東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28

<   2014年 02月 ( 4 )   > この月の画像一覧

二月も終わりに近づき、東京も春が駆け足でやって来そうな気配を感じる。七十二候では、「霞始靆」(かすみ、はじめてたなびく)の頃だ。霞がたなびき始める時季、穏やかな春の訪れが待ち遠しいネ。

昨日は夜半まで雨が続いたが、今朝の東京は青空が広がった。
b0019140_15162042.jpg
気温が高いと越冬していたキタテハもヒラヒラと舞い出てくるのだナ。
b0019140_15174384.jpg
公園の河津桜も大分花が咲き出しており、メジロの群れが花の蜜を求めてやって来ていた。

池からはポンポンと云うガマガエルの啼く声も響いている。
b0019140_1519287.jpg
自然界は本当に面白い。ちゃんと春の訪れを告げる様にカエルが出て来たり、花が咲くのだから。
b0019140_1519569.jpg
三寒四温、暖かい日の後は再び寒い日が舞い戻って来る。明日からはまた気温が下がるらしい。風邪をぶり返さないようにしなくちゃナ。
b0019140_15223765.jpg
     寒明けて幼き子らも駆け回り   八十八

     ◇          ◇           ◇
先日、世田谷文学館にて面白い展覧会を拝見した。
b0019140_15253687.jpg
『クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会 星を賣る店』と題した展覧会は、吉田篤弘と吉田浩美の二人によるユニット「クラフト・エヴィング商會」のこれまでの活動を、棚卸しと云うカタチで一堂に披露している。
b0019140_15254837.jpg
彼らが執筆した数々の著書の中に登場する架空の品々を「商品」としてセレクトショップ「クラフト・エヴィング商會」が仕入れ、それをズラリと並べているのだネ。
b0019140_15232722.jpg
彼らは執筆活動と共に本の装幀を手掛けている。展示の最後のコーナーでは、今まで二人が手掛けた数多くの書籍が並んで居た。

おとぎの国に迷い込んだ様な、実に不思議な体験が出来た。そして、改めて彼ら二人の仕事の素晴らしさに触れることが出来て良かったナ。
b0019140_1525527.jpg
3月30日まで開催しているので、是非観て頂きたい展覧会でアル。

さて、この日は渋谷に出てヒカリエ8Fに在る『小山登美夫ギャラリー』にて川島秀明さんの個展「come out」を拝見した。
b0019140_15331764.jpg
「変化し続けるポートレート」と云うコピーの通り、独自の画風スタイルを確立しながら、新しい驚きがある十数点の作品だった。絵の中の瞳に釘付けにされ、暫く足を止めて魅入ってしまう程に素晴らしかった。
b0019140_15325167.jpg
酒場で会う川島さんだが、世界中で注目されているアーティストなのだネ。この展覧会は3月17日まで開催中。是非!
b0019140_154145.jpg
それにしても、もつ焼きの名店『宇ち多゛』さんからお祝いの花が届いていたのが凄いネ!w

二つの展覧会を観て、夜は渋谷の住宅地、松濤にひっそりと佇む蕎麦会席の『知花』(ちはな)さんにお邪魔した。
b0019140_1541114.jpg
今月17日は僕の誕生日で食事会の予定だったのだが、カミサンがインフルエンザにかかってしまった為、この日に延期となった。

『知花』は蕎麦業界のアイドル「徳ちゃん」こと徳里信枝さんが満を持してオープンした蕎麦会席のお店だ。
b0019140_15412772.jpg
蕎麦の名店、日本橋の『二行』を営んでいた石井仁さんの元で修行を積み、食に対する情熱がハンパないお方なのだナ。

不動前の寿司屋『なかのや』で、師匠の石井さんとお二人で来ていた時に偶然居合わせたのが縁だが、その時の徳ちゃんの見事な食べっぷりが今でも忘れられない(苦笑)

昨年8月にオープンしたのだが、やっと訪れる事が出来た。
b0019140_15415925.jpg
先ずはビールで喉を潤した。

さぁ、最初に登場したのは、唐津のマス、ノレソレ、帆立、小アワビのカクテルだ。
b0019140_15424221.jpg
出汁の効いたジュレがさっぱりとして山芋にもうまく絡み合いとても上品な味わいだったナ。

これには日本酒だよナ、と奈良の純米酒「風の森」を戴いた。
b0019140_1543938.jpg
むふふ、の旨さ。

続いて出たのは、牡蠣とアオサのチーズ焼き。
b0019140_1543254.jpg
とろけたチーズを纏った、ぷりっぷりの牡蠣に風味豊かなアオサが見事にマッチしていた。
b0019140_15443263.jpg
牡蛎が一番美味しくなった季節を迎え、口いっぱいに幸せが広がった。

こちらは、蕗(フキ)と毛ガニだ。
b0019140_15441139.jpg
生姜が効いて、これも酒がススむ一品だったナ。

そして、スッポンの雑炊の登場だ。
b0019140_15443563.jpg
小さな土鍋が大活躍しているが、コレ欲しいなぁ。

酒を「〆張鶴」に切り替えた。
b0019140_15442540.jpg
熱々の雑炊にキリリと冷えた吟醸が合うのだネ。

続いて出たのは寒鰆(サワラ)の幽庵焼きだ。
b0019140_15444946.jpg
付け合わせは、春野菜の醤油クリーム煮と菜の花湯葉のウニ乗せ。

幽庵焼きとは、薄口と酒、みりんに柚子の皮を入れたタレで焼いた物だっけ。写す前に食べちゃった!

菜の花を練り込んだ湯葉と濃厚なウニが絶妙にマッチして、良い酒のアテとなる。
b0019140_15584732.jpg
酒は唐津の小松酒造が造る大吟醸「万齢」を戴いた。
b0019140_1558592.jpg
盃の中に満月が浮かび、月見酒と洒落てみた。

自家製からすみと明太子も酒がススんだナ。
b0019140_15591532.jpg
これも写す前に食べちゃった。

料理はこれで終了、〆は蕎麦でアル。

僕はおろしそばを戴き、カミサンはあおさそばにした。師匠直伝の蕎麦は十割りの極細の手打ちだ。この細さが、爽快な喉越し感を生み出し、汁に絡むのだネ。

『二行』直伝の蕎麦は、つゆも受け継いでいる。様々な醤油を使い分けて、もり汁用、ぶっかけおろし用等々8種類ものかえしを作っているそうだ。
b0019140_15592197.jpg
ざっくりとおろした辛味大根の辛さと食感が、極細の蕎麦のコシと本当に良く合うのだネ。
b0019140_15591275.jpg
カミサンの蕎麦は、生のアオサと山葵の香りが際立ち、これまた大変美味しかった。
b0019140_15593538.jpg
最後に「酒粕のカスタード」と蕎麦茶を戴き、ご馳走さま。

大変美味しい料理の数々をありがとうございました!
b0019140_1559481.jpg
徳ちゃんの食欲の成せる技を大いに堪能出来た。感謝多謝!
b0019140_162910.jpg
そして、カミサンよ、誕生日祝いありがとうネ!

松濤の住宅街を抜けて渋谷駅方面へ。
b0019140_1641981.jpg
のんべい横丁の提灯が二つ無くなっており、べい横丁になっていた。
b0019140_1655319.jpg
日曜のバー『Cruva』は、オースティンがカウンターに立っている。
b0019140_1652380.jpg
あぁ、赤ワインが胃に沁みる。

小体のバーは自然に客同士がふれ合い、和気藹々となる。
b0019140_1663387.jpg
そして知った顔が次々と現れるのだナ。
b0019140_1663398.jpg
酒がススみ、夜が更けて行く。時折、ドアの隙間から聞こえる山手線の騒音が渋谷の街に居ることを思い出させてくれる。
b0019140_1664559.jpg
オースティン、ご馳走さま!

この日は風も穏やかだった。春の気配に乾杯!
by cafegent | 2014-02-28 16:08 | 食べる | Trackback | Comments(0)
今日2月17日は、僕の54回目の誕生日。
b0019140_1522663.jpg
一年の季節を72種に表す「七十二候」では「魚上氷」(うお、こおりをいずる)の頃。割れた氷の下から魚が飛び跳ねる姿が見え始める時季と云う訳だナ。

かつて織田信長は、

「♪人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。ひとたび生を得て滅せぬもののあるべきか♪」

と幸若舞の演目「敦盛」の一節を詠いながら舞いを踊り、戦へと出陣したそうだ。

人の一生なんて所詮は50年に過ぎず。天上の世界と比べてみたら、そんなのは夢は幻の様なもの。ひとたび生を得ても、命あるもの皆滅びてしまうのだ。と云う事か。「どうせ人生50年、思い切り好きにやってみよう」

時代は移り変わり、今や五十歳など人生の折り返し地点に過ぎなくなった。ボクもこれからが勝負だと思っている。

ソチ五輪が開催中だが、羽生選手や葛西選手を観ていると、ホント大きな夢を抱き続けるって大事なのだなぁ、とつくづく感じるのだネ。高校の後輩にあたる葛西紀明選手は銀メダル獲得後の会見で4年後、8年後のオリンピック大会でもメダルを狙いたいと語っていた。ボクより一回り年下だが、それでも体力の限界に挑み続けジャンプする彼の姿には心打たれるばかりでアル。

さぁ、ボクも勢い良く氷の下から躍り出す魚の様に、頑張らなくちゃ!
      ◇           ◇           ◇
閑話休題。

さて、先週はカミサンが名古屋出張に出掛けると云うので、クルマに便乗させて貰う。もちろん、僕は休暇を取ってハシゴ酒の旅と云う訳だ。
b0019140_1551825.jpg
朝6時、雪の残る東京を後にした。
b0019140_159043.jpg
あいにく富士山は隠れて少ししか見えなかったナ。
b0019140_155343.jpg
博物館明治村で有名な犬山市でクルマを降り、羽黒駅周辺を散策し、犬山駅経由で電車移動した。庄内川を渡り、名鉄名古屋駅方面へ。

この日は天気も良く青空が広がった。
b0019140_15102360.jpg
月曜日は美術館も休館日なので、金山から私鉄で伝馬町に出た。時刻は11時50分、ひつまぶしが有名な『あつた蓬莱軒』を目指した。
b0019140_15113221.jpg
此処はいつでも満席なので、入口で予約を入れる。12時40分の回に入れると云うので、『熱田神宮』をお詣りしに行くことにした。
b0019140_15131324.jpg
南門から参道に入ると右手の樹々からはメジロの啼く声が聞こえ、左の樹々ではコゲラが啼き、ウグイスの群れが飛び回っていた。大きな楠木や欅(ケヤキ)、樫の木が沢山植わっており、大きく深呼吸して森林浴を楽しめるのだナ。
b0019140_15132487.jpg
30分ほど熱田神宮を歩き、店へと戻った。

二階の入れ込みの座敷に案内され、先ずはビールで喉を潤した。
b0019140_15145635.jpg
ひつまぶしが来るまでは、「肝わさび」を戴くのだナ。
b0019140_1515943.jpg
大きくプリプリの肝に山葵を付けて口へと運ぶ。あぁ、幸せだなぁ。

ビールを飲み終えたところで、お待ちかね「ひつまぶし」の登場だ。
b0019140_1516264.jpg
細かく刻んだ鰻とご飯を混ぜ合わせ、茶碗に盛る。

一膳目はそのまま戴くのだ。タレの染みたご飯と香ばしい鰻が口一杯に広がるのだナ。

クゥッ、鰻の歯ごたえも素晴らしい。
b0019140_15163421.jpg
刻んだ葱などの薬味を加え二膳目を食む。あぁ、堪らない。むふふ、の美味さだネ。

さぁ、三膳目を茶碗に盛り、薬味と山葵を乗せて出汁をかける。
b0019140_15172897.jpg
この茶漬けがまた素晴らしい。サラサラと喉を通り抜け、鼻から鰻の香ばしさが立ち上がるのだ。

もう一杯、茶漬けを戴き完食だ。
b0019140_15164426.jpg
丁度入れ替えの時だったので、座敷を独り占め出来た。

名古屋に来たら、やはり此処と『味仙』は外せない。名古屋めしも結構東京で味わえるようになったが、この佇まいは持って来れないからネ。登録商標にもなっている名物「ひつまぶし」、ご馳走さまでした。

満腹の躯を引きずりながら、名古屋城を目指した。
b0019140_1522388.jpg
清正の像を拝み、城内へ。
b0019140_1523373.jpg

復元作業中の「本丸御殿」内を見学出来ると云うので、中へ。

徳川家康の命により建てられた名古屋城の本丸御殿は、2009年から復元に着手して少しづつ公開が開始されている。
b0019140_15233548.jpg
屋根部分などはまだまだ復元中だが、金箔を多様した絢爛豪華な広間の障壁画や襖絵など、息を飲む程に見事だったナ。
b0019140_15234824.jpg
復元作業中の外装部分はヘルメットをかぶり見学することが出来た。
b0019140_15251543.jpg
外からは高い囲いに覆われていて判らなかったが、凄いことになっていたのだネ。

ゆっくりと見学して二之丸広場に出ると、ピチピチッとハクセキレイの啼く姿を見る事が出来た。
b0019140_1619995.jpg
お堀に出るとマガモやカワウ、シラサギの群れがいた。

伏見のホテルにチェックインを済ませ、仕事を終えたカミサンと合流。地下鉄鶴舞線に乗り上前津駅へ。日が暮れた午後6時過ぎ、裏門前町通りを歩き万松寺通りのアーケードを抜けて赤門通りへと歩く。赤門通りを左に曲がれば目指す酒場に到着だ。

大衆酒場『末廣屋』さんは、見事な金色の酒樽の看板が目に飛び込むのだナ。
b0019140_16204657.jpg
「酒」と白く染め抜かれた藍色の暖簾を潜れば、其処は吞んべいのパラダイス。

いつも引っ切り無しに混んでいるが、小気味良い客さばきでテーブルに相席にしてくれたり、ご常連さんが気を効かせて席を譲ってくれるのも地元ならではの人気酒場の証なのだネ。

お姉さんに二人、と告げて暫く入口で待つ。席が空くのを待つ間も、この酒場の賑わいを眺めているだけで心躍るのだ。そして、待つ事5分。カウンターの御夫妻が席を空けてくれた。

そんな訳で大将の前に座る事が出来た。仕事を終えたカミサンへの慰労を兼ねてカンパイ!
b0019140_16212354.jpg
先ずは、鯖の刺身をアテにビールをゴクリ。

此処はカウンターの上にズラリと並んだ大皿の料理が実に良いのだナ。何れもが美味しそうに僕らに微笑みかけてくれているようだ。

カミサンが気になっていた足長たこの煮物を戴いた。
b0019140_16213360.jpg
程よい甘さにビールがススむススむ。

こちらは、とこぶしだ。
b0019140_16214684.jpg
身が柔らかく、味が染みていた。あぁ、こりゃ堪らんと熱燗をお願いした。

こちらの酒は名古屋の地酒「鷹の夢」だ。
b0019140_1622056.jpg
燗酒の大を戴き、お猪口を二つ。

あぁ、酒が五臓六腑に沁み渡る。
b0019140_1622861.jpg
マグロの刺身を戴いて、酒を合わせるのだナ。

此処は何を食べても美味しいのだが、とりわけ刺身類が際立っている。この日はマグロの他に赤貝や鯖などが出ていたが、ひとつ判らない品書があった。「まだか」と云うのだが、ハテ?何だろう?隣りのご常連さんに聞くと、スズキの子どもをマダカと云うのだと教えて頂いた。

「刺身はまだか?じゃないよ」と、これまた一本取られたのだった!あぁ、これだから酒場の出逢いは愉しいのだネ。

燗酒のお代わりもススみ、大満足。

そうそう、此処は食べ終えた皿は重ねるのだネ。
b0019140_16222199.jpg
こうすれば、広く使えるしお勘定もし易いのだろうナ。

程よく酔い、腹八分。ご馳走さまでした。次回を愉しみに『末廣屋』さんを後にした。
b0019140_1625327.jpg
次に向かったのは伏見の名店『島正』だ。
b0019140_16242741.jpg
数年前に店舗を新装したが、ご主人、女将さん、息子さんの最強タッグは変わらず健在なのだネ。
b0019140_16244739.jpg
再びビールを戴き、日本酒の酔いを冷ます。そして、どて焼き(味噌おでん)の盛り合わせを戴くのだ。
b0019140_1625248.jpg
「盛り合わせ」とは、豆腐、こんにゃく、大根、玉子、里芋、そして牛すじでアル。
b0019140_162534100.jpg
たっぷりと味が染みた大根は絶品だ。

この串カツ(味噌)もスバラシイ。
b0019140_16254941.jpg
串かつは味噌、ソース、醤油から味を選べるのだが、やはり此処は味噌だろうネ。
b0019140_16263343.jpg
豆もやしをアテに燗酒もススむ。
b0019140_16262025.jpg
此処の大将が淡々と四角いおでん鍋に串を並べて行く様子は、眺めていて惚れ惚れするほど見事なのだナ。大根や豆腐が、味噌の温泉に浸かる行儀の良い子どもたちに見えて来るから不思議だ。

燗酒のお代わりもススみ、〆の炭水化物をお願いした。
b0019140_1626458.jpg
名古屋と云えば「どてめし」だが、さらにコッテリと「どてオムライス」をお願いした。

息子さんがフライパンでサッと作るオムライスをどてめしの上に載せるのだネ。これを茶碗の中で混ぜ合わせ、頬張るのだ。あぁ、ぐふふ、の幸せが込み上げて来た。

ご馳走さまでした。満足満腹になった。

『島正』からホテルに戻る間で、〆の一杯を飲むことにした。
b0019140_162816.jpg
クラフトビールとワインの店『グリルマン』へ。
b0019140_16281029.jpg
デザイナーの仕事場の様なインテリアの中、アットホームな雰囲気に包まれる。

カミサンは常陸野ネスト「ホワイトエール」、ボクは志賀高原ビール「イーブンプライムホワイトIPA」を戴きカンパイ!
b0019140_16282568.jpg
こうして、名古屋の夜は更けて行ったのだネ。
by cafegent | 2014-02-17 16:28 | 飲み歩き | Trackback | Comments(2)
先週のNHK番組「日曜美術館」で画家・猪熊弦一郎の特集をしていた。
タイトルは『眼で見たカタチがアートに変わる!猪熊弦一郎』だ。
b0019140_1358927.jpg
誰もが目にした事がある三越デパートの包装紙や上野駅改札上の大壁画も画伯の作品だ。三越の白に赤い模様のモティーフは、猪熊氏が拾って来た石の数々でアル。

猪熊弦一郎は日常の中に有る様々なモノのカタチに独自の美感を持って面白さを発見している。
b0019140_13584823.jpg
時にはそれが卵を納めるパッケージだったり、ブリキの自動車だったり、生活の道具だったりする。
b0019140_140424.jpg
フランスで絵の修行をしている時に巨匠アンリ・マティスから「お前の絵は、巧すぎる」と批判され、以来独自の画風を極める道を歩み始めたのだネ。

晩年の妻の顔をモティーフにした作品群にも所々に氏が収集したモノや動物などをちりばめているのだナ。

番組では猪熊弦一郎に惹かれている写真家ホンマタカシさんが上野駅の壁画や三越の包装紙を用いて撮影をしている。二人のクリエーターの時空を超えたコラボレーションが実に面白かった。
b0019140_13575894.jpg
昨年、手に入れた『物 物』と云う本は、「猪熊コレクション」(猪熊弦一郎の収集した様々なモノ)の中からスタイリストの岡尾美代子さんがセレクトし、ホンマタカシさんが撮影をした本だ。
b0019140_141691.jpg
右ページの写真について大きな白い余白の中でホンマさんと岡尾さんが呟いている言葉もまた実に面白いのだナ。
b0019140_1411462.jpg
いつも時々ページを捲っては、発想のヒントを探している。

今度の日曜日に再放送があるので、是非皆さんにも観て欲しいものだ。

あぁ、丸亀市の「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」に行きたくなった。
     ◇           ◇           ◇
閑話休題。

今朝の東京はこの冬一番の寒さだったそうだネ。朝の公園散歩もかじかむ手をポケットから出すのが辛かった。

昨日は午後から東京の空に雪が舞ったネ。八王子辺りでは積もったりしていたが、都心でも大きな綿の様な雪が降り続いた。
b0019140_14175457.jpg
仕事場を出ていつもの酒場の前を通ったが、サスガに空いている様子だったネ。夕べはカミサンが休みだったので家で吞むことにしていたので『牛太郎』の暖簾は潜らずに帰路についた。

紺色のピーコートがどんどんと白くなっていく。
b0019140_1418820.jpg
久しぶりの雪景色だったので、アーケードを歩かず雪の街を楽しんだ。
b0019140_14184224.jpg
カミサン、良い鯛が手に入ったと云うので、鯛の出汁がたっぷりと出た湯豆腐で雪見酒と洒落こんだ。
b0019140_1418572.jpg
大根の煮物はじっっくりと煮た後、雪の降るベランダで熱を取り味を滲み込ませるのだナ。
b0019140_1420594.jpg
ハイ、出来上がりがこちら!味が沁みて美味い!
b0019140_1421412.jpg
野菜もしっかりと取らなくちゃネ。
b0019140_14231864.jpg
熱々の湯豆腐も酒がススむネ。

しめ鯖は京都の居酒屋『赤垣屋』のきずしを模してみた。
b0019140_1420059.jpg
二杯酢に生姜を加えて〆た鯖は、日本酒が欲しくなる。カミサンの料理の腕は、日増しに上がるのだナ。

新潟の高の井酒造の「越後魚沼倶楽部」越淡麗純米酒を合わせてみた。
b0019140_14214415.jpg
越後の雪解け水で仕込んだ酒は、喉越しも良くクィクィとススんだナ。
b0019140_14234188.jpg
程よく酒を呑み干し、最後は鯛の出汁が効いた雑炊で〆てみた。

窓の向こうでは、すっかり雪も止んだようだ。たまには、酒場へ出掛けずに吞むのも良いものだネ。

     物悲し 落ちて消えるや 街の雪    八十八
by cafegent | 2014-02-05 14:26 | 食べる | Trackback | Comments(5)
b0019140_12231587.jpg
暦では立春を迎えたが、今日の東京は真冬の寒さになったネ。

昨日の暖かさとは打って変わった気温差となり外に出ると吐息も白くなっていた。今日の午後は関東平野でも雪が積もるかもしれないと、テレビの中の天気予報士が伝えていたナ。

季節を72に分けて表す「七十二候」では、「東風解凍」(はるかぜ、こおりをとく)の頃となった。暖かい春の風が吹き始め、川の氷を溶かしはじめる時季だネ。

東風とは、春風のこと。東風と書いて「こち」と読むのだナ。

    朝東風に棹のタオルも踊りをり    八十八
b0019140_1222209.jpg
我が家の近くの公園では河津桜が少しだが咲き始めていた。しかし立春とは言え、二月は冬が極まるとき。まだまだポケットから手が出せない日が続きそうだ。

俳句の季語に「寒明」(かんあけ)、「寒の明け」と言うものがある。
小寒・大寒と続いた三十日間の寒の明けることで、新暦の二月四日頃にあたるのだナ。

立春と同じ時季だが、まだまだ寒さの余韻が残る季節を表している。まさに今日の様な天候にぴったりの言葉だネ。
      ◇           ◇           ◇
閑話休題。

先日、連載中の『ぴあ』の原稿を書き終え夕方から吞みに出掛けた。

先ずは、仕事場近くの酒場『牛太郎』へ。仕事場を出て細い路地を縦に二本抜けると牛太郎の裏手にぶつかる。
b0019140_12263735.jpg
表に回り風に揺れる紺地の暖簾を潜るといつものコの字カウンターが現れるのだ。

此処は午後二時過ぎから営業が始まるが、時間毎のご常連さんが多いので、いつが空いているかが全く検討がつかないのだナ。実際、昨日も午後四時ならば空いているだろうとタカを括っていたら、既に後ろの待ち合いに5人が並んで居たものネ。

この日はタイミング良く焼き台の前が空いていたので、スグに座ることが出来た。
b0019140_12302134.jpg
ヒロシ君特製の温やっこをアテに瓶ビールの大瓶を戴いた。

此処はひっきりなしに混んでいるので、もつ焼きなどの焼き物はヒロシ君の手が一段落するまで、じっと待たなくてなならない。そんな暗黙のルールも回を重ねる毎に判って来て、この酒場が一段と好きになってくるのだネ。

暫くしてヒロシ君が「焼き物、どうしますか〜?」と聞いてくれるので、胸躍る瞬間を迎える訳だ。
b0019140_1256385.jpg
店主の城(じょう)さんは実に心優しい人なのだが、亡くなった先代の女将さんはとても厳しい方だった。常連だろうと容赦しない、「さっさと吞んで食べたら、腰を上げておくれ」とか「あんた、もう1時間半も居るよ!次の人に譲ってあげな」と云った具合でアル。

そんな訳で、この酒場には先代、先々代から受け継いだルールをご常連さん達もしっかりと受け継いでいるのだネ。

お勘定を済ませたら、空いた皿とグラスなどはカウンターの上に載せ、台布巾で綺麗にカウンターを拭いて帰る。

入口の両脇に在る待ち合いは、カウンターが空くのをジッと待つ席なので、むやみに鞄や荷物類を置いてはいけない。ちゃんとカウンター下に棚があるからネ。それでも置ききれない場合は端に寄せて、待つ人達が座れる場所を作ってあげるのだ。

そうして、自分の順番が廻って来たら、大いに食べて大いに酒を吞もうじゃないか。
b0019140_12324541.jpg
と云うことで、この日はねぎアブラとタンを焼いて貰った。
b0019140_12494181.jpg
そうそう、暮れから始まったフランクもジューシーで酒がススむ一皿だヨ。ワインにも合うしネ。

地元が誇る博水社のハイッピーレモンを戴き、心地良く酔うのだナ。

さぁ、かれこれ1時間半程吞んだだろうか。ご馳走さま!
(この90分の引き際も暗黙のルールになっているのだネ)
b0019140_1257026.jpg
『働く人の酒場 牛太郎』は、この日もひっきりなしにお客が訪れ、賑わいが途絶える事なく続くのだ。

武蔵小山を出て、独り恵比寿へと向かった。

駅を出て駒沢通りを渡り、銀行脇の路地へと曲がる。
旧店舗を取り壊しビルとなった名店『縄のれん』は今月の再開を控え、サトシさんも女将さんも仕事をしていたナ。
b0019140_1372664.jpg
中旬頃にオープンと伺ったので、一段落した辺りに伺うとしよう。

そして、二軒目は老舗の居酒屋『さいき』の暖簾を潜るのだ。
b0019140_133070.jpg
此処もいつも混んでいるのだが、またもやタイミング良くカウンターの端に座る事が出来た。

先ずは一の蔵の燗酒を戴いた。
b0019140_134526.jpg
此処は黙って座れば三品の御料理が出て来るので、独り酒に打ってつけでアル。

この日は、最初に赤魚の粕漬けが出た。
b0019140_1341448.jpg
此処は本当に酒に合う肴ばかりで実にウレシイ限り。

続いて、葉にんにくのぬた和えだ。
b0019140_1342491.jpg
これまた、酒がススむススむ。もうむふふの味わいだ。

お銚子をお代わりし、躯も温まって来た。三品目のお造りは黒鯛とメジマグロ。
b0019140_1341322.jpg
燗酒が続いたので、〆は凍結酒を戴いた。

一の蔵を瓶ごと凍らせており、少しだけ溶かしシャーベット状にしたものをグラスに溢れんばかりに注いでくれるのだナ。
b0019140_1342493.jpg
火照った躯が一気に冷める。あぁ、美味し。

お隣に座られた方々は初訪問だったそうだが、美味しい料理に舌鼓を打ちながら、大いに吞まれていたネ。こんな酒の縁が愉しいのだ。

散歩から戻って来た店主の邦(くに)さんと世間話に花を咲かせ、楽しいひとときを過ごした。
b0019140_1362235.jpg
店のコたちの「いってらっしゃ〜い!」の声に見送られ恵比寿を後にした。

酔いさましに渋谷方面へと歩いた。向かったのは渋谷のんべい横丁だ。先日、「早春ぴあ」の取材で世話になったバー『Cruva』(クルヴァ)へ。赤ワインを戴いて、店主のよっさんにカンパイ!
b0019140_13124090.jpg
狭い店内も徐々に人が集まってくる。此処も本当に居心地の良い酒場だネ。

暫くすると横丁内の酒場『ビストロ・ダルブル』から帽子屋さん『CA4LA』(カシラ)の吉澤社長がやって来た。
b0019140_13125464.jpg
この笑顔、本当に帽子が似合う御仁だよネ。

続いて、数週間の東南アジア旅行から戻ったばかりのやまおクン登場。
b0019140_1313979.jpg
無事に帰国、お疲れさん。
b0019140_13132736.jpg
ユニバーサルミュージックの藤田クンもやって来て、大賑わいだ。

気心しれた酒朋たちの吞む酒のなんと美味いことか。
b0019140_131430100.jpg
こうして、この日も寒さを忘れて吞み続けたのであった。

      春寒し水田(みなた)の上の根なし雲  河東碧梧桐

さぁ、仕事しなくちゃ!
by cafegent | 2014-02-04 13:18 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)