引している陶芸家だと思っているのだナ。

酒は福島の純米酒「早瀬浦」を二合戴いた。ガツンとした中に感じる甘い香りが毛蟹の味を引き立ててくれた。

お次ぎはアワビの素麺すり流しだ。アワビの身をすり流しにして出汁と合わせてあり、素麺に絡み合う味に思わず唸ってしまった程だ。細切りにしたアワビの身肉も実に旨い。晩夏に涼を運ぶ一品だった。

三品目に出て来たのは、椀ものだ。
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鱧(ハモ)とじゅんさいの薄味の汁は胃に優しく「奥田劇場」へと誘(いざな)ってくれた。輪切りのズッキーニが無限の輪の如く美しい意匠を放っていたのが印象的だった。鱧は梅雨明けから今頃までが一番美味しい。

さぁ、此処からお造りだ。奥田氏、僕らの為に再び加藤委さんの大きな青白磁の器に盛りつけてくれ、その姿は迫力満点だったなぁ。
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鱧の湯引き梅肉添え、鮃(ヒラメ)の肝添えも美味い。細かく包丁を入れたアオリイカの何と甘いこと。飾りにちりばめられた白い玉は、山芋だ。これも箸休めにさっぱりと戴いた。

日本酒を変えてみた。お次ぎは三重の「寒紅梅」だ。
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山田錦を用いた純米吟醸は、スッキリした香りが清々しく、お造りとの相性も良かったネ。

そして、お待ちかね若鮎の塩焼きの登場だ。席に着いた時、目の前で活きた天然の若鮎を一尾ずつ串にさしていたのだが、それをじっくりと一時間もかけて焼き上げた極上の逸品でアル。
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聞くところによると、このアユは長野の天竜川で穫れる天然ものの活若鮎で、共に「青柳」で修行を重ね、今や盟友となっている日本料理の『龍吟』の山本氏と二軒だけで仕入れているのだそうだ。

活きたまま備長炭の遠火でゆっくりと焼かれるのだから、断末魔を迎えて口を開けている姿が印象的だが、一口食べてみるとその美味さに感動しっぱなしになった。
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こんがりと焼かれた皮はパリッとした食感で、中からはふわっとした身が口の中に溶けていく。川藻を食べて育ったその身は仄かに藻の香りを含み、肝もほんのりとほろ苦くて甘い。極上の鮎が、てんこ盛りに盛られているのだから、感無量でアル。

続いて、牛肉と冬瓜の炊き合わせが出た。
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夏の冬瓜は本当に美味しいネ。

酒もススむし、至福のひとときを味わっている。

さぁ、真打ち登場だ。夏の『小十』での人気の料理は天然の大鰻だ。
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蒸さずに炭火でじっくりと焼き上げ、自家製のタレを塗り重ねながら蒲焼きにするのだ。これには参った。もう見ている側から、ヨダレが出て来そうになるのだから。奥田さんは天然の鰻にこだわり続けている。しかも体重1キロ以上の大物しか仕入れないそうだ。力強く活きた天然鰻の味をシンプルに味わって貰う為に蒸さずに炭火で蒲焼きに仕上げるのだネ。外はカリッとして、中はふっくらと、肉厚ならではの旨みが凝縮されていた。
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山葵を載せて口へ運べば、白飯がススむのだ。思わずご飯をお代わりしてしまったなぁ。

あぁ、本当に美味しい料理を堪能した。
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最後は蕨餅とスイカのデザート、それにココナッツのソルベが出た。
煎茶の後に戴いた抹茶も素晴らしかったナ。

カミサンもとても喜んでくれた様子だし、8月の終わり『小十』に来れて良かった。安定した三ツ星のグランメゾンも良いが、常に意欲的な料理人が腕を振るう和食にして大正解だった。
by cafegent | 2014-08-31 14:02 | 食べる | Trackback | Comments(0)
     夕立や豆腐片手に走る人     子規

何とも人を食ったような一句だが、思わずその情景が眼に浮かぶ。今と違いパックに入った豆腐など無く、当時は自転車などで廻る豆腐屋から桶か鍋に入れて貰い買って帰るのが常だった。

夏真っ盛りの季節だが、暦の上では今日から「立秋」を迎えたネ。
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そろそろ、目白のホテル椿山荘のヘイケボタルも見納めの頃だろうか。浴衣を来て出掛けようと思うのだが、今日も夕立が来そうだし、明日からは台風の影響で雨が続く様子だ。せめて一度ぐらいは浴衣を来て酒場に繰り出したいものだナ。

先日、弘前の『ねぷた祭り』を観に行った。
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熱気と活気に包まれ、汗だくになって次々と現れる扇型のねぷたに声を掛けた。だが、その祭りで人が亡くなる事故が起こってしまった。祭りが始まって以来初めてのことだったそうだが、今年も祭りは中止となったのだネ。

青森の『ねぶた祭り』五所川原の『立佞武多(たちねぶた)』仙台『七夕祭り』山形の『花笠まつり』と東北の祭りは今が熱い。

東北以外でもこの時季は祭りが続く。徳島の『阿波踊り』と高知の『よさこい祭り』も全国的に名が知れたお祭りだろうか。だが、台風の影響による高知の大雨被害により、祭りの開催が危ぶまれているとのことだネ。

参加者も見物人も一緒に汗だくになって燃える夏まつり、無事に総てが開催されることを願いたいものだ。
     ◇           ◇           ◇
閑話休題。

先日、久しぶりに新橋の寿司屋『すし処まさ』さんにお邪魔した。
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一日二組しか予約を取らず、その一組も3人しか席が無いのだから実に困った寿司屋でアル。

それでも店主の人柄と味の良さから評判が評判を呼び、何年も待たなければ予約が取れない。今回の予約は一体いつ頃取ったのだったろうか。忘れてしまう程、昔のことなのだナ。

暖簾を潜りガラリと戸を開けると店主の優さんが正面に立っていた。
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今回も、お世話になります。
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今回も信州おさけ村で仕入れた木曽の純米酒「十六代 九郎右衛門」を差し出した。
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先ずは全員で乾杯だ。
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この日のお造りは北海道島牧村の北海シマエビ、三重の白いか、銚子のかつおだ。
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ねっとりと甘く食感の良い白いかで酒がススむススむ。

和歌山県のとこぶしも良い酒の肴だネ。
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海藻を食べて育つとこぶしは、ほんのりと磯の香りがして、噛むと旨みが滲み出る。

続いて、名物となった「メバチマグロの炙り」の登場だ。
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牡丹の花の様に盛りつけられたマグロはそのまま食べても十分美味しいのだが、これを軽く炙って特製のマスタードつけダレで戴くのだナ。
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自家製豆乳豆腐で口をさっぱりとさせたら、まさ劇場の第二幕の幕開けだ。
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酒もススむなぁ。
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優さんも少々なら大丈夫かな?

ここからは握りが続くのだネ。
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マグロのヅケに始まり、水蛸、シンコと旨い握りが目白押しだ。
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おぉ、石榴(ざくろ)の花の様に艶っぽいその身は赤貝か。
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吉原の遊女のようなその身を口へと運ぶ。コリッとした食感はそっと突き立てた小指を噛んだかの様だったナ。

脂の乗った鯵も美味し。
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酒がススむススむ。他にも幾つか握って頂いてご馳走さま。
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優さんは相変わらず笑顔を絶やすことなく、魚たちと対峙していたネ。

酒朋たちも喜んで頂いた様子だし、次回もまた待ち遠しい限り。そんな訳で、ヘベのレケになりながら、夜の帳へと消えたのでアール。
by cafegent | 2014-08-08 15:24 | 食べる | Trackback | Comments(0)