東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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<   2009年 03月 ( 10 )   > この月の画像一覧

「海棠(かいどう)睡り未だ足らず」という言葉がある。

その昔、唐の時代、玄宗皇帝は、楊貴妃が酔った姿を見て、この花にたとえ、こう云ったそうだ。
酔って寝てしまった美人の寝顔が、まだ眠り足りなげなうつろな顔で、艶かしく弱々しい美しさの事を云う。

「海棠(かいどう)の雨に濡れたる風情(ふぜい)」
こちらは、美人が打ちしおれた姿を見て、海棠が雨を帯びて趣(おもむき)がある様子に喩えている。どちらにせよ、美人は何をしても様になるのだナ。

海棠は、バラ科の植物で桜にとても良く似た花だ。桜より梅に近い桃色の花が美しく咲く。大抵、花海棠と呼ばれているね。
(残念、探したが写真が無かったヨ。)

追記:今朝、路地を歩いていたら見つけたので、写真を撮ってきた。
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美しい花だネ。

何故、これを思い出したかと云えば、夕べ呑んだバーで知らない女性がカウンターに肩肘ついて、ウトウトとしている姿が妙に可愛かったからだ。人の寝顔が肴となり、旨い酒が呑めたナ。いや、失礼。

昨日は気持ちよく晴れた。土曜も遅くまで仕事をしたので、少しだけ朝寝坊をしたのだが、日差しが眩しくて寝てられなかったナ。

昼は桜の下で飯を食おうと、酒といなり寿司を持って外へ出た。
目黒川の桜は未だ蕾みの方が多い様子だったので、小石川後楽園まで足を伸ばしてみた。
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こちらは、枝垂れ桜が見事に満開で花見客も大勢繰り出していた。
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此処は四季折々、いつ訪れても穏やかな時を過ごせるのだ。梅から桜へと花が入れ替わり、冬から春への移ろいを愛でる。まるで自分が水戸光圀にでもなったかの如く、庭園を眺めるのだ。

しばし、桜を眺めた後は琵琶湖を模した大泉水の畔で酒を戴く。徳大寺石の対岸に腰を下ろすと目の前の池には沢山の鯉が餌を求めて口をパクパクさせている。
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湖畔から突き出た木の上では雀たちが元気よく集まっている。
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ひよどりも長閑に時を過ごしていた。
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こっちのひよどりたちは桜見物と洒落込んでいるみたいだったナ。
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クーラーバッグを持って来たお陰で、ビールもキンキンに冷えて旨い。奈良は吉野、柿の葉すしで有名な「ゐざさ」が作る春のお弁当といなり寿司を持って来たのは正解だった。
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塩漬けされた吉野桜の葉で巻いた鮨は美味い!でも、なんと云っても花見にはいなり寿司だよネ。
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ビールの後は、魔法瓶のお湯を入れた芋焼酎で体を温め直し、再び散歩へ。
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飯田橋から高田馬場まで電車で7分とは、なんて好都合なのだろう。口開け四時の野方「秋元屋」までチョチョイと行けるじゃはないか。なんとも嬉しい限り。

4分前に野方に着くと、店の前には行列が出来ていた。いつもの酒仲間も来ていたが、こう何も約束などせずに皆が集まって愉しい酒が呑めるってのがイイね。昼酒、夕酒、そして夜酒と愉しい一日を過ごせたナ。
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先日、立川談春の書いた「赤めだか」を買った。さすが、談志師匠に厳しく仕込まれただけあって、文章でも笑いや泣きのツボを心得ており、グイグイと引き込まれてしまうのだ。とても、処女作とは思えない書きっぷりなのでアル。

この日はデザイナーの処でカンプが仕上がるのにちょいと時間があったので、ミーティングルームで「赤めだか」を読み、泣いた。

談春は他の弟子たちより少しだけ遠回りしつつも、前座、二つ目、そして真打ちになった。今、若手(と云っても40過ぎだが)の噺家の中で、一番人気があるんじゃないだろうか。

上方落語の人間国宝、桂米朝師匠の「除夜の雪」を演じるまでのくだりで、彼は古典落語をとても大切に考えている事が、伝わってくるのだ。
ひたすら古典落語にこだわりながら、己の道を切り開いてゆく。新解釈の継承はありだと思うのだ。ソウルミュージックだって、ハロルド・メルヴィン&ブルーノーツの名曲「イフ・ユー・ドント・ノウ・ミー・バイ・ナウ」をシンプリーレッドがカバーした時も実に衝撃的だった。だが、こうやって、良いものは後世に引き継がれるのだな、と感じたものだったナ。

また、この本で漸く立川談志という落語家の人間像が解き明かされたとお思う。そして、益々談志師匠が好きになった。先日、銀座を歩いていた姿をお見かけしたが、喉の具合も良くなり高座も復活したそうだ。
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談春の「赤めだか」は、泣ける一冊だ。

それにしても、大の大人が本読んで泪流している姿なんてハズカシイ限りなもんで、「いやぁ、花粉が凄いね、今日は」なんて、ごまかしながら手拭いで目をこすったのであった。
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by cafegent | 2009-03-30 11:20 | 飲み歩き
先日は、立石・浅草の帰り道、いつもの酒場に立ち寄った。
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雷門の「簑笠庵(さりゅうあん)」は、実に居心地の良い酒場である。

立派過ぎない門構えに夕方四時には渋い色の暖簾が下がる。段々と日が長くなって来ているので、夕暮れ前に酒が呑めるってのが僕には嬉しい限り。
ガラリと戸を開けると清潔感溢れる白木のカウンターに宮崎県知事似のご主人が満面の笑みで迎えてくれる。いや、笑みがなきゃ、怖くて口も聞けない程の強烈な個性を放っているのだが(苦笑)
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此処に来ると、毎回旬の魚や新しい酒の肴を用意してくれている。この日は、ホウボウが入っていた。ホウボウは、刺身でも塩焼きでも美味いし、煮付けは鍋に入れても旨い白身の魚だ。カサゴの仲間だが、その姿カタチがなんとも云えず好きだなぁ。以前、塩焼きで戴いたが、今回は煮付けにして出してくれた。
と、ここまで書いておきながら、この日食べたのは、八角の味噌焼きだったっけ。いや、失礼。ホウボウは、その前の時に煮付けで食べたんだったナ。
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香ばしい薫りが食欲を刺激してくれる。酒も一段とススムって寸法だ。ペロリと平らげてしまったナ。

鯛には、タイそっくりの小骨があり、「鯛の鯛」と呼ばれお守りに持っている人も多い。コレ、他の魚にもあるなんて知らなかった。この八角にもこんな可愛い魚のカタチをした骨が入ってた。
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でも、フグみたいだネ。

そして、お馴染み簑笠庵名物のアジフライである。
「ウチのアジフライ喰いたきゃ、前の日に電話してナっ!」っていつも云われるのだが、電話などして酒を呑みに行ったためしなど無く、残っていればラッキーと云う事で済ませてしまうのだ。
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で、この日は、1枚戴く事が出来た。
大根おろしに山葵をのせて。むふふ。嬉しいね、楽しいね。

「箕笠庵」の山本さんも強烈な個性と云ってしまったが、フランスからもう一人強烈な個性出しまくりってアーティストが来日している。馬使いの名手バルタバスだ。

木場の特設テントで催されていたフランスの騎馬集団「ジンガロ」の日本公演『バトゥータ』が終了した。主宰するバルタバスは団員と共に30頭もの馬を率いて、正に「人馬一体」の芸で我々を魅了してくれた。
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エントランスをくぐると、さすがはフランス。
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ウィエティングバーもフランス一色である。国産ビールなど一切無し。シャンパンにワイン、フランス産のビールだ。

舞台と云うのは、少し酒が入って観た方が良い。余り余計なことを考えず、自然に演者たちと一つになれるからネ。
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そんな訳で、ビールとチーズを戴いた。しかし、何から何まで凝っていると云うか、上品なのだネ。
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ご大層なパッケージを開くと、これまた上品にチーズが鎮座していた。参っちゃうナ。
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ウェイティングの奥にはエルメスの特設販売場が解説されおり、たぶん「ジンガロ限定品」なんて品があるのだろう。凄いヨ、皆が買い物しているのだから。

円形の会場には、天から地上まで水の柱が降りており、開演前のざわついた会場内でも、馬たちはその水柱の周りでジっと大人しくしていた。最初は人形かと思うほど微動だにしない。

前回、2005年の公演「ルンタ」では、チベットをイメージした舞台であり、演奏も僧侶たちの仏教音楽が色濃かったが、今回は僕の大好きなジプシー音楽との競演だ。会場の両側のステージにはルーマニアで活動する2つの楽団が弦楽団と管楽団の二手に分かれ、自然に体が動きだすような活気に満ちた旋律を奏でてくれる。先日拝見した『コルテオ』も同様だが、矢張り生の音楽は素晴らしい。臨場感溢れ、舞台と我々を一体化させてくれるのだ。
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今回のテーマは「遊牧民」だそうだ。一切の言葉が無く、音楽と人馬のパフォーマンスだけの舞台構成で、様々な人生を物語る。ジプシー(遊牧民)たちのバタ臭い生活風景や疾走する馬上の花嫁など、一気に駆け抜けていく。

パンフレットによれば、本作は「世界中の旅の果てに辿り着いたジンガロの原点回帰作」だと云う。

馬はとても繊細である。競馬を見ていたって、調教師の云う事を聞かないでその場から頑として動かない馬も居る。そんな馬たちがまるで人間と心が通じ合っているかのように打ち解け合い生き生きと演じているのだから、魅了されない筈がない。

バルタバスは、馬と以心伝心で心を読み取ることが出来るそうだ。長い年月をかけて馬たちとの共同生活をし、馬との信頼を築いて来たのだろう。長いもみあげとイカつい風貌は、可成り強烈な個性を発しており、気難し屋のコワイ人って印象を抱いていたが、ショーのラストにロバに乗って登場したバルタバスの滑稽な姿を観てガラリと印象が変わってしまった。

以前、テレビで観たドキュメントでは、住居代わりの移動バンの中で抹茶をたててインタビュアーをもてなしていたが、この人の本質はこの姿に現れている通りなのだろう。そうじゃなきゃ、馬とあれだけの関係を築けないものネ。

次回は、どんな舞台で僕らを興奮させてくれるか楽しみだなぁ。
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路地裏を歩いていたら、こぶしの花が咲いていた。僕はこぶしの花と桜の花の交差する時期が大好きなのだ。
by cafegent | 2009-03-26 17:57 | ひとりごと
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桜がどんどん咲き出してきたね。この分だと週末あたりは満開になるのかナ。

春分の日の金曜日、朝から京成立石の「宇ち多”」へと出掛けた。日曜の東京マラソンに出場する友人ビリーを応援する為、壮行会って訳じゃあ無いが奥の常連席には補助椅子も入れて9人での楽しい昼酒となった。
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昨年末の祭日の時は表も裏も長蛇の列になり、出遅れた僕はミツワの前辺りまで並ぶ羽目に。今回は、万全を期して、早めに立石に到着。朝からの強風と雨で案外並ぶ人が少なく、ちょいと拍子抜け。それでも、10時半を過ぎると長い行列が出来て、11時10分前には暖簾が下がった。
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よく皆から「そこまで早起きして立石に行き、更に4、50分並んでまで何故其処へ通うのだ」と問われるのだが、これはもう理由など無いのだナ。まぁ、行きつけの店に行けば、知った顔馴染みが集まるし、なんせ此処の梅割りともつ焼き、そして煮込みが美味いのだから仕方ない。

そして、口開けに並んだ者しか味わえない豚の顎骨のまわりを煮込んだ「ホネ」を味わいたいからさ。
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一度コレを味わったら、もう止められねェ。

おっと、僕が着ているこのポロシャツは、「なるきよ」店主の吉田成清主宰のブランド「Two Pole」の新作なのだ。50年代ヴィンテージのエッセンスが随所にみられ、可成りイカしたデザインで、この春イチオシなのだナ。

ビリーと二人で、顎のホネを並べてみたら、まるで蝶々が羽を拡げているみたいになった。
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全く僕らはおバカだね。むふふ。

「宇ち多”」の次は、近所の「ゆう」にて飲み直し。
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ちょうど、ワールド・ベースボール・クラシックの日韓戦がテレビで放映していたので、皆で日本の応援に花が咲いた。

ビリーはビックサイトで開催中の「東京マラソン」イベントに行くと云うので、僕は浅草へと足を伸ばした。
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美味い珈琲を求め、浅草演芸ホールを抜けて、「アロマ」へ。
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隣の席では、入船亭扇橋師匠が何処かの雑誌の投稿俳句を選んでいた。師匠は俳人としも素晴らしく良い句を詠むのだよなぁ。
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あぁ、此処の珈琲は香りが立つなぁ。

日曜日の東京マラソンは物凄い参加者数で、テレビで観ていても圧倒された程だ。
そんな中、我が酒の友ビリーはと云えば、天地人の直江兼続よろしく、頭に『愛』の文字を付けた兜を冠り、顔にはツマブキ君のアイマスクを付けての、完全にオバカに徹した姿で42.195キロを完走したそうだ。
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この勇姿で走ったのだから、いろんなメディアに取材されたらしく、本人可成りゴキゲンそうだった。

夕べは仕事帰りに完走者のメダルを見せびらかしに「宇ち多”」へと向かったのだと。とことん、おバカなビリーに拍手だネ。
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さて、週刊少年サンデーと週刊少年サンデーが今月、ともに創刊50周年を迎えたそうだ。ほぼ、僕と同じ時代を歩んで来た事になるが、あの頃は、マンガ家が憧れの存在であり、デパートの催事場などで、赤塚不二夫氏やちばてつや氏、川崎のぼる氏が来ると聞けば、長い行列も何の其のとジッと並んで色紙に絵とサインを描いてもらい宝物にしていたっけ。他にも山根赤鬼とか、つのだじろう、石森章太郎などの各氏に色紙を描いてもらった事を覚えている。

先日、新聞をめくったらドーンと15段ぶち抜きで少年サンデー創刊50周年を記念したカラー広告が掲載されていた。この50年の間に発行されたサンデーの表紙がびっしりと埋められており、当時の懐かしい表紙を見つける事も出来て懐かしさと嬉しさが蘇ってきた。
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今、手元にある少年サンデーは1971年の6月6日号だ。古谷三敏の「ダメおやじ」や水島新司の「男ドあほう甲子園」などが人気連載していた頃だ。今、「釣りキチ三平」で話題の矢口高雄も「ガロ」でデビューした後、このサンデーに「おとこ道」と云う作品を連載していた。

同じ頃の少年マガジンでは、「あしたのジョー」が大人気で、松本零士の「男おいどん」や谷岡ヤスジの「メッタメタガキ道講座」が大人や大学生などにも大ウケし、多くの流行語も生まれたものだ。
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この5月30日号では、石森章太郎の「仮面ライダー」が新連載をスタートさせた話題の号だった。

マセガキだった僕は、兄と一緒に青林堂の「ガロ」や手塚治虫の創刊した「COM」などを読みふけっており、万博の頃には、横尾忠則に憧れ、小学校6年生の時には赤塚不二夫責任編集の「漫画No.1」でエロに目覚め、白土三平やつげ義春、滝田ゆうなどの大人の漫画に夢中になり、中学の途中あたりからは、すっかり少年漫画から遠ざかってしまった。

「機動戦士ガンダム」は高校時代に流行っていたが、その頃はまるで漫画やアニメに興味がなく、それ故に未だに誰ともガンダムばなしには参加が出来ないで居る。

最近、週刊現代にて「あしたのジョー」が復刻連載を始めた。久しぶりに読んでみたが、今でも随分面白い。ワーキングプアが増加する現在と総合格闘技の人気が重なり、泪橋で明日に向かって拳を打つ矢吹丈に夢と希望を見いだす若者も可成り居るのではないか、と思ってしまった。

今、郵便局に行くと、両雑誌を祝って「週刊少年漫画50周年」の記念切手シートが2種類発売されいている。おそ松くん、8マン、タイガーマスク、タッチ、巨人の星、等々沢山のまんが家たちの作品がちりばめられていて、1シート800円なのだから、こりゃ買いだろう。僕は、額装して飾ろうかしら。

「記念切手」紹介サイト
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by cafegent | 2009-03-25 12:33 | ひとりごと
プレゼンと冊子の制作が重なり、今月は遅い日が続く。
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夕飯を食べ損ねる時が多く、何かと某深夜食堂のお世話になっている。
夕べは砂肝炒めにキムチ鍋を作ってもらった。
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此処で食べる料理は何れも家庭料理の範囲だが、実に美味い。どんな料理だって作る人の真心一つでこんなにも旨くなるのだ、と云う見本の様な味なのだ。熱々の鍋をかっ喰らい、カッと汗を出し、冷たいビールを一気に喉に流し込む。仕事の疲れも吹き飛ぶってもんだ。最後はおじやに仕立ててもらった。むふふ。

寒さ舞い戻った東京の深夜。外は突風が吹いていたが、顔に当たる春風に向かって突き進む活力が戻ってきた。心地よい酒とホッとする料理のお陰で、少し元気が出て来たナ。

帰宅すると、僕の家にも、あの「定額給付金」の封筒が届いていた。
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年齢の横に「¥12,000」と記載されており、その隣には「辞退」に○を囲むようになっていた。コレって辞退すると全額が国へと戻されるそうだネ。それ故、同封のチラシには「区の発行する商品券」の購入と「区への寄付金」を促す内容が書かれていた。国へ戻すのなら、アナタの住む区に還元しておくれ、って事なのだ。
しかし、誰が辞退などするものか。有意義なムダ遣いでもしようか。
うーん、焼肉ジャンボに行くか。いや、欲しかった本でも買おうかナ。

昨日からまた寒くなってしまったが、東京もこの週末の陽気でかなりの桜の蕾みが膨らんだことだろう。
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目黒川沿いの桜もほんの少しだけ咲いていた。

   さまざまの事おもひ出す桜かな

これは、誰もが知っている芭蕉の句だが、桜の花は様々な遠い想い出を蘇らせくれる。そして、今年もまた満開の桜の下で新しい想い出が作られるのだナ。

都内の桜が満開になるには、まだ時間がかかるが、千鳥が淵に在る山種美術館では、毎年恒例となっている「桜さくらサクラ・2009」が開催されている。此の場所に山種美術館の仮移転して11年目、毎年この季節に桜をテーマにした展覧会が催されているのだが、今年の秋、広尾に本館移転するため千鳥が淵での本展覧会も見納めとなってしまった。
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日本が誇る画家、奥村土牛、横山大観、速水御舟、東山魁夷の桜から、東山魁夷、石田武の千鳥が淵の桜、千住博の描く夜の桜まで、会場全体に所狭しと約50点もの桜で満開である。桜とは観る者ひとり一人にいろんな思いを巡らさせてくれる。

この展覧会は、5月17日まで開催されているが、街の桜が満開になる前に、一足早くお花見は如何だろうか。
「山種美術館」のサイト

先週、打ち合わせ先の大学で卒業式が催されていた。彼らも四年前の受験で合格し、今はもう死語になっている「サクラサク」の思いを胸に抱いて新入生として学び、様々な想い出と共に今、社会人として飛び立とうとしているのだ。就職氷河期真っただ中の今、今年の桜は彼らにどんな想い出を刻むのだろうか。

   人の世のかなしき櫻しだれけり

これは久保田万太郎が詠んだ句だが、枝垂れ桜の景色に今の世の中を想うのだろう。

桜は咲き始めの頃、七部咲きの頃、満開、そして葉桜と、そのどれを眺めても実に美しい。絢爛豪華に咲き誇り、そして潔(いさぎよ)くパッと散る。月末頃には、多くの花見に顔を出す事になるだろう。それぞれに、また新たな想い出となれば良いね。
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さて、我がデジカメも思いのほか早く修理から戻って来たし、来週あたりは、盃に桜の花を浮かべて一献つけるとするかナ。
by cafegent | 2009-03-24 12:56 | ひとりごと
居酒屋、スナック、バーなどがひしめく飲み屋街にはいろんな人種が出入りしている。名前も職業も知らない彼らと酒場を通じて一晩の酒をご一緒する機会が多々有る。酒の杯が重なるにつれて、互いの歩んで来た道のホンのごく僅かを語り合った時などは、随分と酒が美味いと感じるものだ。
そして、いつまた会えるのか分からぬのに、彼らが僕の居る店の扉を開けるのを待っているようになるのだ。

目黒から少し離れた途或る駅近くの古い飲み屋街に、夜遅くから開く店が在る。外から見れば場末のスナックなのだが、料理上手のママが一人でカウンターの中に立ち、酒の肴や美味い料理をチャッチャカと手際よく作ってくれるのだ。

緑色の看板が灯る時23時頃は、仕事帰りの連中や出勤前の同業の方々で賑わいを見せ、深夜を過ぎると麻雀を終えた奴ら、水商売の連中や役者、踊り子なんかが腹を空かせてやってくる。此の店は毎朝8時過ぎまでいろんな連中が訪れるのだ。
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壁にはママ自慢の料理が沢山書かれているが、メニューに無くたって、材料が有るモンなら、何でも作ってくれるのが嬉しいのだ。
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終電が過ぎて、ゆっくりとした時間を過ごしたい時、僕は此処のドアを開ける。棚に置いた芋焼酎のボトルをカウンターに移せば、ママは黙ってグラスと白湯の入った魔法瓶を出してくれるのだ。後はお湯割りを呑みながら、肴をつまみ、時々カレーライスや餃子などを戴くことにしている。
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先日はカウンターの隣の席に、テレビで良く知るる役者が呑んで居た。僕より随分と若いのだが、何故かずっと年上に思えてしまうから妙だ。この役者さんは、以前から名バイプレイヤーとして人気があるが、日テレ土曜深夜の連ドラでは、見事に主役のヤブを演じていた。あのドラマは、僕もずっと観てしまったナ。

また、深夜には時折、昔『くびれ女王』で野郎どもを立たせてくれた女優サンも顔を出す。壁には彼女のカレンダーも貼ってあり、相変わらずのくびれ具合が輝いている。

仕事も終わり、付き合いの飯も済み、酒場の徘徊も終わる頃、僕はこうして、此の店の扉を開けるのだ。

ここ数年、とんと漫画を読まなくなったのだが、時々ハマる漫画に出会うことがある。漫画アクションとビッグコミックスピリッツなどの漫画週刊誌を買わなくなってからと云うもの誰かに教えてもらわない限り、もう訳が分からなくなってくる。それだけ、新しい作家や漫画が登場しているのだから仕方の無いハナシなのだが。

そして、先日神保町の「兵六」で隣に居合わせた常連キューちゃんから「コレ、面白いよ!」って差し出されたのが『深夜食堂』だった。
その場で、中の一話「ソース焼きそば」を読んだら、もう目がうるうるとしてしまったのだ。

翌日、第1巻から3巻までをアマゾンで購入したのだが、本が届く前に近所のブックオフにて第一巻が350円で出ていたので、我慢出来ず買ってしまった。で、週末はずっと一人しみじみと目に涙を浮かべながら読みふけった訳だ。元来、泪もろい僕は絶対に人前じゃ、こう云う泣ける本は読めない。感動モノも悲しいモノも単純なハナシだって泣けてしまう。昔、映画『がんばれベアーズ』を観た時も号泣してしまったしナ。
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この漫画を描いている安倍夜郎さんの作品は以前『山本耳かき店』と云うのを読んだ事があったが、その時も随分と素晴らしい漫画家が登場したナ、って感じたのだった。

この『深夜食堂』は、それ以来に読んだ作品だった。安倍さんは、僕と同世代みたいだし、きっと「ガロ」なんか読んでいたのだろうか。そんな質感の絵とストーリーだから、総てがしっくりと来る作品なのだ。

今回も全編、ほろりとさせられ、新宿のとある食堂で出会う人たちの歓喜と悲哀が切ないほど伝わってくるのだ。で、読み終わると登場した品を無償に真似をしたくなるのでアル。

この食堂に出入りする人たちはヤクザ、噺家、役者、ホステス、女子プロレスラー、女デカ、オカマ、OL、学生、サラリーマン等々、実に様々なのだが、彼らがどの話でも微妙に絡み合い、再び読み返したくなる。そして、どの話も東京に暮らしていると全部「あり得る」ハナシなのだから、たまらない。彼らの顔を見ていると、何故か「兵六」のコの字カウンターを取り囲む面々の顔とダブってくるのだ。皆、それぞれの人生が顔の皺に刻まれているのだから。
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そして、無償にタコの形の赤いウィンナーソーセージ炒めでビールが飲みたくなった。今夜は、あの店で、ママに作ってもらおうかナ。

「深夜食堂」紹介のサイト
by cafegent | 2009-03-17 21:18 | ひとりごと
今日は朝から晴れたね。空を舞う花粉は辛く、朝からくしゃみの連発なのだが、曇り空よりは陽気な日差しのほうが気持ちも晴れる。仕事場までの道のりを歩いていると民家やクリーニング屋、美容院などの軒先に沢山の鉢植えを見かける。
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春の花が少しづつ咲きだしているね。スミレや桜草、パンジーなど、昔から馴れ親しんでいる草花に混じって、外来の知らない花も数多く見られるようになった。

いつも、知らない花を見つけるとデジカメで撮って、後から調べてみるのだ。世界中の美しい花を季節毎に眺める事が出来るなんて、矢張り日本は穏やかな国なのだろうナ。
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さて、3月に入ってからと言うもの、立て続けに2台も我がMacがクラッシュした。普段使っている方が完全にイカれてしまったので、別の機種で急場を凌いでいたのだが、操作を誤って初期化してしまった。

そんなこんなで、この二週間の間に作成したデータ類がパーになった。トホホ。

そしてまた、今度はデジカメまでもが壊れたのだ。昨年8月に買い替えたばかりなのに、もう壊れるなんて。まぁ、毎日可成り頻繁に使用していたとは云え、毎年一台買い替えている事になる。
一応、保証期間内だったから、修理に出したのだが三週間はかかるとの事だった。参ったナ。当分、日記は文章だけで我慢しよう。トホホ。

それにしても、こんなに一気に電子機器類がクラッシュするなんて、事務所の電気環境がおかしくなったのだろうか。強い電磁波か何かが発生したのかネぇ。機械に頼り過ぎていた自分にチト反省しつつ、データは豆にハードディスクに保存し直すべきだったナ。

カメラ小僧、いやカメラ爺ぃの僕からデジカメを取ってしまうと、両手を縛られたも同然な程何も出来なくなってた。カメコの禁断症状って奴が既に出始めてしまった。困ったナ、まったく。
by cafegent | 2009-03-16 19:38 | ひとりごと
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3月10日の朝日新聞夕刊を拾い読みしていたら、精進料理人の棚橋俊夫さんがとても面白い事を語っていた。精進料理の魅力にとりつかれ、お寺で修行をした時のハナシでアル。料理のみならず、日常の生活の中から日々何かを精進して学ぶ。素晴らしいなぁ、この方。そして、僕も見習うべきこと多し。そんな訳で少し紹介しよう。

”お寺での修行は、見るもの触れるものすべてが新鮮であり、刺激的でした。掛け軸一つとっても、そこに書かれている高僧の墨跡の迫力、その言葉の意味の深さ、さらに軸装のデザイン、掛け軸の扱い方ときりがありません。庭に目をやると、気が遠くなるほど多くの石が組まれ、その中に一筋の滝が落ちています。〈中略〉まさに毎日が温故知新。日本人であることをエンジョイでき、ようやく日本人になれた気がしました。 このように、好奇心も手伝って、料理以外の日本の文化を数多く学びました。机の上や書物の中だけでなく、汗をかきながら、何かやりながら学ぶ勉学だったので、不思議とすんなり身についたものです。〈中略〉たった3年間でこれほど濃厚に学ぶことは、学校や料理屋では不可能でしょう。衣、食、住全般にわたって日本文化を学ぶ上で、お寺は素晴らしいところでした。料理を学ぶとは、同様に料理以外も学ぶことではないか。そして学びに卒業証書はありません。”
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ずっと天気が不安定だったが、土曜日はなんとか持ち直して晴れたネ。先週は木・金曜にかけて40時間以上の徹夜作業が続く日もあったりで、少々ヘタリ気味だったが朝の「宇ち多”」通いを外す訳にも行かず、土曜はしっかりと早起きをして都営浅草線にて立石へと向かう。この日は我らがFC東京の開幕戦だったのだが、午後2時から用事があったものだから、味スタは断念。

この日の宇ち多”は、いつも通りの時間に到着したのだが、表の入り口側は既に行列が出来ていた。僕らの入り口はまぁいつもの顔が集まっているのだが、それでも10時半頃には表側がいっぱいになったらしく、ウラに廻ってくる連中が増え続けた。
地元の常連イシさんはこの週は4度目の宇ち入りだそうだが、近所にこんな素晴らしい酒場が有るのだから、僕だって立石に住んでいたら毎晩通うだろうナ。えっ、それに近いぐらい通ってるだろうって?まぁ、そうかもしれないが。
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表はご覧の通り。

梅割り3つにホネを戴き、この日の焼き物は塩の若焼きで攻めてみた。いつもタレで食べてるカシラも素焼きお酢掛けで食べているレバーも全部塩で焼いてもらった。此処では、さらに「うんと若焼き!」って頼めば、殆ど生に近いのだ。土曜はレバ生が無いが、これにすればレバ生以上に旨いのでアル。
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さて、来週20日は春分の日で祭日だが、此処は昼から営業するそうだ。
前回みたいに入れないと困るから、早めに行かなくちゃナ。

徹夜仕事が続くと躯って奴は自然に反応するのか、無性にスタミナが欲しくなってくる。僕の場合、一番欲しいスタミナ源はウナギだから、立石を後にして迷わず南千住へと向かった。

久しぶりに「尾花」の暖簾をくぐる。
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此処はいつも長蛇の列が出来ているのだが、この日はタイミング良く、すぐに座る事が出来た。尾花は注文を受けてから鰻を捌くので、3、40分は普通に待つのだネ。好きな本を読みながら待つも良し、鯉こくあたりで一杯やって待つのもまた楽し。
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で、僕はうざくでビールをやりながら、待つ事に。と、そこへ「今、テレビで立石特集しているよ」ってひとみ姐さんからメイルが入る。
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こんな時、ワンセグって便利だねぇ、鰻を待ちながら、立石情報まで観られるのだから。

そして、お待ちかねのうな重の登場だ。此処は三千円、三千五百円、四千円と三種類なのだが、真ん中のだけは丸い器で出てくるのだ。
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鰻の好みってのは、皆違う。それ故、贔屓にする店も違ってくるのだ。蒸さない蒲焼きが好きな人、じっくり蒸したのが好きな人、千差万別。
僕は口の中でふんわりとした舌触りの柔らかい蒲焼きが好物でアル。

此処、尾花の蒲焼きは本当に柔らかい。これだけ蒸しているのに焼いた後崩れないのかナ、と不思議に思ってしまう程だ。

以前は、事務所から歩いて数分の所に「野田岩」が在ったので、プレゼンが決まった時などは、ふんぱつして野田岩の天然鰻を食べていたが、尾花を知ってからは、ずっとご無沙汰だナ。

尾花はその佇まいが良い。
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普段は行列が出来ているから人しか見えないが、入り口から暖簾までの小砂利の空間も素敵だ。
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脇のお稲荷さんにいつもお参りをしてから店に入る。上がり框を抜け、中に入ると広い畳敷きの広間に小さな机が並んでいる。
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オトナだったら膝がぶつかるくらいに小さな机だが、これもまた尾花に来たのだナと感じさせてくれるのだ。
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そして手土産も忘れずに、っと。

真っ昼間から酒を愉しみ、旨い鰻で精をつけた。これだから、また明日から頑張ろうって云うキモチに戻れるのだヨ。

ちなみに僕はハレの日の鰻は此処。そして普段使いの鰻屋は慈恵医大近くの「手の字」でアル。そして、酒の肴の鰻とくれば、中野「川次郎」あたりかな。

かばやきを食って隣へもぐりこみ

これは、江戸時代の川柳だが、尾花から程近い処に吉原大門が在る。
昔は僕も「末っ子」の餃子、「土手の伊勢屋」の天丼、そして此処のうな丼で精をつけ、遊びに出掛けたもんだが、そんなハナシも昔話になっちまったナ。
by cafegent | 2009-03-11 18:19 | 食べる
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先日、探していた本を見つける事が出来た。今はネットが普及したお陰で、全国の古書店を検索して永年欲しかった本を探し出す事が可能になったのだ。普段は酒場通いのついでに散歩がてら神田神保町の古書街や阿佐ヶ谷の古本屋などを廻って、出会った本を買っているが、時にどうしても読みたくなって探したい本などは、こうやってコンピュータの力に頼るのである。

今年の一月に探していた本が葛飾区堀切の古書店「青木書店」にて見つかり、送って頂いた。此処も古い店で、堀切菖蒲園の「のんき」にもつ焼きを食べに行く前などに立ち寄れる古本屋さんだ。

何日かして手元に届いた包みを開けると、本と一緒に手書きで一筆記されていた。「本を通じて再びお目にかかることができてうれしいです  また本を間に出会いがございますように 青木書店」と。店主の青木正一さんは二代目である。
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初代の青木正美さんは古書業界では知らぬ者が居ないほどの著名人だ。青木さんが書いた『古書屋奇人伝』や『古本屋五十年』など本当に面白く読める内容であり、古書店の目を通して見た昭和史とでも言えるだろう。

言葉少なくとも、手書きの返事とは大変嬉しいものだ。パソコンにワープロの時代、こんなちょっとした心遣いひとつで、僕などはこの古本屋さんの虜になってしまうのでアル。古書を売る側と買う側のどちらもが「本が大好き」と云う共通の糸で繋がっているのだナ。嬉しい限りだ。

さて、その青木書店の初代が、新しく出した『古本屋群雄伝』がとにかく面白い。先ほど紹介した本と併せて読んでも良いが、明治・大正・昭和を生きた古書業界の多くの方々を実に丁寧に、様々なエピソードを交えながら綴っている。時には紹介する相手を「端的に言えば、嫌いだった」などと云ってみたり、下町の古書店屋ならではの、若かりし頃の千住界隈での遊びの事など、様々な古書店店主の想い出を語りながら、青木さんの歩いて来た昭和が鮮明に浮かんでくるのである。そして、古書のセリ市の事や作家と古書屋の深い関係等々、知らない世界の事を垣間みる事が出来るのも楽しい。
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それにしても古本屋店主は皆、個性派ぞろいだったナ。

最近、久しぶりに面白く読めた本だったので、是非紹介しようかナ、なんて思っていたら朝日新聞に青木正美さんが出ており驚いた。タイミングが良い、と言うか、皆さんも同じ様にこの本を多くの方々に読んでもらいたいのだろうナ。これまた、実に嬉しい限りでアル。

こうやって、本を通じて人に出会えるって、なんて素敵な事だろう。
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by cafegent | 2009-03-09 14:27 | ひとりごと
桃の節句は雪降る夜になったね。
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思いもよらぬ寒さに桃の花は蕾みのまま縮こまってる。
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先日、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に新橋の料理屋「京味」のご主人、西健一郎さんが登場していたので、興味深く拝見した。

彼処に通う方々は、皆口を揃えて、「年四回、季節毎に来なくちゃ。」と云う。新橋に店を構えて40年になるそうだが、名料理人だった父西音松を見習い、ただひたすらに「人間、死ぬまで勉強」と言い切れる姿に感動してしまった。
僕の叔母ちゃんと同じ71歳と云う年齢ながら、毎日板場に立ち、若い弟子たちを指導し、一人一人の顧客の味の好みを台帳を見ながら気を配る。そして、最後は必ず外でお客さんを見送る。この「もてなし」こそが名料理人の名料理人たる所以だろう。一人四、五万円を出してでも通いたくなるお客たちの気持ちが良く判るナ。

そして、そんな贅沢はよっぽどのハレの日にしか出来ない僕は、西さんのもとで修行を積んだ銀座「あさみ」の昼食でも十分嬉しいのでアル。東銀座に打ち合わせに行くときには「あさみ」の鯛茶漬けを戴く。夜には、「京味」の半額以下の値段で美味しい日本料理を味わえる。まぁ、素材も醍醐味もまったく違うが、此れは此れで素晴らしいもてなしとなる。この季節は桜の葉を使った鯛の桜蒸しなどが良い。香りも良いし美味いし、桜餅みたいな見た目が季節を味わえて嬉しいのだ。

で、タイミング良く「あさみ」の会席弁当を戴いた。
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二段の折箱を開けると、春の味わいが詰まっていた。店でも美しい二段の籠に入った弁当を戴けるが、花見などにこうやって作って貰うのも素敵かもネ。
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此処の料理は、目で楽しんで舌で楽しめるからイイ。さつま芋の煮かたがとても良く、小さな手間を感じたナ。

食事の後は、またまた戴きものの「長命寺の桜もち」だ。
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塩漬けした桜の葉が一つの餅に三枚も使ってあるのが贅沢だよね。香りが良く、春を先取りした味わいだ。でも、本当は個人的には道明寺の、あのつぶつぶの桜餅の方が好みなのだヨ。昔は向島の料亭に行くと、女将が帰り際に必ず「長命寺の桜もち」を手土産に持たせてくれたっけ。
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随分と懐かしくも、もう出来ない贅沢な想い出だな。

週末の土曜日は朝から立石「宇ち多”」の中が賑わっていた。
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僕が着いたのが、10時10分の電車だが、店内ではフラッシュがたかれ、「宇ち多”」の三代目、朋一郎あんちゃんが雑誌「dancyu」の取材を受けていた。外から覗いているとあんちゃんが出て来て、「マッキー牧元さんに頼まれたからさ」って云うことだった。なるほど、タベアルキストのマッキーさんの取材ならば、安心して応じられるね。

マッキーさんは僕と同じ誕生日と云うことでマイミクになって頂いているのだが、一度もご一緒に飲食を共にしたことがない。この日もマッキーさんが来ると聞いていたのだが、先にすっかり出来上がってしまい、後で戻ってみたら入れ違いで宇ち多”を後にしていたのだった。残念。

でも、この日は取材のおかげで、普段土曜日にはありつけないテッポウを食べることが出来た。
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テッポウ、コブクロ、レバ生、ツル(豚のオチンチン)は平日通いだけが味わえるモンだから、土曜の常連たちは皆大喜びであった。
さらにしっかり煮込みのホネもゲットして、梅割り3つ半でいい気分。
その後、何軒かハシゴしたが記憶が定かじゃなくなった。参った。
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翌日は、昼から原宿へシルク・ド・ソレイユの『コルテオ』を観に行って来た。
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毎回、出演する連中が渋谷の『のんべい横町』に呑みに来るので、何故だか親近感が湧くのだネ。
でも、子供の頃に観たキグレ大サーカスや木下サーカスに比べると、最近のサーカスは技も凄いが仕掛けも凄いよね。
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シルク・ド・ソレイユの舞台は過去にも『サルティンバンコ』『ドラリオン』など観たが、ラスベガスで観た『O』とエロティックで官能的な『ズーマニティ』が素晴らしく印象に残っている。規模と制作費も凄そうだから、二つとも日本じゃきっと上演出来ないだろうナ。
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サーカス団の大きなテントの中に入ると真ん中にしっかりメインスポンサーのダイハツのクルマがコルテオ仕様で展示されていた。
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それにしても何故ダイハツだったのだろう。トヨタも日産もホンダもそれどころじゃない所にダイハツが一気に攻めに出たってコトだろうか。

舞台を楽しむには先ずは酒から、ってことで、ビールをゴクリ。
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そして、12時半待ちに待った夢の舞台の始まりだ。
360度の円形舞台はどの席からも十分観ることが出来るし、縦横、天井からと縦横無尽に空間を使い切った舞台は目を離す隙を与えず、ずっと興奮しっぱなしだ。

自分が「死」の床を迎える夢を見た或る男の夢か真、定かじゃない不思議な物語。その「夢の世界」を限界極限まで鍛え上げた技の数々で観る者を圧倒する舞台。

観客と舞台の間で演奏される生のサウンドも舞台を盛り上げていた。演出、音楽、衣装、そして照明と総てがセンス良くて、笑いと興奮の嵐だったナ。
途中30分の休憩を挟むが、たっぷり二時間素晴らしい舞台を堪能することが出来た。

多いに満足して、会場を出ると時計の針は午後3時過ぎ。

原宿から高田馬場経由で野方に行けば、いつもの「四時秋元屋」に間に合うぞ。15分ほど前に野方に着くと小雨がパラついてきた。
一番乗りで待っていると前日、「宇ち多”」で会った酒仲間がマックからコーヒー片手にやってくる。暫くすれば「兵六」仲間の荒木さんも登場だ。
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結局、口開けの先頭グループは皆顔見知りってコトで、秋元屋の暖簾が下がると皆でカウンターの角を囲むことが出来た。

煮込みにポテサラ、ナンスラだーい。
酒はハイボールに始まり、三冷ホッピー、豆乳割りと続く。あぁ、日曜日のシアワセだナぁ。
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「秋元屋」を出ると雨もすっかり上がり、夕焼け空になっていた。

「京味」もスバラシイが、僕らにゃこんな素敵なもつ焼き屋が最高にハッピーなのだヨ。
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by cafegent | 2009-03-04 19:58 | ひとりごと
写真家の稲越功一さんがお亡くなりになった。
享年68歳とのことだが、新聞で訃報を知って驚いた。銀座で開催中の写真展「芭蕉景」を先月拝見したばかりだったからだ。

最近もシルクロードなどを撮影し、独特な詩的風景写真が有名で、80年代には「男の肖像」で講談社出版文化賞を受賞しており、その頃から役者や文化人などの写真が評判を呼んだ。僕が広告の仕事を中心に手がけていた頃、写真の依頼で稲越さんの事務所を訪ねると、必ず儀式の様に先ず小さなグラスを用意してシェリー酒を注いでくれた。まだ日が暮れる前の時間なのだが、酒で乾杯をし、そこから打ち解けてきたところで仕事の話に入るのだった。
その仕草からもてなしまで、もう全てが格好良いお方だった。
真っ白なポロシャツ姿で、テニスの帰りだろう時にもお会いしたが、渋かったナぁ。あの頃だって、もう僕の歳を上回っていただろうが、僕もあんな素敵なオヤジになりたいナと密かに憧れたものだ。

そして、いつだったか一枚の写真を戴いた。まだSMAPが6人組だった頃の彼らの肖像写真だから、もう10数年以上前だろうか。稲越さんはその写真に赤鉛筆でサインをしてくれて、僕は今でも大切にしている。

今一度、「芭蕉景」を観に行こう。芭蕉の歩いた奥の細道に長年向き合ってきた稲越功一さんの写真世界が、きっと何かを語りかけてくれるかもしれない。

それにしても、ここ最近悲しい知らせが多すぎる。それだけ、僕らが歳をとってきただけなのかもしれないが、背伸びをして、彼ら背中を追いかけて来た若造にとってみれば、無性に悲しいのだ。あぁ、久しぶりに「春愁」と云う言葉が浮かぶ。手吹きのグラスにシェリー酒を注いで、黙祷しよう。  合掌。
by cafegent | 2009-03-02 19:08 | ひとりごと