東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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<   2009年 10月 ( 15 )   > この月の画像一覧

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ネットのニューストピックスで、五代目三遊亭円楽師匠が亡くなった事を知った。享年76歳は、今の時代から考えるとまだまだ長生き出来る年齢だ。病気だったとは云えとても残念でならない。
 
円楽師匠の噺では、「厩火事」や「宮戸川」が好きだった。特に女を演じる時の語り口が何とも云えず好きだったなぁ。「宮戸川」のサゲで、男女が結ばれる瞬間落雷の光で女のふとももがあらわになる時、白い腿を「キリマンジャロの雪」と表現する所がたまらなく良かったなぁ。

来年は楽太郎師匠が、六代目圓楽を襲名するが、それを見届けることが出来ないなんて悔やまれる。謹んでお悔やみ申し上げます。合掌。
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       ◇        ◇        ◇
28日の朝日新聞[天声人語]の中で、「三余」と云うことばを知った。
中国では、読書に適した三つの余暇のことで、冬と夜、そして雨の日をさすのだとか。
他に「三上」と云うのもあって、文章を練るのに適した場所で、馬上、枕上、厠上だそうだ。なるほど、馬は今なら電車かクルマの中、枕は寝床だネ。で、僕もそうだが、トイレの中は読書や思案に適していると思うネ。
また、何故だか本を持ってトイレに入ると快便になる。根拠は全く無いのだが、活字のインクの臭いが躯を和ませて便通が良くなるのだと信じている。本屋さんで立ち読みをしていると決まってモヨおすのだナ。
そして、実に爽快な気分になる程出し切ることが出来る。
花粉症ならぬ、多糞症だナ、こりゃ。

古書店で、ミシュランガイドの2008年度版が100円だったので、買ってみた。既にクローズした店もあるし、☆の数が減った処もあるみたい。一緒にグルメガイド本も買った。パラパラとめくってみたら、カレーライスだのオムライスだの、美味そうな写真が沢山載っていたので、一緒にレジに持って行った。

酒場で買った本を袋から出し、ビール飲みつつページをめくる。
あらら、何やら嫌な予感。美味そうな料理の店の住所を確認すると金沢だった。おや、全国グルメガイドだったのネ、とまたビールをごくり。他のページでも店の場所が金沢市内でアル。金沢ってB級グルメの名店が多いのかしら、と思ったが掲載店総てが金沢市内だったのだ。
よくよく前書きを読んでみたら、金沢のタウンガイドが過去の記事から抜粋したグルメガイドブックだったのだ。あちゃちゃ、だネ。
でも、まぁ良いか。金沢に旅行する口実が出来たってことか。
       ◇        ◇        ◇
『神保町「二階世界」巡り 及ビ其ノ他』と云う本を見つけた。
この本、「東京煮込み横丁評判記」や「東京落語散歩」を書いた坂崎重盛氏の新著だ。「日本露地・横丁学会」の会長にして、アルフィー坂崎幸之助氏の叔父にあたる著者は、他にも東京下町散歩系の本を多数出しているが、様々な視点で東京を巡り、ソファの上で東京散歩が出来てしまう。
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で、この新著の中で、面白いコトバを見つけた。「さラミ兵三」と云うのだが、さて判るだろうか。

地下鉄神保町駅のA7番出口を上がり、スグ右の露地に入ると神保町の名喫茶『さぼうる』が在る。
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朝の此処は、この界隈の古書店の主人たちが開店前に珈琲を飲みにやって来る。午後は近くの出版社の連中が打ち合わせを兼ねてナポリタンを頬張る姿が硝子越しに見えるのだ。

すずらん通りと平行した露地を真っ直ぐ駿河台下の方へ進むとクランク上に左手にさらに細い露地に入る。
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右手には、『さぼうる』同様に老舗喫茶店『ラドリオ』が在り、左手には世界のビールが飲める『ミロンガ』が在る。此処も昭和28年からタンゴが聴ける喫茶として始まった老舗だ。

その少し先には、夕暮れ時に提灯が灯る居酒屋『兵六』が佇むのだ。
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そう、僕がほぼ毎晩呑んだくれている酒場でアル。で、その対面に在るのが『三省堂書店』だ。
僕らは、いつもこの本屋サンの社員通用口を眺めながら、薩摩無双を呑んでいる。エアコンの無い夏場は、三省堂書店の社員入口が開く度に流れ出てくる冷気を有り難く頂戴して酒を呑むのだナ。

そう、著者は此の『さぼうる』から『三省堂書店』に至るまでの小径に敬愛の念を込めて「さラミ兵三」と呼んでいるのだ。五軒の頭の文字でアル。横丁や露地に名前が無いなんて、と坂崎さんは勝手に命名しているのだとか。でも、ちょいとイイネ。

坂崎重盛氏の別の本にサインがしてあるのだが、これがまた良いのだ。
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      路地の秋ラドリオミロンガ東京堂

三省堂じゃなく、東京堂ってトコがまた、其処でサイン会をしたって思い出すのだナ。

ちょうど今、神保町では「神田古本まつり」が催されている。
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今年は50回記念と云うことで、横尾忠則画伯がポスターを手掛けているのだ。凄いねぇ。
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錦町での打ち合わせの帰り、すずらん通りの餃子屋『スヰートポーヅ』にて餃子定食を食べた。
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変わらぬ味は素晴らしいネ。何でもカンでも新しい方向へ進むのがイイなんて事はナイ。わざわざ変えないように努力をしている店こそ、スバラシイのだナ。

そして、東京古書会館へ。
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地階では「特選古書即売展」が催され、二階では企画展「誌上・水道橋博士古書店」が開催中だった。
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北野軍団の知的芸人水道橋博士の愛読書などが展示されていて、ナカナカ面白かった。
       ◇        ◇        ◇
先日、門前仲町の『牛にこみ 大坂屋』の女将さんにゴーヤの塩揉みをご馳走になった。昨晩また寄った時にゴーヤのお礼を云うと、また一寸待っててね」と外へ出てゴーヤを取って来てくれた。
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お土産に家に持ち帰ったので家で酒のアテに塩揉みを作ってみるつもりだ。

夕べは満席状態で、少し外で時間を潰さなくちゃならなかった。
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暫くしてススーッとカウンターが引けたので中に入ると、肝心の煮込みは殆ど売り切れ状態だったのだ。それでも鍋底に落っこちたシロやナンコツを頂戴してビールを戴いた。

まだ8時過ぎだと云うのに暖簾を仕舞った。常連のお姐さんと女将さんと僕で、のんびりとした時間を過ごし、浅草ばなしで盛り上がった。

その後は、いつもの『兵六』にて薩摩無双を呑んだ。そう云えば、三代目店主に二人目のお子さんが生まれたそうだ。こちらは、とても目出たい知らせだネ。『兵六』一族は女性が皆さん頼もしいから、その血筋を受け継いで頼もしく育つと良いね。心からおめでとうございます。
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さて、明日はまた朝から立石か。夕方は、国立競技場でオールブラックスとワラビーズの対決を見る。今から興奮するなぁ。で、今宵は何処で呑もうかナ。
by cafegent | 2009-10-30 18:52 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
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一人でドキドキして、心トキメく瞬間がある。

ホテルオークラのバー『ハイランダー』でウィスキーを呑んでいたら、ディオールの男物「ファーレンハイト」の芳香を漂わせた女性が僕の隣りに座ったのだ。僕が昔好んでつけていた香りだからスグ判る。
彼女は此処の馴染みなのだろうか。バーテンダーに口元だけを少し上げた挨拶をし、カウンター席に着いた。先程の口元だけの笑みで、ジンソーダがスゥッと置かれたのだから、シビレてしまった。
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       恋は、遠い日の花火ではない

懐かしい名コピーを思い出した。確かサントリーオールドのコマーシャルだったと思うが、実に洒落ていた。何かで読んだのだが、コピーライターの小野田隆雄さんは、当時、中年にもう一花咲かせてもらいたいと応援歌のつもりで書いたそうだ。

小野田さんは、ずっと資生堂宣伝部でヒットを飛ばしていた方だ。
「ゆれる、まなざし。」「時間よ止まれ、くちびるに。」なんて今でも素敵な文句だネ。
サントリーオールドのCMには、最近息子さんとダブル結婚で話題をさらった長塚京三が出ていたっけ。あの名コピーを地で行った訳だ。

時々、酒場で素敵なひとに出逢う。
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先日の祇園『サンボア』では、二十代後半であろう着物姿の女性がカウンターでグラスを傾けていた。鼻筋の通ったキリリとした美女だった。

少し前にも銀座のバーで芙蓉の顔(かんばせ)とでも云うべき程に美しい顔立ちに酒を零しそうになったことがある。ほんのりと顔が紅色に染まる姿は、酔芙蓉だナ。深夜零時をとっくに廻っていたから、あれは何処かのクラブのコだろうナ。アフターも無く、独り酒を楽しんでいたのだろうか。それとも待ち人来ず、だったのか。

「海棠(かいどう)睡り未だ足らず」と云う諺がある。
楊貴妃が酒に酔い、うとうとして虚ろな目をしている様を云うのだが、眠り足らず酒に酔う美女の艶かしい姿を花のカイドウに例えたのだネ。
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カイドウも頬を薄紅色に染めた美女の様な美しい花だ。

さて、あれは何処のバーだったっけなぁ。
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『いのうえ』だったかナ。それとも、『キスリング』だったかナ。駄目だ、まるで覚えていない。が、そんな事は問題じゃない。この歳になっても、ドキドキと胸躍ることが有ると云うことが大事なんだよ。
恋心なんて、勝手に思っている方が気楽だし、トラブルも起こらない。
まぁ、そーゆーことサ。
       ◇        ◇        ◇
今朝は、久しぶりに東京タワーへ行って来た。
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タワーに登るワケじゃない。
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タワーの足もとに巨大なラグビーボールが出現したからだ。
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明後日31日に国立競技場で開催されるビッグマッチ、「オールブラックスVSワラビーズ」の世界最強対決の試合開催を記念してニュージーランド政府観光局が体験ツアーのブースをラグビーボール型でおっ建てたのだヨ。
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オールブラックスの試合前に必ず行うマオリ族の力強い踊り「ハカ」も観ることが出来て、気分はどんどんと国立競技場に向けて盛り上がってきた。
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どうですか、この迫力。
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先日、日本ラグビーフットボール協会のキク(菊池)さんに面白い話を伺った。紳士の国、英国で生まれたラグビーは、「ノーサイドの精神」や「For The Team」と云う言葉が有り、互いにルール(規則)にのっとり、フェアな姿勢で戦うのだ。
それを象徴するものが、「アフター・マッチ・ファンクション」と云うセレモニーだそそうだ。

たとえどんなに小さな試合であっても試合後は必ず両チームが参加し、お互いの検討を讃え合うラグビーの伝統ある交歓会だ。成人ならば、互いに酒を酌み交わし、その日の試合を振り返る。サッカーじゃ考えられないよネ。すぐ、ケンカになっちまうだろうに。

秩父宮ラグビー場の風呂場は、ひとつしかなくて、試合終了後は勝者も敗者も審判も一緒に風呂に入り、背中を流し合うそうだ。ただ、残念な事に近年のプロ化や「ノーサイドの精神」の意識の低下から、風呂場でモメる可能性が高くなって来たと云う理由で、無くなるらしい。

せっかく、素晴らしいハナシを聞いたのにちょっと残念だネ。
僕なんて酒場で出逢った連中とは、毎晩必ず「アフター・マッチ・ファンクション」だもんネ。
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「ブレディスローカップ」は、既にニュージーランドのオールブラックスが三勝しているので、プライドをかけたオーストラリアがどんな試合展開をみせてくれるのか大いに楽しみだナ。
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東京タワーにラグビーボールの巨大対決だ。
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ここから、ボールをちょいとネ。
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ホラ、手のひらに、なんちて。

「東京タワー」は矢張りこれからも東京のシンボルで有って欲しいね。
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丁度、笠松紫浪が昭和34年に製作した東京タワーの版画の額装が出来上がって来た。布張りのマットに黒のフレームが昭和モダンのモティーフにぴったりとマッチしたナ。あぁ、嬉しいナ。
by cafegent | 2009-10-29 18:41 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
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僕の仕事場は目黒大鳥神社の近くに在るのだが、今日は朝から沢山の人が不動前の方から歩いてくるのだ。28日だから目黒不動尊の月の縁日だナ、と思っていたら「甘藷まつり」が催されていたからだった。

デザイナーと打ち合わせが終わり、二人で昼飯にした。少し歩かせてしまったが、不動前駅の近く、『piano piano』で好物のベーコンとトマトのきのこソースを食べた。
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相変わらずの美味しさに顔が緩んだ。デザイナーは電車で神保町に出ると云うので、僕は散歩がてら目黒不動尊まで歩いてみた。
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大勢の方がお詣りに来ているネ。
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水掛け不動明王にも沢山の方がお詣りしていた。
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「甘藷」とは、サツマ芋の事でアル。此処は江戸時代の蘭学者で、関東地方にサツマ芋を普及させ、「天明の大飢饉」で沢山の人々の命を救った事で知られている。
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庶民からも「甘藷先生」と称され、此処目黒不動の瀧泉寺に墓がある。
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今年の春に『兵六』の仲間たちと一緒に目黒界隈を散歩した。その時も青木昆陽先生の墓を詣ったが、新しい記念碑が建っていた。
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『甘藷先生生誕三百年報恩塔」と記されていた。上の梵天文字は何て書いてあるのかまるで判らなかったナ。

日頃から『兵六』で呑ませて頂いている薩摩無双だって、甘藷先生なくしては呑めなかった芋焼酎なのだネ。感謝!

石段を下りる途中に秋らしいホトトギスの花が咲いていた。
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柿の実も立派に育ってるネ。
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ひよどりたちもたわわに実った柿を狙ってた。

さて、今週の月曜日は台風の様な雨風が吹き荒れた。夕方外に出ると傘が茶碗の様に反り返ってしまい、まるで役立たずになった。

こんな天気なら、いつも混んでいる店もスッと入れるだろう、と門前仲町へと移動した。『大坂屋』の戸をガラリと明けると煮込み鍋の前は空いていた。先客が三人おり、間に入れて頂きぬる燗をお願いした。煮込みは先ず五本頂いた。

此処のシロは脂がたっぷりと乗ったマルチョウなども入っている。
これに、歯ごたえあるナンコツ、柔らかいフワと、実にバランスが良いのだナ。
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あぁ、この卵スープにシロを混ぜれば幸せになれるのだ。

右隣りの二人が建築談義に花を咲かせていた。二人とも70歳前後なのだが、格好も話の内容も僕の世代となんら変わらない。コルビュジェの建築話からマイケル・グレイブスに飛び、果ては大坂屋で使っているデュラレックスのグラスはF.O.B.コープの益永みつ枝さんだ、なんて話まで出てくるのだ。

益永みつ枝さんは僕が80年代、六本木の輸入雑貨店の仕入れを担当していた頃にお世話になった。その当時、浜野商品研究所と云う都市空間プロデュース会社がAXISと云うビルを創り、その直営店の雑貨店で扱う商品のセレクトも最初みつ枝さんが手掛けた。

恵比寿の『coci』や東京ミッドタウンの『yao』のオーナーで、僕が今でも大変お世話になっている楠林さんも、元浜研出身で開店当時のF.O.B.コープを手伝っていたっけ。皆、凄いよネ。僕なんて生涯追いつかないもんナ。

AXISビルの総合プロデュース・ワークで81年度の毎日デザイン賞を受賞した代表の浜野安宏氏は、正に時代の寵児だったものだ。その頃の話をしながら楽しい酒を呑んだ。

浜野さんと同い年だと云う方のお名前がシイネさんと教えて頂いた。
「椎茸のシイに根っこのネですよ」と聞くと、ハテ何処かで聞いた名前だナ、と考えた。そうだ、数日前に朝日新聞の書評で見た『平凡パンチの三島由紀夫』の著者じゃないか。と、その話題になると案の定ビンゴであった。
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ナント、『大坂屋』のカウンターの隅でのんびり酒を嗜んでた御仁は、雑誌「popeye」や「hanako」などマガジンハウスの人気誌の編集長をしていた椎根和(やまと)さんだったのだ。

この本は、二年程前に新潮社から出版されたのだが、ようやく文庫本になったので僕も買ったのだった。この『平凡パンチの三島由紀夫』を読むと、僕のひと回り上の先達らが過ごした時代のなんて自由奔放だったことか、とちょいと悔しくなるのだナ。
本の帯についたキャッチコピーは、「まだ誰も知らない、本当のミシマ」だった。
若者向け週刊誌「平凡パンチ」を通して見た素顔の三島由紀夫を綴っているノンフィクションなのだが、実は三島由紀夫と云う一人のスーパースターと編集者として出会い、あの割腹自決事件までの三年間をともにした椎根和氏の痛快青春小説なのだナ。読み始めから面白くて、一気に読んでしまった。

社会に出て間もない頃、白金台の都営住宅に住んで居たマガジンハウスの編集者、岩瀬充徳さんの奥さんに随分と仲良くして頂いた。ホームパーティなんかには今野雄二さんなども来ていたっけナ。
椎根さんの本の中には、宇野亜喜良さんや長沢節さんなど懐かしい名前が沢山登場しているし、70年代に藤純子に憧れた自分を懐かしく思い出した。
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さて、昨日は立石にてちょいと呑み、また門前仲町へと向かった。
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午後8時を回っていたので、夕方組の方々が引けた頃合いだった。
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カウンターに座り、サッポロ赤星を戴いた。
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煮込みを数本戴いて、まったりとした時間を過ごしていたら、ガラリと戸が開いた。「すいません、三人なんですけど..」と閉店間際に入って来たのはナント酒朋クマちゃんだった。9時には暖簾が仕舞われると云うのに、流石だ。

『大坂屋』のお手洗いに可憐な山茶花が生けてあった。
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女将さんに伺ったら、玄関脇に咲いたのだそうだ。そして、山茶花の隣りには二階にまで伸びたゴーヤが実をつけていると聞いた。店内はもう僕らだけだったので、女将さんは「ちょっと待っててネ」とヒョイと外に出ていった。
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そして、小さなゴーヤの実を取ってきてくれたのだ。
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「コレ、塩揉みが美味しいのヨ」とその場でゴーヤの塩もみを作ってくれて僕らに振る舞ってくれたのだ。
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ゴーヤらしい苦みと旨味が好い塩梅で、追加した日本酒もクイクイと進んだナ。

いい気になって呑み続けていたら9時半を過ぎてしまった。いやぁ、申し訳ないデス。女将さんに椎根さんの本を紹介して、「次回持ってくるからネ」と約束をした。
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東京煮込み二連発は、実に愉しく酔えたのだったナ。

皆とは此処で別れ、僕は武蔵小山へと向かった。

駅近くの小径を入ってスグの処に在る居酒屋『なな福』は、家庭的な店でちょいと小腹が空いた時に重宝する。それにしても、武蔵小山と云うエリアは都心からスグだと云うのに値段設定がスバラシク安いのだ。
他の店に入っても、大抵満足出来るのが嬉しい限り。
此処は、ホイス直系の『焼き肉 みやこや』のご主人もいらっしゃるそうだが、同業に愛される店ってのは、イイネ。
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突き出しの飛竜頭が出汁をたんまりと吸って、むふふの旨さ。
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そして、揚げたてカキフライだ。此処はほとんどのメニューが300円から400円台であり、黒板メニューだって500円前後でアル。

〆の炭水化物は「えびとニラの塩やきそば」を戴いた。
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コレだって500円なのだ。あっ、しまった。高血圧だから塩分控えなくちゃいけなかった。参ったナ、美味いからペロリと平らげてしまった。

秋の夜長、BSで録画をした欧州モルトウィスキーの旅を観た。常盤貴子のナレーションも耳に心地良く、さながら自分がスコットランドに旅をした気分に浸れた。
てな訳で、1991年に樽詰めされたアイラ地方のタリスカーを呑んだ。
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口の中にアイラ島を囲む海風が流れてきそうだナ。シングルモルトの芳醇な味に何故か抹茶風味の丹波黒豆がマッチした。

こうして、また僕はソファで朝を迎えたのであった。トホホ。

さて、タリスカーはアイラじゃなくて、アイランズのスカイ島の酒だった。
そして、こんなコメントを通りすがりさんから頂戴した。
by cafegent | 2009-10-28 16:59 | 飲み歩き | Trackback | Comments(1)
夕べの雨が嘘の様に上がり、今朝は気持ちの良い朝日で目が覚めた。
朝顔の季節も終わり、植え替えをした花たちも昨日の雨に潤い、今朝の太陽で元気を貰ったことだろう。
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ナデシコの花をちょいと切ってテーブルに。

ロジャー・ニコルズの作った歌に「雨の日と月曜日」と云う曲がある。
作詞はポール・ウィリアムズでカーペンターズが唄い大ヒットした。
   Hangin' around

   Nothing to do but frown

   Rainy Days and Mondays always get me down.

   ぶらぶらとあても無く、しかめっ面をしてしまう
   雨の日と月曜日は、いつも僕を落ち込ませる..

好きな人の事を想い耽って悶々としている様子が目に浮かぶ。
なんだかとても切なくなる歌なのだが、月曜の朝起きて窓の外が雨模様の時は、頭の中でグルグルとこの歌が廻る。

でも、この曲のメロディが好きなだけで、僕が切ない訳じゃない。ただそれだけで、僕はいつもの通り爽やかな朝を迎えるのだナ。
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先日、医者に高血圧気味だから気をつけた方が良い、と言われた。で、毎朝血圧を測っている。日頃から塩分の取り過ぎなのだろうか。
まぁ、気をつけるに越した事は無いので、意識して血圧を下げる努力はしていくつもりだ。糖尿病も痛風もまったく心配無しと云われたが、肝硬変になる確率は極めて高いから酒も減らした方が良いと苦言を呈されてしまった。

それでも仕事が終われば、矢張り酒が恋しくなる。金曜は神田駅近くの居酒屋『六文銭』へお邪魔した。
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鰯の丸干しをアテにぬる燗を呑む。
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段々と燗酒が旨くなる季節だネ。隣りのお馴染みさんが食べていた水菜のおしたしが美味そうと、酒朋ビリー君がそれも追加した。
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あぁ、さっぱりシャキっとして、これも酒に合うのだネ。矢張り金曜日は次々とお客さんが訪れる。僕らは小一時間程で切り上げて、神保町の『兵六』へ。
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其処からは、いつもの面々が続々と現れ、自然に愉しい宴となる。遠くまで帰らなくちゃならないビリーは途中で出たので、残ったメンバーで『銀漢亭』に移動した。

最近、三四件目までは覚えているのだが、其処から先はまるで記憶が無い。ハテ、何処で呑んでどうやって帰ったのやら。トホホ。

土曜日は朝から立石へ向かった。天気予報では雨は降らず行楽日和だと伝えていたのに、空はどんより鼠色だ。

口開けの『宇ち多”』は、殆どが知った顔だ。と云っても入口が二つ有るので栄寿司側に集まる面々しか知らないのだけれどもネ。
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タン生をアテにビールの大瓶と梅割りを戴いて、煮込みを待つ。
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あぁ、今週のホネも柔らかく煮込まれていて、骨が簡単に外れるのだ。平日と土曜日でどうしてこんなに違うのだろう。あの大鍋の威力は偉大だな。

さて、来月の3日文化の日は『宇ち多”』休みなので、皆さんお気をつけて下され。
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今月は自分で知らせておきながら、臨時休業の日に行ってしまったからナ。
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『愛知屋』のメンチを買い食いして、一路有楽町へ。

午後は『よみうりホール』で落語会だった。
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前座は柳亭市也の「金明竹」から。関西弁で繰り返す口上をつっかえずスラスラと語っていて凄いなぁ、と感心したが、そこに力を注ぎ過ぎた感じが残ったかナ。でも、大いに期待出来る前座だネ。

春風亭一之輔師は「茶の湯」だった。久しぶりに聴くとイイネ。

川柳師匠の毎度お馴染み「ガーコン」で昭和歌謡と軍歌のオンパレードだ。
中入り後は、桃月庵白酒師の「替り目」。最近、いろんな方の「替り目」を聴いているが、ヨカッタネ。まくらで、川柳師匠を思いっきりいじってたのが楽しかった。

そして、最後は柳亭市馬師匠だ。年末にはチト早いが「掛け取り」を掛けた。掛け取りとは借金取りの事だが、次々取り立てに来る連中を交わすやり取りが聞き所だが、市馬師の場合はお得意のノドを披露しないと始まらない。ってな訳で、最初から最後まで唄いっぱなしな一席となった。
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この日は昼の部、夜の部と出演者が違ったが、昼の部はまるで歌謡ショーみたいだったナ。あぁ、良く笑った。

会場を出ると雨が降り出していた。地下街を歩き、バーニーズでちょいとお買い物。
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そして、『平つか』でポチ袋と手刷りの年賀状を買って、『渡邊木版画舗』を覗く。

川瀬巴水の作品集が欲しいのだが、いつも眺めて帰ってしまう。なんせ5万円近いのだからねぇ。巴水は、生涯に残した作品の点数が多過ぎるのだ。六百点以上もあるのだ。それが全部掲載されているのだから、分厚いし値も張るのだヨ。で、この日も本を眺めただけで、店を出た。

『ロックフィッシュ』で軽くハイボールでも、と思って店を覗いたが立ち飲みの満席状態。そのまま諦めて銀座線へ急いだ。

田原町で降りて、真っ直ぐ『簑笠庵』へと向かった。

最初のビールの美味い事。ハイボール我慢してヨカッタナ。
宇ち多”のもつ焼きと酒だけで昼を過ごしたので、随分と腹が減った。
山本さんに仕入れた魚を聞き、「腹にズシンと来る奴を!」とお願いしたのがドンコの煮付けだ。皿からはみ出してしまう程大きなドンコを簑笠庵特製のツメで煮込む。

ドンコは鯛とかと違い顔が横に平たい魚だ。たぶん海の浅瀬に居るからだろうか。
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見た目はグロテスクだが食べると実に美味い。エゾアイナメとも呼ばれる魚で、身はタラに近い。また、肝が特に美味いので、北海道では肝のたたきすまし汁とか肝タタキと云って肝と身に味噌と薬味葱を混ぜて一緒に叩く料理が酒の肴として人気だ。

それにしても、簑笠庵特製のツメで煮た肝は絶品だったナ。
そしてアボカドと海老のグリーンソース和えを戴いた。
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海老の香りとプリっとした食感にねっとりしたアボカドが好く絡む。これはもうイタリア料理だネ。シャンパンが欲しくなってくる味だ。

と其処へ酒朋矢野カンメイ兄がやって来た。山マッチョの彼はこの日もロッククライミング系ジムで一汗かいた帰りだそうだ。アレだよね、壁に突起物がランダムに沢山出ていて、手と足でモガきながら登って行くヤツだね。
スゲェなぁ、あんな事出来るなんて。今度勝手にTBSの『SASUKE』に応募しちゃおうかナ、なんちて。
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で、矢野兄ぃが簑笠庵一周年のお祝いに持って来てくれた「賀茂泉」の純米吟醸朱泉本仕込のご相伴に与った。
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旨い米の香りを味わう酒だね。ご馳走さまでした。
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ぬか漬けも好い塩梅で漬かっており、増々酒がススム夜であった。
         ◇        ◇        ◇
日曜日は家で衣更え。とは云え、まだまだ暑がりの僕は夏物も仕舞えない。今日だってTシャツにジャケットだしネ。冬のジャケットやコート、セーター類を出しただけで仕舞うものなど殆どなかったナ。参った。

夕方からは日曜のお愉しみ、「四時秋」に出掛ける事にした。
三時をちょいと廻ったので、間に合うかしら、と思いつつ足早に歩き電車に乗った。電車の乗り継ぎがウマい具合に出来たので、開店10分前に野方『秋元屋』に到着。二週間ぶりに来たら、真向かいの古るアパートが取り壊されて更地になっていたのに驚いた。でも、既に地鎮祭も終わったみたいだから、またスグ何か建っちゃうのだネ。
先客は3人。こりゃ大丈夫だナ、と一安心。

それでもいつの間にか後ろには長い列が出来ている。
四時丁度に暖簾が出て、いつもの角12番席に着く事ができた。隣の13番はひとみ姐さんの定席だった処だ。なので、此処に座る時はいつもひとみさんと酒を呑んでいる気がするのだナ。

口開けと同時にこちら側のカウンターは満席だ。冷蔵庫前と隣のカウンター席はまだ空いている。
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先ずは特製ハイボールを戴いて休日呑みに突入だ。アテはもちろんナンスラだ。此処の軟骨スライスは抜群に旨い。
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最近は黒胡椒をたっぷりとかけるのがマイブームなのだ。むふふ。

そして煮込みを戴いた。
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此処の煮込みは実にオーセンティックな味で大好きなのだ。大根、豆腐などに汁が染み込んでホっとする味わい。

ハイボールをお替わりし串を戴く。
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カシラとカシラアブラは味噌焼きで、レバーは塩のちょい焼き、テッポウ、コブクロ、シロは生醤油で焼いてもらう。

いつもレバーも味噌焼きなのだが、今回はちょっと趣向を変えて軽く炙った塩レバーに胡麻油をかけて頂いた。
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コレがバカウマな味だったナ。

焼き場に立つ三浦さんの凛々しい姿を眺めながら呑むのが、とても楽しい。見ていてホレボレする程に格好が良いのだヨ。
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それに親方直伝の絶妙な焼き加減も素晴らしい。
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酒を三冷ホッピーに切り替えた。
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追加の串は、鶏のせせりを味噌と豚のトロを塩で。

あぁ、此処は愉しいナ。居心地が良いナ。
いつも思うが、働いている人たちが楽しそうな顔で仕事をしていると、客は更に楽しく酒が呑めるのだナ。彼らから醸し出される雰囲気が自然と料理や酒の味を美味しくさせるのだ。その典型が此処『秋元屋』であり、いつも通いたくなるワケなのだ。

そして、隣のカウンターを見れば酒朋フルさんとアラちゃんが登場していた。楽しく休日男酒だネ。
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しかし、二人が並ぶと広いカウンターが窮屈に見えるネ、なんちて。

冷蔵庫前で日曜のみ働くユリちゃんとご挨拶。
そうそう、彼女の情報によれば、中野『石松』がレバ刺しをやめたそうだ。きっと区の保健所とかがうるさいのだろうネ。

陽が暮れる前に店を出て、のんびりと戻る。ほろ酔い気分で本屋さんなどを覗いたりするといつも何か新しいモノを発見する。
落語家、柳家喬太郎が書いた「落語こてんパン」なんて本を見つけて買ってみた。
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創作落語が得意な人だが、古典をやっても実に味のある噺家だネ、この方は。
そんな方が、古典落語五十席を落語初心者にも判り易く紐解いて綴ったエッセイだ。高座で一席喋っているような語り口で、読んでいながら喬太郎師の顔が浮かぶのだナ。秋の夜長につまみ読みするのに丁度良い一冊だった。
by cafegent | 2009-10-27 17:22 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
七十二候では、今日まで「蟋蟀在戸」、キリギリス(しつしゅつ)が戸の辺りで鳴く時季。
明日からの五日間は「霜降」、霜始めて降る時季となる。もう、田畑に霜が降り始める時季って訳だナ。

我が家の朝顔も終わり、冬に向けたハツユキカズラが咲いた。
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暦の上では、来週で秋も終わりとなり、立冬となる。でも、まだ冬のコートなど必要もない程の気候だネ。僕もまだ日中は、Tシャツで過ごしている。

毎週京成線に乗り八広や立石界隈で呑んでいるが、渋谷・青山・銀座と云った仕事関係の連中と呑む時と話す会話の内容がまるっきり違うのが愉しい。そして、最近もっぱら話題になっているのが墨田区押上で現在着工中の新東京タワー、「東京スカイツリー」のハナシだ。

「浅草から東武伊勢崎線に乗った方が建設の進行具合が良く見えるヨ」とか「現在、1740メートルになった」などなど、皆楽しそうに話してくれる。
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土曜日の朝『宇ち多”』の暖簾が出るのを待つ間には、今週の進行具合を携帯で撮影した画像を見せてくれたりするし、映画「オールウェイズ 三丁目の夕日」で飯倉の東京タワーが出来上がっていく光景に胸躍っている姿と重なって見えてくる。

先日、発表されたニュースによると、中国広州で建設中のタワーが610メートルと同じ高さだったので、完成時に「世界一」をうたうために24メートル伸ばすと決めたらしい。凄いなぁ、333メートルの現東京タワーよりも300メートルも高くなるのだネ。
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更に面白い話を聞いた。何故24メートル伸ばしたか?、でアル。
この中途半端な数字、不思議でしょ。普通だったら635mとか650mにすると思うのだが、今回は「シャレ」なのだナ。東京・埼玉・神奈川の一部を含む大きな地域をその昔、旧国名で「武蔵」と呼んだ。

世界一のタワーが建った暁には、いにしえの国「武蔵」を一望出来ることから、武蔵(ムサシ)、そう「634」になったのだ。ベタだが、なんとも粋な事をするもんだ。それに何てったって覚え易いよネ。

皆、2012年の開業には真っ先に上に登ると云っているし、それまでは、天に伸びて行く姿を何処から眺めるのが一番かを探すのが愉しみだ、なんて語っている。

古い映画のハナシになるが、橋幸夫が主演した「いつでも夢を」の中に「お化け煙突」と云うモノが登場した。見る方角によって、三本に見えたり四本に見える工場の煙突だ。主題歌も大ヒットしたが、当時白金三光町に住んで居た僕には、「お化け煙突」への興味が頭から離れなかった。
同じ年に山田洋次監督が「下町の太陽」と云う映画を創ったが、舞台は同じ荒川沿いの工場地帯だ。僕は当時3歳だったので、可成り後になってこの時代の映画を観漁った。白金恵比寿界隈とまるで違う街の雰囲気に東京は広いのだナ、と思ったものだ。

映画の舞台となった千住は、隅田川をはさんだタワーの向こう側で、いわゆる「東京の下町」だネ。小学生の頃は、其処まで出掛ける事が、大冒険だった様な気がする。それが今じゃ週に2、3回は酒を呑みに出掛けているのだから面白いナ。

そして必ずや東京スカイツリーは、この街に生きる皆の「下町の太陽」となってくれる事だろうネ。

       暮れの秋スカイツリーに霞む月
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スカイツリーもこの笠松紫浪の版画の様に誰か描いてくれるとイイナ。
        ◇        ◇        ◇
今週は、末広町に在る割烹『花ぶさ』にお邪魔した。
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前回伺った際には、大女将の佐藤雅江さんがいらしたので、千代田膳を肴に酒を呑みながら、長々と話をしてしまった。神田・万世橋近くでトンカツ屋を営んで居た頃の話や、旦那さんと住んで居た今の場所にこの店を開業した話などなど、でアル。外神田は、当時は千代田区五軒町と呼ばれていた。昔は黒門町とか連雀町なんて、粋な町名が多かったネ。

此処は作家の池波正太郎がこよなく愛した店であり、著書「散歩のとき何か食べたくなって」を読んで、いつか歳をとり分相応になったら、その本に出て来た店に行ってみようと思ったりした。中には、渋谷の『ムルギー』や浅草『ヨシカミ』、神田『まつや』など随分と昔から通っている店も登場していたのだが、若者には敷居の高い、いや高そうな店は遠慮していた。

そんな僕ももうあと数ヶ月で半世紀を生きた事になる。昔は人生五十年と云ったが、今じゃ医学も進歩したし生活環境も変わって来たので、まだまだ元気だ。
だから、その元気なうちは大いに遊び、大いに勉強して過ごしたい。
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先ずは瓶ビールを貰って、茹でたての枝豆をつまむ。
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湯から上げたばかりで緑が鮮やかだネ。
かつて、池田弥三郎が「枝豆は、空豆をおしのけて主役に躍り出たから嫌いだ」なんて随筆を残していたが、それでも矢張りビールには枝豆でアル。ぐふふ。

ビールを飲みながら、扇形の品書きを吟味し、何を戴くか考える。
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このひとときが一番素敵な時間かもしれない。板長に今日の魚を聞き、旬の素材を取り混ぜながら決めていくのだ。

突き出しのいくらも酒に合う。この晩は、色々と季節の料理が食べたかったので、アラカルトにした。良いカワハギが入ってると云うので、お造りにして戴き肝醤油で戴いた。
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おぉ、これにゃあ日本酒しかないだろう、と熱燗をお願いした。刺身は山葵で食べ、湯引きした薄皮はおろし生姜がマッチした。醤油に溶いた肝も旨い酒のアテになる。これだけでチビチビと酒が呑めるのだナ。

続いて、たこのやわらか煮だ。
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丁度良い塩梅の味加減で柔らかく煮込まれた蛸は、口に入れた途端にとろけてしまったヨ。

そして、花ぶさ名物「生芝海老の揚げしんじょ」だ。
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これは、とてもシンプルに見える料理だが、仕込みから眺めたら驚くことだろう。実に手間を惜しまず一尾一尾の芝海老を包丁で叩いていくのだ。
芝海老の良い香りが香ばしく揚げられて、これまた燗酒に合うのだナ。

ちょいと酒を呑むてを休めて、躯に優しい「治部煮」を戴いた。
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治部煮は金沢の郷土料理だね。麩や湯葉、鴨肉を煮立てたものだが、鴨に小麦粉をまぶしてとろみをつけた少し甘い汁仕立ての料理だ。

板場に立つのは、雅江さんのお孫さんで三代目にあたる。寡黙な方だが、治部煮の名前の由来だとか、所々で丁寧にいろんな話をしてくれるので、僕はいつも板長の前の席に座るのだ。

治部煮のお椀は木をくり抜いて仕上げたものだそうだ。
美しいなぁと眺めながら蓋をかえすと綺麗な漆黒に黄金色の鮎が三匹泳いでいたのだ。
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思わず板長の顔を見ると満面の笑みを返してくれた。これが、「もてなし」だネ。

「鯛のあら焚き」をお願いすると、大きな鯛を一匹出して来た。刺身で残ったアラを使うのかと思いきや、この為に一匹を捌いてくれた。
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頭を落とし、身を三枚に卸す。眺めていて、実に素晴らしい光景だ。捌いたばかりの鯛のおカシラを鍋でじっくりと焚いていく。

後ろのサラマンダーで何か焼き始めたので、二階のお座敷用の料理かナ、なんて思っていたら違ったのだ。
板長がこちらに廻って出て来てくれた。そして、鯛が焚き上がるまで酒の肴にと先程の鯛を三枚卸しにした骨の廻りのところを塩焼きにしてくれたのだった。
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これで作る潮汁も美味いが、これまた香ばしくて酒がススむ一皿となったのだ。

さぁ、お待ちかね「鯛のあら焚き」が登場だ。
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どうですか、見事でしょ。これには、キリリと冷えた加賀鳶を合わせることにした。
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むふふ。煮だれの絡まった鯛の身に辛口が絶妙にマッチした。
あぁ、こんな素晴らしい店を知っていると云うだけで、僕は幸せ者だ。

お腹も一杯になり、至福の時を過ごせたナ。店を出ると、板長さんが見送りに出て来てくれた。通りの角を曲がって見えなくなるまで、ずっと見送ってくれるのだ。外の風は冷たいと云うのに、いつまでもホッコリとした気分で居られるのは、板長さんの優しい心配りが有るからなのだネ。

時計を見れば、まだ九時でアル。
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いつもの神保町『兵六』へと急いだのであった。
by cafegent | 2009-10-23 15:09 | 食べる | Trackback | Comments(0)
昨日、「イトーヨーカドー」のネット通販で一個と一箱の値段表示を間違えたそうだ。その時間帯に注文した人は誤表示の価格のまま販売したそうだ。サイトの担当者は大慌てだっただろうに。

そんなニュースを聞いた日の夜、通りかかった不動産屋の物件情報に大笑いした。
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一戸建て住宅が5,080円なのだ。
(次の日、また見たらサインペンで「万」が書かれてたケドね)
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更に「売却手数料」もひっくり返っちゃってたネ。笑ったナ。

あぁ、なんて美しい夕暮れだろう。
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オリオン座流星群が凄いらしいが、都心じゃ見えないだろうナ。

夕べは立石でちょいと梅割りを呑んで、東京駅方面へ移動。
ひとみ姐さんが好きだった居酒屋『ふくべ』にて酒朋ビリーと待ち合わせた。
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此処は風情も良いし酒と肴が実に旨い。カウンターで独り酒も良いが気心しれた仲間と奥の卓席を囲むのもまた愉しい。

「樽お願いね!」と声を掛ければ、菊正宗の熱燗がやってくる。お銚子から醸し出される樽酒の木の薫りが何とも言えず好いのだ。
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先に着いていたビリーの酒の肴はミディアムレアの焼きたらこ。
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僕は塩らっきょうと名物くさやの干物だ。
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家で焼いたら怒られそうな強烈な臭いを放つくさやも酒に合わせるととびきりの肴になる。お銚子が次々と空いて行くナ。
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酒仲間がもう一人増えたので卵焼きとおでんも追加した。
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この日は、僕らの横で男2人女子4人が呑んで居たのだが、余りに騒ぐので何度も何度も店のお姐さん達に注意されていた。
こっちの会話が聞こえない程凄かったのだヨ。場の空気が読めない方々ってのは、ホトホト困るネ。
あれだけ、騒ぎたいのならば、此処じゃなくカラオケ屋にでも行けば良いのになぁ。しまいには、お店のお姐さんから、「ごめんなさいネェ」と塩らっきょうを戴いた。ご馳走さまでした。
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僕らもすっかりイイ酔い心地となったので、〆におにぎりを戴いて帰ることにした。
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テレビで「深夜食堂」の第2話も見なくちゃならないので、三件目は寄らずに帰ることにした。あぁ、『ふくべ』は居心地の良い酒場だナ。
流石、「通人の酒席」と謳ってるだけの事はあるネ。
         ◇        ◇        ◇
さて、今週は仕事で大阪に出掛けて来た。
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大阪で仕事が済めば、絶対にハズす訳にはいかないと、地下鉄を乗り継いで阿倍野の『明治屋』へと急いだ。

天王寺駅を出ると夕暮れが近づいてた。
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再開発が開始され、歩道橋の上から眺めると『明治屋』の在る一角はほとんどが立ち退いて工事中になっている。いつまで、あの場所で暖簾が下がっているか判らないので大阪に来る度に来なくちゃならない。
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ガラリと戸を開けるとカウンターに二人、テーブル席に四人組が酒を呑んで居た。
あぁ、僕のお気に入りの入口近くの角席が空いていた。この時間だから混んでる頃かナ、と思ったがラッキーだった。

先ずは、黒ビールで喉の乾きを拭う。
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アテはもちろん「きずし」だ。関東で言う所の〆サバだネ。
そして、きずしを食べ終える前に熱燗を戴くのだ。
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此処はお姐さんが最初の一杯はお酌してくれるのが嬉しい。
こんなちょっとした気遣いに呑兵衛は、ほろりと来るのだヨ。

そして、大好きなシュウマイを戴く。
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酒場で食べるシュウマイってどうしてこんなに旨いのだろう。神保町の『兵六』しかり、吉祥寺『いせや』しかりでアル。

三本目のお銚子と共に名物の湯豆腐をお願いした。
これが始まると秋が深まってきたって事だネ。数日前から始まったそうだが、僕が座る席の前には湯豆腐用の台が有る。夏の間は何も置かれていないのだが、今の時季になると湯豆腐器が置かれ、火が入る。
此処の常連さん達は、「此処の湯豆腐を喰わないと秋が来ない」と言い切る程だ。
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熱々の湯豆腐にとろろ昆布と刻み葱を乗せ、たっぷりの汁が注がれる。
あぁ、口の中に深まる秋が訪れた。幸せなひとときだナ。

此処の燗酒は薄張りのガラス製のお銚子に注がれるので、熱燗にすると手に持つのが辛いほどに熱いのでアル。
しかし、店の姐さんはよくあの熱いのを持てるネ。で、聞いてみたら、「長年やってるから指の皮がこの熱さに耐えられるようになっちゃったのヨ」との答えが返って来た。なるほど「継続は力なり」だネ。

八重洲「ふくべ」の菊正宗同様に此処の酒も樽から出されるので、ほんのりと杉の香りがする。甘めの酒は燗にすると美味い。
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店の真ん中に堂々と鎮座する樽酒は此処の顔だナ。

再開発の波は此処にまで押し寄せて来たらしい。『明治屋』ももうすぐ移転するそうだ。もう新しい場所は決まっているとの事だが、なるべく今までの風情を残すようにすると伺った。
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それにしても此処は居心地の良い酒場だ。店の姐さんたちも気さくだし、絶妙なタイミングで燗酒をつける。声を掛ければ、愉しく会話も弾むし本当に心地良く酔える。
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しかしだ。それにしても、だ。
此処で70年以上も続いた老舗の酒場がもうすぐ無くなってしまうのか。でも場所が移っても、『明治屋』の心意気と酒の味はずっと変わらないだろうね。あぁ、移転前にもう一度来られるかなぁ。

19時半の新幹線に乗り、車中の酒を楽しんだ。
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おや、新大阪駅で買った「くくる」のたこ焼きは思いのほか美味いじゃないの。いつも「蓬莱」のぶたまんじゃ芸がないもんネ。
by cafegent | 2009-10-22 14:39 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
土曜日は朝からいつもの立石へ『宇ち多”』詣で。
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此処数ヶ月行く度に口開けの時間が早くなっている。この日は、朝10時に立石に着き、40分には暖簾が下がった。おや、びっくり。
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しっかりと煮込みのホネを戴いて愉しい週末が始まった。たっぷりと呑んで食べてもまだ11時半だ。一人、また一人と店を出る。それでも、イトーヨーカドー裏の『えびす家』を覗くと皆が集まっていた。
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宇ち多”の奥席の仲間がそっくりそのまま、こちらへ移動だ。立石の重鎮イシさんに大島さんもゴキゲンだね。チューハイに日本酒と皆自由に愉しく呑んでるナ。

午後は皆と別れて、一人で浜離宮まで出掛けてみた。
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土日の二日間、『浜離宮恩賜庭園』が茶会の場となるイベント「東京大茶会2009」が行われていたのだ。
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野点(のだて)や茶席、芸妓衆による舞踊など、様々な催しを堪能。
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それにしても、浅草の芸妓衆の踊りは粋だねぇ。
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日頃からお稽古を積まないと出来ない伝統芸だ。素晴らしかったナ。

空は曇っていたが、美しい徳川将軍家の大名庭園はのんびりと散策するだけでも気持ちが良い所だネ。
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東京って意外とこんな場所が多く点在しているのだ。
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綺麗な芸妓さんたちもお帰りだ。

新橋駅の方に戻り、『小川軒』にて一休み。イラストレーターの原田治さんは「此処のモンブランを食べないことには秋がやってこない」と云う事で、僕もひとつ。
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利平栗だけを使うそうだが、和栗の甘さ控え目のマロンクリームと珈琲がベストマッチな組み合わせ。丁度手が空いた時間帯だったのか、白衣が凛々しいマスターと楽しいモンブラン談義に花が咲いた。

夜は雷門『簑笠庵』にてしめ鯖をアテに薩摩富士の兵六呑みだ。
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此処はふらりと独りで立ち寄っても誰かしら酒仲間が集っているから楽しく呑めるのだナ。
自転車散策ガイドブック「自転車でめぐる東京・江戸ガイド」を献上したばかりの酒仲間は浅草「むつみ」の釜飯を食べた帰りに寄り道だ。
そうか、牡蠣の釜飯が旨い季節になったのだナ。うーん、僕も行かなくちゃ。

主人の山本さんが水蛸のホイル焼きを作ってくれた。
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これにはウィスキーが良いな、と酒をスコッチに替えてみた。
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あぁ、大正解。スコットランドの漁師になった気分で水蛸を味わった。

時計の針が12時を指す前に地下鉄に乗れた。溜池山王で乗り換えていつもの深夜食堂へ。

ドアを開けると良い匂いが僕の鼻を一撃だ。ママが大きな鍋で牛すじ大根を作っていたので、戴いた。
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芋焼酎のお湯割りを呑みながら土曜の夜が更けて行った。
        ◇        ◇        ◇
日曜日は神楽坂へ。
天気の良い秋晴れとなったので、ずっと自宅待機となっていた着物に袖を通してみた。
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あぁ、流石『めうがや』の足袋は足に馴染むなぁ。

神楽坂の街は、「神楽坂まち飛びフェスタ2009」を開催中で、沢山の人で賑わっていた。お座敷遊び入門講座やら、落語会、茶会、カフェのギャルソンがトレイ片手に走り抜くギャルソンレースなど11月3日まで様々なイベントが催される。
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僕は、先日両国の私設図書館『眺花亭』で知り合ったご夫妻に招待して戴いた落語会『小天狗よったり会』を聴きに毘沙門天へと伺った。

橘ノ百圓さんはじめ、アマチュア噺家の皆さんの催しだが、実に今年で19回目でアル。それはもう年季も入って堂々としたものだ。

百圓さんは日大落研出身。真剣にプロの噺家になるか家業を継ぐか悩んだ末に木場の材木商を継いで、落語は趣味で続けることにしたそうだ。
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最初に「紀州」、トリで「野ざらし」と二席、とても良かったナ。
「野ざらし」は小三治師匠で聴いたモノを手本にしていたナ。
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志ん生師匠顔負けの風体の、めずらし家芝楽さんは貫禄だネ。

ぬりた亭津久蔵さん、柳花楼扇生さんの落語も素晴らしかったが、とりわけ三味線の福岡民江師匠の「深川」が聴けたのが良かった。
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テレビドラマの「タイガー&ドラゴン」でお囃子を弾いていたのが民江師匠だネ。

百圓さんたちは、江東区のアマチュア落語会『都笑亭』(これで、トワイライトていと読むのだヨ)に出たりしているので、アマチュアと云えどプロ顔負けの方々だ。

落語会が終わり、酒朋キクさんと一緒に打ち上げに参加した。
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会場は名画座ギンレイホール横の『天狗』だが、毎年此処で打ち上げをやっていると云うだけに、酒も食事も何から何まで素晴らしかった。
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百圓師も洋服に着替えゴキゲンだ。酒を一杯頂いた。
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木場の材木屋界隈は素敵な女性が多いのだネ。皆さん、愉しいひとときをご馳走さまでした。
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その後は、キクさん行きつけ麹町の『ほっ。』へ。
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流石、菊さんだけに菊姫が充実している店なのだね。
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新しい店らしいが、日本酒好きにはたまらないネ。
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この盃の台もイイネ。
明石焼きをアテに菊姫を三種利き酒だ。
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ふぅ、日曜日も愉しい夜を過ごしたナ。
by cafegent | 2009-10-20 17:09 | 飲み歩き | Trackback | Comments(2)
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この度は、丸口屋舌波掌中人形展にご来場頂きましてまことにありがとうございます。

え〜、なんと申しましょうか、最初は焼酎片手の与太話から始まって、気がつけばこんなことになってしまいました(笑)。

まぁなにぶん素人の作ったソレでございますので、どうかお気軽な気分でご覧下さい。
でもって、本棚の片隅の小さな人形を観たあとは、ぜひとも眺花亭特製の美味いコーヒーをどうぞ。     丸口屋舌波(まるくちやぜっぱ)
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てな訳で、先日沢山の方々が駆けつけた丸口屋舌波こと酒巻憂兄ぃの初展覧会『掌中人形展 第壱集 眺花亭落語名人会』が好評のうちに幕を閉じた。
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彼は名前の通り優しい男でアル。人当たりといい、酒での席といい、いつも廻りの皆を和ませてくれるのだ。でも、只の優しい男ってな訳じゃない、そうやって皆と酒を酌み交わしつつ、徹底的に我々を観察しているのだ。そして、それを密かに絵に描いているのだ。前にも書いたが、その画風はNYタイムズで活躍した似顔絵師のアル・ハーシュフェルドの描くスタイルに近い。
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神保町の酒場『兵六』に集まる面々を描いた作品もいつか個展に登場するだろう。その彼が創るフィギュアは、「掌中人形」と名付けた通り手のひらの中にすっぽり納まってしまう程小さな人形でアル。
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以前、兵六で見せて頂いた人形よりも一回り、いや二回りは小さい人形だ。
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今回の展覧会用に総て創り直したそうだ。小さな座布団も一針々々彼が縫ったそうだ。
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彼の人柄がしみじみと伝わってくる実に愉しい人形展だったナ。
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初日に伺った時は、両国の地ビール屋『麦酒倶楽部ポパイ』で愉しく乾杯をした。そして最終日は、京都から戻って駆けつけた。いつもの兵六仲間の面々と愉しい宴となったナ。さぁて、丸口屋舌波兄ぃの次なる個展に大いに期待しようじゃないか。
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そうそう、私設図書館『眺花亭』の美味しい珈琲、ご馳走さまでした。
         ◇        ◇        ◇
昨日は酒朋ビリーから『宇ち多”』の誘いが有ったのだが、前日に行ったので僕は神保町に向かうことにした。駅に向かって歩いていると携帯が鳴った。ビリーからである。「今、押上駅に着いたのだけど、神保町に向かいます。ご一緒させて!」と云う訳で、男二人『兵六』酒の酌み交わしとなった。
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夕べは友人のインテリア・デザイナー樋口泰輔さんのバースディパーティとの事で、青山『立ち飲み なるきよ』に行く予定をしていた。
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美味い餃子と満願寺に舌鼓を打ち、酒を程々に愉しんだ後、ビリーを誘って青山へ。
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地下鉄を出て表参道を青学方面へ歩く。ちょいと『スパイラルカフェ』でビールでも引っ掛けようと、中のカウンター席へ立ち寄ると知った顔に出逢った。毒舌のドン小西サンは以前家が近所だったので、白金の酒場などで良くお会いした。負けてしまったが、CFのプレゼンにも出て頂いた事がある。

ドンさんはいつも素敵な美女と一緒だが、この夜もバーバリーのプレスをしている素敵な美女たちを引き連れて夜の帳へと消えていった。ダイエットしたそうで、凄くスリムになったドンさんは相変わらずお洒落に決めており、グレーのジャケットと揃いのストールが粋だったナ。
あぁ、こんな粋なオヤジになりたいねぇ。
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頂いた名刺を見ると、ドン小西さんは「三重の観光大使」になったそうだ。三重県出身だったのネ。

スパイラルを出て、『なるきよ』に行くと奥座敷では盛大に樋口さんの誕生祝いの宴が繰り広げられていた。ドンさんの後は、ドン・チガリーノことチガちゃんも居たし、ヴィヴィアンにジャスミンも相変わらずのお洒落にキメていたネ。

久しぶりに野宮真貴ちゃんにもお会いした。久しく夜の都会を徘徊しておらず、ご無沙汰している連中に沢山逢ったナ。
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『なるきよ』の料理は今夜も素晴らしい。カウンターも座敷も知った顔が続々と現れた。愉しい酒が続くなぁ。
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この日が、初なるきよのビリーも素敵なコの横でゴキゲン状態だ。
いやぁ、毎度毎度美味い料理に旨い酒をありがとうネ、成清よ。感謝!
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そして、樋口さん42歳の誕生日おめでとう!仕事も遊びも一番脂が乗った時期だネ。また通いたくなる素敵な酒場を創ってネ。

終電を気にするビリーと別れ、僕は渋谷のんべい横丁の『Non』へと移ることにした。
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先日、ビリーと根岸の『鍵屋』で呑んだのだが、彼処の壁に成田一徹さんが創った切り絵が飾ってある。
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朝日新聞に連載中の「東京シルエット」の作品だが、燗をつけるご主人の清水賢太郎氏と太い楓のカウンターで独り酒を片手に愉しむ居酒屋研究家の太田和彦さんの姿だ。武蔵小山『牛太郎』、神保町『兵六』、神田の『六文銭』、そして根岸の『鍵屋』、と段々と僕も通う店が限られてきた。そうそう、恵比寿の『さいき』も忘れちゃならない。

居心地の良い居酒屋は主人の応対が実に良い。主人の態度が横暴だったりすると二度目に暖簾を潜る事はない。店主はいつも機嫌が良い方がイイのだ。それが時と共に店の佇まいに重なり、素敵な雰囲気を醸し出すのだナ。
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てな話をしていたら、フラリと知った顔が入って来た。顔は知っているが会った事はない。ハテ、誰だっけと思ったら居酒屋研究家の太田和彦さんだった。
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太田さんが絶賛する神楽坂の『伊勢藤』はちょいと苦手だが、『シンスケ』など他の酒場は沢山教わり通ったものだ。そんな話に花が咲き、沢山呑んでしまった。

ハテ、夕べはどうやって家に着いたやら。朝起きたら夕べの服を着たままだった。参ったナ。
by cafegent | 2009-10-16 14:39 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
10月14日は、雷門の居酒屋『簑笠庵(さりゅうあん)』の開店一周年だった。

立石『宇ち多”』で梅割り2杯を引っ掛けて、浅草で降りる。
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宇ち多”は、何時訪れても誰かしら知った顔に逢えるので、憩いの場となるのだナ。

地下鉄の階段を登ると小雨がぱらついて来た。浅草通りの一本裏の道をのんびりと歩く事にした。田原小学校の先を左へ折れると、通りまで賑やかな声が響いて来た。『簑笠庵』のカウンターは満席で僕は角に立って呑む事になった。毎日、こうだと良いのにネ、なんて声が聞こえてくるが、ホント良く一年続いたもんだ。おっと失敬。

此処の主(あるじ)の山本さん、京子さんとは、神保町の酒場『兵六』で出逢った。余りしゃべった事も無かったのだが、二軒目にハシゴした『銀漢亭』ではすっかり意気投合したっけ。それからは『カントリー』で呑んだり、砂町銀座で呑んだりと酒が絆を深めてくれた。そう、矢張り酒なのだナ。

夕べは兵六仲間から此処のご常連まで沢山の方が祝い酒に酔って居た。
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祝いの升酒も旨かった。青山『なるきよ』の常連だったフルヤさんは、最近はもっぱら此処で呑んでいるご様子。
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この日は、お祝いに大吟醸「加茂鶴ゴールド」を持って来た。
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どうですか、升酒に金箔が浮かんでる。緊縛じゃないぞ!
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先日、店が増々長く続くようにと長寿梅の盆栽を贈ったのだが、ちょうど昨日花が咲いたそうだ。
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一周年に花が咲いて良かったナ。

そしてその前には、丸口屋舌波(ぜっぱ)兄ぃが個展を終えたばかりの「掌中人形」のひとつ、黒門町の師匠が鎮座していた。
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うーん、此処から師匠の名調子が聞こえてきそうだネ。
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永遠に少年の様な舌波兄ぃ、個展お疲れさまでしたナ。最終日は京都から戻って、また見に行けて良かったヨ。

外では、落雷が鳴り響いてた。
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今朝の新聞では一日晴れると記してあったが、秋雨は気まぐれだナ。
でも、中途半端な小雨よりこれだけ勢いよく降った方が気持ち良い。
店でどれだけ騒いでも、この雨がかき消してくれそうだもんナ。

     秋雨の匂ひ呑み干す簑笠庵
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旨い酒に美味い肴で、楽しい一周年を祝えたナ。
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山本さんと京子さん、『簑笠庵』の一周年おめでとサンでございやす。これからも、末長く続けておくんなまし。
       ◇         ◇         ◇
さて、火曜日は『宇ち多”』仲間のビリーとゆりちゃんが、それぞれ立石で呑んで居た。
丁度、仕事を終えた頃に二人からメイルが入り、追っかけで参加する事にした。

彼らは立石ですっかりゴキゲン状態だったので、根岸の『鍵屋』で待ち合わせをした。8時を少し廻った頃に鴬谷駅に到着。足が自然に小走りになるのだナ。まったく酒呑みの習性は、治らないネ。
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『鍵屋』の暖簾を潜ると、二人は既に小上がりで呑んで居た。煮奴をアテに桜正宗のぬる燗か。うん、イイネ。僕もすぐに追いつくとしよう。
この日の突き出しは、ところてん。これが、たまらなく美味いのだナ。
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先ずは、うなぎのくりからやきを戴いた。それに味噌おでんだ。
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此処のは、僕の大好物のちくわぶが入っているのが嬉しい。
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合鴨塩やきも追加だ。桜正宗は甘口だが、ぬる燗が実に旨いのだ。

話も弾み、徳利の数も増えて行く。此処はのんびりと酒が呑めるなぁ。

僕らはもう一軒ハシゴすることにしたが、新たな恋に胸躍らせるゆりちゃんは、これにて終了。愛しのダーリンの元へと急いだのであった。
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で、ビリーのお気に入り、鴬谷駅前徒歩数歩の大衆食堂『信濃路』へ移動。此処は渋谷の『山家』同様に24時間営業の不夜城なのだ。

アジア系従業員の女のコたちが甲斐甲斐しく働いているのだが、彼女達が集まって会話を始めると何語か判らない。自分がまるで異国の路地裏で呑んでいるかと錯覚してしまうのだ。

この辺りは今でも街娼が立っているので、女性一人で歩いていると必ず「いくらだい?」と声を掛けられる。ラブホテルの数もハンパじゃなく多いし、風俗営業の店も沢山在る街だ。それにしても同じ駅なのにこの北口と南口では何故此処まで色が違うのだろうか。もつ焼き70円の『ささのや』周辺は実に健全な空気が漂っている。いや、健全だがケムい空気だナ。

北口はディープ鴬谷だ。ニューハーフのヘルス嬢や黒服たちも労働者に交じって『信濃路』で一杯やっている。時々、顔に青いアザをつくっているコを見かける事もあるが、誰もおかまい無しだ。そんな人間模様を眺めているだけで、東京は愉しいのだ。
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ビリーは鯵のひらきにホッピーだ。僕はもつ煮込みとマカロニサラダでトマトハイ。
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うーん、この中途半端な健康管理はイカンな。
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ニラ玉も追加して、酒に勢いがついた。あぁ、ニューヨークの様に電車が24時間奔ってくれたらいいのになぁ。

ビリーと別れ山手線に乗ったのだが、僕は更に腹が減ってきた。
で、いつもの深夜食堂に立ち寄ってしまった。
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ぶっかけうどんに温泉卵を乗っけてもらい、かきあげも揚げてもらう。
あぁ、愉しく夜は更けるのであった。
by cafegent | 2009-10-15 15:53 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
    残り鱧秋を迎えし身づくろい

京都の夜はいつまでも続いて欲しいものだ。

『京都サンボア』を出て『スタンド』に行こうと思ったが、其処までハシゴしてしまうとさすがに夕飯がキツくなるから我慢した。先程の『赤垣屋』の方まで戻り、木屋町通りの『割烹やました』へと向かった。
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今年の正月明けに来ようと思ったら、休みだったので今回は待ちに待った訪問なのでアル。八時半の予約だったのだが、ちょいと寄り道し過ぎて遅くなってしまった。スンマへん。

カウンターの一番奥に座り、先ずは生ビールから。
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これで、気分一新だ。つきだしの生ハムや鮎が酒の肴に丁度良い。
カウンターに並ぶ食材を見たら、おまかせでは無くアラカルトで食べたいモノをお願いする事にした。

品書きに出ていたこしびの焼霜が食べたかったが、あいにく終わっていた。親方が鱧を勧めてくれたので、名残の鱧を焼き霜で戴く事にした。

祇園と云えば鱧、毎年祇園祭りではハモが沢山振る舞われるのだ。
「鱧は梅雨の水を飲んで旨くなる」と云われる通り梅雨の季節が旬の食材だが、「今の時季は鱧に一番脂が乗っていて味に深みが出る」のだそうだ。

後ろの水槽では鱧が泳いでる。お客さんたちと陽気に話を弾ませていた親方が、スッと包丁を持ち鱧の骨切りを始めると、グラスを持つ手が止まり、しばらく魅入ってしまった。
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鱧の焼き霜の準備をしている間に生牡蛎を戴いた。
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クリーミーで、辛口の白ワインに合いそうな程深い甘さを感じたが、冷酒で戴いてみた。
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酒は兵庫の純米酒「大神力」をお願いしたが、これが大正解だった。
シャブリも良いがキリリと冷えた日本酒もこの牡蛎にマッチしたナ。

牡蛎をペロリとやっつけた頃合いにカウンターの向こうから真っ赤に燃えた「かんてき」がやって来た。コレ、関東では七輪と云うヤツね。
僕の知っている大阪のオッちゃんは、スグ頭に血が上るので皆から「カンテキ爺ぃ」と云われていたっけ。
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『やました』のかんてきは独特の形をしているネ。三河コンロよりも平べったいのは、此処で初めて見た。炭の上に乗る網は京都の老舗『辻和金網』のモノだろうか。欲しいなぁ。
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こっちの銀杏煎りは、絶対に辻和製だろうナ。
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鱧はこちらの進み具合を見計らって、板場の松岡さんが絶妙なタイミングで焼いて出してくれる。
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あぁ、幸せの泪がこぼれてきそうだ。

そして、炊き合わせを戴いた。蛸と春菊、栗、小芋、そして生麩の炊き合わせ。
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素材の味をしっかりと堪能する事が出来る見事な味付けだ。蓋の満月を眺めながら、お椀の中の小宇宙をしばし遊泳だ。

さぁ、そろそろ松茸の時期も終わる頃だネ。焼きにしようか悩んだが、土瓶蒸しで戴いた。
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「薫り松茸味しめじ」と云われるが、その薫りを舌でしっかりと味わうのなら土瓶蒸しが一番だろうか。
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『京味』の鱧と松茸の鍋も素晴らしいが、この土瓶蒸しは大変美味い。
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酒をおかわりしてると、さっき頼んだ茶碗蒸しが蒸し上がって来た。
むふふ。これからの季節には外せない一品だナ。
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続いて、琵琶湖の子持ち鮎だ。これも何とも贅沢な逸品だ。
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頭からパクリといけば口が琵琶湖に早変わり。至福の時が流れるネ。

最後は炭水化物で〆としようか。
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もずくの雑炊を戴いて満腹だ。
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あっさりした味付けがもずくの薫りと味を引き立てる。イクラの塩味をアクセントに添えて、ペロリといってしまったヨ。

それにしても、美味い店は仕事をする姿を眺めていても実に気持ちが良いネ。此処は親方の山下さんが本当に愉しそうに料理を作っている。
板場で働く方々も料理以外の部分でも親方をちゃんと見ている様で、厳しい中にも楽しく生き生きと仕事をしている様に思えたナ。
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花島さんも気さくだったし、目の前の松岡さんは実に丁寧に料理や素材の事を教えてくれた。

こんな店こそ長く通いたくなるのだ。東京に居てもそうだが、段々と行く店が決まってくるのだ。これからは、京都を訪れる度に此処『割烹やました』の暖簾を潜るだろう。しかし、席が取れたらの話だけれどネ。

お気に入りの店を何軒か廻り、新しい店を一軒だけ訪れる。これが僕の最近の旅の仕方だナ。

最後に名物の鯖寿司をお土産にして頂いた。一晩置いて、明日の朝の朝食にしよう。

店を出て、タクシーに乗り祇園へ。
目指すは『祇園サンボア』だ。夜は少し冷える。
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「SANVOA」の暖簾が、神無月の夜風に揺れていた。

カウンターの一番奥には着物姿の美しい女性が独りお酒を呑んで居た。

     サンボアの暖簾の奥に秋袷(あわせ)
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先ずは、マンハッタンのオン・ザ・ロックを戴いた。
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奥の壁には古い暖簾が額装されて飾られていた。懐かしい、山口瞳の描いたサンボアの暖簾でアル。

山口先生が贔屓にして通っていた頃は、東京のトニーズバーで修行中だったと云う中川立美さんが三代続いた最古参のバーを守っている。

マスターと最近の巷のハイボールブームの話になった。
サントリーが精力的に仕掛けているので、何処の酒場に行っても「ハイボール、あります」のポスターや看板が出ているネ。バーによっては、最初からウィスキーと炭酸が混ざっており、レバーひとつでハイボールが完成する店も在ると云う。

「あれは、戴けませんネ。矢張り、毎回キチンとウィスキーを注いで、栓を抜いた炭酸を注がなくちゃ美味しいハイボールは出来ませんよ」、その通りだね。下町の焼酎ハイボールとは訳が違うのだから、ウィスキーハイボールは手を抜いちゃいかんネ。

そして、もう一杯。今度はクレイモアのスコッチウィスキーでとびきりのハイボールを作って貰った。
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あぁ、これぞハイボール。角ハイも良いが、極上のハイボールは祇園の街に似合うなぁ。

美味い酒に酔いしれている間に隣の着物美女は消えていた。まぁ、良いか。こうして、祇園の夜は更けていく。うん、素敵な旅を過ごしているナ。

気が付けば、朝を迎えていた。シャワーを浴び目を覚ますと、夕べの『割烹やました』で作って頂いた鯖寿司を朝食にした。
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酢がしっかりと馴染み得も云えぬ旨さだ。むふふ、朝から贅沢だ。

堺町三条の『イノダコーヒ』に行き、美味い珈琲を飲む。
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これで、僕の京都の朝が始まるって訳だ。
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外は気持ちが良い秋晴れだ。
北大路からバスに乗り、『源光庵』へ。
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門を潜るとススキと萩の花が迎えてくれた。
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萩の花は「万葉集」の中で140首も詠われている。それほど、日本人の心象に訴えかける花なのだろうね。
詩人の高橋陸郎さんは、〈その派手といえない淋しげな佇まいが日本人の美意識に適(かな)ったのだろう〉と記している。(朝日新聞「花をひろう」から)

    雁がねの初声聞きて咲き出たる 
        屋前(やど)の秋萩見に来わが背子(せこ)

「今年初めて鳴く雁の声を聞いたら、家の萩が咲き始めた。どうか、見に来てくださいね」と云う意味だが、背子とはいわゆるオトコでアル。恋しい女性が好きな男を想う姿を詠んだ秋の歌だナ。
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『源光庵』の本堂には血天井が残っている。
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伏見桃山城の遺構であり、徳川家康の忠臣、鳥居彦右衛門が率いた一党の自刃し果てた時の痕跡だが、足跡などは今も生々しく残っておりちゃんと成仏出来たのかナ、と心配してしまう。

この本堂には、丸い「悟りの窓」と四角い「迷いの窓」が並んでいる。
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禅では、丸は宇宙を表し、逆に四角い窓は人間の生涯を表し生老病死の四苦八苦を表してるそうだ。
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窓の前に座り暫くの間眺めていると、心が清らかに澄んで行くようだ。
あと一ヶ月もすれば、庭の木々も赤々と紅葉し、見事な風情となるが、今だってとても素敵な趣きがある。
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これが、紅葉の時季の源光庵だ。

さて、僕の心も迷う事なく清らかに悟ることが出来るのかしら、ハテ。
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祇園に戻り、昼ご飯を求め『祇園山ふく』へ伺った。
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昼は20食分しか用意していないとの事で、午後1時半頃に向かったのだが既に暖簾が仕舞われていた。

まいったナ、と思いつつ戸を開けると「もう暖簾引っ込めたし、終わってるのよ!」と冷ややかに云われたが、すぐ「今度からは、先に電話入れてね、そこ座って!」と救われたのだった。最初にガツンとキビしい声が架かり、半ば諦めかかった所で優しい言葉が覆い被さった。

「ウチは夜が中心だから、お昼はサービスなのよ。この値段じゃ夜は出来ないものね。だから、すぐに終わっちゃうのよ」と話を続けながら、せっせと追加の支度をしてくれた。嬉しいなぁ。
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先ずは、鮎の南蛮漬けと野菜の炊き合わせ。
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それに茶豆と桜えび煮ときゅうりの酢のもの。あぁ、どれも美味い。
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ご飯はシメジの炊き込みご飯だ。
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漬け物のご覧の通りのボリュームだ。凄いねぇ。
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続いて、鴨ロースに牛の肉じゃがだ。
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ジャガ芋がしっとりもっちりで味が良く滲みており旨かったなぁ。

「夕べ炊いたのだけど、食べる?」と云いながら、出してくれたおかわりは松茸ご飯だった。
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味も薫りも素晴らしく腹一杯だったのにペロリと平らげてしまった。
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凛とした祇園の街で、こんなにもほっこりと心温まるなんて最高だ。

次回は、夜にゆっくりと美味いおばんざいに酒でも一献つけたいナ。
あぁ、今回の京都は美味いものずくしだったナ。

花見小路を出て向かい側の露地を入る。
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時季なので『甘泉堂』の栗蒸し羊羹を土産に買って帰ろうと思ったら、あいにくの休みだった。残念。

仕方ない、また次回だネ。
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で、気を取り直し、角の京都現代美術館『何必館』にて「北大子魯山人展」を拝見し、京都駅へと急ぐのであった。
by cafegent | 2009-10-14 17:04 | 食べる | Trackback | Comments(0)