朝から青空が広がったが、顔に当たる風は冷たく痛い。
目黒川の桜も徐々に芽吹き始めていた。
今日からもう2月だネ。暦では節分を過ぎると立春でアル。
毎年、立春の境目となる2月3日の深夜零時に恵方の方角に向かって、「一陽来復」(いちようらいふく)のお守りを天井近くに貼るのだナ。
我が家では、恵方巻は食べないがネ。
この「一陽来復」のお守りとお札は、冬至の日に早稲田の穴八幡神社へ参拝に行き分けて戴く。お守りは節分の日まで貰えるので是非ひとつ。
「一陽来復」の日は、この陰の気から陽の気への季節の替り目なのだ。悪い事が続いた後にようやく良い事が訪れると云う意味だ。
昨年もまた、人災や天災と「災い」が多発した一年だったものネ。
運気の転換は新年ではなく、節分に有ると云われている。3日は、運気好転を願い豆まきをしようか。
毎年古いお守りを穴八幡宮に返すが、昨年はお守りを入れた財布を無くしてしまい、返せずとなった。
一陽来復は、金銀融通のお守りでもアル。穴八幡宮の近くでは、融通にちなんで「融通(柚子)そば」なんてのを出す蕎麦屋も在る。
今年は落とさぬ様、しっかり財布を守ろうかナ。
◇ ◇ ◇
さて、先週の土曜日はまたまた東京を縦横無尽に呑み歩いた。
朝は毎度の様に京成立石へと向かう。
口開け前、暖簾の前で皆と挨拶を交わすのが、土曜の愉しみなのだ。
『宇ち多゛』の奥席側では、酒朋ホシさんや岩崎さんも来た。この日は昼飯を別に予定していたので、此処ではいつもより少なめにした。
それでも、しっかりと煮込みのホネは戴いた。宇ち多゛のホネは週に一度は食べないとネ。
梅割りも戴いて土曜朝酒の一軒目が終了。
いつもの様に二軒目は、『ゑびすや食堂』へ。
宇ち多゛からハシゴは、立石の重鎮イシさんとウーさんも一緒だ。
香ばしい銀杏をアテに緑茶割りをグビリ。たまらんなぁ。昼開店の『栄寿司』も行列が出来ていたネ。
この日は、酒朋ハッシーと午後1時に南千住で待ち合わせ。
目指すは鰻の名店『尾花』だ。庭に鎮座する伏見稲荷に先ずお詣り。
土曜日は途中の休憩が無いので、案外並ばずに入れるのだネ。僕は此処で並んだ事が一度も無いのだナ。
そして、入れ込み式の座敷へと腰を降ろす。
尾花は鰻も美味いが、此処の何とも云えない寛ぎ感が好きなのだナ。
注文してから鰻を捌き、蒲焼きにするため裕に3,40分程はかかる。
僕らはうざくをアテに燗酒を戴き、ノンビリと待つのだナ。
人によっては此処は蒸し過ぎだ、とか柔らか過ぎると云う声も聴くが、これこそが「尾花の蒲焼き」なのだ。僕は鰻が好物なのだが、その店々の味それぞれに好きなのだナ。
そして、その佇まい、店の人達の温かさ、それに鰻の味が揃った店を贔屓に通う様になる訳だ。此処もそんな鰻屋のひとつでアル。
5日間禁酒をしたと云うハッシーは、箍(たが)が外れたかの如く、お銚子をお代わりしていたナ。うな重が出て来てからも、また頼んでた。
さぁ、お待ちかねうな重の登場だ。
此処は真ん中の3500円だけ重箱では無く丼なのだ。この方が食べ易いし量も適量なので、僕はいつもコレにしている。
先ずはそのまま蒲焼きを口に入れる。
ふっくらとした鰻が口の中で溶けるように崩れ、舌に旨味だけが残る。山椒をふりかけ、下のご飯と共に箸で持ち上げてかき込むのだナ。
タレの味もさっぱりとして、もう云う事無しの味わいだ。
そして、また酒を呑む。ぐふふ。
これこそ、東京の鰻の味だナ。昔は暖簾に「天然うなぎ」と染め抜かれていたが、今その文字は無い。今も時々天然物も食べる事が出来るが、最近の養殖うなぎは抜群に美味い。
至福の時を過ごした僕らは、元気も戴いたので少し遠くまで足を伸ばすことにした。
新宿から電車を乗り継ぎ、目指す先は「都立小金井公園」だ。
此処はあと2ヶ月もすれば、見事な桜が絢爛豪華に咲き誇る。
園内では、冬鳥のツグミが餌を探して歩いてた。
さて、長くなってきたので、続きはまた次回書くとしよう。