昨日と打って変わって、今朝の東京は青空が広がった。

樹々の上で雀たちが元気に啼いている。
今日で52歳を迎えた。もう立派なオジサンなのだが、日々の暮らしは酒浸りのコジサンなのだナ。高血圧と肝機能をダマしダマし、元気に生きるとよう。
それにしても、ちょっと運動をサボるとスグ顔が丸くなってくる。

昨秋、酔っ払ってアバラ骨を折ってから、すっかり走るのを止めてしまったからなぁ。春も近くなったことだし、そろそろランニングを再開しようかナ。
◇ ◇ ◇
「文藝春秋」の最新が出たので、第146回芥川賞を受賞した田中慎弥の「共喰い」を読んだ。
酒が入っていたためか、「とっとと終わらせましょうよ」と人を喰った受賞会見が先行して話題をさらった作家だが、彼は実はとてもシャイな人なのだろうネ。
この人は以前、川端康成文学賞を受賞し、そのときは素直に嬉しいと言っている。何度も何度もノミネートされては落選した芥川賞を今回漸く受賞し、「自分が喜ぶ前に周囲に何もかもさらわれてしまい、私はただ流れに任せることになった。」と語っていた。
受賞会見の映像を最後まで観たが、僕はこの作家をもっと知りたくなったのだナ。

さて、「共喰い」だが、作家自身が賞を「貰って当然」と語った通り、実に面白い作品だと思った。
混沌とする地方都市に暮らす主人公遠馬(とうま)の目を通して見た家族の姿が描かれている。セックスの最中に相手に暴力を与えないとイクことが出来ない父、その父の暴力に愛想を尽かし対岸に出で行ったまま魚屋を営む実母。そして、同居する父の若い愛人。
倒錯する性の世界を日常の中に見る遠馬もまた、父の血を受け継いでいる自分を知りながら、幼馴染みのガールフレンドとのセックスに興じている。非日常の様で、実はリアルな日常を「純文学」と云う切り口により上手く描いているのだナ。
田中真弥氏は、高校を出た後、一度も働いたことがなく、二十歳から一日も欠かさず毎日本を読み、文章を書いているそうだ。その通りに、実に巧みで、上手い文章表現をしている。
私小説作家の西村賢太氏と違い、総てが机上で考えて書いているのだ。
本当に過去に読み漁った沢山の本で知り得た言葉を自分の物として紡いでいるのだろうネ。
ここに登場する三人の女性の描き方がイイ。そうか、女ってこんな考え方をする生き物なのだナ、と感じてしまう。ただ、汚れた川に棲む鰻を男性器の暗喩として捉えているあたりは、横山まさみちの漫画「やる気まんまん」のオットセイを思い出して笑ってしまった。淀んだ川の流れを女性器に見立てる辺りもちょっとネ。まぁ、全体的に面白い故、その辺りは余り気にならないが。
赤犬の登場や汚水臭が漂う川は、小栗康平監督が撮った宮本輝の『泥の川』の映像が目に浮かんだ。当然のことながら、田中氏もこの作品は読んでいるだろうネ。
芥川賞は短編・中編作品が対象である。この作品も短編だが、面白い発見をした。この短い作品の中に「傍」と言うコトバを実に七回も使っているのだナ。
ここまで多様すると、作者の或る種の「記号」なのだろうネ。それが何を意図するものなのか、探るのもまた読書の愉しみのひとつでアル。
この作家の過去の作品も読んでみたくなった。そして、久しぶりに中上健次の『十九歳の地図』で感じた、あの焦燥感を読み返したくなった。
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閑話休題。
さて、夕べは飯田橋の角打ち『杉山商店』から呑み始めた。
目黒から地下鉄で飯田橋駅まで出た。この駅は東京メトロ東西線、南北線、都営大江戸線、そしてJRの駅も交差しており、実に判りづらい。
地下構内を歩き目白通りへと出る。飯田橋三丁目の交差点前に目指す酒屋が在る。

中に入ると既に酒朋ビリー隊長がぬる燗を吞んでいた。

此処は酒屋なので、冷蔵庫から勝手に酒を取り出しても良いし、奥で燗酒や生ビールなども頼むことが出来る。但し、一人必ず二品を頼まなくてはならない。酒1とつまみ1で二品となるのだネ。

先ずは生ビールとシウマイ、そしてもやし炒めを戴いた。

隣りでは、どうみてもホームレスな御仁が三人で吞んで居る。ビリー隊長が、床に置いてあるゴミ袋に紙屑を捨てようとしたら、一人の御仁の生活道具一式が入っている袋だった。危ないアブナイ!

グタグタと愚痴をこぼしながら、一人は床にうずくまって寝てしまう。残りの二人は彼を置いて先に帰ってしまった。いい加減に呆れた酒屋のご主人が寝ている輩を叩き起こして外に追い出した。
聞けば、先に帰った一人は元々近くで働いていたのだが、今じゃ殆どホームレス状態だそうだ。たまに競馬に勝つと5千円札を握りしめて、此処に酒を吞みに来ていると言う。
だが、公園辺りでも札束を見せびらかすので、スグに廻りのホームレス連中から追いはぎに遭い、スッカラカンにされてしまうらしい。
オイオイ、大丈夫なのか?
この日もきっと競馬に買った金に釣られて二人のホームレス仲間がついて来たのだ。

二杯目のぬる燗を吞んでいる内に外は雪が舞い始めた。目白通りを走るタクシーのヘッドライトに粉雪が照らされて何ともドラマチックな光景となった。

男二人、酒屋の角打ちで、贅沢な雪見酒を愉しむことが出来た。
二軒目は中央線のガードを抜け、神田川沿いに建つ飲食街「千代田街」へと向かった。雪は本格的になって来た。

此処は小料理屋『たつみ家』、炭火焼き『鳥政』、居酒屋『ミツ』、中華そば『高はし』など魅力的な店が横一列に軒を連ねている。
この日、目指したのは一番奥に在るスタンド居酒屋『やまじ』だ。

一階はカウンターの立ち飲みで、二階は椅子席になっている。
酒は、灘五郷のひとつ魚崎郷に在る太田酒造の「道灌」だ。

他にも富山の「銀盤」など銘酒が揃う良い酒場でアル。
また、料理も実に美味いし、内容が豊富だ。本ビノス貝のバター蒸しに鳥ささみの紙カツ、お好み焼きも自慢の一品だ。
お隣さんが頼んでいたピザトーストも美味しそうだったなぁ。厚く切った食パンをグラタン皿に入れ、業務用グリラーで焼く。両面がこんがりと焼けたら具入りのトマトソースを乗せ、その上にたっぷりのモッツァレラチーズを振りかけ、更に火の具合を調節しながらグリラーへ。
観ているだけで、酒がススんだ。

先ずは、道灌に合わせて柳葉魚(ししゃも)を戴く。子持ちで美味い。

ビリーは、紙カツを頼んでいたナ。揚げたてでアツアツだ。

いい具合にほろ酔いとなってきた。美味い酒と肴、ご馳走様でした。

僕らはそのまま九段下経由で神保町へ。

『兵六』の暖簾を潜ると、いつもの顔が揃っていたナ。

ヴァレンタインと誕生日を祝っていただき、チョコレートも戴いた。
ありがとうネ、皆様。
夕べも何とか家に帰れたが、風呂に入ろうと服を脱いだままソファで寝てしまった。これだから、ヘベのレケ野郎は駄目なのですナ。
幸い、床暖房のお陰で風邪を引かずにすんだが、風呂に入ったのは朝の5時だった。トホホ。