東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent

<   2009年 11月 ( 16 )   > この月の画像一覧

先週の金曜日は立石『宇ち多゛』を攻めた後、一度行ってみたかった三ノ輪の『もつ焼きほりい』へと向かった。
b0019140_168225.jpg
この辺りに来ると『弁慶』の煮込みか『丸千葉』へと足が向いてしまうので、地元に住むmooちゃん夫妻の案内で初の『ほりい』でした。以前からmooちゃんのブログ「口福な日々」を読んでいで『ほりい』が気になっていたのだ。

ガラリと戸を開けるとよい具合に年季が入ったカウンターが目に入る。女将さんをぐるりと取り囲んだカウンターでは地元の常連さんたちがほろ酔い加減で愉しそうに笑ってる。mooちゃんのご主人小ヒロさんが先に着いて席を取っておいてくれた。

此処もビールの大瓶が五百円と今時嬉しい価格でアル。そしてもつ焼きは一本八十円。ゆで玉子五十円やらっきょう二百円と千円札一枚も有れば十分楽しめるのだネ。
b0019140_1682484.jpg
レバ、ハツ、カシラをタレで焼いてもらう。此処の串は長ネギが入るのがまた良いのだナ。
b0019140_1685394.jpg
酒朋クマちゃんが教えてくれた、此処のらっきょうも酒のアテに良い。

小ヒロさんも酎ハイで赤くなってきたゾ。タンの塩焼きも絶品だ。
b0019140_1610302.jpg
もう少し此処で呑みたかったが、8時閉店なので諦めた。次回は早めに来て隣りの銭湯でひとっ風呂浴びてから来よう。うーん、この辺りは吉原か。違う風呂に寄っちゃいそうだナ。

『もつ焼きほりい』に大満足し、mooちゃん夫妻行きつけの『金すし』へとお邪魔した。吉原大門のすぐ近く交番の隣りが『金すし』だ。そうか、『丸千葉』から真っすぐ同じ通りなんだネ。こりゃ、次回からのハシゴ酒が愉しみだ。

初『金すし』は、これまた至福なひとときを過ごす事が出来た。
b0019140_1612122.jpg
流石、常連夫婦と一緒だと美味しいものばかり知り尽くしているもんだから、もう二人の言いなりでアル。刺身も美味しいが、穴子の煮こごりが絶品。
b0019140_16105486.jpg
煮こごり好きとしては、たまらん一品だった。
b0019140_16111573.jpg
帆立のグラタンもバカウマで、酒を片手に食べ続け状態が続くのだ。
b0019140_12531782.jpg
小ヒロさん、緑茶割りですっかりゴキゲン。
するとそこへ団体五名が入って来た。雷門『簑笠庵』のお二人と店の常連三人姫たちだった。僕らが此処に居るって聞きつけて、店を閉めてすっ飛んで来たって訳だ。これでカンターはずらり知った顔ばかりが並んだネ。
b0019140_16123998.jpg
mooちゃんお気に入りの貝割れサラダも美味い。
b0019140_16132032.jpg
握りもネギトロ巻きも美味しくて、可成り食べたなぁ。大勢だと沢山食べられるから良いネ。
b0019140_16165611.jpg
僕らは緑茶割りでゴキゲンだし、山本さんや京子姐さんは熱燗を楽しんでたネ。
b0019140_12562599.jpg
此処は何を頼んでも美味しいナ。正に料理人の腕の見せ所だネ。

隣りで大笑いするmooちゃんの横では小ヒロさんが舟を漕いで居たナ。『ほりい』の酎ハイが今頃効いて来たんだろうネ。
b0019140_16174785.jpg
『金すし』の海鮮巻きがとても美味いと大評判だったのだが、僕のカメラには写ってなかったのだヨ。でも、カオル嬢のブログ「東京耳袋」にしっかり載っていたので一安心。愉しく金曜の夜は更けたのであった。
         ◇       ◇       ◇
土曜日は朝から寒かった。
b0019140_1618887.jpg
荒川土手では、寒さ知らズの若者達が野球の練習をしていたナ。
いつもより二本早い電車に乗ったら、10時10分前に着いてしまった。

八広『丸好酒場』のご常連モンナカさん(と勝手に呼んでいるのだが)と同じ電車で、二人揃って『宇ち多゛』一番乗りであった。
b0019140_16182896.jpg
それでも煮込み鍋側の方は、既に何名か並んでいたナ。ホント、最近みんな早く並ぶ様になったネ。

土曜日の煮込みホネは肉が柔らかくなっていて実に美味い。寶焼酎の梅割りが午前中の胃に滲みるのだ。
b0019140_16185237.jpg
そうそう、最近発見したのだが、朝牛乳を飲んで来ると梅割りで悪酔いしなくなった。
b0019140_16192291.jpg
遅れて口開けに間に合わなかったユリちゃんも宇ち多゛の後に『ゆう』で合流。馴染みの酒場に馴染みの顔が集まるってのが一番愉しいネ。

午後は、武蔵小山に向かい『牛太郎』の暖簾をくぐった。
b0019140_16203355.jpg
この日はタイミング良くスンナリと入口焼き台の前に座る事が出来た。瓶ビールの大瓶を貰い、トンちゃんを戴いた。
b0019140_16194311.jpg
もつを鍋で汁気が飛ぶまで炒めて、にんにくダレが絡んだトンちゃんは酒のアテに最適なのだ。これで110円なのだから申し訳無くなっちゃうんだよナ。
b0019140_1620275.jpg
80円のキャ別にテッポウとカシラをつまんでご馳走さまだ。あぁ、やっぱり『牛太郎』は居心地が良いなぁ。
b0019140_16205379.jpg
隣りのパン屋さん『nemo』でパン・オ・ショコラを買い喰い。
此処は、ひとみ姐さんが大好きだったパン屋さんだったナ。ひとみさんはいつも余計にパンを買って、僕らにお裾分けしてくれたっけ。
b0019140_16222681.jpg
むはは、バターをたっぷりと使ったパンは美味いね。

小一時間程、林試の森公園を散歩して昼の酒を抜いた。夕方、武蔵小山温泉『清水湯』にてひとっ風呂浴びた。サウナで30分じっくりと汗を出す。一週間の酒と汗が一気に躯から抜け出て行くのが判るくらいだ。

12分、10分、8分と三度に分けてサウナに入るのが気持ち良い。汗を出し切ったら、外の露天風呂で陽が暮れるのを眺めるのだ。

風呂から出たら、電車に乗って浅草方面へ。
b0019140_16224669.jpg
『簑笠庵』のカウンターには、前日すっかりお世話になった小ヒロさんが居た。奥様は仕事だそうでアル。
b0019140_1623258.jpg
鯖の干物を戴いて薩摩富士のお湯割りを呑んだ。気温が下がり、日に日にお湯割りが美味くなってくる。

改めて我が一週間の酒場生活を振り返ってみると、いつもの店に通う合間に少しづつ新しい酒場を開拓している。気に入った店には週3、4回は足を運ぶのだ。

3、4軒ハシゴする時は、大抵一軒は新しい酒場に訪れる。二度目が無い店も有れば、翌日仕事帰りに真っ直ぐ向かう店も有る。其処でまた新たな出会いが有ったりすると愉しい酒場が増えて行く訳なのだ。

さて、今日から十二月。また新しい一週間が始まったナ。
[PR]
by cafegent | 2009-11-30 16:40 | 飲み歩き | Trackback | Comments(1)

日々是雑文雑多雑記

今朝は気持ち良く晴れた。午後も気温は18度くらいだと云うので一日過ごしやすいだろうナ。
b0019140_1495237.jpg
近所では落ち葉を掻き集めていたが、タキビストの血が騒ぐのだ。もうちょっと寒くなったら焚き火をしようっと。

この前の休みの日、無性にステーキが食べたくなって、近くのマーケットで肉を買ってきた。お肉屋さんの冷蔵庫の中で一番長く寝かせてあった牛肉を出してもらった。肉は腐る前が一番美味いと云う奴がいるくらい、十分熟成させた方が美味いのだ。

以前、テレビドラマ「結婚できない男」の中で阿部寛が自宅でステーキを焼いて食べるシーンを観た。
b0019140_14639100.jpg
僕も一人で焼いて食べたのだが、肉を焼きながらあのドラマを思い出し妙に可笑しくなって笑ってしまった。一人で食事をする時ってどうしてシチュエーションとかにこだわってしまうのだろうかネ。この映画を観ながら食べようか、ワインは何を合わせようか、肉は余りサシが入り過ぎていない赤身をどうやって美味く料理しようか、等々食べるまでの時間の方が愉しかったりするのだ。
b0019140_147839.jpg
そして、’04年のジュヴレ・シャンベルタンを開けて、先日録画した市川崑監督の映画「おとうと」を観ながら一人ステーキを楽しんだ。

シャンベルタンは、仄かにラベンダーの薫りを漂わせ、十分寝かせた割りにはとても口当たりの柔らかい味わいだった。この前銀座で飲んだヴォーヌ・ロマネの'99年よりも美味しかったかもしれないナ。ウヒヒ。

「おとうと」は公開当時、市川監督が開発した「銀残し」なる技法で製作された映像だったが、残念ながらそのフィルムは残っておらず、今回約50年ぶりに「銀残し」を忠実に再現したニュープリントが完成し、NHKにて放映されたのでアル。
b0019140_14273160.jpg
この映画の原作は幸田文の「みそっかす」だが、幸田露伴とその家族を描いた作品だが、母親と弟の狭間で気骨な態度で耐え生きる主人公げん(幸田文)を岸恵子が見事に演じている。
市川崑監督のディレクション、宮川一夫の撮影も素晴らしい。
銀残しの渋みの有る映像も見事だったが、何と云っても岸恵子の美しさに参ってしまった。余りの綺麗さに口が開きっぱなしになっていたナ。

僕が生まれた年にこんな素晴らしい日本映画が作られたなんて、と感慨深く映画を観ながら、肉をもう一枚焼いたのでアッタ。喰い過ぎか?

甘い物が好きなのだが、かりんとうやドーナツ、揚げまんじゅうなど油で揚げた菓子に目がない。だが、この歳になるとどうも油の取り過ぎが気になってくる。そんな時に手土産で貰った『菓寮 花小路』の焼きかりんとうにハマってしまった事がある。初めて食べた時は、無くなる都度に買いに行っていたが、さすがに飽きが来て暫くは買ってないナ。
沖縄伊江島の黒糖をたっぷりと使っているので一度食べたら誰だってハマる筈だ。

そんな時、また手土産に此処のお菓子を頂戴した。まぁ、僕が散々、焼きかりんとうが美味かった、々々と伝えていたので、今度は「黒糖のゴーフレット」を持って来てくれた訳だ。
b0019140_1474070.jpg
ゴーフルのパリっとした食感と黒糖の芳醇な甘みが見事にマッチ。
むふふ、これまたとても美味い。苦めの珈琲にピッタリだナ。

さて、今朝J-WAVEで久しぶりにミリアム・マケイバの「PATA PATA」を聴いた。60年代に大ヒットしたこの曲は、今では世界中で沢山の方々にカヴァーされている名曲だネ。10年程前に出たCDでセルフカヴァーした「Pata Pata 2000」と云う曲が納められていたが、その時に聴いて以来なような気がするナ。
子供の頃、この曲が流れると「ママイヤ、ママ嫌や♪」なんて口ずさんで踊ってたのを思い出した。ユーチューブで彼女の唄う「パタパタ」の映像が有った。

さて、今日は夕方から酒朋ビリー隊長と立石を攻める。そして、その後は三ノ輪駅で待ち合わせ。人気ブログ
「口福な日々」でお馴染みのmooちゃんと『もつやきほりい』に行くのだヨ。あぁ、今から胸躍るなぁ。

その報告はまた来週だナ。さて、撮影の進行具合を見に行くとしよう。
b0019140_1524388.jpg

[PR]
by cafegent | 2009-11-27 14:43 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
夕暮れの冷たい風が冬の匂いを運んで来た。窓の外では、ビルとビルの狭間からこれでもかと悪あがきをする様に太陽が赤く燃えている。
b0019140_16282294.jpg
前を横切る鳥たちは逆光のうちに黒々としていた。さっきまで大空高く照っていた太陽は数分も経たずに見えなくなり、残った雲だけが葡萄色に染まってる。

ずっと夕日を眺めていたから、瞼に赤く残像が残ってる。目を閉じると二つのビルのシルエットだけがくっきりと映り、それが無くなるまでじっとそのまま風の中に立つ。

子供の頃、サイダーのシュワシュワした炭酸の輝きに魅入ってずっと瓶の中を覗いていた事が有る。片目を瞑り、瓶の中で弾ける気泡を眺めているとまるで万華鏡を廻しているようだった。そのうちにサイダーを飲んでいた事を思い出すのだが、そのまま瓶を持ち上げてしまい、目の中にサイダーが流れ出て来たっけ。忘れてしまった遠い記憶は沢山あるけれど、何故かこんなクダラナイ事ばかり覚えているのだナ。

     豆腐屋の喇叭(ラッパ)追いかけ茜空

近所のワインバーに立寄り、ボージョレ・ヌーヴォーを戴いた。
b0019140_16291724.jpg
生ハムをアテにワインが進む。一杯目に飲んだヌーヴォーよりも二杯目のボージョレ・ヴィラージュの方が僕の好みだったかナ。夜のスタートには軽いヌーヴォーが丁度良い。
b0019140_1628448.jpg
ニューヨーカー、とりわけウォール街辺りで働く金融マン連中は毎日が関ヶ原の如く戦っているので、仕事が終わった後はバーへと直行し一日の出来事を綺麗サッパリと忘れる為にハードリカーを口にする。
ウィスキーやジン、ヴォッカをそのままストレートで煽ったんじゃ荒くれ武士のままの自分を拭い去れないから、馴染みのバーテンダーがコ洒落たカクテルグラスに酒を注いでリキュールなんかを振りかけた真似をして貰うのだ。そして、早々にガツンと己を覚醒させて夜の帳へと身を任せるのでアル。

そんな生活に縁の無い僕は、強い酒の前に軽めのワインか何かで十分。胃袋に酒の味を思い出させてから、生の焼酎へと移るのだナ。こうやって自分のカラダをゴマカしながら深酒する訳だ。
        ◇        ◇        ◇
目黒不動尊の近くでは、もう山茶花が咲いていた。
b0019140_1625295.jpg
暦ではもう立冬だが、日中はまだコートも要らない程の陽気だ。

さて、夕べは練馬文化センターに落語を聴きにいった。
b0019140_16252579.jpg
此処は駅を出てスグと云うロケーションが便利なので、移動が苦にならない。練馬文化センター恒例となっている昔昔亭桃太郎師匠の主宰する落語会でアル。

丁度一年前には鶴瓶師との競演も催された。あの時は桃太郎師が十八番「ぜんざい公社」と鶴瓶師は「青木先生」を演じた。「ぜんざい公社」は古典の域に達していたナ。

そして、今回は柳家喬太郎師と滝川鯉昇師との三人会だ。前座の滝川鯉ちゃの「新聞記事」は、まぁ無難に聴けた。そして桃太郎師匠が登場したのだが、なんと「らくだ」を演じたのだ。丁度先週、立川志らく師でも「らくだ」を聴いたが、これはもう完全に別モノと云った感じだったかナ。

昔昔亭桃太郎師匠はその存在感だけで、客を掴んでしまう。その風貌も語り口も赤塚不二夫にそっくりで、何を演じても可笑しいのだ。何でも金曜の落語会が権太楼師匠とさん喬師匠との長講三人の会らしく、そこで「らくだ」を演るために今回ネタおろしとなったそうだ。
本人も「この歳になって、こんな長講一席を覚えるたぁ思わなかった」なんて語っていたけれど、途中で切ってしまうし相変わらず桃太郎節全開でしたナ。

柳家喬太郎師は「幇間腹」を演じた。この噺も先週の立川一門会にて生志師で聴いたが、続けて違う落語家で聴くのも実に愉しい。それぞれの持ち味が有って、あぁこの人でアレを聴いてみたいなぁ、と思うのが尚楽しいのでアル。

最後に登場した滝川鯉昇師は「二番煎じ」を演じた。この噺は今は亡き八代目三笑亭可楽師匠が十八番にしていたネタだね。燗酒と猪鍋が出て来て、登場人物それぞれの飲みっぷりや食べ方の表現が見どころだね。冬が近づく今の時季にぴったりの一席だった。
b0019140_16254873.jpg
池袋からタイミング良く湘南新宿ラインが入って来たので、恵比寿までツーっと行く事が出来た。
恵比寿駅交番前では毎年恒例の巨大クリスマスツリーが輝いていた。
b0019140_16261333.jpg
ガーデンプレイスは今年もバカラのシャンデリアが点灯したのかな?

『縄のれん』は、溢れんばかりの人で賑わっていた。鳩山首相が来訪してから新客が増えたのかナ。一瞬たじろいだが、カウンターの一番奥に入る事が出来た。僕は此処のハイボールが大好きでアル。
b0019140_1627418.jpg
都心では一番旨い焼酎ハイボールだと確信しているのだ。

ハラミとミノにシロを戴いた。むふふの美味さだネ。
b0019140_16264119.jpg
レバが品切れとの事だったがお母さんがステーキ用のレバーを切って串を作ってくれた。嬉しいねぇ。
b0019140_16272154.jpg
三杯目のハイボールと共に縄のれん自慢の一品、ナンコツを戴いた。
此処のは、串じゃないのだヨ。見よ、このカタマリを。
b0019140_16275457.jpg
豚の喉のあたりの軟骨だそうだが、これが歯ごたえ十分で「コリコリ好き」にはたまらない味なのだヨ。最後はアブラを戴いてご馳走さま。

夕べはこれにて終了し、「深夜食堂」を観に帰ったのだった。
b0019140_16213097.jpg
家路の途中、こんな凄いクリスマス・イルミネーションを見つけた。
それにしても可成り気合い入ってるネ。

帰り道コンビニエンスストア限定アサヒの限定復刻「アサヒゴールド」を買って来た。コレ、昭和33年発売で我が国初の缶ビールなのだ。
b0019140_1621373.jpg
缶のデザインは「口紅から機関車まで」の巨匠レイモンド・ローウィ作である。味の方も最近のビールよりも深みが有り、サッポロ赤星に負けず劣らず旨かった。これで、素敵な家酒を愉しんだのサ。
[PR]
by cafegent | 2009-11-26 16:45 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
b0019140_16531445.jpg
まだまだ、都心の紅葉は先かな、などと書いたら今朝の目黒不動尊のモミジは赤く染まっていた。
b0019140_16533399.jpg
インターネットを使っていて、つくづく便利な時代になったナ、と感じるのはニュース配信などで全国各地の風物詩が机上で拝めることだネ。今も岐阜の山県市での連柿の天日干しの様子が観られる。青空の下で柿の実が黄金色に輝いていた。
先日も富士山の空高く輝くしし座流星群の画像を拝む事が出来て、心ときめいた。

本を探す時もネットは大いに役立つ。仕事場から歩いて2分程の処に目黒図書館が在るので、ネットで探したタイトルを図書館に探しに行くのだ。有れば借りて、無ければ神保町の古書店街に行く。
b0019140_1654163.jpg
よく行く酒場にて作家の椎根和(シイネヤマト)氏と何度かお会いする機会が有り、平凡パンチ時代の逸話を色々とお伺いした。

雑誌「popeye」の編集長だった椎根さんは、『popeye物語』と云う著書も出した。僕の一世代上の方々はナント自由でステキな時代を生きたのだろう、とちょいと羨ましくなる事ばかりでアル。

跳ぶ鳥を落とす勢いで若者の心をガッチリと掴んでいた「平凡パンチ」誌に対抗するカタチで創刊されたのが「週刊プレイボーイ」、通称週プレだ。そして、文豪柴田錬三郎や今東光、開高健らによる人生相談で、週プレを100万部にまで導いたのが島地勝彦氏と云う御仁でアル。

おそらく椎根さんと同世代であろう島地勝彦氏は、週プレの編集長を勤め、その後月刊PLAYBOY誌の編集長となり集英社の役員や集英社インターナショナル社の社長まで歴任されたが、昨年退任され今は作家として活躍されている。

島地さんが毎週水曜日の「東スポ」にて連載している「プレイボーイ元編集長 ちょいワルおやじの人生智」が実に面白いコラムなのだが、最近一冊の本にまとまって出版された。『甘い生活 男はいくつになってもロマンティックで愚か者』、タイトルも中々素敵だネ。
b0019140_165251100.jpg
東スポ連載のコラムと云えど、これがスゴイのだ。毎回、原稿用紙3枚から4枚の中で見事な短編を書き上げているのだから恐れ入る。

作家の塩野七生さんが紹介する推薦のことばも実に素敵だ。〈この一冊は、ベッドのそばのサイドテーブルの上にでもおいて、寝る前に二編か三編ずつを読むのに適している。毎晩二編と規定しないのには理由がある。ファックやオナニーを話題にした編に当たったりすると、その夜は安眠どころかうなされる危険が大で、これよりはおだやかな話を読み終えてから眠りにつくほうが安全とおもうからだ。〉ホラ、もう読みたくなったでしょ。

今から40年前、週刊プレイボーイに於いて柴田錬三郎の人生相談を企画担当し、若者の心をガッチリと掴み、続いて今東光大僧正による人生相談「極道辻説法」も大人気となった。

ある夜、若き島地氏は今東光大僧正に「人生とは何ですか」と訊いた。すると即座に答えが返って来た。「人生とは冥土までの暇つぶしや。だからこそ、上等な暇つぶしをせなあかん」、そして島地さんは68年間、その言葉通りの人生を歩んで来た訳だ。
この最初のエッセイで島地ワールドに引き込まれてしまったのだネ。
そして、ビブリオフィル(読書中毒)ならではの面白い話や上質なジョーク、永き人生を歩んで来たからこそ語れる人生訓、等々、寝る前に二三編どころか一晩で一気に読んでしまった。

色事やオナニーの話はともかく、フェラチオ話からウンコ話まで抱腹絶倒な話がてんこ盛りなのだ。これが、男のダンディズム話の合間々々に縦横無尽に語られるので、途中で本を閉じれない。
何故かボクは、ウンコ話に惹かれてしまうのだナ。ナハハ。

僕は酒場で出逢う仲間たちを「酒朋」と呼んでいるのだが、島地氏は読書仲間を「書友」と云う。資生堂の福原義春名誉会長が命名との事だが、コレ実に素敵な言葉だと思った。面白い本に出逢ったら、書友に教えてあげるのだ。

僕の廻りの酒仲間たちは神保町『兵六』の常連たちだから、無類の本好きが多いので、酒朋=書友のようなものだナ。
さて、島地さんの「甘い生活」も是非とも皆に教えなくちゃ、だナ。
[PR]
by cafegent | 2009-11-25 17:03 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
今月、ライ・クーダーとニック・ロウのライブが有り、観に行こうと思いつつ終わってしまった。渋谷のオーチャードホールで観た友人によれば「絶対に見るべきライブだったヨ!」と鼻息荒く語ってくれた。前半は、ライ・クーダーの息子ヨキアム・クーダーのバンドが登場し、後半で二人のライブとなったそうだ。三曲目の「Vigilante Man」のボトルネックでもう泪チョチョ切れで、「自動車狂い」「プアマン」など初期の懐かしいナンバーも聴かせてくれて、ニック・ロウももちろん有名な「Half A Boy, Half A Man」や「Peace, Love, and Understanding」でファンを喜ばせていたんだとサ。あぁ、話を聞けば聞く程、行けばよかったナ。
b0019140_1825762.jpg
朝日新聞に載った萩原健太氏のコンサート評を読んだら、さらに悔しくなった。残念。

来年は3月にジャクソン・ブラウンとシェリル・クロウのジョイントライヴが有るし、今朝の新聞広告にジェームス・テイラーとキャロル・キングの競演ライブが4月に決定したと出ていた。最近のウドー音楽事務所ってトムズ・キャビンの豪華版って感じに変わってきたネ。ただ、料金がチト高いのがネックだナ。

先日、奥会津にて見事な紅葉の景色を堪能してきたが、都心はまだ赤いモミジが見られないネ。絵画館前の銀杏並木は黄金色に輝いていたが、芝公園や自然教育園のイロハモミジなどはまだまだだった。この分だと月末か12月上旬にならないと紅葉見物は出来ないか。

日曜日はいつもの様に午後四時口開けの野方『秋元屋』へと出掛けた。
b0019140_1875613.jpg
15分前に到着すると僕が一番乗り。まぁ、店が広くなってからは、並ばなくたって座れるのだけれど、どうにも四時が近づくとソワソワと胸躍ってしまうので、早足になって並んでしまうのだ。

そして、僕に続いて酒朋ハッシーがやって来て、続いて雷門『簑笠庵』の二人も現れた。店が休みだから野方まで遠征だ。そこへフラリと前日『宇ち多゛』で呑んだウチダ君も登場し、結局総勢6名で入口テーブル席を占拠した。

外の風も冷たく足元から冷えてくる。
b0019140_1881299.jpg
それでも僕はいつもの焼酎ハイボールを戴いた。
b0019140_1882847.jpg
『簑笠庵』の二人は熱燗だ。
b0019140_188446.jpg
そして、肝臓を気にするハッシーは気休めの豆乳割りでアル。
b0019140_189131.jpg
煮込みにキャ別に軟骨スライス、セロリ漬けと定番のアテで串が焼けるのを待つ。
b0019140_1894084.jpg
肉が苦手の京子姐さんも中野『石松』に引き続き、『秋元屋』のモツ焼きは大丈夫だったご様子。

菊正宗の樽酒が入ったとの事だったので、迷わず戴いた。
b0019140_1895991.jpg
樽の薫りがたまらんネ。
b0019140_18101759.jpg
〆に揚げたてのハムカツを戴き終了だ。しこたま呑んで、皆で両国へと移動したのであった。

両国『眺花亭』にて酒仲間が集い、映画「マルクスの二丁拳銃」を観ながらの宴となった。
b0019140_18104891.jpg
大勢で映画を観るってのも愉しいものだネ。笑いのツボが皆違っていて、違う所で笑うのが面白かった。それにしても、約70年前の喜劇映画だが、マルクス兄弟の笑いは、今でも十分通じるのだから凄いネ。ドリフなんかがパクったのが良く判る。この映画を観たら、久しぶりにバスター・キートンの「大列車強盗」が観たくなったなぁ。

さて、今日は二の酉だ。
b0019140_187142.jpg
一年の締くくりと来年の商売繁盛を祈願して、三本締めで気合いを貰って来た。
b0019140_1872982.jpg
毎年変わらぬ光景が妙にホッとする。さぁ、景気つけに一杯引っかけてこようかナ。
[PR]
by cafegent | 2009-11-24 18:25 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
木曜は打ち合わせの後、そのまま門前仲町『大坂屋』の暖簾をくぐる。
時間が遅かったので、煮込みは余り残ってなかったがほっこり出来るひとときは十分残ってた。

丁度昨日はボジョレーヌーヴォーの解禁日。駅前の酒屋さんやコンビニでも外にワイン並べて、しきりに宣伝していた。

数年前、パリ左岸のカフェで夜更けまでヌーヴォーを呑んだっけなぁ。ニュースによれば、今年のヌーヴォーは50年ぶりの良い出来だそうだ。だが、しかしだ。50年前、我が国でボジョレーヌーヴォーなんて飲んで騒いでたっけか?バブル経済絶頂期にブームになって皆成田空港近くまで出掛けて到着したての解禁直後に飲んでたネ。それにフランスで解禁日が制定されたのだって40数年前だった筈だ。50年前に飲んだのと同じくらい素晴らしい、なんて誰が云えるのだろうか、ハテ。

そんな事を考えながら、煮込みを食べていたらママさんが僕らにヌーヴォーを振る舞ってくれたのだった。
b0019140_17304294.jpg
嬉しいねぇ、優しいねぇ。

そう云えば、2本目のワインボトルはペットボトルだった。
b0019140_17311985.jpg
おぉ、これが話題のヤツか。栓を開けるまで、誰も気がつかなかった。

フランス本国では、ワインの伝統や品質の点からペットボトル化には反対しているのだが、我が国のメルシャンやサッポロなどが相次いでヌーヴォーをペットボトルに詰めて輸入し出したのだ。
軽いので輸入コスト軽減なのだそうだが、これじゃ余りにもロマンが無いよなぁ。味は良いが味気ない。ボジョレー地区のAOC(原産地統制名称)を管理する委員会は、日本の輸入業者のペットボトル採用を知ったのが遅かった為、待ったを掛けられなかったんだそうだ。委員会も「そんな事でイインカイ」と地団駄踏んだそうな。なんちて?

スーパー西友では、ペットボトル入りボジョレーヌーヴォーをナント890円で売り出したそうだ。酉の市と同様、或る意味季節を味わうものなのだから、チト淋しい気がしたナ。

ヌーヴォーを味わった後は、熱燗に切り替えた。急激に寒くなったので熱燗が旨かった。『大坂屋』を出て、神保町『兵六』へと移動。

此処でも薩摩無双のお湯割りでほっこりと過ごした。
b0019140_1738894.jpg
権太楼師匠の人形を作って戴いた酒巻クンにお礼を言っていた所へ、酒朋キクさんが粋な着物姿で登場した。何処の若旦那がやって来たのかと思ったが、しばし落語談義に花が咲いた。

昨晩の〆はいつもの深夜食堂へ。ジャガイモがゴロンと入ったカレーライスが喰いたくなったので、ママに作って貰った。
b0019140_17314321.jpg
焼酎がカラになったので、新しい芋焼酎のボトルを入れた。よし、これでまた毎晩呑めるぞい。

金曜は、有楽町読売ホールにて落語を愉しんだ。
本当は立川談志師匠の落語会の予定だった日なのだが、師匠入院の為立川一門の落語会となった。
立川生志師に始まり、談笑師、志遊師、志らく師で締めた。
b0019140_1739845.jpg
談志一門の落語は、いつ聴いても立川流でアル。他の噺家とはひと味もふた味も違う独特の芸風なのだ。特に立川談笑師の落語を聴いていると「あぁ、これが『跳梁跋扈』と云うのだろうナ」と思う次第でアル。

跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)とは、いわゆる好き放題だ。今回も古典落語の名作「こんにゃく問答」を談笑流解釈にて「シシカバブ問答」と云う、これまたお馴染みの傑作落語に仕立てた噺を演じてくれた。この人は本当にスゴい。一度ハマるとシャブ中の様に毎回観たくなる噺家なのだ。僕もいつもJTホールでの独演会に通っている。あぁ、もう一度談笑師の「シャブ浜」が聴きたいなぁ。最近、くだらない落語の傑作中の傑作「イラサリマケー」がCDになった。コレ、電車の中でイヤホンして聴いていると、本当に恥ずかしくなる程笑ってしまう。

志らく師は長講一席「らくだ」を演じてくれた。くず屋がカナメの話なのだが、噺の入りで「井戸の茶碗」と間違って逆に笑いを誘い、一気に我らのツボを掴んだネ。この「らくだ」は演じる人によって随分と変わるが、矢張り立川流だったナ。シニカルな笑いで、志らくの思う壺にハマってしまった。

よみうりホールを出て、八重洲の『ふくべ』へと向かった。
さすがに金曜日は混んでいるネ。カウンターには座れなかったが、奥のテーブル席に座る事が出来た。菊正宗の新しい樽酒が入ったばかりとの事で、先ずは冷やで戴いた。吉野杉の爽やかな薫りが辛口の菊正宗を引き立てて、絶妙な味わいとなる。

此処では、いつも「樽」と云えば、スッと菊正宗の熱燗が出てくる。
但し、新しい樽酒が入った時には、ちゃんと「冷や」(常温)にしますか?と聞いてくれるのが嬉しい。樽の良い薫りを愉しみながら、一献酌る幸せをちゃんと心得ているのだナ。
b0019140_17415073.jpg
〆サバは、どうしてこんなに酒と相性が良いのだろう。此処は日本酒に合う肴を沢山揃えているのが嬉しい限り。
b0019140_17421142.jpg
熱々のさつま揚げも鮪のぬたも酒がススむ一品だ。
b0019140_17423575.jpg
菊正宗の樽酒に酔い、落語の余韻を楽しみつつ、夕べは家に帰った。
b0019140_17424815.jpg
深夜、NHKで放映したマイケル・ジャクソンの追悼番組とビートルズの特集番組を最後まで観たら午前4時近くになってしまった。

それでも今朝はちゃんと起きて、『宇ち多゛』へ向かう事が出来た。
b0019140_17453188.jpg
いつものホネもゲットして、週末午前酒を愉しんだ。
b0019140_17492533.jpg
この日、いつもの奥席はお馴染みのイシさんや岩崎さんに交じって初めて来訪と云う二人組が居た。僕の真向かいに座ったので話をしてたら、ナント!この呑んだくれ日記を見て『宇ち多゛』に来てみたくなったとの事だった。そんな方も居るのだネ。ありがたい事ですナ。
これに懲りず、また来てくれたら嬉しい限り。
b0019140_17554722.jpg
『宇ち多゛』の後は、皆で『ゆう』へと移動した。
b0019140_17552641.jpg
まだ午前11時半でアル。最近のお気に入り、珈琲ハイを戴き、蛸の刺身を戴いた。
b0019140_17566100.jpg
地元の方々とは此処で別れて、僕とウチダ君は『えびすや食堂』へ。
b0019140_17562774.jpg
緑茶割りを呑み、にんにく素揚げと銀杏を戴いた。どうせ連休だ。ニオイなんて全く気にしないのだネ。
b0019140_17564495.jpg
三連休だと思うとゆっくりと呑めるネ。さぁ、ひとっ風呂浴びて、雷門でも行こうかな。

でも、「勤労感謝の日」まで、何処で呑もうかねぇ。
[PR]
by cafegent | 2009-11-21 18:09 | 飲み歩き | Trackback | Comments(1)
   春を待つ事のはじめや酉の市

これは、芭蕉の弟子、其角の詠んだ有名な句だ。初春を迎え待つ酉の市の情景が目に浮かんでくる。さぁ、今年も酉の市の季節がやって来た。
b0019140_16142076.jpg
先週の12日が一の酉で、来週の火曜24日が二の酉である。

酉の市と云えば、浅草の酉の寺が一番だが、僕の仕事場の在る目黒にも大鳥神社の酉の市が催される。商売繁盛を願い、僕も毎年足を運ぶ。
b0019140_15445939.jpg
福を掻き込む熊手に願掛けをして新しい年を待つのだ。境内に処狭しと並んだ熊手屋さんの中からいつもの顔を探す。そして毎年恒例の熊手商談が始まるのだ。値段交渉の駆け引きが威勢良く行われ、値切っていくのだ。これが実に愉しく、まさに酉の市の醍醐味でアル。

そして商談成立したら「商売繁盛!商売繁盛!さぁさぁさぁっ!」の掛け声と共に手締めを打ってもらうのだ。
新しい年に福の神がやって来るよう願いを込め威勢よく手を打つ姿が、今年一年の締くくりに我が身も引き締まるってもんだ。値切った分は、ご祝儀に置いてく。コレが大事なんだよナ。

   三の酉しばらく風の落ちにけり

こちらの句は久保田万太郎の詠んだもの。浅草生まれの万太郎は吉原や向島芸者とも馴染みが多かったのだろう。小説「三の酉」は、芸妓おさわと酉の市に行こうと約束しながら、彼女の死により果たせなかったのだ。悲しみの虚無感から生まれた一句だろうか。

昔から三の酉まである年は、火事が起きたり、吉原に異変が起こると云われているそうだ。そんな言い伝えを知って読み返した事があったナ。

でも、本当は浅草酉の市へ出掛けた帰り道に旦那衆が吉原に繰り出さぬように注意を促したものだったらしい。家を出るときは女房に堂々と大腕降ってお酉さまにお詣りに行ってくると云って出掛け、ちゃっかり帰りに吉原へしけこんで朝帰りってやつだネ。あぁ、なんと羨ましい時代だったコト。
  
    お多福に熊手の客が引っかかり

これは川柳だが、お多福ってのは遊女だナ。みんな気分良く浮かれているから、つい足がふらふらと大門を潜ってしまうんだろうネ。

正岡子規も酉の市を詠んでいたので、ちょいと紹介。

    吉原ではぐれし人や酉の市

今年は二の酉までだが、生憎のギックリ腰のせいで一の酉に行けなかったのだ。来週はなんとしても二の酉に行かなくては。
       ◇        ◇        ◇
b0019140_1631592.jpg
今日は目黒川近くの美味い蕎麦屋『川せみ』で昼食をとった。
冬野菜がたっぷりと入ったつけ汁のせいろ「冬せみそば」を戴いた。
b0019140_15454423.jpg
手打ちの蕎麦は申し分なく良い薫りでいつも通り美味かったのだが、つけ汁がちょいと味が濃過ぎて少しだけ浸けて食べる事にした。それでもレンコン、人参、大根、ごぼうは味が滲みて美味しかった。汁はそば湯で割っても呑む事が出来なかった。あぁ、ふつうの蕎麦にすれば良かったなぁ。

火曜日は酒を抜き、お茶菓子食べつつ読書で過ごした。
b0019140_15461016.jpg
貰い物の「寛永最中」は粒餡が甘過ぎずお茶との相性も良かったナ。

奥田英朗の最新作「無理」は、過去の作品「最悪」と「邪魔」に続く漢字二文字作でアル。
b0019140_1546534.jpg
何処かの地方都市に暮らす五人の登場人物が、どんどんとんでもない状況に追い詰められていく様にこっちまでグイグイと引きづり込まれてしまうのだ。

新聞を開くと毎日の様に目にする事件や諸問題がてんこ盛りに登場し、彼らが疾走していく姿に息をのむ。読みながら、心の中で、「あぁもう無理」と唸ってしまうのだが、流石は奥田英朗でアル。各人の人間味の描写や展開が素晴らしく一気に読み終える群像小説だった。この方、僕と同い年だったナ。凄いねぇ、次から次と素晴らしい作品が書けるのだから。

水曜は、日暮れと共に立石召集令状。酒朋ビリーと『宇ち多゛』で待ち合わせることに。

京成立石駅の階段を降りつつ宇ち多の暖簾を確認すれば、並んでいる人がいない。で、スンナリと中へ。真ん中のカウンター席に座り、カシラの素焼きお酢掛けを戴く。この日は普段ならば開店早々に無くなってしまうコブクロの固いトコが残っていた。
b0019140_15485675.jpg
コブクロとは子宮のことでアル。柔らかいトコも好きだが、固い方のサクサク感がたまらん美味さなのだ。
b0019140_15494341.jpg
暫くするとビリー隊長が登場し、いつもの奥席へと移動した。やっぱり定席に座ると落ち着くのだナ。

この日は珍しくツルを出して貰った。
b0019140_15501295.jpg
中々平日の昼間に来れないので、久しぶりにツルの味を堪能した。ツルとは豚のオチンチンでアル。これが実に美味いのだヨ。

大根とシロ素焼きお酢掛けを食べて一軒目終了。
『栄寿司』も品切れか早々に閉店していた。たまには別の処で呑もうと云う事になり、八広駅へ出た。
b0019140_15573024.jpg
此処から水戸街道を突っ切り、鐘ケ淵の駅を過ぎるまでの449号線を「酎ハイ街道」と呼ぶ。
b0019140_15514498.jpg
『伊勢元酒場』に始まって『日の丸酒場』『丸好酒場』『亀屋』『和楽』『愛知屋』『十一屋』『大吉』、そして『はりや』辺りまで。
b0019140_1554168.jpg
この奥様公認酒場ってのが泣かせるゼ。
b0019140_15575989.jpg
良い店が軒を並べているナ。

丸好を覗くとあいにく一人分しか空いていない。では、ドン突きまで行こうと鐘ケ淵の商店街を歩き、開かずの踏切を待つ。
b0019140_1552712.jpg
鐘ケ淵駅を越え暫く歩くと酒場『はりや』の灯りが見える。
b0019140_15522969.jpg
初めて訪れた人は中が見えないので一瞬躊躇する店構えだ。

此処の酎ハイはウマい。ウィスキーハイやジンハイも有るが、やはり酎ハイを頼む。
b0019140_15524892.jpg
ほうれん草のお浸しに鯖焼きを戴いた。
b0019140_15531478.jpg
此処の佇まいは、侘びた雰囲気が実に良い。縄のれんをくぐり、ガラリと戸を開けると時が止まった様な空気が漂っているのだ。昭和6年創業の店内は、永年使われ縁が丸く艶光りしたカウンター板が僕らを和ませてくれる。

親爺さんの見事な白銀髪に見とれてしまう。
b0019140_15503863.jpg
あぁ、こんなカッコいい年寄になりたいものだ。『はりや』は夫婦揃って実に知的で凛とした風貌で、若いときはプロレタリア文学なんかにハマってたんじゃないだろうかと思わせる。

ちょいと小腹も空いたので、キャ別炒めも戴いた。
b0019140_15533712.jpg
此処の「キャ別炒め」とは焼そばのコト。酎ハイは親爺さんが作り、肴は、素敵な奥さんが奥で作ってくれるのだ。あぁ、此処はホっと出来る酒場だナ。
b0019140_1551892.jpg
『亀屋』の酎ハイも後ろ髪ひかれたが、交差点を渡り『丸好酒場』へ。
b0019140_1615952.jpg
ビリーが初来店との事だったので、先ずは名物「牛レバー刺し」だネ。
b0019140_15545313.jpg
そして僕の一番好きな焼酎ハイボールで乾杯。肉じゃがを貰い、ボールがススム。

ビリーとは八広駅で別れた。お互いに反対方向の電車に乗るのだ。そして、僕は都営三田線に乗り換えて武蔵小山『なな福』へ。何故か最近のお気に入りの居酒屋でアル。
b0019140_15554080.jpg
本日二度目のほうれん草お浸しを貰い、オススメのあん肝鍋を戴いた。
b0019140_15552240.jpg
鮟鱇の肝は寒くなってからが美味いねぇ。あぁ、そろそろ銀座『はち巻き岡田』の鮟鱇鍋の季節到来だナ。
b0019140_15555556.jpg
しかし、今週も良く呑んでるなぁ。休肝日を設けたら、その反動で一日に呑む量が増えたかもしれない。イカンね、これは。
[PR]
by cafegent | 2009-11-20 16:11 | 飲み歩き | Trackback | Comments(1)
今朝は寒くて目が覚めた。こう急激に気温が下がると体の調子が狂ってしまうネ。

ようやくギックリ腰の痛みも無くなりつつあり、湿布薬を貼らなくても良くなったが油断大敵だ。以前、治りかけた時にまた痛めた事が有ったから気をつけないと。

目黒通り沿い、大鳥神社の斜め向かい側に家具ショップ『ACME』が出来るみたい。
b0019140_14574669.jpg
このアクメが目黒通りをファニチャーストリートと云わしめた程の人気家具店だったのだが、近年になって服飾のベイクルーズの傘下になったみたいだね。『ジャーナルスタンダード』や『エディフィス』を営んでいる会社だ。学芸大の店を残しての出店なのだろうか。それにしても、家具屋の間隣りに出店しちゃうのだからスゴいネ。

今日は曇りが続くかなと思いきや、外は雨になっていた。
昼飯に美味いハンバーグが喰いたくなったので、五反田へ。
激混みの『ミート矢澤』を素通りし、『アルカサル』へ。此処は旧軽井沢銀座の『IZUTSUYA』の味に似ているので結構好きな店でアル。
b0019140_14322257.jpg
ジューシーな牛肉に頬が落ちてしまう。むふふ。

さて、日曜日は夕方から『赤坂BLITZ』にて、音楽誌「PATI-PATI」の主催したライブイベント「PATI-Night」を観に行って来た。
b0019140_1437129.jpg
[PATI-PATIは、ソニーマガジンズの雑誌だから、ソニー系のアーティストが中心だった。松下優也、双子のメンズデュオON/OFF、それに我らがひとみ姐さんの一人息子がベースを弾くDUSTZも出た。
b0019140_14345044.jpg
一番人気は藤田玲クンかな、やっぱり。

それによしもとR&C系のalma、新撰組リアンなど総勢7組が出演した。いずれも当代の若手イケメン勢揃いと云ったブッキングで会場一杯に黄色い声援が飛び交っていた。中でも新撰組リアンは島田紳助プロデュースな訳で物凄い人気。歌が上手いかヘタかなんて関係ないのだ。甘いマスクでスタイルが良ければそれで良いのだ。
b0019140_14335963.jpg
そんな中、松下優也とDUSTZのステージはとても良かった。DUSTZはライブを重ねる毎に音に厚みが出て来てる。来月のワンマンライブが楽しみだ。

赤坂サカスの広場はアイススケートリンクになっていた。
b0019140_14374551.jpg
まるでニューヨークにでも来たのかと錯覚する程だったナ。アレって氷じゃない人工のリンクなのかな?
都心のスケートリンクと云えば、日比谷パティオしか無いのかと思いきや、こんな処にも出来たのネ。他の私設は殆どが屋内だから、デートには良いかもしれない。
b0019140_14405059.jpg
BLITZの向かい側、『アネッサ』に寄って赤ワインを呑んだ。
b0019140_1438769.jpg
ムール貝にトリッパのトマト煮がワインにベストマッチ。
b0019140_14394510.jpg
トリッパは酒のアテに最適だネ。
b0019140_1438347.jpg
最後はメカジキのケバブに生ビールで〆た。
b0019140_14403139.jpg
今週月曜は、夕方陽が暮れる少し前から門前仲町『大坂屋』へ。

ぐつぐつと音を立てて沸く煮込み鍋が、今宵の酒へと誘う心地良い音楽となる。

この日も愛知から此処の煮込みを求めてやって来たと云う御仁が居た。
b0019140_14411798.jpg
シロ、フワ、ナンコツの三種類が丸い鍋の中で踊ってる。此処の牛モツは一度湯通ししてあるので、そのままでも食べられるのだ。
b0019140_14422054.jpg
客たちは皆、自分好みの煮込み具合で鍋に菜箸を突っ込み皿に取る。

さっぱりとお酢の効いたオニオンスライスも突き出しの漬け物も煮込みの合間に丁度良い。
b0019140_14423716.jpg
箸休めならぬ串休め、ってナ感じだね。

ご常連さんがお会計の際に見た事の無い硬貨を出していた。ハテ、パチスロのコインかな、などと思っていたら天皇陛下御即位20周年の記念硬貨だった。

この御仁は、過去にも天皇陛下御在位60周年記念の10万円金貨を20枚使った事があるそうだ。それも全部ゴルフ場で使用したらしい。
記念貨幣を取っとかずに使うのが趣味だそうだが、世の中面白い方が居るもんだネ。
b0019140_1512296.jpg
で、僕も便乗して千円札を記念硬貨に取り替えて頂いたのだ。
ありがたや、ありがたや。

最後に玉子入りスープにシロを入れて戴いた。
b0019140_14434784.jpg
丁度良い塩梅の半熟卵の黄身に煮込みの汁が絡まって絶妙な味わいだ。ただ、これがその後の食欲を増進させてしまうのだナ。

大坂屋を後にして、神保町『兵六』へ。
b0019140_14441590.jpg
月曜定休の『簑笠庵』の二人が既に着いて居た。相変わらず賑わう店内だったが、席に着いて驚いたのは、僕の正面がズラリ女性ばかり6、7人横並びに座っていた事だ。こんな事、来店以来初めて目にする光景だった。テーブル席にも女性が居るし、男女比が逆転した兵六であった。

相変わらず此処の炒麺(やきそば)は美味い。
b0019140_1444375.jpg
わざわざ乾麺を取り寄せ、創業以来変わらぬ味を守り続けているのだ。無双のお湯割りで心地良く酔い、皆で『銀漢亭』へと移動した。

『銀漢亭』では、また句会があったらしく、外まで人が溢れていた。
b0019140_14445651.jpg
さっきまで『兵六』で呑んで居た顔も見える。
b0019140_14463567.jpg
水蛸のカルパッチョをアテに酒がススンだ。

週の始めから愉しく酔えたなぁ。家に着き、読みかけの本を開いた。
b0019140_15211790.jpg
もちろん、ラガヴリンのモルトウィスキーを舐めながら。こうして夜は更けて行くのであった。
[PR]
by cafegent | 2009-11-19 16:03 | 飲み歩き | Trackback | Comments(3)
九段下にあるフィリピン大使公邸を取り壊して、跡地に高層ビルを建てる計画が有るらしい。元は安田財閥直系の安田岩次郎の邸宅だったが、戦前にフィリピン政府が購入した洋館であり、歴史的建造物としても大変価値が高い建築だ。
b0019140_1715145.jpg
安田岩次郎は、あのヨーコ・オノの叔父に当る。彼女自身も幼少の頃たびたび此処を訪れ花見を楽しんでおり、当時のまま大切に保存されている屋敷を見てフィリピンのアヨロ大統領に感謝の手紙まで送っている。

そんなフィリピンと日本の架け橋とも云うべき歴史的な文化遺産を国の財政難を理由に取り壊しても良いのだろうか。

一丁倫敦と呼ばれた丸の内の三菱一号館が当時のままに復刻され美術館として再生したとの朗報が届いたばかりなのに、このニュースは歌舞伎座の建て替え以上に哀しいニュースだったナ。
         ◇        ◇        ◇
東京・青山の骨董通り沿いに在るニッカウヰスキー本社地階の「ニッカ ブレンダーズ・バー」で、中々面白い企画を行っている。

バーで気軽にウィスキーを呑みながら読書を愉しもう、と云う試みだ。これを「バー読」と称しているのだが、普段から深夜の読書はウィスキーに限ると思っているので、こんな企画は大賛成でアル。
b0019140_1764817.jpg
店では、年代別や性別、ウィスキーの趣向に合わせて7種類のウィスキーと本の組み合わせを提案しているそうだ。

サントリーがウィスキーハイボールを一気に全国レベルに浸透させたので、アサヒ&ニッカも巻き返しを図らなくちゃならない時期だ。来年の1月末までの企画らしいので、青山に立ち寄ったらウィスキーを一杯引っかけてみては如何だろう。

読書と云えば、酒を片手に眺めるならば、写真集や画集も良いし、料理本もまた楽しめる一冊だネ。
b0019140_1712577.jpg
文芸春秋で連載していた平岩弓枝と新橋・京味のご主人、西健一郎氏の『「京味」の十二か月』が一冊の本にまとまった。
b0019140_1658552.jpg
四季折々の料理を当代随一の和の料理人と云われる西さんが巨匠作家を相手に数々紹介している。いつも愉しみに読んでいたので、唾を飲み込みながら、眺めたいものだ。さぁ、早く買わなくちゃ。
         ◇        ◇        ◇
僕は月に何度か郵便局に足を運ぶ。
記念切手を買ったり、小包を送ったりする為だが、ついでに貰ってくるフリーの小冊子がとっても好きなのでアル。
ひとつは、「かしこ」だ。隔月刊で発行されているのだが、毎回連載の「東京手みやげ紀行」を愉しみにしている。
b0019140_16553780.jpg
こちらの「モヨリノ」は、年四回だろうか、現在秋号が出ている。郵便局を頻繁に利用しているのは、年配の方々が多いせいか、内容もしっかりとしており、生活に役立つ情報やコラムが沢山載っている。そして、巻末にポストカードまで付いているのだから、気が利いている。誰かに便りを書いたら、また切手を買いに行かなくちゃ。
         ◇        ◇        ◇
土曜日は連続テレビ小説を観て、九時に家を出て京成立石へと向かう。
雨上がりの立石仲見世は、台風の時のような生暖かい風が吹いていた。
気温も21度まで上がったらしい。
b0019140_1783964.jpg
『宇ち多”』の前で待つ面々もみな上着を脱いでいたナ。

この日も雷門『簑笠庵』のご常連コひろさんにお会いした。連続だナ。
ホネもゲット出来たみたいだし、皆さん陽気に午前酒を楽しんだ。
b0019140_179556.jpg
我々奥席の面々は『宇ち多”』を出て、四つ木方面へと移動。
b0019140_17103025.jpg
『倉井ストア』に入ると、賑やかな先客たちが居た。『宇ち多”』のアイドル、あいちゃんが地元の仲間たちと前日からの徹夜呑みの続きで集ってたのだった。
b0019140_171058.jpg
では、皆で呑み直そうと昼時のランチ客を尻目に宴が始まった。
b0019140_179412.jpg
なぎらさんの広告でお馴染みの寶缶チューハイを2缶呑んで、僕は一足先に店を出た。
b0019140_17105077.jpg
『本田ベーカリー』でいつものあんぱんを買い食いしながら京成立石駅へと戻った。

午後は、目黒区民会館ホールにて落語会だ。
b0019140_1711654.jpg
柳家喜多八師匠、林家しん平師匠、そして入船亭扇遊師匠の土曜昼席を楽しんだ。

しん平師の「替り目」は初めて聴いたが、良かったナ。そして、扇遊師は「天狗裁き」だ。今年は何人かの噺で聴いたが、一番印象的だったのは、五月末に国立名人会にて聴いた三遊亭小金馬師匠の「天狗裁き」だったかな。その時は中入り後に扇遊師が「崇徳院」を演じて、その両方が素晴らしく良かったので、とても良く覚えている。

今回の扇遊師の「天狗裁き」も師匠の持ち味がとても良く生かされて観客を笑いの渦に引き込んでいたナ。判っていても面白いってのが噺家の醍醐味だよネ。あぁ、この「天狗裁き」もとても良かったので、また小金馬師匠で聴きたくなってしまったナ。まぁこれは、観客のワガママって云う奴かな。

夜は少し寒くなって来たので、ふぐを食べに出掛けた。
武蔵小山のパルム商店街の脇の路地、住宅街にひっそりと佇む下関ふぐ料理屋『川よし』は地元密着型のアットホームな店だ。
b0019140_1711327.jpg
先ずはビールで喉を潤し、ふぐ刺しと酢牡蠣を戴いた。
b0019140_17115154.jpg
自慢の下関ふぐは身がプリっと絞まって素晴らしい味だ。
b0019140_1723011.jpg
生牡蠣は小降りだが海の香りが口一杯に広がってくる。レモンをぎゅっと絞ってペロリと平らげてしまう美味さだ。
b0019140_17134292.jpg
菊正宗の熱燗も大変旨し。

そして、ふぐの唐揚げが登場。
b0019140_1712792.jpg
味が凝縮されて、酒のアテに最適だ。
b0019140_17124648.jpg
そしてふぐと海老の酢の物にお漬け物を戴いた。
b0019140_1713919.jpg
唐揚げの濃い味を酢の物でさっぱりと拭う。
b0019140_17132143.jpg
〆めは、矢張りふぐ雑炊だネ。
b0019140_17144079.jpg
みな、最後の雑炊が食べたいためにふぐ屋に来るよね。
b0019140_17145725.jpg
熱々をふうふう云いながら食べる雑炊にはふぐの出汁がたっぷりとしみて、もう云う事なし。

最後に今が旬の甘柿を戴いた。
b0019140_1715138.jpg
季節を食べるってのは最高の幸せだナ。あぁ、心も体も暖まった秋の夜長であった。
[PR]
by cafegent | 2009-11-17 17:24 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
江戸東京博物館で開催されていた「よみがえる浮世絵」展が好評のうちに終了した。随分と見応えのある展覧会だったが、その中で、東京の風景「両国橋」や「日本橋」を描いたノエル・ヌエットの新版画がとても僕の心に残った。

今までも新版画が好きで、高橋松亭、吉田博、河瀬巴水などの作品を集めていたが何ぶん戦前や関東大震災前の作品は手に入れにくく、たまに見かけても値段が高くて手が出ない始末。

フランス語の教師として来日し、東大や外語大で教鞭を取ったヌエットはエッセイやスケッチも数多く残していたらしく、新版画も巴水等とはひと味違った趣きのタッチで印象的だった。

そんな訳で、ノエル・ヌエットを少し知りたいなぁ、と昭和29年発行の「東京のシルエット」と云う本を手に入れた。
b0019140_15581435.jpg
終戦後の東京をくまなく歩き、スケッチをしている。49篇のエッセイを読んでいるとその時代にタイムスリップした気になり、当時の神田古書街や銀座の風景がありありと浮かんで来た。

素敵な本に出逢えた時の嬉しさと云うものは、好きなコにラヴレターを送って良い返事を貰った時の様に心ときめくものだナ。
         ◇         ◇         ◇
先週の金曜は、夕方から門前仲町『大坂屋』から酒始め。
大瓶一本で次へ行こうと思いきや、馴染みの顔に出逢うので、ついつい長居。

一駅先の月島で酒朋ビリーと待ち合わせをしていたのだが、ちょいと遅れてしまった。外はまだまだ雨が止まず、眼鏡に水滴が付いて歩きにくくなる始末。

久しぶり『岸田屋』の暖簾を潜ると、中はカップルばかりで満杯だ。
b0019140_15583888.jpg
先に来て居たビリーが席を確保してくれたのでスンナリと座る事が出来た。それにしても、以前は親爺連中ばかりの店だったのに何時からこんなに男女二人組が集う店になったのだろう。女将さんの人徳だろうか、その優しさのお陰で僕も座れたって訳だからネ。

この時季、熱燗が旨い。ホっとするね。
b0019140_1559358.jpg
もう随分と昔、創芸と云う広告代理店がこのスグ近くに在ったので、月島にはちょくちょく来ていた。打ち合わせが終わった後、此処の戸を開くのが何よりの愉しみだった。五時をちょっとでも過ぎるともう満席。皆一体全体何時から来ているのだと疑問ばかりが残ったものだ。おいおい、此処って五時開店じゃなかったっけ?

そもそも、其れが僕の居酒屋三昧の始まりだったかもしれない。東十条の『埼玉屋』しかり、立石『宇ち多”』しかり、開店時間などと云うものは有って無いようなものだ。日々通っている連中だけが知っている口開けの時刻。

当時は、先代の大将に気を使いながらも、浜汁をアテによく呑んだ。
もう無くなってしまったが『増寿司』と云うお寿司屋さんがあったのだが、可成り呑んで食べたので、持ち合わせの金が足りなくなった事が有った。当時は、まだコンビニで金を卸せる訳じゃ無し、もちろんカードなんて使えっこない。
参ったナ、と悩んでいたら親方が次回で善いよ、と云ってくれたのだ。
こう云う心粋きと情けが下町の心情だね。ありがたかった。

親方のご好意に甘えて、その日は無事に帰る事が出来た。そして、翌日仕事の合間を抜けて月島まで出掛け、増寿司までお金を持って出掛けたのだった。そして、その帰り道、立ち寄ったのが岸田屋だった。確か五時ちょいと前だった筈だが、既に数人が呑んで居た。あぁ、此処が居酒屋と云う処か、とその時は正直言って“おっかなびっくり”で戸を開けたものだった。

ビールの大瓶を貰い、なまウニを戴いたっけ。
地元の常連らしき方々が「浜つゆ」と云うものを頼んでいるので、僕も真似して頼んだら、これが素晴らしく美味い蛤のお吸い物だったので感動した記憶が今も鮮明だ。

此処の肉豆腐は相変わらずの味を保っている。
b0019140_1614981.jpg
変わらないのが良い。
若い男女がいちゃいちゃしながら煮込みをつついている姿は、「時代なのだナ」と思いつつ此処の佇まいと味が変わらないのはなにより素晴らしいと納得し、ひっきりなしに外に客が並ぶので、僕らは店を出た。
b0019140_15592273.jpg
月島から麻布十番経由で、目黒駅へ。
僕は東京一美味くて安いと思っている焼き鳥やへビリーを連れて行く事にした。
目黒駅から権ノ助坂を下り、『鳥芳』の戸を開く。小さな店だが、タイミング良く入る事が出来た。

この日は女将さんも居たので、久しぶりにご挨拶。
此処で呑む酒はいつもシークァーサーサワーに決めている。
b0019140_1625828.jpg
甘くなく、キリリとして美味いのだナ。

焼き鳥の名店と云えば、京橋『伊勢廣』、銀座『鳥繁』、それから渋谷『鳥重』辺りが好みだが、気軽に立ち寄れて美味いとなると、どうしても『鳥芳』になる。権ノ助坂を挟んで二軒在るのも嬉しい。

ささ身、レバー、ねぎま、つくね、等々自分の食べたい串を伝票に書いて渡すのだ。
b0019140_1621841.jpg
中がレアのささ身は、鼻を突く山葵が実に合う。

此処のつくねは、本当に美味い。
b0019140_1623644.jpg
『鳥繁』は一度茹でたつくねを焼くし、『鳥重』の巨大なつくね(団子)は、一度冷凍させた串を焼く。どの店も実に個性的だが、此処は生の肉をアイスクリームスクレーパーでその都度すくって串に刺す。よく、焼き台にくっ付かないなぁと感心しながら焼き上がるのをじっと眺めてしまう程、待ち遠しいのだヨ。
b0019140_1633489.jpg
ビリーの電車の時間を気にしつつ、最後に僕の好物のピーマン巻きを戴いて終了。
b0019140_1631874.jpg
ピーマンの中から熱々とろとろのチーズが溶け出てウマイのだナ。しばし、ギックリ腰の痛さを忘れた至福のひとときであった。

はて、この後何処へ行ったのか、覚えちゃいない。イカンなぁ。
[PR]
by cafegent | 2009-11-16 16:13 | 飲み歩き | Trackback | Comments(1)