東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent

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先週末は旧友が千葉からやってきたので、新橋に集合。
暑さを吹き飛ばそうと『ビアライゼ '98』へ。

しかし、こう暑いと皆考えることは同じらしく、予約でほとんどが埋まっているらしく、友人が早めに到着していてくれたおかげで運良くテーブル席を確保する事ができた。4人席を無理して5人で使わせてもらい、グビグビと生ビールをお代わりしていると外から続々とお客さんが押し寄せて来る。新橋駅周辺では「こいち祭」も催されているので、いつもよりも人の波が多いのだ。
そんな中、ビアライゼの重鎮、稲垣理事長が息子さんとやってきた。祭帰りなのだろうか、紙コップのビールカップを片手に持っているのが可笑しかったが、その持って来た紙コップに生ビールを注ぐ松尾さんも更に上をいっていた。

1年前まで新橋柳通りにオフィスを構えていたので、この辺りでは『青樹』や『多吉』、『へそ』なんかで仕事帰りに一杯やっていた。
中でも、『ぼんそわ』と云う立ち飲み屋はオープン以来ずっと気になっていたのだが、初めての訪問であった。
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小さいコの字のカウンターを囲み、常連さんたちで賑わっている。
まずは、酎ハイを戴こうとマスターに頼むと大きめのグラス一杯に注がれた焼酎と炭酸一本がカウンターに置かれた。
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はて、コレまた炭酸入れる隙間もないのである。結局のところ、ストレートの焼酎をチビチビと飲みつつ少し減った処へ炭酸を注いでいくのだ。調子に乗って呑んでいるとすぐに足腰に来そうなくらいの酒の量なのである。ありゃ,2杯で沈没かもなぁ。
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「カレーもつ煮込み」をアテに呑み、友人たちと祐天寺『ばん』の話をしていたら、隣から”クマさん”と云う兄さんが話に参加してきた。
聞けばクマさん、『ばん』も行くし,立石『宇ち多”』も好きだと云う。
でもって、もっと驚いたのは中野の『石松』で夜遅く手伝っていると云うのだ。キンミヤ1本1,500円!の、あの美味いモツ焼き!の『石松』なのだ。当然、真向かいの『パニパニ』も好きだと云うし、野方の『秋元屋』も行くとの事。
こりゃあ、スゲー気が会いそうな兄さんと知り合った。そのインパクトある風貌は髪型、点の様なオ目目、豪快なヒゲと実に強烈な印象なのである。誰かを思い起こさせるなぁと考えていたら、浮かんで来たのだ。そう、鉢巻きしたら「バカボンのパパ」を彷彿させるのだが、若く爽やかな人柄なのである。僕は好きだなぁ、クマさんの様なお方が。

クマさんの「ぼんそわ日記」もこれから要チェックだ。
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ずっと雨が続いていたが、週末の土曜日は良い塩梅に晴れてくれた。
そう、この日は年に一度の楽しみである『隅田川花火大会』だからだ。
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午後から浅草に出掛けたのだが、花火目当ての人の他、雷門の正面では選挙の最終演説が繰り広げられていた。
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ちょうど、ヤンキー先生が声をカラらせて熱弁を振るっていたが、そのお陰で通行規制は敷かれるし、報道人は邪魔だしで、仲見世を通り抜けるのにかなりの時間を費やしてしまった。
花火見物の酒の肴を探しつつ、浅草の街を散策。
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『牛煮込み 正ちゃん』も満杯で大盛況だった。酒は夜のお楽しみ、と『アロマ』で珈琲を楽しみ、ホットドッグをつまんだ。ここは噺家さん達が良く集まる喫茶店である。
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カウンター脇に九代目 入船亭扇橋師匠の噺家人生50年を綴った半生記「噺家渡世 扇橋百景」があったので、1冊戴く事にした。
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もう随分と昔になるが、今は無き渋谷東急文化会館で、「東横寄席」と云うのが在り、柳家小三治師匠などと一緒に高座に上がっていたのを見たものだ。のんびりとした語り口の師匠の古典落語は、いつの間にやら江戸の世界に引きずり込まれてしまうのだ。

そんな思い出を語っていたら、当のご本人、扇橋師匠が珈琲を飲みにやってきた。
「今日は朝からラジオだったし、一日中忙しくって『アロマ』で珈琲飲めるの15分しかないんだよ。」と云っていたが、随分と上機嫌で、詠六助さんとのラジオは随分と楽しかったご様子であった。
僕も夜読むのに丁度良い本を手に入れる事が出来たので、『アロマ』に立ち寄って正解だった。
夕方5時を回ったので、都営線で曳舟駅まで行き、酒屋でビールを仕入れて友人の本多君宅に向う。

本多平八郎の末裔である本多君は僕の古いジム仲間だが、墨田区を中心とする地域に根付いた不動産屋さんである。
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マンションの最上階に在る彼の部屋からは、隅田川花火大会が第一、第二会場ともが一望出来て、ここ数年友人たちと集まって花火をアテに酒を酌み交わしている。

夕方6時を廻ると大会開催の合図の「雷」と云う花火が打ち上がる。
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まだ、外は明るいが徐々に盛り上がりを見せ、7時からは怒濤の花火が大連発となるのだ。混雑も無いとってもラクチン状態の花火見物は何てったって酒がススむのだ。
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部屋のテレビからは、毎年恒例、高橋英樹司会進行で大会の様子が流れている。
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コンクールの花火が打ちあがり出すと、テレビの解説が重宝するのだ。「うん、なるほど」と聞いてから夜空に打ち上がる各花火師の作品を拝見する。
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今年は30回記念との事で、最後は両会場で3,000発づつの打ち上げとなった。パァっと咲いてパッと散る大輪の華に一喜一憂して、何だか少しだけ江戸の粋に触れた気がした。

外はまだ電車も混んでいるのだろう、と時間を外して『丸好酒場』で一杯やることにした。本多君の処から歩いて数分で『丸好酒場』に到着。あぁ、なんて素晴らしい処に住んでいるのだ。「もつ煮込み」を戴いて、酎ハイを2杯。
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実に心地良い下町の夜であった。
by cafegent | 2007-07-31 18:18 | 飲み歩き
梅雨明け間近の木曜の夕暮れ時、新橋では年に一度の「新橋こいち祭」が開催されていた。
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今年は12回目との事で、桜田公園では盆踊りの準備がなされ、夜店も多く出店し、浴衣姿の新橋商店会の女将さんたちで賑わっている。
そう云えば、昨年はブタドクロと一緒に冷えたキュウリをかじりながら、全国の焼酎利き酒で酔いしれていたっけ。一昨年はK君と一緒にニュー新橋ビルの4階テラスの星空ビアガーデンでジョッキ片手に「サロンド夜子オアシス」の夜子ママ&オアシスガールズの不気味なオンステージを観ていたなぁ。
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今年は26日、27日の2日間なのだが、交通規制もして歩行者天国になる。「浴衣美人コンテスト」や「打ち水」など趣向を凝らしたイベントも盛り沢山で、仕事帰りのサラリーマン達にもってこいのお祭りだ。

祭の雰囲気に後ろ髪を引かれながら、待ち合わせ場所の露地を入る。
この通りは、あの予約の取れない京料理で有名な『京味』があったり、デッカいメンチカツで有名な洋食屋『スイス』、安くて美味い鰻で気に入っている『うなぎのお宿』なども在って、僕の利用頻度が高い通りだ。
そして、この日訪れたのは冬はふぐ、夏は鯛めしでお馴染みの『季節料理 以志井』だ。
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先週予約の電話をした時に、広い座敷に先約があり部屋が取れないと云われ、では別の機会にしようかと諦めていたら、夕方ご主人からお電話を頂いて、「広い座敷を空けることが出来ましたので、どうぞ」との嬉しい連絡を受けたので予定通り六名で「鯛めし」を戴きに上がることにしたのだ。

ここは以前、「美味い魚が食べたけりゃ新橋の以志井だね。」と知人に連れて行ってもらいカウンターで刺身を食べたのがきっかけだが、どの魚も天然物しか扱わず旬の美味いものばかりをつまみながら酒を楽しめる名店だ。ただ、「鯛めし」が食べたくなると六本木『与太呂』ばかりに行ってしまっていたので、久しぶりに思い出して『以志井』を訪れることにした。

つまみを二、三品、アテに最初はビールで乾杯をし汗を拭う。
汗が引いた所で,見事な刺身盛りが登場。でっかい氷の塊を削って作った大きな台座にその日一番の美味しい刺身が盛られている。鯛、あいなめ、いさき、蛸等々旬の魚が氷の上に載り、見ているだけで涼しくなる夏らしい刺しみ盛りだ。

『以志井』では焼酎の水割が良い。芋焼酎「佐藤」の黒を5対5の割合で水で割った状態でカメに入れてあり、実にバランス良くスーっと喉を通るのだなぁ、これが。その後は「富の宝山」をロックでヤる事にした。

次に歯ごたえのしっかりした「湯葉」を山葵醤油で戴く。これも実に酒に合うのだ。

時折、女将さんが襖をちらりと開けて、お酒が空いていないか気を付けてみてくれるのだが、あのさりげない心配りがこの店の味と共に良い処だと感じる。
また、料理を運ぶ娘さんの素朴な雰囲気も心和むのである。

そして運ばれて来たのは、これまた見事な「天然かますの塩焼き」だ。
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身がしまり、ふっくらした焼加減も絶妙で、皆黙って真剣に食べていた。結構な大きさだったので、かなりお腹が膨れた気になった。

次に夏の味わいである「加茂茄子の煮物」が出された。
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ダシがたっぷりしみ込んだ加茂茄子はひんやりと冷たくて「夏は暑いから、良いのだ」と改めて感じてしまう一品であった。

冷たい一品の後は「鱧の揚げ浸し」。旬のハモを湯引きではなく、揚げ浸しにしたのも嬉しい。暑さでバテ気味には適度な油分が必要なのだ。

「毛ガニ」が運ばれて来た。
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そのままでも美味いのだが、さっぱりとした酢につけて戴けば、さらに酒が後を引く。

そして、本日の真打ち「鯛めし」の登場だ。
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ご主人の石井さんがデッカい土鍋を抱えて現れた。ここの鯛めしは他の所と違い大きな鯛の頭部分を使う。ご主人曰く「兜のゼラチン質がしっかりと溶け込んでいるので味もしっとりしているし、女性にも嬉しい。」との事だ。コラーゲンたっぷりだもんなぁ。
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たっぷり5合ぐらい炊き上げているんじゃないだろうか、骨を取って身をほぐしてくれているので、僕らはもうひたすら喰うだけなのだ。美味い、美味すぎる。あれだけ食べて満腹なのに、あと引く美味さなのだ。しっかりとお代わりをして、一同大満足だ。残りはおにぎりにしてお土産にしてもらった。
デザートは口直しにスイカを戴いた。今年初ものだったので、味わって食べる事にした。
最後にまたご主人が現れて、縁起物の「鯛のタイ」をひとつづつお土産にくれたのだ。
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鯛のエラの下部分についている骨なのだが、昔から持っているとお金が貯まるとも云われている。ひとつひとつ、色んな色に塗られていて、好きな色を選んだ。

この日は、「鯛めし」をメインにしてご主人にお任せにしたのだが、どれも全てが美味しく戴けた。そして、料理の美味さだけじゃなく、ご主人、女将さんたちの人柄のお陰で、皆また来たくなる店だと意見が一致。美味しい宴に満足し、玄関を出ると石井さんが優しい笑顔で僕らを見送ってくれた。
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外はまだまだ蒸し暑いのだが、幸せなひと時のおかげで実に爽快な足取りになった。並木通りを抜けて銀座のクラブに着くと、まだ8時を回ったばかり。
案の定、僕らが口開けの客となった訳だ。さて、また飲むとするか。
by cafegent | 2007-07-27 17:23 | 食べる
昨日の晩、「月下美人」の花が咲いた。

夜開性の植物で夕暮れあたりから蕾みが膨らみ出して、夜になってから見事な花が開いたのだ。でも、この「月下美人」と云う植物は、大輪の白い花が一晩しか咲かない。今朝見ればもう萎んでしまっていた。
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香りも強く、一夜だけ咲く白い花。何だか妖しい美女のような雰囲気だが、見ているとほんとそんな感じがしてくるのだった。

月夜の下で、ウィスキーを飲みながら一時間近くも魅入ってしまった。
酒がもう少し強かったら、完全にこの花に向って口説いてしまっていたかも知れんなぁ。
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久しぶりに渋谷道玄坂裏の『珉珉羊肉館』に行ったのだが、ジンギスカン専用テーブルのあった2階席が無くなっていたのにはビックリした。
当時、あの風変わりなデッカい鍋を囲んで飲み会をやったりしたっけ。
ウディ若林さん達と誰かの誕生日会を開いたのも今では懐かしい思い出だ。
僕が最初に訪れたのが学生の頃だから、もうかれこれ30年程前になるのだが、店自体はそのもっと前に今は無き「恋文横丁」の中で店を開いたとの事だ。
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先代が終戦後に満州からの引き上げて来て、渋谷の地で餃子の店を開いたが、その頃はミンミン以外にも10軒程餃子を出す店があったそうだ。
ここの餃子が有名になったのは、今では何処の餃子屋でも主流となっているニンニク入り餃子を初めて売り出したからだそうだ。

当時、豚肉が高く、安定して供給されなかったので安い羊肉を使うことを思いつき、クセのある羊肉の匂いを美味しく仕上げるためにニンニクを刻んで入れたそうだ。当然、今は餃子に羊は使っていないが、今なお変わらずにビールに合う美味しい餃子を食べさせてくれる。焼餃子、水餃子ともに美味いのだ。
元々、餃子は水餃子であって、もちもちで肉厚の皮だったのだが、同じ皮でも薄くすることで沢山の数を作れることから薄い皮の焼き餃子が普及していったらしい。
お客に出していた水餃子が余ると従業員のまかないとしてそれを鍋で焼き直して食べていたのが焼餃子の始まりらしい、とも教えてくれた。

中国でも「餃子」と云えば水餃子であり、焼いた餃子の事は「鍋貼児」と呼ぶそうだ。鍋に貼付けて焼く所から来ているらしい。
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そんなウンチクに耳を傾けながら、焼き餃子を一皿と塩味に仕上げてもらった「あんかけカニ玉」をつまみに大瓶2本が空いた。
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さて、〆の炭水化物はどうしようか、と悩んでいたら、「羊肉使った美味しい麺、食べますか?」との誘惑。
2階のジンギスカン鍋は辞めてしまったけれど、羊を使った料理はまだ残っていたのだ。そして、ミンミンの隠れメニューである「羊肉のてり焼きを乗せた拉麺」を頂く事にした。あぁ、中国の味がする。
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やれ、ダシがどうの、とか家系だとかの巷のこだわりらーめん屋よりも、素朴でシンプルな中華麺はホっとする味わいだ。

あぁ、何年ぶりかの訪問だったが、店の規模が小さくなっただけで、味は変わらず美味しかった。

さて、ハチ公前を渡り、渋谷『のんべい横丁』まで行くとするか。
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この辺りから山手線の脇を見上げるのが、何ともホっとするひとときである。特に雨上がりの夜などホントに良い雰囲気なのだ。
by cafegent | 2007-07-25 17:06 | 食べる
今、上野公園の奥、東京芸術大学の大学美術館に於いて、『金刀比羅宮 書院の美 - 応挙・若中・岩岱 -』展が開催されている。
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日頃から「こんぴらさん」として慣れ親しんでいる香川県の金刀比羅宮は、膨大な文化財を保有していて、過去数々の美術芸術品が奉納されてきた。
今回は重要文化財に指定されている表書院と奥書院の障壁画の中から代表的な応挙の鶴の絵、虎の絵や七賢人を描いた作品、伊藤若冲の「花の丸図」、また岩岱や邨田丹陵の襖絵なども展示され、これだけ多数の障壁画を金刀比羅宮以外の所で観られるのは初めてだと伺った。
それにしても、展示の仕方が凄い。まるで同書院にいるかの如くその部屋通りに再現されているのだ。これは、現地を訪れたっていつも見られる訳ではない作品を持って来ているので必見だ。

移動が可能な襖絵などは実物が運ばれ展示され、保存状態が悪い作品や壁に描かれた作品等は現代の技術の力技で再現された画像をインクジェットで出力し精巧なレプリカが展示された。しかしながら、そばに寄って凝視しないと判らないほど見事な再現力なので、只ただ驚いた。

まずは、丸山応挙の『遊鶴図』の広間が再現されていた。
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シンプルに描かれているのに観ているうちに生きているような錯覚に陥ってしまう鶴の襖絵だ。この鶴はどこを向いているのだろうか、と左の襖を挟んで隣角を観ると別の鶴がちょうど陸地に舞い降りてきているのだ。この絵を観ることが出来ただけでも本展覧会に来た甲斐があった。

次も応挙の『遊虎図』。これは圧巻。
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京都絵画界を牽引した応挙が50代になってから取り組んだかなり晩年の作品で、三面を取り囲む襖16枚に様々な姿の虎が8頭描かれている作品。
背景はわざとデフォルメして描かれていたり、平面的なので、虎だけが動きのある描写で観る者に迫る勢いだ。グっと襖の前面にせり出してくるような虎は今にもこの襖から飛び出してきそうな気配なのだ。こちら側をじっと見つめる虎は「八方睨みの虎」と呼ばれているが、応挙は本物の虎を見ることが無かったので、猫の描写を参考にしたとも云われているそうだ。どうりで、どの虎もどっか愛くるしい感じがする。

その次も応挙の『竹林七賢図』、岩岱の『水辺花鳥図』、『群蝶図』等々と見事な空間が続いていく。
数々の間を過ぎると、今度はこれまた必見の伊藤若中の「小宇宙」の部屋が登場する。
そこには若冲がこんぴらさんの奥書院「上段の間」に描いた『花の丸図』の間が再現されていた。六畳間程の小さな空間に博物画とも云うべき見事な細密画で描かれた花の数々はまるで「小宇宙」だ。
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これはもう圧巻と云うべき世界であり、「百花繚乱」とは正にこの作品をさすのだろうか。襖、壁と四方すべてに等間隔で様々な花が描かれていて、若中の絵に対する執着と動植物、昆虫、野菜等々の日々の観察力が脳裏に浮かび、観ていて身震いする程の緊張感さえ覚える展示であった。
応挙の『遊虎図』の広間もそうだが、実際にこの部屋に通された人は、どんな思いで待っていたのだろうか、そっちの方が興味深かったのだ。
ただ、絵を鑑賞するのではなく、自分がこんぴらさんの広間にワープしてしまった感覚になれる再現の展示手法は、「展覧会」の新しいカタチを見い出してくれた。
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9月9日まで開催されてるので、この機会に是非日本が誇る作品に触れて見て欲しい。
「金刀比羅宮 書院の美展公式サイト」

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どっぷりと絵を堪能した帰りは、『聚楽』の座敷席でキッチュな酒盛りをするも良し。
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さもなくば、アメ横ガード下『モツ焼き 大統領』で馬モツ煮込みに酎ハイも更に良し。
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上野を大いに楽しもう。
by cafegent | 2007-07-24 16:38 | ひとりごと
シネカノンの宣伝プロデューサーをしている松井晶子さんからご案内を頂いていたので、映画『ミルコのひかり』の試写会に行って来た。

6年程前に「イタリア映画祭」で観た『ペッピーノの百歩』と云う映画があった。
マフィアが身近に住み、彼らの世話係で生計を立てていた家族と共に育ったペッピーノが、社会に出て反マフィアとして活動し、短い生涯を閉じるまでのドラマであった。社会性の強い内容ながら、当時のイタリアを生き生きと描いていて、僕の記憶に長く残っている作品だ。

その映画の脚本を手掛けたモニカ・ザペッリが本作品でも監督と共に共同脚本を担当している映画が『ミルコのひかり』だ。
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この映画の主人公は、サウンド・デザイナーとして今現在イタリア映画界で活躍しているミルコ・メンカッチをモデルにしている。

トスカーナ地方でのびのびと暮らしていたミルコが8歳の時に家で起きた不慮の事故によって目を患い、当時の法律の為にジェノヴァの全寮制盲学校に転入させられる。
そこで見つけた1台のテープレコーダーによって、目が見えないながらも、『音』の魅力を発見し、その『音』を通じて盲学校の仲間たちと少しずつ距離を縮めて成長して行く姿を見事な映像と音で描いた素晴らしい作品だ。

視力を失った事で閉ざしていた心を『音の世界』を知る事で克服していき、古い学校の確執により葬られようとするミルコの類い稀な才能を彼の理解者である牧師や寮母の娘フランチェスカ、そしてミルコが目指そうとする盲目の青年マルコたちによって支えられ、成長していく姿を実に素晴らしい物語作品として仕上がっている。

数十年も「クリエイティヴ」を生業にしていると、無邪気に創造の世界で楽しく遊んでいた事など遠い昔の事かと忘れがちだが、『ミルコのひかり』を見終わって、ふと思ってしまった。
仕事など抜きにして、常日頃から目にし、耳にする事柄からイメージを膨らませる事をし続けていないと、結局「仕事」として納得の行く「クリエイティヴ」など提案出来ないのかなぁ、と。

この映画でもうひとつ強い印象に残った事があった。
盲学校でのミルコの友人となるフェリーチェの役なのだ。その役どころを実際に盲目の少年シモーネ・グッリー君が演じているのだが、彼の存在がこの映画をより一層魅力的に引き立ている。そして、「身体が不自由でも自由な好きな生き方を望んで、何がイケナイのだ。」と気付く神父の願いを、観ている僕らにより強く印象付けているのがシモーネの演技だ。

実際のミルコは僕より1つ年下なのだが、この映画を観ていて、同じ時代に生まれながら日本とイタリアではこんなにも環境が違うものなのか、と思った。
でも、この事件がきっかけでその後、目が不自由でも一般の学校に通える事に法律が変わったそうだ。自由に生きたいと願う力が人々を奮い立たせ、そして古い慣習、法律までもを動かしたのだ。

脚本も良いし、映像も音も素晴らしい。ミルコが音から感じ取るイメージを紡ぎ合わせたテープを回すと、その音が映像として画面一杯に広がってくる。やり過ぎじゃないCG映像の使い方も良い。
でも、ここに登場する子供たちが実に魅力的だ。こんな素敵な映画を撮ったクリスティアーノ・ボルトーネ監督の名前は今後、要チェックしなくてはならない。

レコードをクレジット買いする様に映画もクレジット観をすると結構アタリが多いのだ。
9月上旬から渋谷シネアミューズ、等で一般公開となる。
映画『ミルコのひかり』は是非多くの人に観てもらいたいと、素直に感じた秀作だ。
「ミルコのひかり公式サイト」
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『ミルコのひかり』(2005年  イタリア映画)
監督・脚本・プロデューサー:クリスティアーノ・ボルトーネ
共同脚本:モニカ・ザペッリ、パオロ・サッサネッリ
出演:ルカ・カプリオッティ、パオロ・サッサネッリ、マルコ・コッチ、トニー・ベルトレッリ
音楽:エツィオ・ボッソ
上映時間:1時間40分
配給元:シネカノン

2006年サン・パウロ国際映画祭観客賞受賞作品
イタリア映画祭2007参加作品
by cafegent | 2007-07-23 18:20 | ひとりごと
夏が近づいて来て、梅雨明け前から外は蒸し暑くてたまらんねぇ。
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先週末、十条の『斎藤酒場』で『ビアライゼ’98』の松尾さんにお会いしたので、昨日は新橋まで美味しいビールを戴こうと『ビアライゼ’98』に行って来た。

暑さを吹き飛ばしたい連中が多いのか、店は大盛況で外にまでテーブルが出ていた。幸い僕は一人だったのでカウンターに一つ空いていた席に座る事が出来た。
茹でアスパラガスをアテにグビっと4口で最初の一杯を飲み干してしまった。やっぱり夏はビールに限る。

松尾さんから『斎藤酒場』のどこが気に入ってますか?と訪ねられたので、僕は壁に貼ってある品書きの短冊に「冷やしビール」って書いてあるところが何ともたまりませんねぇ、と云うと松尾さんも「そうなんですよ、あそこのビールの冷やし方良いですよねぇ。」って答えてくれた。
ビールなんだから冷たくて当たり前って云ってしまえばそれまでだ。

最近はどこの店に行っても最新の冷蔵庫でガンガン冷やしている訳だが、『斎藤酒場』は水の入った冷蔵庫の中で瓶ビールが気持ち良く冷やされているのだ。
それをおばちゃんたちが注文がある都度にひょいと抜いて布巾で丁寧に水を拭いて持って来てくれる。
そう、冷えすぎず、ほど良く美味いと感じられる冷たさを保っている。

生ビールに限って云えば、松尾さんが注ぐ『ビアライゼ’98』と『銀座ライオン』の海老原さんの注いだモノが一番好きなのだが、瓶ビールとなると『斎藤酒場』は実に良いのだ。
祭りや縁日に行った時でも露天で缶ビールや缶酎ハイが冷たい水の中に浸かっているのを見ると美味そうでついつい買ってしまうものである。

そんな話をしながら3杯目の生ビールを呑んでいた所でメイルが入り、呑みのお誘い。
向うも銀座を出ると云うことなので、新橋駅のSL広場で待ち合わせをする事にした。
僕は待ち合わせの場所としては、渋谷のハチ公前よりもこのSL広場の方が馴染むなぁといつも思ってしまう。待ち合わせの雰囲気を高めてくれるのだなぁ。

ビアライゼからのんびり歩いているとちょうど良いタイミングで合流。

夏はスタミナ、うなぎだぜ!っと勝手に決めているのでこの時期数ヶ月間はとにかく鰻を食べる機会が多いのだ。
で、目指すは新橋柳通り沿いにある『多吉』へ。
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丁度1年前まで僕のオフィスもこの柳通り沿いにあったので久しぶりに来たのだが、この店は何十年も変わらない佇まいが好きだ。ここの扉をくぐると昭和にタイムスリップした感を覚えるのである。
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時折映りの悪いテレビに話しかけ、鰻の串をアテにキンミヤ焼酎をやるのがとびきり幸せな時間なのだ。
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オヤジさんが一人で切り盛りしているので、マイペースで実にのんびりとやっているのも、また良しだ。
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まずは、通しのお新香をつまみ瓶ビールを1本。オヤジさんはせっせと串を刺している。ここの串は最初が6本のセットを注文する。
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その後は好きなモンを頼めばよい。「えり」「きも」「れば」「ごぼう巻き」「短冊」「つくね」の6串で1,550円である。鰻のつくねと云うのもこれまた美味い。
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3串程食べたところで、キンミヤを戴く。
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ここはグラスに溢れる程にたっぷりと注いでくれるので、サワ−1本頼めば充分2杯楽しめるのだ。追加で「ひれ」を塩で焼いてもらう。
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キンミヤは美味いが酔いも早い。もう一杯お代わりをしたら十分すぎるほど酔ってきた。

〆に酔い覚ましの一杯だよと、オヤジさん特製のスープを戴いた。
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このスープ、鰻の出汁で取ったスープなのだが、トマト味に仕上げてあって上品なミネストローネなのである。

最後にこんなのを出されてしまうと、もう完全にノックアウトなのである。うーん、美味すぎて、もう何も言葉が出ない...。
いや、口が勝手にしゃべりだした、「オヤジさん、おかわりもう一杯ッ!!」。
おあとが宜しいようで。
by cafegent | 2007-07-23 12:27 | 食べる
金曜の晩は空が奇麗な茜色に染まっていたが、週末3連休のスタートは朝から雨だったなぁ。
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ここ数年毎年楽しみにしている『大銀座落語祭』が12日から5日間開催されていたので、中でも楽しみにしていた林家正蔵の会を観て来た。
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この『大銀座落語祭』、今年は「東西味くらべ!落語満干全席」と銘打っているが、銀座を中心になんと12会場で60もの公演が繰り広げられるのだから凄いのなんの。落語家だって400人も登場するのだ。
沢山の方々に落語に触れて頂こうとの試みから一番高い入場料でも5千円だ。そして、50以上の催しが千円、800円、入場無料なんである。タダで立川志の輔や林家正蔵なども観られるので、素晴らしいイベントなのだ。
中でも注目すべきは、現役引退を表明してた三遊亭園楽師匠が久しぶりに高座に上がる事だ。落語家以外でも役者、風間杜夫や小沢昭一が登場したりする。また南原清隆は「ナンチャンの落語会」を開き、あの「芝浜」を演じるらしいし、稲川淳二のミステリーナイトやコロッケものまねオンステージと多種多彩の内容。

この催しは4年前から春風亭小朝の呼びかけの元、笑福亭鶴瓶、林家正蔵、春風亭昇太、立川志の輔、柳家花緑から成る「六人の会」が中心となって全銀座会、銀座連合会、西銀座通会と共に実施しており、落語を「デパ地下の試食のように気軽に楽しんで欲しいと」の思いから4回目を迎えた。
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で、僕が観に行ったのは14日の土曜の昼。東銀座で地下鉄を出て、万年橋から祝橋を過ぎて銀座ブロッサム中央会館へ。毎年違う図柄の団扇をもらい、会場へ上がる。それにしても雨の中満席である。
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「九代目 林家正蔵」を襲名してからとメキメキと芸に磨きがかかっている(と、僕は思っているのだが)こぶ平改め正蔵の落語が聴きたくて、この日の会に行く事にしたのだ。

三部構成になっており、まず第一部が「林家たい平・風間杜夫 二人会」だ。以前、桂歌丸や鈴々舎風車で一度聴いた古典落語の「お見立て」をたい平がテンポ良く演じていてたが、いま旬なネタも織り交ぜながら余裕たっぷりの一席だった。
代わって、風間杜夫も古典落語「酢豆腐」を演じた。それにしても役者と云う職業は凄い。演じるとは云え、芝居は誰かと演じ、落語は全てを一人が演じる訳だが余りに上手すぎて噺家○○○さんを演じた風間杜夫に見えてしまった。噺の中にアドリブが無い分随分と緊張をしていたんだろうなぁ、と思いながらも十分楽しめた一席だった。ちなみに「酢豆腐」とは「知ったかぶり」の事で腐ってしまい匂いのキツい豆腐を知ったかぶりの若旦那に珍味と称して喰わせてしまう噺だ。
終了後、二人の対談があって15分の仲入り。

第2部は「林家正蔵の会」。
前座は林家一門、林家しゅう平の「袈裟御前」だったが、しゅう平自慢の唄の披露がちぃとばかし多すぎた感が残った。噺の方はあっちこっちの飛びながら、最後は定石「今朝のご膳が...」で締めた一席。

そして、この日一番のお目当てである林家正蔵の登場である。枕でも随分と笑わせてもらったが、この日の演目「お菊の皿」は良かった。
夏の一席と云えば怪談噺。毎年、圓朝祭でも怪談噺を楽しむが、番町皿屋敷の噺はいつ誰の噺を聴いても楽しめるから良い。きっと、この日の為に義理の兄、小朝師匠にみっちりと稽古をつけてもらったんだろう。
参考までに:落語「皿屋敷」の舞台を歩く

またも15分の仲入りがあって、第3部は「林家木久蔵・ケーシー高峰 二人会」で〆だ。
前座の高座にはベテラン林家時蔵が上がった。時蔵師匠は八代目林家正蔵に入門の後、木久蔵師匠の門下になった方だが淡々と語りながら笑いを誘う噺が僕は好きなのだ。

演目は「目薬り」であった。
目が悪くなったと長屋でゴロゴロしている貧乏亭主。米びつもスッカラカンだと、ここ3日ばかりふかし芋しか喰っていない女房。
大工は目を患うと仕事になんねぇやぃ、と女房を呼んで「近所回って、金と米を借りてきておくれ。ついでに目薬も買って来てくれ」って頼むノン気な亭主。
やれやれ仕方ないねぇ、と気の良い女房は云われた通りにお金の都合をつけて目薬も買って戻って来た。
と、そこまでは良いのだが、何ぶん学もなく漢字が読めないこの夫婦。

字を知らねぇ亭主が薬袋に記された使用法が皆目読めず「めじりに耳かき一杯の薬をつける」の「め」の字が解らない。こんな字に似たカタチがあったような、はて。「あぁそういやぁ、こんな字が銭湯の暖簾にあったぞ。たしか「女」と書いてあったから、こりゃオンナって字だろうよ。んーっ、何だ? おんなしりにつける? おぃ、女の尻に付けるんだってよぅ!」って、ああ大いなる勘違い。「女」と云う字と「め」という字、たしかに似てるか。

「あんたが目を患ったのに、何であたしの尻なのよぅっ!!」と嫌がる女房に「なぁに、ちゃんと書いてあるんだから仕方あるめぃっ 後ろ向けッ!」と、女房を後ろに向かせ、尻をまくってケツの穴に匙で救った目薬を付けようとするのだ。亭主がケツを触るのでむずがゆくなり腹に力を入れていると、ここ数日芋しか喰っていない貧乏な女房のこと、グッとこらえた途端に一発かましてしまったのだ。
デっかい屁の勢いで薬が亭主の顔の方に舞い上がり目の中に粉が入ってしまった。
「おいおい、大事な時に屁なんかこくんじゃないよ! 目に入っちまったじゃあないか。んーっ、そうか!この目薬、やっぱりこうやって使うのか。」おあとが宜しいようで。
短い一席ながら、なんとも楽しく笑ってしまい、更にまた時蔵の落語が好きになった。

そして最後は、昔「大正寄席」今は「笑天」のステージでお馴染みの大ベテラン「グラッチェ!」ケーシー高峰の医学漫談と林家木久蔵の創作落語。
時事ネタを織り交ぜながら会場とのキャッチボールで大いに盛り上げたケーシー高峰の後は近々息子とダブル襲名披露を控える木久蔵師匠。
ここん所、少々親バカネタを引っ張り過ぎ気味だが、可愛い息子の為仕方ないのかな。噺のまくら噺で最後まで突っ走るような木久蔵師匠お得意の新生落語。とりとめの無い様で次々と笑わせてくれたトリの一席だった。
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外に出るとまだ雨脚強く降り続いていたが、大いに笑ったお陰で気分は晴れている。時計に目をやると4時少し前。八広の『丸好酒場』に行こうかと思ったが駅から歩くので雨降りじゃない時にしよう、と銀座線で恵比寿に出て、そこから埼京線で十条へ。

『埼玉屋』は三連休だったので、駅の近くの『斎藤酒場』へ。
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雨だからか店内満席とは驚きだ。だって、まだ4時過ぎだぞ。
椅子をつめてくれたので、かろうじて座る事が出来た。「冷やしビール」を一本頼んで「冷や奴」を注文。
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ここの短冊には何故かビールにあえて「冷やし」と記されている。いつでもキンキンに冷えている事の誇りを表しているのだろうか、素晴らしい。ビールの後は酎ハイにした。ここのハイボールは日本堤の『大林」同様に下町ハイボールにみられるエキスは入っていないのだ。その代わり、かなりキツめの炭酸で焼酎を割ってくれる。このスーパードライなハイボールは、じめじめした今の季節にはピッタしの酒だと思うなぁ。
入口の反対側の席に見覚えのある顔を発見。新橋の名ビアホール『ビアライゼ ’98』のオーナー、松尾さんだった。そうか第2土曜日は休みなのか。
では、近々ビアライゼにも行って見ようか、と軽く会釈をひとつ。

もう一軒、駅近くで生ホッピーを呑ませてくれる『かの字屋』で軽くひっかけて、
埼京線で恵比寿まで戻り駅前の『カドヤ』へ。
ボールを呑んでいると、店長のジュンちゃんから試作品のコロッケを味見させてもらう。
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じゃが芋がほどよくゴロっと残っていて、牛スジコンニャクの味も効いて酒のアテに良い一品だった。

さて、次の土曜日は新宿,紀伊国屋サザンホールにて『桂文珍 大東京独演会』を観て来るのだ。『大銀座落語祭』では、関西の噺家を観れなかったので楽しみだ。

そして、来月5日は『圓朝祭』。そう云えば、今年から名称が変わり『落語協会感謝祭 〜圓朝記念〜』になったそうだ。
7月25日の前夜祭『ぼくらの圓朝祭』では、林家正蔵が三遊亭圓朝作の「心眼」をやるらしい。こいつも今から楽しみだな。
by cafegent | 2007-07-19 16:28 | ひとりごと
7月某日
朝早く起きて、散歩でもしようと東大医科学研究所の構内を歩く。
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この辺りは「八方園」の日本庭園もあるし、武蔵野の原生林をそっくり移した「自然教育園」もあり、案外と緑が多いのだ。
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都ホテルを過ぎ、白金高輪の駅を抜けて四の橋、天現時とグルッと回って40分程の散歩になった。うん、ほど良い汗をかいた。

夜は、今後の事業展開に向けて役員(と云ってもブタドクロ)たちと一席設けた。
麻布十番の『鳳仙花』を過ぎてしばらく歩いた左側あたり。角を曲がり静かに佇む懐石料理『橘花樓』へ。

それにしても夕方6時半頃の麻布十番の裏手側には怪しいスモークグラスのストレッチ仕様のメルセデスやオーストリッチなんかの小さな取っ手付きクラッチバッグを下げた一癖も二癖もありそうな方々が通り沿いにうようよしている。その手合いの事務所も多いエリアだからなぁ。

その日は、打合せと云う事もあり個室を用意してもらった。
その座敷が意外と小さくて図体のデカい男4人ではちとキツい印象がしたが、掘りごたつ式だったので多少は楽だったのでホッとした。

先付けに蛸とカボチャの冷製、そして鯛の刺身、生麩とじゅんさいのおすまし、等々が出て、さぁここの名物が登場だ。
丁度今の季節には長良川で育った天然鮎が出る。それもご主人の橘内さんがフランス料理のエッセンスで卵白で固めた塩で鮎をまるごと包んで焼く「天然鮎の塩釜焼き」なのだ。
パカッと二つに割れた塩釜の中にはふっくらしっとりと蒸し焼きになった鮎がいる。
香魚ならではの鮎の旨味が口の中でふわっと広がり、長良川の清流が頭の中いっぱいに広がってきた。
そう云えば、ブタドクロはかつて子供たちを集めて、「長良川冒険学校」を開催していたんだっけ。

続いて出たのは「アワビと鱧」。こちらのハモは、なんとお酢のジュレで戴くのである。夏に向って清涼感たっぷりの料理で、ジュレ好きにはたまらん一品だった。

〆は鯛飯に赤出しの味噌汁。あっさりと薄味に炊き上げた鯛飯がめっぽう美味くて皆おかわりをしていた。

料理はこれで全部出た。そんなに量が多い訳ではなかった筈なのに結構満腹になった。最後のご飯が効いたのかなぁ、苦しい。

一段落した処で素晴らしい茶器に点てた抹茶を戴き、腹を落ち着かせる。
お茶と一緒に出て来た甘味は、なんとも大人の味わい。
フワトロで冷え冷えの真っ白なブラマンジェは、さて何の味だろう。
女将に聞けば、日本酒の酒粕をたっぷりと使っていると云う。添えられた黒糖の水ようかんもさっぱりとして良い締めくくりになった。ご馳走さまでした。

さて、有意義な食事会になったと思いつつ、僕らは渋谷「のんべい横丁」へ。
by cafegent | 2007-07-12 12:30 | 食べる
7月某日
堀切菖蒲園の駅を出るとすぐ車道の向う側に『きよし』が佇んでいる。午後3時から開いているし、年中無休なので週末の午後にのんびりと酔うのにはいい。
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270円のハイボールを頼むと冷えた炭酸を一本まるごと勢いよく注ぎ、ニッカ・ウィスキーのボトルに入ったエキス入り焼酎を溢れんばかりになみなみと注いで出してくれる。
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エキスで薄まっていると云えどもかなりの焼酎の量なので、いい気になって杯を重ねていると結構酔いの廻りも早いのだ。ここは、ウィハイも同じ値段だから、ウィスキー好きにも良いかも。
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入るとすぐカウンター席であり、小さな店だと思うが実は奥が広く近所の常連さん達が入れ替わり立ち代わりやって来て奥の席で盛り上がっている。で、当然お店のママさんたちもそっちの方が忙しいのでカウンター席の方には誰もおらず、お酒を作る時だけ登場する。「何か欲しいモノがあれば、これ鳴らしてねっ」ってカウンターの上には幾つもの呼び鈴が置いてあるのが可愛い。

最初のうち、遠慮がちにこっちに用事で来たついでに注文をしようとしていたが、「欲しいときは遠慮せず鳴らしてね」ってママに云われてからは、以後は気にせず鈴を鳴らすようになった。

ここは仕事帰りに毎日立ち寄れる位、価格設定も安いのが嬉しい。と云ってもキョンキョン主演の「センセイの鞄」に登場したような風情ある居酒屋ではなく、女性一人だとかなり気合いを入れないと戸を開けられないような雰囲気もあるかなぁ。
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「みょうがの天ぷら」280円に「コンビーフ」380円、「卵焼き」250円を頼んだが、量もたっぷりで嬉しい限り。寒い時期ならば「湯豆腐」450円もいい。

呼び鈴鳴らして〆の一杯を頼み、ぐいと飲み干す。ここも「丸好酒場」同様に呑んだ杯数だけ炭酸の瓶がカウンターに並べられるのだ。
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さて、時計を見ると夕方5時になろうとしているので、ママにお勘定してもらい外へ。

まだまだ眩しい空を眺めつつ、ぷらぷらと駅前の道を左に歩き、5分程で『のんき』へ到着。
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開店直後だと云うのに既に何組もの先客が居た。ここは厨房を挟んで二本のカウンターになっているので入口もふたつ在る。既に呑んで来ているのでトイレが有る方のカウンターへ座る。
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ここでも氷無しの焼酎ハイボールを頼み、まずは「白タレ」と「レバ生/にんにくダレ」を戴く。
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『のんき』のモツ焼きは一皿4串なのだが340円なので、1本あたり85円になり立石『宇ち多”』の一皿2串170円と変わらない。そして一人だと2種類2串づつ一皿にしてくれるのも嬉しい限り。

少し後に入ったお客さんが僕の隣に座った。おや、デカイッ。随分と恰幅の良い方だなぁと顔を見ると、向うが「どうもっ」って頭を下げてご挨拶された。名前は出ないが顔見知り。そうだ、立石『宇ち多”』の常連さんだったのだ。
隣駅のお花茶屋に住んでいるので休みの日はチャリ漕いで『のんき』に来ているそうだ。いいなぁ、近所にこんな良い店があって。
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「たん塩」に「シロ生/にんにくダレ」、〆に「かしらタレ」で終了。
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ハイボールは都合3杯だった。下町ハイボールは、氷が無い分量があるから酔うのだなぁ。
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外へ出ると空が茜色になり出していた。
梅雨明け前のこんな週末は、何と心地が良いものだろう。
by cafegent | 2007-07-11 16:30 | 飲み歩き
夕方6時。外はまだ日差しが強く、かなり湿度も高い。紀尾井町のニューオータニに着くとドっと汗が吹き出した。化粧室で顔を洗い、汗が引いたところでタワーから本館へ。『バー・カプリ』で一杯では無く、手前の『トゥール・ダルジャン』のウェイティング・ラウンジへ。いつもながら思うが、壁に飾られた51人の肖像画が圧巻だが、時にじろりと目が動いて誰かに見られているのでは、と云う気配を感じてしまう事がある。
重厚なソファに腰を落とし、外の日本庭園を眺めながら冷たいキールを頂いた。ここのキールは生のブルーベリーが数粒浮かべてあって必ず頼んでしまうのだ。うーん、汗を引かすのに丁度良いなぁ。他の連中は煙草が吸えるのはこのバーラウンジだけだから、としきりに煙草に火を付けていた。喫煙者は大変だなぁ。

一息ついたところで、メイン・ダイニングルームへ案内してもらう。エントランスホールの歴史ある品々を拝見しながらダイニングへ向う時は何か儀式にでも参加するような緊張感があって良いのだ。
いざ、ダイニングに入ると80席程ある広い部屋に客は僕らだけ。

おぉ、さすがこんな早い時間だと誰もいないのかと「えぇ、今日は僕らの貸切なのでー!」と平気でホラを吹き窓側の角の席へ座る。
夕暮れの蒼い空に変わって行く中での至福の宴に、いざ乾杯。

最初はボルドーサンジュリアンの「シャトー・ベイシュヴェル」1996年を頂いた。帆を半分下げた船の図柄が印象的で覚え易いが、味もしっかりとしていてフォアグラのソテーとの相性もバッチリだった。
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メートル・ド・テールの三谷さんオススメは、今月末までフランスはブルターニュ地方から活きたまま空輸されてくるオマール海老でした。
オマールはソテーとかカルパッチョ、フリカッセなどどれも美味しそうなメニューが用意されていたが、昨日もとにかく暑い一日だった。湿度の高い梅雨の暑さを吹き飛ばしたいし夏はこれだ、と「オマール海老のコンソメジュレ エストラゴン風味」を頼んでみた。
夏は居酒屋に行っても大抵「ふぐ皮の煮こごり」や「どぜうの煮こごり」なんぞをアテに一献つけるが、同様にプルンプルンとしたジュレは喉を通るだけで爽やかになるのだなぁ。

連れの頼んだキャビアとソバ粉のガレットがもの凄い氷の彫刻の上に鎮座してきて一同ビックリ。あの巨大な物がテーブルに乗るのかとおもいきや、そこから三谷さんが丁寧に取り分けてくれた。あぁ、キャビアも腰が抜けるほど美味かった。あれにはキリリと冷えたシャンパンが合うんだろうなぁ、と思いながら微炭酸の水で我慢した。

そして、メインの鴨料理。トゥールダルジャンを代表する一品「幼鴨のロースト”マルコポーロ”」と「幼鴨のロースト”オレンジソース”」を皆で取り分けることにした。マルコポーロは、4種の胡椒を使った香りの高いソースで必ず食べたくなるのだ。

さて、鴨に何を合わせようかと考えて、今度はブルゴーニュの逸品ドメーヌ・コンフュロン・コテティドの「ヴォーヌ・ロマネ」1999年赤を選んでみた。
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創業420余年、トゥール・ダルジャンの19万4千32羽目の鴨に感謝しつつ、濃厚なソースをたっぷりかけてパクリと頂く。うぅ、至福の時。ワインとの相性もバッチリだった。
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最後は、外はカリっと中はジューシーな鴨のもも肉のコンフィの様な料理で〆る。
4人で数種類を取り分けたから、結構お腹一杯になったが、昼飯を食べる時間がなかったので丁度良かった。
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食後にはお待ちかね、メートル・ド・テールのパフォーマンスが素晴らしいデザートで。
クレープにたっぷりとお酒を振りかけ仕上げていき、目の前で炎が立ち上がり、食後の歓談もしばし中断し見とれてしまう程である。
僕は「ピーチのフランベ フランボワーズの香り」を頂いた。皿の上の丸い桃に炎を上げたブランデーを注ぎフランベするのだが、結構強い酒が効いてかなり美味かった。
これには、ボルドー・ソーテルヌの貴腐ワイン「シャトー・ギロー」1989年を合わせてみた。甘さの中に少しスパイシーな香りを含み、とても味わい深かった。ポートワインにしようか迷ったがこちらにしてみて良かった。

今日から10日間、トゥールダルジャン「パリ祭」が開催されるとの事だ。1867年にロシア皇帝アレクサンドル2世と皇太子、プロシア王ギョーム1世の三皇帝が一同に会した「三皇帝の晩餐」は、トゥールダルジャンの地位を不動のものにしたそうで、 今年はその「三皇帝の晩餐」の140周年なのだそうだ。
それを記念し、パリ本店からオーナー、総料理長、シェフ、ソムリエ、メートル・ド・テルが一挙来日し、「パリ祭」を開催。凄いねぇ。
でも、そうそう立て続けには行けないのだ。皆さん、代わりに是非どうぞ。

それにしても王道のフランス料理は、やはり素晴らしい。
料理も良いが、なにより人が良い。前に出過ぎず、それでいてこちらの欲する事にサッと気付いてスマートに対応してくれる。
僕もついつい、新しいレストランに行ってしまう機会が多いが、たまに「ハレ」の日を楽しむにはここはオススメだ。
パリの本店は3つ星から格下げになったそうだが、『トゥール・ダルジャン』は安心して人をもてなす事が出来る名店だと思う。
by cafegent | 2007-07-06 19:14 | 食べる