東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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新宿駅から特急あずさに乗って、「甲斐の国」甲府へ向かった。
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甲府駅前では、大きな武田信玄の像が街を見渡している。今年は大河ドラマ「風林火山」のお陰で、随分と町に活気が溢れている様子だ。

紅葉の時期はまだ1ヶ月以上先であるが、自然溢れる渓谷を歩きたくなって「昇仙峡」を訪れた。

小川のせせらぎに耳を傾け、渓谷沿いを登る。天神森から仙娥滝まで1時間ちょっとかけて歩けば、結構な運動だ。亀石、猿岩、ラクダ石、松茸石、寒山拾得岩、登竜岩と進むと休憩所「グリーンライン昇仙峡」に出るので、ここで一服。

なだらかな坂を上がり、川の向うにそびえ立つ「覚円峰」、「弥三郎岳」を望み、石門をくぐると昇仙橋に出る。ここを渡り、石段の遊歩道を登りきれば、雄大壮厳「仙娥滝」が目の前に現れる。
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白い水しぶきを上げ、唸る様な音と共に流れ落ちる滝はしばし足を止めて魅入ってしまう程だ。風に乗り、顔に当たる水の飛沫は、やはりマイナスイオン効果でも有るのだろうか。随分と心が和らぐものであった。

ロープウェイに乗り、先程見上げた石の峠を登るとそこに広がるは、更なる絶景。この日はあいにく曇り空だったため富士山を望むことは出来なかったが、眼下に広がる雄大な景色は目を見張るものがあった。ベンチに座る老夫婦が遥か遠くの山を望み語り合っていた。あぁ、自分もこんな仲睦まじい老後を過ごせるのだろうか、とそんな事が頭に浮かんでしまった。
さらに足場の悪い山道を歩き、ひたすら歩き進むと「弥三郎岳」に辿り着く。雄大な景色に囲まれる中、額の汗を拭い、鞄の中から一冊の本を取り出す。最近手に入れた池田弥三郎の随筆である。
弥三郎岳の上で読む池田弥三郎、これをずっとやってみたかったのだ。別段、意味の在る事では無いのだが、大いに満足なり。

さて、甲府駅に戻り、もうひとつのお目当てである「ほうとう」を食べることにした。この「甲州ほうとう」と云うモノ、カボチャがふんだんに入っていないと駄目である。そして、言う事無しの美味しい「ほうとう」を喰わせてくれるのが『小作』だ。

ここの名物「かぼちゃほうとう」は云わずもがな、であるが、僕は「カレーほうとう」が好物である。
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外が少し肌寒くなってきた頃からは、最高である。夏の時期は「おざら」と云う、冷えたほうとう麺を具の入った温ツユで食べるのも良い。
注文してから、15分から20分程度かかるため、数品肴をとって酒でも呑む事を薦める。「鳥皮の酢の物」や甲府地鶏を使った焼き物、「煮貝」なども酒に合う。変わった所では「さくらんぼのしば漬け」なんてのも美味い。
一献つけているうちに「ほうとう」が運ばれて来る。
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舌が焼けただれるほど熱々のほうとうをふぅふぅ冷ましながら食べれば、気分は武田信玄か。季節野菜もふんだんに入っており、いつ食べても期待を裏切らないのである。
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富士山周辺には河口湖や山中湖あたりにも名物「ほうとう」をウリにしている店が数多く在るのだが、人それぞれ自分の好みで店を選ぶのも大いに結構である。ただ、僕はここ『小作』が好きなのである。
かつて獅子文六宗匠が「食魔」とあだ名を付けた程の食通、狩野近雄の名著「食いもの好き」から言葉を借りれば、働く人の姿も、厨房から響く声も、醸し出す佇まいの雰囲気も、おおむね古い暖簾の方が心がけが良い、のである。
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土産に買った桔梗屋の「信玄餅」もまた期待を裏切らない老舗暖簾の味であった。
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by cafegent | 2007-09-26 19:18 | 食べる
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1970年代の終わり、若者の間では「サーフィン」が大流行していた。当時、まだ学生だった僕は10万円近くもするサーフボードなどとてもじゃないが高価で手が出なかった。あの頃は、男はジンスラ、女はエンジェルフライト履いて六本木のディスコに通っていた時代だ。
アディダスの「TABACCO」買う為バイトして、ポパイを欠かさず読み、西海岸に憧れたのは僕だって他のサーファー連中と一緒だった。

そして僕は波乗りでは無く、2000円前後とかなり安価な「フリスビー」を手に入れた。たちまちこのプラスチック製の円盤に夢中になり、駒澤公園や代々木公園などでチームを組んで、風に舞うフリスビーの虜になっていた。全国に様々なチームが出来て大会で競い合ったり、「日立サウンドブレイク」と云う音楽と映像のTV番組にもフリスビーに興じる姿でチーム皆で登場したりしていた。その姿、あの頃のAORサウンドに何と似合っていたコトか。

’78年に東急ハンズ渋谷店が開店して、そこで初めて「フリスビー・ディスク」を買ったのだ。しかし、ハマればハマる程、追求するタチだから、ハンズの品揃えでは到底満足できなかった。吉祥寺の『エアエース』と云う店が唯一のフリスビー専門店だったので、随分と足繁く通ったものだった。そこで、いろんな種目用のディスクを手に入れては、ゴキゲンで駅に戻り、駅近くの喫茶店でケーキを食べていたものだった。
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そのケーキが美味い喫茶店が『ボア』であり、僕はここの「サバラン」に目がなかった。先日、新聞の記事で、9月一杯で『ボア』が閉店すると知った。1947年創業だから、50年の歴史を誇る老舗である。
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店内には大きな東郷青児画伯の絵が飾られており、店名も画伯自身が、「森」を意味するフランス語ボアと命名したと云う。
社会に出て、フリスビーとも縁遠くなったが、吉祥寺に来ると『ボア』に寄ったものだ。本屋で買った雑誌をここで開き、珈琲とサバランで楽しい時間を過ごすのが好きだった。
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店の入口で販売していたケーキ類も数年前にやめてしまったが、珈琲の味は今も変わらない。
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最近は、390円の「玉葱たっぷりベーコントースト」がお気に入り。
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週末などはこれで小腹を満たし、昼過ぎには「いせや」に向かったものだった。その「いせや」ももうすぐ真新しいビルになろうとしている。
時代は移り、何だか淋しい気もするが、それも仕方の無い事だ。秋分の日の朝、井の頭線に乗って吉祥寺まで出掛けた。『ボア』の扉を開くと、いつもと変わらないホっとする雰囲気が待っていてくれた。
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珈琲の香りが立ちこめる中、店に置かれていたノートに昔の思い出を書き残してみた。
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時折、顔を覗かせるオーナーの星野さんに話を伺うと、「新潟の震災を見たら、怖くなっちゃってねぇ。古い建物だから地震で壊れたりしたら嫌だからさ。」と笑って語ってくれたが、本当は誰よりも一番この店を閉めたくないんじゃなかろうか。話をしていて、そんな気持ちが伝わってくると、なんだか切なくなった。「もう数日ですね。」と云うと、閉店を惜しむお客さんがひっきりなしに来るので、もう1、2週程続けてみると言っていた。

あの頃は、東郷青児の絵などまるで興味が無く、フリスビーに夢中になっていた訳だが、今頃になって漸く画伯の絵画に惹かれてくるようになった。これ、すなわち「歳を重ねてこそ解る」と云う殊か。

『ボア』を出て、井の頭公園まで歩く。
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公園手前の『いせや』は昼過ぎだと云うのに賑わいを見せていた。特製焼売をアテに大瓶「赤星」を酌む。総本店が改装中で仮店舗営業になっているが、公園前店はいつも通りだ。風が気持ち良い今時分の季節は、奥の窓側席が良い。井の頭公園の雑木林を望み、真っ昼間から酔うのが実に心地良い。
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220円の焼酎に梅エキスを垂らす。この梅酎を2杯もやれば、ドカンと夢見心地。
公園のベンチで昼寝して、酔いを覚まし駅に向かう。
駅前のバー『セザンヌ』はまだ健在だ。ここも確か50年以上続いていいるんじゃないだろうか。自分より年上の老舗は、いつまで経っても頭が上がらないモノなのだ。b0019140_1254266.jpgb0019140_1255443.jpg
by cafegent | 2007-09-26 12:10 | ひとりごと
丸の内の『出光美術館』にて「仙厓・センガイ・SENGAI 禅画にあそぶ」が開催されている。
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仙厓は、江戸の後期博多の禅寺・聖福寺の住職として町の人々に親しまれたお坊さんである。仙厓さんは、晩年、多くの「禅画」を描き残した。そのどれもがユーモラスであり、かつオリジナリティに溢れ、禅の持つ世界を見事に水墨画の中に問うてみせた。

今年は、没後170年との事であるが、出光美術館には千枚以上の仙厓禅画を保有していると聞く。創設者である出光佐三氏は若干19歳の時に仙厓の禅画に出会いコレクションを開始するのだからまったく恐れ入る。

出光氏が一目見てハマってしまったのが、「指月布袋画賛」であった。伝助ヒゲづらの布袋(ほてい)さんが子供と一緒に夜道をのんびり歩いている図だ。
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絵の左側に「を月様幾ツ 十三七ツ」と江戸時代の子守唄が書かれている。そしてこの絵の面白いところは、お月様は描かれていない事である。流石,禅寺のお坊さんだけあって、こんなにもホノボノとした絵の中にも禅の悟りが示されてる。
布袋さんが指差す向う側には何も無いのである。そこに月を見出せるようになったら、少しは禅の悟りが見えてきたと云うことであろうか。

「一円相画賛」はスぅッと迷いの無い一筆で描かれた円相だ。
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禅の世界では、○は、無限の宇宙や悟りの境地を表すと云う。
その○を仙厓さんは、丸い餅か団子に見立てて、「これくふて 茶のめ」と書かれいる様に、そんなモノは喰ってしまって茶でも飲め、と説いている訳だ。仙厓さんならではの禅の心なのだろうか。

「博多の仙厓さん」と庶民からも親しまれていた禅宗は、言葉遊びと云った洒落心も心得ていた。
「葦」という植物があるが、「よし」とも「あし」とも呼ばれている。
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仙厓さんは、野辺に落ちた髑髏(しゃれこうべ)の目鼻の穴から生えて伸びた葦の姿を描き「よしあしは 目鼻口から 出るものか」と詠んでいる。「良し悪し」にかけて、我々へ教訓を説いているのである。
良い事も、悪い事も、同じ人間の目や鼻や口で発し、受け止められる。ただ、それだけの事。
結局、人は土に帰り、残った骸骨の目、鼻、口からは葦が伸びているのだ。うん、深いなぁ。

ふだん、絵に触れていない方も是非とも仙厓さんの禅画を観てほしい。ニヤリとしながらも、禅の心に導かれるであろう。そして、いつの日か布袋さんの指の先に「月」が見えてくるかもしれない。

午前中に帝国ホテル隣にある弁護士事務所にて、早いとこ片付けてしまいたい案件を先生に依頼してきたところだった。ここ数ヶ月の間、ロクデモない取引相手に怒り爆発していた件だったので、自分の頭を冷やす為にも仙厓さんの禅画は僕を癒してくれた。
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それにしても、上から見るお堀の池は何とも美しいものか。西日に照らされた水面が、まるでたゆたう星の様であった。

   空仰ぎ 手でまる作り 覗く秋晴れ

展覧会は10月28日まで、有楽町の『出光美術館』にて開催中である。
「出光美術館/仙厓・センガイ・SENGAI 禅画にあそぶ」」
by cafegent | 2007-09-21 18:15 | ひとりごと
先週末、幕張メッセまで出掛けて来た。ディズニーランドを過ぎ、さらに行った処に在る国際展示場なのだが、実に遠い。ゴルフや釣りならまだしもクラブイベントに行くにしてはいささか遠いのだ。

この日催されたのは青山のクラブ『ファイ』の10周年を祝ったライブとDJのオールナイト・イベントだ。
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「〜9.15事変 ニッポンジン東京湾襲来〜」とチト恥ずかしタイトルだったが、数会場で繰り広げられたDJのプレイとライブは大いに楽しめた。中でもスカパラとケツメイシのライブ、小林径のDJが良かった。
スカパラのエネルギッシュなステージ・パフォーマンスはいつ観ても面白い。自然と躯がジャイヴして、彼らと一体化が出来るのだ。そして翌日、ふくらはぎが痛くなるのである。スカパラはたしか翌日も何処かの屋外イベントに出る筈だが、あの体力には恐れ入る。

他にもDJ OZUMA、土屋アンナ、小西康陽、須永辰緒、FPM田中知之等々、蒼々たる面々が登場していて十分盛り上がりを見せていた。

しかし会場に溢れている連中を見渡せば、『ファイ』と馴染みの深い人よりもそうじゃない人の方が圧倒的に多かったようだ。その大半は、ケツメイシのファン達なのだろう、彼らのライブが始まる前と終わった後は、みんな会場外のロビーで寝ッ転がってウダウダと時間を潰してる。大体が「夜遊び」などと云うコトには無縁な連中なのだろうなぁ。まぁ、しかし、あのケツメイシ・ファンの動員が無かったら、このイベントも成立するのに苦労しただろう。そんな感じである。

このイベントは、タカちゃん率いる「Roen」も協賛していたし、誰かしらに会えるだろうと思って来てみたのだった。
『ファイ』は昔仕事を手伝ってもらっていた丸山敦史君が仲間と始めた小さなクラブだったので、良く遊びに行っていた。そんな連中にも会えるかなぁと思ったが、会場が広すぎるのと、クラブに無縁の方々が大勢居たので数人しか出会えなかった。結局会えたのは、後輩のSAMO高木とヌード・トランプの松村さん位だったなぁ。エラグの虻川さんは会場内を行ったり来たりしていたが。
彼から届いた招待状で来たのだから、挨拶位しておけば良かったかな。

朝まで遊んでも、これが青山か渋谷あたりならもう一軒寄って飲んで行くところだ。しかし、ここ幕張じゃぁ何処にも寄れやしない。
すっかり酔いの覚めた朝帰りになるのか。

   明け烏 陽に背を向けて 柿突く

この日は、昼に友人の十回忌を偲び、夜はファイの十周年を祝った。
歳を取ってくると、十年の何て早いことか。

そう云えば、八王子から戻ってひとッ風呂浴びようとサウナへ行くと、ファイの丸山君を僕に紹介してくれた加藤さんに出会った。久しぶりにお会いしたが元気そうで何より。
またしても、つくづく、人は繋がるのだなぁと思った。
by cafegent | 2007-09-20 19:16 | 飲み歩き
 先日、古い友人クリ坊こと栗原浩兄の十回忌を偲ぶ為に八王子の墓苑『萩霊園』へ集まり、お墓参りをした。
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幸い空は秋晴れ、大きなみどりの山がお墓を優しく包んでいる様だ。
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同級生の斎藤さんは、50を過ぎたと云うのに今も相変わらずバイクとロックに浸っているかのい出立ちだったなぁ。

 クリ坊は、元は貴兄のバンド仲間であったが、一緒にテニスをしたり映画や音楽などの趣味を通して仲良くしてもらうようになった。バイクが好きで、ハーレーの輸入元へ就職したが、そこで出会ったみどりさんと結婚し、その後に『ハリウッド・ランチ・マーケット』へ転職した。

 当時、クラブキングが発行した小さな写真集『SMILE ROCK』の中の広告。ハリラン・スタッフの集合写真の中に笑顔のクリ坊の姿が残っており、少し前久しぶりに富塚兄と一緒にページを開いたばかりだった。
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 十年はあっという間に過ぎてしまったが、小言爺ぃのクリ坊の姿は今でも深く残っている。テニスをしても、キャンプをしても、いちいち何かと怒られていた気がする。
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お参りの後、そんな他愛無い話を思い出しながら、昼食の宴となった。
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座敷には懐かしい『鶯啼庵』(おうていあん)の懐石、楽弁当が用意されていた。三段の重箱の抽き出しの中には彩とりどりの種々の前菜が入っている。ここの細工料理は冷めても美味しい。
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絵本の挿絵で知られる画家、村井宗二の描く鶯も心を和ませてくれる。

 八王子インターの近くに構える京懐石料理の名店『鶯啼庵』は、その佇まいだけでも充分に行く価値があるのだが、料理も大変素晴らしい。庭園が深紅に染まる紅葉の季節に合わせて、松茸の土瓶蒸しを頂くと良いだろう。
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 もう随分と前のことになるが、ハリウッドが誇る映画人、脚本家、監督、SFXアーティスト等を招聘して我が国に創造工学の専門学校を創ろうと云うプロジェクトがあった。その2年間の間に何度もLAに飛び、交渉を重ねてきた。USC(南加大)のテレビ・映画学科との提携も契約に漕ぎ着けて、あとは日本での業務提携先の詰めをする頃であった。ジョージ・ルーカスと共にルーカス・フィルムの共同創設し、ILM(インダストリアル・ライト&マジック)社のCEOであったチャーリー・ウェーバー氏にLA側の交渉窓口となってもらい、大学や専門機関であるAFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)の支援を得る事が出来た。

 ウェーバー氏が来日した時、恵比寿の『タイユバン・ロブション』、パークハイアット『ニューヨーク・グリル』等に案内したのだが、短い滞在の中でも八王子の『鶯啼庵』は大変気に入ってくれて、随分と上機嫌だったことを思い出す。しかし、あれだけ奔走したのに山一証券の経営破綻にて、あっけなくプロジェクトは幕を閉じたのだ。

 十年前の通夜の席では、クリ坊が大好きだったビーチボーイズの名作「ペットサウンズ」が夜通し流れていたっけ。
 この日は長閑な日和の中、秋鳥の啼く声に耳を傾け在りし日のクリ坊を偲んだ。
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何処からかギターの弦が啼いたのは、クリ坊の悪戯か。
by cafegent | 2007-09-19 19:06 | 食べる
敬老の日の午後、厳しい西陽さす中を江ノ島から江の電に乗り、のんびりと長屋まで向かう。

今、江ノ電が協力して「江ノ電 meets 10人の湘南アーティスト エンセン・テン」なる展覧会が藤沢から鎌倉までの各駅沿線のカフェやギャラリー、パタゴニア等のショップで開催されている。湘南エリア在住のアーティストたちが一堂に介しての一大イベントだ。
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もちろん、江ノ電の車内にも各作家の作品とプロフィールが紹介されているので、ぶらり途中下車をして気に入った作家の個展を拝見するのも愉しいだろう。「江ノ電沿線展 エンセン・テン」

僕は、かとうくみさんの展覧会を観るために長谷(はせ)駅で降りた。

僕が仕事でも人生でも大変お世話になっているオフデザインの小山英夫さんが主宰する「クリ8」と云うイラストレーター支援サイトが在る。
小山さんは広告イラスト界の重鎮であり、若手イラストレーターの相談役のような存在なのだが、酒好きゴルフ好きのいいオヤジだ。

そんな小山さんの企画する「クリ8 ニューヨーク企画展」に今年参加したのが、イラストレーター、かとうくみさんなのだ。
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初めて絵を観た時の印象は、ベテラン佐々木悟郎氏の作風にかなりの影響を受けているのだろう、と思っていたのだが、この展覧会を拝見し、彼女独特の視点で捉えたモティーフやそのコメントに妙に惹かれてしまった。これからも彼女の作品を見続けたくなったし、仕事も頼んでみたいものだ。「かとうくみサイト」
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そして、かとうさんの作品を思い切り魅力的に引出していたのが、開催場所である『Daisy's Cafe』だ。長谷の駅を降りて、由比ケ浜の海岸方面に歩き国道134沿いに在るのがこのカフェだ。
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ここには本当にユルい空気が流れている。午後の日差しを外に見て、まったりとソファで寛げば、時を忘れてしまいそうになる。
このカフェに集まる湘南のミュージシャンを集めた音楽CD「Music From Daisy’s Cafe~湘南時計~」も発売されている。
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Music From Daisy’s Cafe~湘南時計~
ムッシュもここでライブをやったことが在るらしい。カウンターにさりげなくムッシュの歌う楽しげな写真とサインの入ったゴロワーズが置いてあった。
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ムッシュさん素敵だなぁ。「鎌倉デイジーズカフェ」
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ビール片手に作品を拝見していると、カウンター脇にスケッチをする男性の絵に目が止まった。他の作品とは少し印象が違う絵だなぁと思って眺めていると、そこへ絵に描かれている男性が入って来たではないか。
聞けば画家、亀山和明さんであった。自分が描かれた作品を前に少々照れ気味であったが、その人柄が絵から伝わるほど、この湘南に似合う方だった。サイトを拝見すると、なんと僕と同じ歳であった。
亀山さんの作品もちょっと気にしておこうかな。
「亀山和明ギャラリーサイト」

そして、彼もまたこの『エンセン・テン』に参加している一人である。七里ケ浜駅の『ファーストキッチン』内で9月末まで展覧会を開催しているそうだ。この日は、時間が無くて立ち寄れなかったのだが、今度の週末に是非拝見しに行こうと思う。
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材木座では、友人の新居が完成した。この三連休は波乗りもお預けで、引越の真っただ中だろう。
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由比ケ浜の海岸では、波乗りを終えたカップルが仲良く夕陽を眺めていた。こんな日常の光景がきっと亀山さんやかとうさんの絵のモティーフになるのだろうか。
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by cafegent | 2007-09-18 18:23 | ひとりごと

トンビがクルリと。

てぬぐい作家の高橋武先生に頼んでおいた「とんび凧」の手ぬぐいが手元に届いた。
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大空高く舞い上がるとんび凧を眺めていたら、なんだか無性に本物のとんびが風に舞う姿が見たくなった。そんな訳で早起きをして品川から電車に乗り、藤沢乗り換えで江ノ島に向かった。
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駅を出て弁天橋へ向かうが、日差しが強く肌に突き刺すようだった。外は30度を越える真夏日だったが、時折吹く海風が九月だと云うことを思い出させてくれた。
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弁天橋を渡る途中、富士の山がおぼろに姿を出していた。

岩屋洞窟までは、青銅の鳥居をくぐり朱の鳥居を抜け、ひたすら登る。
江ノ島神社までは、「エスカー」なる有料エスカレーターが在る。上まで結構厳しい坂道なので利用する客が多いのだが、僕は石畳の両脇に構える魚屋さんや団子屋さん、土産物屋さん等を覗きながら歩くのも楽しみのひとつなので、足をガクガク震わせながらも坂道を歩いて登っていくのである。

  奥津宮 登る苦労に初嵐(はつあらし) 頰打つ風に暑さ忘るる

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台風の被害により、あいにく「岩屋洞窟」に入ることは出来なかったのだが、「稚児ヶ淵」からの海景色を堪能出来たので良しとする。
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江ノ島神社に来る愉しみは、弁天様へのお参りの他にもう一つある。
それは、ひたすら汗をかきかき辿り着いた「奥津宮」の先に在る食事処『冨士見亭』だ。
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いつも9月頃訪れるのだが、海風が冷たく一番海に近い席に座り熱燗を酌むのが最高の贅沢であり、サザエのつぼ焼きを肴に一献つける。

この日は、残暑が厳しかったので、すっかり汗ダクであった。
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冷たいビールをお願いし、「江ノ島丼」を頂く事にした。この辺りでは、どの店も似たような磯料理を出してくれるが、僕は家庭的な雰囲気の『冨士見亭』が好きである。
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サザエの身を刻み卵でとじたどんぶり飯は最高に美味い。飯を頬張り、ビールで気持ちよく涼んでいると、もう天国である。外は絶景の海が眼下に広がっている。
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目の前では、トビが風に乗って浮遊しており、まるで「とんび凧」の様であった。
by cafegent | 2007-09-18 14:29 | ひとりごと

夏服を来た女たち

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昨晩は、恵比寿の『Whoopee』にて赤ワインを一本空けて、帰る前にもう一杯美味い酒が飲みたくなり、西麻布に向かった。
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バー『フラスク』は、随分とヘンピな場所に店を構えているので、ここまで来て閉まっていると扉を蹴りたくなるのだが(いや、実際に先日も灯りが消えていてケリを入れて別の店に行ったのだ...)この日は、ちゃんと開いていた。

「今日はちゃんと開いてるね。」と云うと、主人曰く「いつも、来るのが遅すぎるんですよ。一応3時までは開いているのですから。」と、返されてしまった。そうか、いつもそんなに遅い時間だったのか。
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暫くすると、昔の仕事仲間も偶然やって来て愉しい酒の席となった。

この店の主人であるエノチンが創るカクテルは格別に美味いのである。カイピリーニャを頼み、「千疋屋の地下のバーでは果実を使ったカクテルがすこぶる美味い」と云う話をしていたら、「では、二杯目の準備をしましょう。」と季節の終わりを告げるスイカを出して来た。ラム酒にカットしたスイカを漬け込み下ごしらえをしている。
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「カイピリーニャ」とはブラジルの定番カクテルだ。しかし、これがまたバーテンダーによって味がまったく違う訳で、過去何度もマスくて飲めやしない代物を出されたことがある。でも、ここのは美味い。
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この酒はココが良いと云う店を幾つか知っていると夜が愉しくなる。マティーニだったら、渋谷の『コレオス』と云うようにね。

もう随分と昔になるが、ニューヨークのアルゴンキンホテルの一階に在る『ブルー・バー』に訪れた時の事。(かれこれ25年も前か。)

一人でカウンターに座り、最初はドライ・マティーニを頂いた。
キリリと冷えていて、仕事を終え疲れた躯をほぐすのに丁度良い酒だ。
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このバーはホテルと共に歴史を積み重ねており、沢山の文豪たちがこのバーに集まったそうだ。ドロシー・パーカーやテネシー・ウィリアムズ、そして僕の好きなアーウィン・ショーもこのホテルで執筆活動をしており、編集者の締め切り催促から逃れながら『ブルー・バー』で飲んでいたそうだ。
僕は常磐新平さんが翻訳した「夏服を来た女たち」を読んでから、アーウィン・ショーとニューヨークと云う街が好きになった。

二杯目を何にしようか、と年老いたバーテンダーと話していると「マンハッタンと云うカクテルは知ってるよねぇ。これに氷を一つ入れて飲むのもイケるよ。」と教えてくれた。「マンハッタン」は、ライ・ウィスキーをベルモットで割ったカクテルなのだが、ステアしたマンハッタンを大きな四角い氷の入ったロックグラスに注ぎ、ちょこんと頭を出した氷の上にミントの葉を一枚置いた。

「どう、これ。『セントラル・パーク』って云うカクテルだよ。」と云って、スっとカウンターに置いた。ニューヨークは、石の地盤で出来ている。地震も無いので石の上に摩天楼が築かれているのだ。そんな石の街のど真ん中の緑溢れるオアシスが、セントラル・パークである。
ミントの葉がマンハッタンのど真ん中の公園な訳だ。洒落た事をしてくれるよね、まったく。

それ以来、ニューヨークに来る度に『ブルー・バー』を訪れている。
最初のバーテンダーは、もう亡くなってしまって居ないのだが、店は変わらずの佇まいである。

僕が1987年に下北沢に開いた最初のバーの名前にこのホテルの名を戴いた。『アルゴンキンズ・バー』である。二代目のバーテンダーに店を譲ったが、今もまだ営業をしている。ニューヨークのアルゴンキンホテルの様に文化人が集うサロンの様にしたかったからだ。
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そんな事を思い出していたら、エノチンが赤いスイカのカクテルをスッとカウンターに置いてくれた。

そう云えば、昼間恵比寿公園近くのカフェ『ura.』に居た時の事。
ぼんやりと窓の外を眺めていたら、通りの向こう側に立つ人影に目が止まった。黒髪が風に揺れ、ワンピースから素足を覗かせた素敵な女性の後ろ姿に釘付けになった。9月に入ってもまだ外は暑く、彼女もまだ夏服の装いだった。細いヒールを履いたふくらはぎがキュっと締まっていて、実に美しい立ち姿である。あぁ、こっちに振り向かないかなぁ、と思いながら通りの反対側で珈琲を飲んでいる僕。
友人と話をしているのだろうか、それとも夫婦なのだろうか。肩にかけたバッグも靴もセンスが良く、とてもお洒落な女性だった。あんなにも素敵な女性なのだから、さぞかし美しい方なのだろう、とずっと眺めていたのである。

立ち話が終わったのか、彼女がようやくこっち側へ振り返ったのだが、ナントもう十何年も前に恋をした女性だったのだ。あの頃は確かハタチそこそこの可愛い女のコであったが、すっかり大人になっていたので驚いた。しかし、久しく記憶から忘れていた彼女が、こんなにも素敵な女性になっていたなんて、何て素晴らしいことだろう。僕も少しは素敵な女性を見極められていた、と云うことか。

久しぶりにアーウィン・ショーの短編が読みたくなった。
by cafegent | 2007-09-14 20:27 | 飲み歩き
岡山から旬真っ盛りの葡萄を戴いた。先日は「ニューピオーネ」と云う濃紫黒色の大粒巨峰を食べたのだが、今回は色鮮やかな緑のダイヤモンド「マスカット・オブ・アレキサンドリア」だ。
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これはもうマスカットの王様だね。とんでもなく甘くて朝からメロメロであった。何でも旬な季節に旬なモノを頂くのが一番の贅沢だね。

先日、芝居の世界で数々の宣伝や制作をなされている吉田由紀子さんに初めてお会いした。お会いしたと云っても渋谷で馴染みのバー『ミコノス』にて呑んでいたら、偶然別の席に居たとのことで、コピーライターの森さんにご紹介頂いたのだが。
聞けば、随分と前から僕のこの日記の愛読者だとの事で、こちらが恐縮してしまった次第である。僕は芝居も大好きなので、こんな素晴らしい方に「いつも楽しく拝見してるんです。」と云われると照れてしまう。
いやはや、昨日今日と照れるばかりである。

以前、アートスフィアで観劇した『8人の女たち』の制作も吉田さんであった。
渋谷の美味しいフレンチビストロ『LABO』にも良くいらっしゃるとの事なので、是非今度ゆっくりとワインでも呑みながらお話したいものだ。

こんな具合に自分の廻りで結構いろんな方々が繋がっているのは面白いなぁ。

しかしながら、僕の場合、仕事柄その大半が昼でも夜でも「おはようございます」がご挨拶のいわゆる「オハヨウ業界」の方々が必然的に多くなる訳である。

でも、元来欲張りな性格なので、週末なんぞに下町辺りの酒場なんかで出会う鳶の頭や地元の住職、医者の先生等々そう云う方々との出会いが実に楽しいので下町通いが止められないのである。そんな酒場の片隅で、彼らから聞くハナシがとても面白く、酒飲みの作法を磨く上で役に立つ?とっておきのエピソードが良いのだ。

京成八広駅から水戸街道にぶつかる処に在る『丸好酒場』はご主人も女将さんも気さくな方達でいろんな昔話なども聞かせてくれる。

随分前に「下町酒場巡礼」なる本の中で、ここのことを紹介していた。
その中の逸話だが、毎晩やって来て何呑んでも何食べても必ず決まった金額しか置いて行かない築地の客が居たそうである。

ショーケン主演の映画『居酒屋ゆうれい』の中で八名信夫扮する常連客が毎回必ず「はい、2千円」とか何とか云って席を立つのだが、その人物は『丸好酒場』の馴染み客をモデルにしたと書いてあった。
ほんとかいな、と僕も一度親爺さんに訪ねたことがある。もう随分と昔のお客さんで当時仕入れをしていた魚屋さんだったそうだ。その人、毎晩決まって同じ量しか呑まなかったのでもう同じ値段でいいや、と云うことになったらしい。

落語の人情話のようだね、まるで。
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ここは、特製のハイボールがバツグンに美味いのだが、レバ刺も旨い。
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昔は肉が高価だったから牛肉を仕入れると生のレバーやハツなんかは只でくれていたそうだ。それで先代のご主人が屠殺したての新鮮な代物なので安く提供出来て栄養価も高いと云う訳でレバー刺し、ハツ刺しを出すようになったそうだ。
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立石の『宇ち多”』では、決まって開店時に常連客たちが列をなして並ぶのだが、中には体調を崩して医者から酒を控える様に云われている常連客もいるのだ。それだから、店の方も外で並んでいる他の連中に「あいつが来ても呑ませちゃ駄目だぞ。」と釘を刺しているのである。

それでも当人、相変わらず店に現れるのであるが、「一杯だけ!」「いや、駄目だ!」の問答が続き、渋々サイダーとなる訳だ。客の体調まで気遣ってくれるのだから、もう界隈全体が家族ぐるみみたいなもんだ。

そして、僕も調子に乗って焼酎の梅割の4杯目を頼もうとすると、同じように「もう駄目!終わりだよ。」と諭されるのだが、「もう半杯で最後!」とワガママを来てもらう始末。ここでは、3杯半か調子の良い時の4杯半が限度なのである。
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また、長話になってしまってイカンなぁ。先日も、友人K君に「職場のPC使って仕事の合間に読んでるのだから、もっと短くたのみますよ。」と叱られたばかりだ。あい、すまん。

今月は3連休が続くので、そんな時は酒場も連休を取ってしまう。『宇ち多”』も続けて土曜日が休みとなる。さて、週末は一体何処で呑むとしようかな。

アレキサンドリアの芳醇な甘味がずっと尾を引いているので、今宵は銀座千疋屋の地下に在るバー『銀座ミリュー』にて旬のフルーツを使ったカクテルでも飲みに出掛けるとするか。
by cafegent | 2007-09-14 18:30 | ひとりごと
ここ数日の東京の空は気まぐれである。朝の土砂降りの後、陽がさしてきたなと思って気を抜いていると、また急に大粒の雨を落として来るのだから困りもの。
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路傍の草花も雨に負けず元気に咲いていた。よし、よし。

験(ゲン)を担ぐのが好きな僕は朝首都高の脇道を歩きながら、今日一日の自分の運気を計るべく対象を探すのだ。
そして案外とすぐに担ぐ先が見つかるのである。
雨が上がった後の高架の下は、頭上からポタポタと雫が垂れているではないか。
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その落ちて来る雨後の露に一滴も当たらずにくぐり抜けられたら、その日一日実に気分爽快になるのだ。まるで子供だね、こりゃあ。

この朝も運良く雨露に当たらずに通り抜けが出来たので気分上々。あぁこのまま晴れてくれれば良いなぁと仕事場へ向かう。午後、渋谷に出ると宮益坂を登っている途中でまたも土砂降りの雨に遭う。これから取材だって云うのにナンタルチャ!と一瞬イカったが、朝の験担ぎを思い出し怒りを懐へ仕舞うのである。

WEBマガジン『カーソル』の取材で僕の夜遊び場を紹介して欲しいと頼まれ、日々世話になっている酒場を教えることにした。そして、無理を言って『立ち飲み なるきよ』にて僕が呑んでいるところを撮影、取材することとなった。
ライフスタイルWEBマガジン「カーソル」

店主の吉田成清君からはいつも「兄貴、兄貴」と慕われているのだが、まぁこんなロクデナシの兄貴を持っていいのだろーか。

それでも取材中、彼が「僕は一料理人として終わりたいとは思わないんですよ。音楽だって、洋服だって大好きですし、料理もその一部なんです。この先、いろんな事にチャレンジしていきたい。兄貴と出会って、東京の面白さを教えてもらって、料理以外の世界を沢山知る事ようになったし勉強になるっスよ。ホント兄貴のお陰ですよ。」と語ってくれたのは嬉しかったな。爺ぃの目に涙である。彼らのような若者が次の時代の文化を創っていくのだ、とつくづく思うのだった。

夜、目黒『権ノ助ハイボール』にて口開けの客となり、ハイボールを戴く。店主の武田君と銀座のバーの話になる。
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正統派のバーと云えば、帝国ホテル出身の佐藤さんの店『ル・ヴェール』や上田さんの『テンダー』、そして毛利さんの『モーリバー』の名が挙がる。いずれも素晴らしいバーだが僕には敷居が高い店だ。と云うか、息苦しいのかな。
どの店も初めて行った時にソっけなくあしらわれ、その時の印象を引きずってしまっているんだろうなぁ。
であるから気を使わなくて済むホテルのバーなどになっちまうのだナ。

残念ながら今はもう無いが『トニー』や『クール』は、もっと若い頃に背伸びして通った店だが、随分と酒の呑み方を教わったものだ。

酒は愉しみながらやるものなのだから、空気が重いと駄目だね。だから『銀座サンボア』にも行かないのである。幾ら昔気質の正統派バーだからって、酒しか知らぬ酒一筋では、楽しい会話も生まれないだろうに。
映画や絵の話だってもっと出来れば、沢山通いたくなるのにナ。

昼間に成清君が言った言葉が思い出された。東京には何でも在るのだ。他を知ることも大事だよね。

さて、僕の好物である「おでん」を土産に戴いた。銀座界隈にはおでんの名店がひしめいている。老舗ならではの銀座おでんを味わうならば『お多幸』『やす幸』『おぐ羅』か。
昭和の風情を楽しみながら良心的な値段で呑めるのは『江戸源』。ここは、昭和30年創業で、芸者の置屋だった木造の一軒家で酒場好きにはたまらない。
「トマトおでん」などの新しい味を求めるならば、『力』(りき)『よしひろ』が良い。この2件はデートにも良いか。
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そして、お土産は『おぐ羅』のおでんである。
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タッパー容器にいっぱいのおでんが詰まっている。
老舗『やす幸』で修行したのちに数寄屋橋通りに出した名店だが、僕はこちらの方が好みである。
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アジのつみれと大根、がんもどきがバカウマであるが、串に刺さったゴボウがこれまた結構な美味しさだった。銀座土産には洒落た酒で一献つけようと、またも戴きモノの福光屋の純米吟醸『鏡花』を開けた。
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『福光屋』は、金沢の酒蔵だが、早くからパッケージ・デザインなどに力を入れており、銘酒『加賀鳶』と差別化を図った『鏡花』は置いてあるだけで美しいボトルだ。
また、ここの銀座店のインテリアも秀逸で併設の『サケバー』では、季節のオススメ飲み比べセットなんてのもある。

僕は味がしっとりと染み込んだおでんが好きなので、こうやって家でヒタヒタになったおでんをアテに酒が酌めるなんて最高である。酒もすこぶる旨い。
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秋の夜長に大変結構なご馳走であった。
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今週の土曜日にディスカバリーナショナル・オークション主宰で開催される「北王路魯山人 特別オークション」のカタログを眺め、一人気分は美食倶楽部である。
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それにしてもどの器も入札価格が尋常じゃないな。とても手を出せる値段では無いので、カタログだけで諦めるとしよう。
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そう云えば、安倍首相が辞任した。これじゃあ、ホント辞任党だね。
内部に企む男一人在り。あっソー、なんちて。
by cafegent | 2007-09-13 18:08 | 食べる