東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
早いもので、もう三月だ。今年も1/6が終わってしまった訳だネ。

最近は、晴れていたと思いきや突然にわか雪が降ったり、今朝などは気温は低いが風はとても穏やかで日差しが眩しい冬晴れとなり、毎日の天候が読めないネ。まさに「三寒四温」という気候が続いているのだナ。

暦では、霞がたなびく頃となり、そろそろ土筆が土から頭を出しそうな気配を感じるようになった。
b0019140_1552368.jpg
僕の住む街では、いつもより一ヶ月ほど早くウグイスの囀(さえず)りを聞くことが出来た。住宅の生垣でもヤブツバキの花蜜を求めてメジロが集まっているし、木蓮の蕾も大きく膨らんでいたネ。

先週は、誕生日の翌日にインフルエンザにかかり、1週間家から一歩も出ないという日々を過ごした。まぁ、そのお陰で久しぶりの長期休肝日を設けることが出来たので、体の中は少しだけ浄化されたかもしれない。
    ◇           ◇           ◇
さて、インフルエンザを貰った日の前日は、札幌からの飲み友達が来ていたので、小岩で待ち合わせをすることにした。

小岩の駅は改札を出ると大きな栃錦関の力士像が出迎えてくれるのだ。
b0019140_15233335.jpg
今から半世紀ほど前、若乃花と共に日本の角界を沸かせた名力士だネ。今年は久しぶりの日本人横綱・稀勢の里が誕生したので、栃錦・若乃花時代のように相撲界を牽引していって欲しいものだナ。

一足早く仕事を終えた友人と駅で合流し、南口に出てサンロード商店街を一里塚の方面へと歩く。7、8分ほど進み小岩警察署まで来ると信用金庫の向かい側に目指す酒場が在るのだ。
b0019140_15234918.jpg
『酒の山田や』さんは、街の酒屋さんであり、店の脇で飲める「角打ち」が在るのだナ。日本酒はもとより、洋酒のバリエーションが豊富であり、しかも驚きの低価格で提供してくれるのが嬉しい限りでアル。
b0019140_1524745.jpg
先ずは、生ビールで喉を潤した。クゥ~ッ、旨い!

酒朋は、既に立ち飲みの焼き鳥屋で一杯引っかけてきているので、こちらではシングルモルトをお願いしていたゾ。
b0019140_15242915.jpg
なになに、ストラスアイラの12年が290円だと!!これは驚いたネ。クッとビールを飲み干して、僕もウィスキーにしようか。

選んだ酒は、カリラの12年だ。
b0019140_1524441.jpg
遠い異国のアイレイ・ウィスキーを小岩の地で味わう。うーん、味わい深いナァ。
b0019140_1525124.jpg
此処は右手は何処にでもある普通のお酒屋さんだが、左側がヨーロッパのパブ風の設えになっており、実に渋い雰囲気を醸し出している。 千葉が目と鼻の先の江戸川の下町にアイリッシュ酒場がワープしたようで、モルトウィスキーの味がさらに美味しく感じられるのだナ。
b0019140_15254187.jpg
此処のご主人はワインにも詳しく、店の入り口にはヨーロッパで有名なワインのソムリエと一緒に記念撮影したご主人の写真が飾られている。角打ちでちょいと引っ掛けた後は、ご主人に100銘柄以上も揃えてあるワインから、じっくりとオススメのワインを選んでもらうのも楽しいひと時だろうナァ。
b0019140_1529495.jpg
ココで、女子が合流し、ご主人も笑顔いっぱいだ。

さぁ、もうすぐ次の酒場の口開けの時刻だ。ご主人、旨い酒と愉しいひと時をありがとうございました。
b0019140_15293112.jpg
小岩の駅に戻り、電車で平井駅へと移動。平井駅の北口から斜めの道を進むと正面に目指す酒場『豊田屋』が見えてくる。
b0019140_15321474.jpg
午後4時半、口開けを待つ方々が10名ほど既に並んでいたネ。
b0019140_15324179.jpg
時間ぴったりに店主が暖簾を出して、皆さんゾロゾロと中へと導かれるのだヨ。
b0019140_15325527.jpg
先ずは、名物の「キイロ」(焼酎ハイボール)でカンパイだ!

氷無しのジョッキに独自の調合エキスで割った焼酎が入っている。
b0019140_1533239.jpg
そこへ炭酸の強目のアズマ炭酸をシュワシュワッと注ぐのだナ。オォ、相変わらず旨いナァ。

そこへ大きな鍋が運ばれてきた。今回は5人だったので、白子鍋とアン肝鍋の相盛りをお願いした。
b0019140_15332188.jpg
どうですか、コレ!痛風まっしぐらな鍋でしょう。

鍋に火を点けたら、あとは暫くの間、酒を飲みながらひたすら待つのだヨ。勝手にいじるとスグにご主人がやってきて「ダメだよ、勝手に触っちゃ!」とゲキが飛ぶ。そう、店主の言うことを守って、じっと待つのだネ。
b0019140_15425579.jpg
二杯目のキイロを飲み干したところで、「サァ、食べていいよ」との声が掛かった!

グツグツと沸騰した鍋の中で白子が踊っていたナ。
b0019140_15382683.jpg
ダシの沁みた白菜と豆腐も実に美味い。あぁ、白子の甘みが口いっぱいに広がり、そこへ冷たいハイボールを流し込む。むふふ、幸せなひと時だナ。

ダシに溶けたアン肝も最高だ。鍋はこうやって大勢で箸を突くのが楽しいネ。最初の鍋をペロリと平らげ、お次は牡蠣鍋をお願いした。
b0019140_1540912.jpg
おぉ、凄い!プリプリ大粒の牡蠣がこれでもかと云うぐらいに入っていたヨ。

奥に有る唯一の小上がり席では、豪快に6人前のあんこう鍋が準備されていたナ。
b0019140_15392248.jpg
見た目にも圧巻だ。
b0019140_15393886.jpg
酒を浅草無双に切り替えた。
b0019140_15394890.jpg
箸休めに頂いた煮こごりも酒に合うナァ。

牡蠣鍋も食べ終え、〆にうどんをお願いした。
b0019140_15402034.jpg
これも味が沁みて、最高な味わいだった。あぁ、ガッツリ食べて、大いに酔ったネ。ご主人、美味しい鍋と酒、ご馳走様でした。
b0019140_1545364.jpg
外の風は冷たかったが、僕らの身体はポカポカに温まったネ。
b0019140_15481219.jpg
そして、我々一行は駅の南口に在る『もつ焼き 松っちゃん』へと向かったのでアール。
[PR]
# by cafegent | 2017-03-01 15:48 | 食べる | Trackback | Comments(0)
立春を迎え、東京は冬晴れが続き、今日も青空が広がっている。季節を72に分けて表す七十二候では、「黄鶯睍睆(こうおうけんかん)」うぐいすが鳴く季節となったのだネ。
b0019140_16481074.jpg
ホーホケキョと鳴くウグイスのさえずりはまだ聞こえず、ジッジッという地鳴きは朝の散歩の中で、彼方此方から聞こえてくる。この季節によく鳴いているので「春告鳥」とも呼ばれているが、梅の開花の頃にウグイスに出会うと、とてもウキウキとした気持ちになれるのだナ。

    鶯や柳のうしろ藪の前    芭蕉

柳の木の上に居たかと思ったら、もう藪の前に居る。チャカチャカと動き回るウグイス独特の姿を切り取って描写した一句だネ。

昨日も朝から天気が良かったので、家を出て明治神宮へと散歩に出かけた。原宿駅から南参道を歩き中ほどに在る東門より御苑内へと進む。日曜日ということもあり大勢の人たちが訪れており、パワースポットとして知られる「清正の井戸」では、百人以上の行列が出来ていた。

つつじ山では青い鳥ルリビタキが出迎えてくれた。
b0019140_16483974.jpg
愛らしい表情をしてポーズを決めていたナ。
b0019140_16522241.jpg
隔雲亭の前の小高い斜面の芝生の庭では、ジョウビタキのメスが餌を探していたナ。
b0019140_16542023.jpg
人懐っこいヤマガラも餌が欲しと鳴きながら飛び回っていたヨ。
b0019140_16594235.jpg
1時間半ほど、御苑内を歩き回ったので、大鳥居の前に先月リニューアルオープンしたばかりの『杜のテラス』で珈琲ブレイクをとった。
b0019140_16583992.jpg
此処の空間は木をふんだんに取り入れているのだが、国産の材木と明治神宮御造営時の献木の枯損木を再利用しており、釘の代わりに木のクサビを使用するなど、明治神宮の杜を肌に感じながら一服することが出来るのだネ。
    ◇            ◇            ◇
閑話休題。

先日、久しぶりに新橋の小さなお寿司やさん『すし処まさ』にお邪魔した。この日の予約は確か3年半ほど前だったかと思うが、訪れる度に予約を入れているので、年に数回は来られるのだナ。

この日は、酒朋のユウジ君と野鳥仲間のKさんをお誘いした。二人とも初訪問だったので、楽しみだった。同じ新橋駅前ビルの1号館の一階に在る『信州おさけ村』で集合。
b0019140_16303785.jpg
ビールで軽く0次会をして、長野の地酒を購入。
b0019140_1631724.jpg
さぁ、2号間の地下へと向かおうか。
b0019140_16305360.jpg
ガラリと戸を引くと笑顔の主人に迎えられた。
b0019140_16312344.jpg
今回は、上田の地酒「互 先発」純米吟醸生酒を持参した。
b0019140_1632345.jpg
ワォ、今回も極上の魚介が勢揃いしてるネ!
b0019140_1632439.jpg
まずは、北海道の水ダコと佐世保で水揚げされたブリのお造りから。
b0019140_16325661.jpg
程良く脂の乗ったブリは酒に合うナァ。噛むほどに甘みが出る水ダコも美味い。

こちらは、佐渡島のアワビ。
b0019140_16331454.jpg
柔らかくて、旨味が凝縮されている。

そして、名物メバチマグロの炙りの登場だ。
b0019140_16333020.jpg
生でも美味いメバチマグロを炙り、店主オリジナルのマスタード風味のつけダレをつけて戴くのだ。炙りに良く合うこのタレは、粒マスタードを裏ごしして醤油で伸ばし、酢を少々足している。
b0019140_16334781.jpg
あぁ、美味い!酒もクィクィとススんでしまうのだナ。

お次は、大豆の香り豊かな自家製豆腐だ。
b0019140_16372933.jpg
まずはそのまま口へと運び、風味豊かな大豆の味を楽しむ。二口目からは塩で戴くと美味い。

さぁ、ここから「まさ劇場」の第二幕、握りの始まりだ。
b0019140_16374256.jpg
最初は本マグロのヅケから。むふふ、相変わらず美味いナァ。

此処は間口一間ほどの小さな寿司屋なので、僕らの真正面に一人店主の鈴木優(まさる)さんが立つ。初めての方は、ちょっと緊張する筈だネ。でも大丈夫、その名に違わず、まささんは実に物腰の優しい方だからでアル。
b0019140_1638933.jpg
オープンしたての頃から訪れいているから、もう7年ぐらいになるだろうか。以前は十条駅前の『斎藤酒場』の近くで店を構えていたのだが、夫婦二人で切り盛りするには広過ぎたとの思いから、20人程のお客さんを待たせてしまうよりも3名の方にじっくりと美味しい料理を愉しんでもらいたいと場所を探していたら、此の場所に巡り会えたと伺った。新橋駅前ビルは、1号館も2号館も飲食街は小さなスナックや立ち飲み屋、居酒屋が集まっているのだが、その中でもひと際異彩を放っている寿司屋だネ。

お次は大分産の赤貝の握りだ。
b0019140_1638395.jpg
随分と立派な身だが、旨味も凝縮されていて唸るほどの美味さだったナ。

続いて、小肌だ。
b0019140_1639114.jpg
さぁ、どうですか!目にも鮮やかな手仕事の技、こうなるともう芸術の域に達しているネ。

こちらは、ミル貝の握り。
b0019140_16393135.jpg
二枚貝から太い水管がはみ出している、お馴染みの貝だが、甘みが強くて実に美味い。

そして登場したのは、細魚(さより)だ。
b0019140_16394353.jpg
またしても芸術品のような装いの握りでアル。目で愉しみ、香りを楽しみ、舌で味わう。あぁ、至福のひとときだ。

優さん、本当に愉しそうに寿司を握ってくれるのだナ。
b0019140_16404539.jpg
こんなに間近で客と対峙しているのだから、物凄く気疲れしそうだが、終始笑顔を絶やさないのだ。此処は本当に居心地の良い店でアル。

続いて出たのは、ヤリイカだ。
b0019140_16405518.jpg
イカ飯のように身の中に酢飯を詰めて煮切りのツメが塗ってある。おぉ、最高だ!
b0019140_1641142.jpg
最後は炙り穴子の握りで握り劇場の幕が下りた。

二人とも大いに満足してくれたみたいで、こちらも嬉しい限りでアル。
b0019140_16412761.jpg
ユウジ君、次回の予約を取っていたが、2023年と6年後の予約に驚愕していたネ。

優さん、今回も美味しい料理の数々、ご馳走様でした。また、次回も宜しく!
b0019140_16425248.jpg
『すし処まさ』さんを出て同じフロア内に在る立ち飲み居酒屋『こひなた』に移動した。
b0019140_16415343.jpg
此処で、酒朋キクさんと合流し、再びカンパイ!
b0019140_1642595.jpg
こうして長い夜が更けて行くのでアール。
[PR]
# by cafegent | 2017-02-13 17:00 | 食べる | Trackback | Comments(0)
b0019140_1318939.jpg
大寒が過ぎ、毎朝歩く公園の池の水も寒さに凍り、舞い降りた鳩たちが足を滑らす姿を見て、思わずクスリと笑ってしまった。
b0019140_1311642.jpg
僕の住む街でも大寒の日は小雪が降り、冬の寒さに拍車がかかっているネ。

夏の間、山の方に生息していたアオジやシベリア辺りから渡って来たアトリたちが都心で越冬を始め、群れをなして地面に落ちた木の実などを啄む姿を毎朝眺めている。
b0019140_13103884.jpg
どちらもスズメに似ているが、胸が黄色いアオジや胸が橙色のアトリの羽はとても美しい。
b0019140_13104951.jpg
また住宅地のアンテナの上やベランダなどで「ヒーッヒッ」と啼く声がしたら、ジョウビタキに出会えるだろう。
b0019140_13105915.jpg
これも冬の渡り鳥だが、何故か林などより住宅地を好むのだナ。

野鳥観察が好きな僕には、冬は様々な鳥たちに出会える絶好の季節なのだ。
b0019140_13233447.jpg
空高く上を見上げるとオオタカやノスリ、チョウゲンボウなどが獲物を探して舞う姿を見つけることが出来るし、普段見られないような鳥も渡りの途中で立ち寄ることがあるからネ。
b0019140_1327999.jpg
公園の紅梅も見頃を迎え、河津桜の蕾も見るたびに膨らみ、もう幾つかの枝では花が咲いている。
b0019140_13275454.jpg
春の息吹を一足早く感じながら、野鳥と花を探して明日も歩こう。
       ◇           ◇           ◇
閑話休題。

品川区の住宅地、中延駅と荏原中延駅を結ぶ商店街「なかのぶスキップロード」は、武蔵小山「パルム商店街」「戸越銀座商店街」と並んで、どこか下町情緒に溢れている。お肉屋さんや総菜屋さんから聞こえる主婦とのやりとりが商店街の賑わいを作り、行き交う人々の姿がこの街に彩りを添えている。

昨年11月、なかのぶスキップロード商店街の中に一軒の酒場がオープンした。
b0019140_12374350.jpg
その名も『宅飲み酒場 アヤノヤ』だ。8年間、外食産業で経験を積んだ店主の西田彩乃さんはまだ20代と若いが、持ち前のバイタリティと明るい笑顔で僕らを惹きつけるのだナ。
b0019140_1238683.jpg
コンセプトも面白い。家のリビングで「宅飲み」している気分で、心地よく酒を愉しめる場を提供し、しかも飲み物は総て一律300円なのだから驚きだ。生ビール、チューハイはもちろんのこと、ウィスキーの山崎も300円で飲めるのだヨ。

彩乃さん曰く「1000円で三杯飲めて、お釣りまでくるお店。だからこそ、お客さまが週4で来てくれる」そんなお店を目指したそうだ。
b0019140_1238499.jpg
彼女は料理が作れない。だけど、美味しいお酒を提供し、楽しく語り合うことは出来る。
酒のつまみは店を取り囲む商店街の中で好きな惣菜を買っていけば良いのだ。
b0019140_12381824.jpg
持ち込み自由、しかもカラオケまで無料と思い切りが良すぎるのでアル。
b0019140_12422034.jpg
ユルいカーブのついたカウンター席とテーブル席には、開店以来、贔屓にしてくれている御常連たちが酒を楽しみ、笑い声も絶えない。

僕も武蔵小山でスタートしてから、此処に移動することが多い。
b0019140_1239950.jpg
『牛太郎』から歩いても15分〜20分ぐらいなので、酔い覚ましの散歩にも丁度良い。一人で訪れても、彩乃さんをはじめ、知った顔が大抵飲んでいるから、ホッと出来る。
b0019140_1240340.jpg
ハイサワーの杯もススむススむ。

15時からオープンしているので、たまの平日休みなどに訪れてみて欲しいナ。皆さんもきっと彩乃さんの笑顔に癒され、楽しく酔える筈だ。
b0019140_1239384.jpg
そうそう、1月28日にぴあmookより発売の「東京はしご酒」の巻頭特集の中でも、僕が『宅飲み酒場 アヤノヤ』を紹介しているので、是非とも読んで戴ければ幸い。

「宅飲み酒場 アヤノヤ」のサイト
[PR]
# by cafegent | 2017-01-24 13:29 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
12月も半ばを過ぎて、街もクリスマスムード一色になってきたネ。商店街を歩けば、彼方此方からクリスマスソングが流れ、いつの間にか自分も鼻歌を鳴らしているのだナ。

暦では「大雪」を迎え、本格的な冬の到来となる訳だが、東京はまだ紅葉が続き晩秋の余韻を残しているネ。
b0019140_11524941.jpg
毎年、この季節は浅草「浅草寺」の境内で開催される「羽子板市」に出向いているのだが、今年はマンションの理事会やら忘年会などが続き行きそびれてしまったナ。
b0019140_1153226.jpg
羽子板市は元々「歳の市」と呼ばれており、正月用品や縁起物を売る露店が軒を連ねて、注連(しめ)飾りなどを此処で買い求め訪れる新年の縁起を担ぐ人たちで賑わっている。浅草では年間を通じて様々な行事が催されるが、一年の締めくくりのこの市が浅草人たちの総仕上げと言えようか。

冬の灯が夜空に映え、白い吐息が北風に揺れる。この北風に乗って街の雑踏や露店の啖呵売(たんかばい)などが入り乱れて聞こえてくるのだナ。「羽子板市」は昨日で終わってしまったが、来る年の無病息災を願い、浅草の観音様にお参りに出かけるとしようか。
       ◇           ◇           ◇
先日、飲み友達の百合子さんを誘って食事に出かけた。午後18時過ぎ、武蔵小山駅で待ち合わせをして、夜の都立林試の森公園を歩く。都会の喧騒が何処かへ消えたように静かな夜だ。風も無く冷たい空気が澄んでいて思い切り深呼吸が出来るほどだったナ。公園を抜け暗渠の道を進み、目黒の住宅街へと歩く。

住宅街の中にひっそりと佇んでいるのが、この日の目当て『寿司いずみ』でアル。
b0019140_11564264.jpg
入り口には相変わらず「準備中」の札が出ているのだが、ガラリと戸を開けるとすでに先客が来ており、大将が笑顔でダジャレを飛ばしていた。此処は一年中予約で埋まっているので、「営業中」の札を出したことがないのだヨ。

先ずは、ビールで乾杯!クゥーッ、旨い!
b0019140_11565879.jpg
此処はサッポロ赤星が置いてあるのが、嬉しいのだナ。
最初に登場したのは、能登産の海鼠(ナマコ)を使った「茶ぶりなまこのヅケ」だ。
b0019140_11571128.jpg
番茶に浸して柔らかくしたなまこは食感も良く風味も抜群だ。土佐酢で和えたなまこに自然薯のトロロとオクラを合わせており、いずみ定番の料理だネ。

続いて「変わり出汁巻き卵焼き」だ。
b0019140_11581945.jpg
芝海老のすり身を入れた卵焼きには赤山椒が合うのだナ。

そして、国産物の「鮟鱇の肝」だ。
b0019140_11583210.jpg
国内産のあん肝は、築地でも手に入りにくくなっているらしく、年々値が上がっていてキロ1,5~2万円もするそうだ。前回は山口県萩の鮟鱇だったけれど、今回は島根県産と伺った。これは、もう日本酒に行かなくちゃネ。

最初の酒は、宮内庁でしか手に入らない貴重な酒「御苑(みその)」を戴いた。
b0019140_1158517.jpg
濃い口の味わいにあん肝が合うナァ。

さぁ、あん肝は半分残しておくのだ。それを潰して陸奥湾で水揚げされた寒鮃(カンビラメ)に乗せて口へと運ぶ。
b0019140_1159315.jpg
むふふ、なんて贅沢なのだろう。

刺身をもう二つ、今度は寒ぶりと寒メジマグロだ。旭川で取れた野生のアイヌネギを溶いた醤油にすった淡路の新玉葱、それに京都宇治で作られる和芥子(からし)で戴くのだ。

酒は近江湖南の北島酒造が造る「北島」だ。低温熟成のひやおろしは、口当たりが優しくスーッと喉を流れていくヨ。

次の料理は、紅玉りんごを使った大将のアイディアいっぱいの一品だ。
b0019140_1201939.jpg
三陸牡鹿半島の外海で育った天然の真牡蠣とりんごの「土手焼き」だ。真牡蠣は粒が小さいが、味が濃厚でりんごの酸味と絶妙なバランスでマッチしている。土手になる味噌は白味噌と信州味噌を合わせており、不思議な取り合わせの素材を縁の下で支えているようだった。これぞ、正に「いずみの冬の名物」だナ。

七品目は、長崎県対馬産のブランドアナゴ『黄金穴子』を使った「みぞれ揚げ出し」の登場だ。
b0019140_1213247.jpg
水深1000メートルに生息し、深海イワシを食べて育ち、対馬市西沖の韓国との国境付近、水深2~300メートルの付近で獲れるので、とても脂が乗っている穴子だ。里芋にも味が沁みて実に美味い。

あぁ、幸せなひとときが続く続く。

これにて、いずみ劇場の第一部が終了だ。我ら夫婦と百合子さんは、日本酒も大好きだから、幕間に酒に合う珍味を用意して戴こう。痛風人生まっしぐらな酒盗とカラスミ類は、総て手間をかけて仕込んでいるのだナ。
b0019140_1215067.jpg
一年以上寝かせた鮪と鰹の酒盗は、僕の大好物でアル。あぁ、日本酒がススむススむ。
b0019140_12276.jpg
左上が6ヶ月寝かせた鯛の魚卵の塩辛、右上が5ヶ月寝かせた金目鯛の魚卵の塩辛、右下が5ヶ月寝かせた鱧(ハモ)の魚卵の塩辛だ。

合わせる酒は、秋田の山本合名会社が造る「山本 和韻」の純米だ。
b0019140_1223184.jpg
米は「秋田小町」を使い、秋田の新酵母「UT-2」にブルゴーニュのシャルドネ種のワイン酵母を合わせて仕込んだ酒は、ワインと日本酒が見事に融合した新しい味わいだ。カミサンは、同じ酒の純米吟醸を戴いた。こちらは、美山錦の米にUT-2酵母とヌーボースタイルの赤ワインの酵母で仕込んだそうだ。スッキリとした味の奥にワインの香りが仄かに漂うのだネ。

さらに珍味が続くのだ。
b0019140_1224941.jpg
これは、ゴマフグの卵巣の塩辛だ。ちょっとずつ舐めながら、日本酒をクィっとやるのだナ。ぐふふ。
b0019140_1235453.jpg
この皿は、左から自家製カラスミ、カラスミ味噌漬け、筋子、鶏卵味噌漬けだ。この珍味のオンパレード、大将は「プリン体ア・ラ・モード」と呼んでいるのだヨ!八週間もの間、風干しして仕込んだカラスミは、極上な日本酒の相棒だナ。

さぁ、幕間を堪能し、いずみ劇場の第2ステージの始まりだ。

ちなみに此処の寿司は、総て手仕事を加えた魚しか使っていない。ヅケに使う醤油は、赤身魚用、白身魚用、光りもの用の三種類。米は赤酢、白酢の二種類。煮ツメに至っては、煮穴子、煮蛤、煮蛸、煮烏賊、煮鮑の、何と五種類!凄いよネ!

先ずは、いずみの代名詞である「小鰭(コハダ)四連発」から。
b0019140_1285634.jpg
最初は、赤酢〆の小肌から。そして、白酢(米酢)で〆た小鰭。
b0019140_1292798.jpg
こちらは、キビ酢〆でアル。4つ目は、白板昆布で〆た小鰭だネ。
b0019140_1294147.jpg
あぁ、最高だ!これが食べたいから年に何度かは足を運びたくなるのだナ。

酒は山形の菊勇(きくいさみ)が造る「三十六人衆」の純米大吟醸を戴いた。スッキリとした淡麗辛口で、リフレッシュした気分になれる酒だった。

カミサンと百合子さんの酒は富山の富美菊酒造が造る「羽根屋」の純米大吟醸ひやおろしだ。こちらは、ガツンとした味だったナ。

握りは熟成させたキハダマグロだ。
b0019140_1210971.jpg
甘みが強くて美味い。

こちらは、北九州の豊前海で採れた天然赤貝だ。
b0019140_12104225.jpg
これまた味が濃くて美味かったナァ。

続いて穴子の白蒸しだ。
b0019140_12105595.jpg
江戸前の仕事で、穴子の骨で出汁を取ってから蒸すのだそうだ。米と穴子の間に梅肉が挟まっておりスバラシイ握りだった。

そして、こちらもいずみ名物「車海老の酢おぼろ漬け」だ。
b0019140_1211873.jpg
冷蔵庫などまだ無かった江戸時代、魚の保存方法のひとつが「おぼろ」だ。車海老を保存用に漬け込んだおぼろを酢飯の代わりに握ったものがコレだ。酸味と甘みが渾然一体となった握りで、病みつく美味さだヨ。

握りをご覧頂いてお分かりだと思うが、寿司いずみでは、握りをスグに口に運んで欲しいとのことから、握りを置くゲタと云うものが無いのだネ。板前さんが握った寿司は直接こちらの手のひらに置いてくれるのだ。それをそのまま口へと持っていけば良いのでアル。

お次は、スミイカのヅケだ。
b0019140_12112481.jpg
柚子が効いて、イカの甘みが引き立っていた。

こちらは、先ほどりんごと一緒に食べた天然真牡蠣だ。
b0019140_12114477.jpg
小粒なので3つもの牡蠣が握られていたネ。牡蠣独特の磯の香りに思わずよだれが出てきたヨ。

さぁ、今度は幻のカニと呼ばれている浜名湖のどうまん蟹の握りの登場だ。
b0019140_12115565.jpg
内子と外子を混ぜて蟹身と和えてあり、かなり濃厚な味で旨味が凝縮して詰まっていたヨ。この蟹は、トゲノコギリガザミ」と云いガザミの一種だそうで、築地でも希少な蟹だそうだ。

こちらは、寒メジマグロのヅケだ。
b0019140_1212553.jpg
アクセントに乗った新玉ねぎが効いていた。

そして、甘海老の昆布〆だ。
b0019140_1212516.jpg
これは、ねっとりと甘くて美味かった。

手のひらに乗ったのは、真ダラの焼き白子の握りだ。
b0019140_12122426.jpg
おぉ、香ばしい香りが僕の鼻腔をくすぐるのだナ。そして口の中いっぱいに濃厚な旨味が広がった。
b0019140_12131127.jpg
銀色に輝くお椀に蓋を開けると、有明の新海苔と昆布出汁のお吸い物が現れた。
b0019140_12132148.jpg
香り良く、昆布の出汁も効いている。あぁ、美味い。半分ほど飲み終えたら、そこへバルサミコ酢と黒胡椒を加えるのだネ。ひと椀で二度美味しい吸物だった。

以上で、一通り握ってもらったのだが、僕と百合子さんは更に煮蛤を握って戴いた。
b0019140_12134728.jpg
そして、最後にカミサンのリクエストで山葵の効いたかんぴょう巻きをお願いした。
b0019140_1213593.jpg
ツーンと効いた山葵と甘いかんぴょうが実に良く合うのだネ。

これにて、いずみ劇場オンステージの終了だ。あぁ、大いに食べて、大いに呑んだネ。
b0019140_1219546.jpg
そうそう、『いずみ』の対象が雑誌「buono」に魚と究極のひと皿を紹介する連載を持ったそうだ。
b0019140_12191978.jpg
これを読めば、皆さんも此処を訪れたくなることだろうナァ。

大将、シュンスケさん、女将さん、大女将、相変わらずの素晴らしい料理の数々、ご馳走様でした!

冬の夜風は冷たかったが、僕らの身体はポカポカ気分だったナ。百合子さんをタクシーに乗せて、僕らは再び公園の中を通り抜けて武蔵小山へと戻ったのでアール。
[PR]
# by cafegent | 2016-12-20 12:21 | 食べる | Trackback(1) | Comments(0)
今日の東京は気温が20度と高く、晩秋という気候ではなかったナァ。
昨夜は冷たい雨が降り、今朝は岩手、福島方面で大きな地震が起こったネ。我が家でも棚に飾っていたオブジェが落ちたぐらいで、大事には至らなかった。
b0019140_18312088.jpg
晩秋の頃、晴れていた空から突然雨がにわかにパラリと降りだすことがあるネ。昨日の夕暮れ時がそんな感じだったが、そんな雨を「秋時雨」(あきしぐれ)と云うのだナ。

    秋しぐれ塀をぬらしてやみにけり   久保田万太郎

昨夜は、家を出た時には降っていた雨も馴染みの居酒屋へと着いた頃には上がっていた。暗くなり始めた空を眺めていたら、万太郎のこの句を思い出したのだナ。
b0019140_1827424.jpg
街のイチョウの木も黄色く染まって来たし、青々としたモミジの葉も今朝は赤く色づいていたナ。もう少し紅葉しだしたら「もみじ狩り」にでも出かけようか。

     ◇           ◇           ◇

閑話休題。
先日の土曜日、いつも隅田川花火大会を一緒に楽しんでいる友人夫妻の企画で、江戸の伝統文化の幇間(ほうかん)芸を堪能しながらの酒宴を催した。
b0019140_18392751.jpg
場所は吉原大門のスグ傍に店を構える『金すし』だ。
b0019140_1837387.jpg
時々お邪魔してカウンター席で呑ませて戴いているが、握り寿司はもちろんの事、酒の肴も豊富で実に美味いのだナ。今回は20名以上も集まったので、二階の座敷を借り切った。
b0019140_18411249.jpg

先ずはビールで乾杯し、喉が潤ったところで日本酒に切り替えた。
酒は、宮城県の平孝酒造が造る「日高見」の超辛口純米酒でアル。
b0019140_1842651.jpg
キレの良いスッキリした口当たりでクィクィと喉を流れていくので、呑み過ぎは禁物だ。
b0019140_18405247.jpg
芸を観る前に寝落ちしちゃいけないからネ。
b0019140_18395961.jpg
刺身の盛り合わせは、マグロ、秋イカ、タコ、ホタテ、甘エビ、カツオ、サザエ、ヒラメ等々がボリュームたっぷりで供された。

刺身を食べ終えた頃に再び大きな皿が登場したヨ。
b0019140_18431487.jpg
これまたたっぷりと盛られたアンコウだ。さぁ、フツフツと沸いた出汁でアンコウ鍋の開始だネ。

鍋の準備をしている頃に、この日のゲスト幇間芸の櫻川七助さんが入ってきた。
b0019140_18433696.jpg
「幇間」とは、太鼓持ちと言ったほうがわかり易いかナ。女芸者さんたちと共に江戸時代から続いている伝統芸だ。

僕も随分と昔に櫻川米七さんの幇間芸を拝見したことがあったが、今回の七助さんは米七師匠の愛弟子だネ。
b0019140_18443447.jpg
僕より5歳若い七助さん、十代の頃は男性5人組のポップスグループのメンバーとして活躍し、その後はグラフィックデザイナーになったそうだが、1995年に米七師匠に弟子入りしたとのこと。そして、なんと2年の修行を経て’97年に櫻川七助を襲名したのだネ。
b0019140_18453247.jpg
芸を始める前に各席を回って乾杯をしてくれて、七助さんの人柄の良さに触れることが出来た。この、お客さんとの会話で「間」を盛り上げるのが、幇間さんの本領だ。
b0019140_18495266.jpg
さぁ、皆が程よく酔ってきたところで、七助さんの芸の始まりだ!

着物の裾をめくって帯に入れ、ステテコ姿になったら頭に手ぬぐいを巻いた。
b0019140_1847771.jpg
襖(ふすま)を一枚真ん中に立てて演じてくれたのは幇間芸の極め付けとも言える「屏風芸」だヨ。
b0019140_18561286.png
屏風の向こうに、あたかも誰かが居るかのごとくに一人芝居を演じるのだが、軽妙な動きに僕らも笑いが止まらなかった。七助さん、今が一番脂が乗っている時期なのだろうナァ。
b0019140_18462212.jpg
おぉ、生牡蠣も美味い!

途中、何度か我々と酒を酌み交わしながら場を盛り上げてくれ、再び舞台の方に立った。
b0019140_18513492.jpg
「♪カッポレ、カッポレ〜ッ♪」とお馴染みのフレーズに乗って滑稽に踊り出す七助さん、見事な舞いだったナ。
やっぱり「かっぽれ」を観ないことには、江戸の幇間芸は始まらないネ。
b0019140_1848383.jpg
「金すし」自慢の握り寿司も登場し、酒宴は一段と盛り上がりを見せていた。最後に再び踊りを披露してくれて、拍手喝采だ!
b0019140_18472998.jpg
それにしてもビールに日本酒、焼酎と一体何本の酒が空いただろうか。日頃から飲んでいるツワモノばかりが集まった酒宴だけに、お店の皆さんも大変だったろうナァ。
b0019140_18491639.jpg
浅草花柳界の貴重な幇間の櫻川七助さんを招いてくれたmooちゃん&小ヒロ夫妻には大感謝だネ。

次回は来月、我が家恒例の牡蠣パーティを催すので、二人には大いに飲んで食べて酔っ払って頂くとしよう。
[PR]
# by cafegent | 2016-11-22 18:57 | 食べる | Trackback | Comments(0)
今日は、木枯らし第1号が吹いたとのニュースを聞いたが、気温もグンと下がり顔に当たる風も強くて冷たいネ。
b0019140_1624220.jpg
テレビでは、どのチャンネルでも米大統領選のニュースを流しており、今現在もトランプ氏が優勢と伝えいてる。ヒラリー女史は政治界の大ベテランだが、トランプ氏は叩き上げの商売人、どちらがアメリカ国民の本音に応えてくれるのか、僕には皆目わからない。ただ、どちらもTPP反対派である訳だから、安倍首相率いる日本国政府はふんどしを引き締めて、新大統領と向き合わなくちゃならないのだナ。

いずれにせよ、政府は我々日本国民の生活に冷たい木枯らしが吹き荒れないようにして欲しいと願うばかりでアル。
       ◇           ◇           ◇
閑話休題。

以前、神保町の古書まつりにて『亀屋忠兵衛 情歌集 都々逸 下町』なる本を手に入れた。丁寧な装丁と挿絵の美しい歌集なのだが、この本の中に新刊本(もちろん、その当時のだが)の案内の栞(しおり)が挟まっていたのだナ。
b0019140_15513866.jpg
出版社の「産報」が出している書籍の案内で、その新刊本は『落語的味覚論』と云い、著者は「加太(かた)こうじ」と記されていた。なんとも魅力的なタイトルではないか。また、その栞には「親代々江戸ッ子の著者が語る東京の味、庶民の味、明るい下町人情がそくそくと胸を打つ異色な味の話」と紹介されていた。

それからずっとその本のことが気になっていたのだが、なんとフラリと入った古本屋さんでその本のタイトルが目に飛び込んできた。しかも、昭和38年の初版本が1,000円だったので、すかさず手に入れた次第でアル。

古書店巡りを終えて、神保町の珈琲店『神田 伯刺西爾 (ぶらじる)』に入り小休止。美味い神田ブレンドを味わいながらページをめくる。

巻頭に載ったモノクロの写真を眺めていると、なんと僕の大好きな根岸の居酒屋『鍵屋』の移転前の旧店舗の外装と内装が紹介されているではないか。
b0019140_1554045.jpg
この建物は今現在、武蔵小金井の「江戸東京たてもの園」内に移築保存されているのだネ。店内も当時のままの姿で見学出来るようになっており、僕も何度か訪れたことがあった。

その当時の鍵屋で客が賑わう姿の写真は、初めて目にするものだったので、思わず興奮してしまったのだヨ。しかも、そこに書かれている文章では、「関東大震災でも無事、昭和二十年の空襲でも焼けなかった奇跡の一角が、この居酒屋・鍵屋」とあり、「できますものは江戸前の冷やっこ、うなぎのくりから焼き、おひたしに味噌おでん、たたみいわしに、さらしくじら」と記されている。なんと今の鍵屋さんの品書きとほぼ同じなのだネ。あぁ、鍵屋が「東京らしい居酒屋」と昔から言われていることが頷ける内容だ。
b0019140_1555147.jpg
浅草、上野界隈を中心としたエリアの和食、洋食、中華、居酒屋、珈琲店など当時著者が通っていた名店での思い出を綴っているのだが、最初の編「東京の味」に登場する紙芝居貸し出し業をしている小山国松と著者とのやりとりを読んでいると、まるで落語であり、故に二人が会話しながら呑んでいる情景がアリアリと脳裏に浮かぶのだナ。
b0019140_15554155.jpg
出版社も実に洒落たタイトルをつけたものだ。紙芝居の脚本と作画を仕事にしていた著者は、当初この本のタイトルは「東京の味」にしたかったそうだが、それを一編目のタイトルに持って行き、本全体の書名を「落語的味覚論」にしたのは大正解だ。

何処かでこの本を見つけたら、是非手に取ってみて欲しいナァ。古き良き東京下町の生活風景が目に浮かぶ筈だから。
そして、根岸『鍵屋』の暖簾でも潜ってみてくださいナ。では、また!
[PR]
# by cafegent | 2016-11-09 15:59 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
昨日から「霜月」、今年ももう残すところあと2ヶ月になったのだネ。
昨日の雨も上がり今朝は晴れたが、頬に当たる風は冷たかったナ。

朝の情報番組を流し見していたら、ことしは夏が長かったために秋の季節を楽しむことなく冬に移り変わるとのことだった。
今シーズンは、2013年~14年の冬の再来になるかもしれないとも伝えていたナ。あの年は東京でも豪雪となり、山梨あたりでは交通網が遮断され車内から出られない人たちが大勢出たのだったネ。

季節を表す七十二候では「霎時施」(こさめ、ときどきほどこす)の季節。読んで字の如く、時雨が降る時季の到来だ。急に強い雨が降ったかと思うと、スーッと雨が上がり雲から青空が顔を覗かせる、そんな晩秋から初冬にかけての気候だネ。

昨日の東京も朝から強い雨が降り続き、気温もグンと低くなった。秋の渡りの途中に立ち寄った野鳥たちも木々の葉の下や軒下あたりで雨宿りでもしていたのかしら。

    化けそうな傘かす寺のしぐれかな   与謝野蕪村

そう云えば、2013年の晩秋から翌年にかけては、普段都心では滅多にお目にかかれないような野鳥たちが何種類も渡って来て、バードウォッチャーの目を楽しませてくれたっけ。
b0019140_15544184.jpg
あの冬は可愛いルリビタキもずっと居てくれた。
b0019140_15545056.jpg
小さなヒガラや頭のてっぺんが黄色い菊のようなキクイタダキもネ。
b0019140_1555034.jpg
群れでやって来るマヒワも一冬を過ごしたナ。
b0019140_15553179.jpg
マヒワは、とてもカラフルな小鳥だよネ!
b0019140_15555788.jpg
家の近くの民家のテレビアンテナでもジョウビタキが見られるようになったし、もうすぐツグミもやって来るだろう。
b0019140_15533912.jpg
トラツグミもまた来ないかナァ。

野鳥探しは、朝の公園散歩での楽しみだ。おっと、夕暮れの酒場巡りも忘れちゃいけないネ!では、また。
[PR]
# by cafegent | 2016-11-02 16:00 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
「街歌」(がいか)と云う言葉を知った。庶民の住む街の情景を歌った、いわゆる都々逸(どどいつ)のことでアル。

俳句と違い七・七・七・五の26文字で男女の色恋や日常の風景などを詠んだ口語の定形詩だネ。

誰もが一度は聞いたことがあるだろう有名な都々逸をちょっと紹介してみようか。

    君は野に咲くあざみの花よ 見ればやさしや寄れば刺す

    ぬしと私は玉子の仲よ わたしゃ白身できみを抱く

    信州信濃の新蕎麦よりも わたしゃお前のそばが良い

    惚れた数から振られた数を 引けば女房が残るだけ

まるでフーテンの寅さんの口上のような粋な歌だよネ。
b0019140_16103381.jpg
先日、神保町の古書店で一冊の美しい装丁の本を見つけた。
「亀屋忠兵衛 情歌集 都々逸 下町」と云う都々逸集なのだが、粋な歌に加え各ページに描かれた装画が実に美しいのだナ。
b0019140_1611871.jpg
明治から昭和初期に活躍した新聞記者、平山蘆江(ろこう)が東京新聞の前身である都新聞に連載していた都々逸のことを先に記した「街歌」と呼んだ、とこの本の中で知ることが出来た。
b0019140_16105290.jpg
亀屋忠兵衛の詠んだ都々逸は情歌と言うよりも、実に詩的な歌が多いのだナ。

    嫌いではないさりとて好きと いえぬ二人で踏む落ち葉

    このまま死んでもいい極楽の 夢をうずめる雨の音

    風の便りも淋しい秋の 独りぼっちを泣かす雨

    海の広さは男のこころ 波は女の小(ち)さい胸

この最後の歌なんか、好いよネェ。 

今まで俳句ばかり詠んでいたけれど、これからは即興の都々逸を歌ってみようかナァ。
     ◇         ◇         ◇
閑話休題。
b0019140_16112367.jpg
先日、木場のホッピー酒場『河本』へお邪魔した。

表向きには昨年の6月より長期の休業となっていたのだが、先月からは「仮営業」という形をとって営業を再開したのだネ。
b0019140_1617179.jpg
女将の眞寿美さん、厨房に立っていた眞寿美さんの弟さんの「あんちゃん」もまだ療養中の身ではあるが、時折店にも顔を出してくれるので、タイミングが合えばご挨拶できることだろうネ。

現在はアンチャンの奥様が一人で切り盛りをしているので、名物の牛モツ煮込みも冬のおでんも無い。だが、日本一旨いホッピーと冷や奴は健在だ。
b0019140_16114138.jpg
また、一袋200円のスナック菓子も幾つか用意してあるので、ホッピーのつまみには事欠かないだろう。
b0019140_16115835.jpg
いつもはハシゴ酒をするので、此処のホッピーは二杯までと決めているのだが、この日は偶然にも酒朋のフルキさんが先客で飲んでいたので、ハシゴをせずにじっくりとホッピーを酌み交わすことにしたのでアル。(久しぶりに沢山のホッピー空瓶が並んだナァ)
b0019140_16122549.jpg

そうそう、「仮営業」と云うのは営業日が火曜・木曜・土曜(但し、第3火曜、第2土曜休み)で営業時間は16時から20時(土曜は19時)までと以前と同じだ。また、正面の入り口は閉めており暖簾も出していないので、永代通り寄りの小さい方の入り口から入ってくださいナ。

お姉さん(アンチャンの奥様)も新しいお客様大歓迎と言ってくれました。しかも、火・木・土曜は、入って右側の「大ご常連席」(笑)も自由に座ることが出来るので、暫く「河本」をご無沙汰していた皆さんも是非是非遠慮なく再訪してみてください。
b0019140_16172129.jpg
暫くの間セルフサービスで作っていたホッピーもお姉さんがちゃんと引き継いで作ってくれます!

と云う訳で、『河本』営業再開のご案内でした!CHAO!
[PR]
# by cafegent | 2016-10-24 16:21 | 飲み歩き | Trackback | Comments(2)
ここ数日間、東京に青空が広がっているネ。気温も高く夏日となった。それでももう10月も後半、路地の草むらからは秋の虫が集(すだ)く声が聞こえている。

気温が高いと何処からともなく様々な蝶々がやって来る。今朝もユラユラと飛来するアサギマダラを見つけることが出来た。
b0019140_15455719.jpg
アサギマダラは2千キロもの距離を飛ぶ旅する蝶だネ。
福島で翅にマーキングしたアサギマダラを沖縄の黒島で捕獲したことがあり、これが2,140キロメートルと日本記録となったとニュースにもなったことがある。
b0019140_15435329.jpg
東京でも自然教育園で孵化したアサギマダラもいるので、今朝見かけた蝶は旅の途中なのかどうかは判らないナ。

秋が深まると渡りの途中の野鳥たちが続々と都内にも舞い降りてくる。僕の住む街の公園でも木の実や小さな虫を求めて旅の途中に立ち寄る鳥が多い。
b0019140_15465948.jpg
キビタキ、オオルリ、センダイムシクイ、コサメビタキ、エゾビタキ、マミチャジナイ、クロツグミ等々が次々とやって来て鳥好きの僕を愉しませてくれるのだナ。

昨日はカケスやアオバトを見つけることが出来た。
b0019140_1550036.jpg
カケスはジェイジェイと鳴き声こそ美声とは言えないが、その姿は実に美しいのだヨ。特に羽の脇の水色は特に美しい。

アオバトもとても美しいハトだ。
b0019140_15485055.jpg
頭は黄色味がかっており、全体にはオリーブグリーンなのだネ。

今朝はマミチャジナイ(眉が白いアカハラ)にも遭遇した。
b0019140_15511159.jpg
ツィーッと独特の声で鳴くので居ることは判るのだが、高い木の上を飛び回るので見つけるのは容易ではないのだナ。

季節を楽しむ七十二候では「蟋蟀戸に在り」(きりぎりす、とにあり)の季節。キリギリスが家の戸口辺りで鳴く時季が来たって訳だ。

マンションが多く立ち並ぶ都会ではギッチョンギッチョンと鳴くキリギリスの声も余り聞けなくなったかもしれないネ。
b0019140_15583147.jpg
それでもカネタタキやコオロギの鳴く声はマンションの上階まで響き渡るのだから恐れ入る。

秋の夜長、窓を開けて虫の音を聞きながら飲む酒も実に旨いのだナ。
     ◇          ◇          ◇
閑話休題。

さて、僕が毎朝歩く都立林試の森公園の近くにひっそりと佇む渋い居酒屋が在る。その名も『豚太郎』(とんたろう)だ。
b0019140_1602798.jpg
武蔵小山駅近くには老舗の居酒屋『牛太郎』(ぎゅうたろう)が在るのだが、どちらも実に居心地の良い酒場なのだナ。

ガラリと戸を開けるとコの字のカウンター席がドーンと構えてあり、その奥に小上がり席が在る。
b0019140_16113018.jpg
和服姿に割烹着が似合う女将さんが笑顔で迎え入れてくれるので、初めて訪れる方でもホッと出来ること間違い無いだろう。
b0019140_1653911.jpg
カウンター上の冷蔵ケースの中には20種類近くもの魚介類が並べられ、その上には幾つものおばんざい料理の器が並ぶ。

昨夜は酒朋ワタベ君を誘って、お邪魔した。いつもならレモンサワーにするところだが、この日はご常連さんからのお裾分けのカボスで酎ハイを戴いた。
b0019140_1645894.jpg
此処は昭和38年創業なので、今年で53年になるのだネ。道路拡張で45年前にこの場所に移ってきたそうだが、石造りの内壁や年季の入った冷蔵庫に昭和の香りが染み付いており、まるで小津安二郎の映画のワンシーンに出て来そうな酒場なのでアル。

さぁ、カボスサワーでカンパ〜イ!
b0019140_164324.jpg
新鮮なカボスは香りも味も良いナァ。

ハイ、こちらは自家製のバクダンだネ。
b0019140_1661571.jpg
中身は卵にひじき、インゲンに人参だ。おぉ、これは美味い。

こちらは、ミートボール!
b0019140_1663135.jpg
玉ねぎとケチャップで和えた肉団子は、懐かしい家庭の味だナ。
b0019140_1610152.jpg
カボスサワーもススむススむ。

お次は、牡蠣とほうれん草炒めだネ。
b0019140_1664521.jpg
小粒ながら牡蠣の旨味がほうれん草に沁みていたヨ。そして、女将さん特製のスペアリブだネ。
b0019140_1671852.jpg
付け合わせのブロッコリーも人参、カリフラワーも柔らかく蒸されていたナ。

カボスサワーの杯もススみ、女将さんからお雑煮のお裾分け。
b0019140_1673232.jpg
関東風に三つ葉だけの実に清いお雑煮だった。あぁ、美味し!
b0019140_16102784.jpg
前回は小さなお蕎麦の椀を戴いたのだが、このささやかな気遣いが嬉しくて、また来てしまうのだネ。

焼き物の注文が入ると仕込み担当のご主人が奥からやって来て入口脇の焼き場に立つのだヨ。
b0019140_1633775.jpg
このなんともアットホームな居酒屋『豚太郎』は、正に「武蔵小山の良心」と呼ぶに相応しい一軒だネ。

皆さんもこの街を訪れたら、是非『牛太郎』からスタートして『長平』『豚太郎』とハシゴ酒を楽しんでみては如何かナ? では、また!
[PR]
# by cafegent | 2016-10-21 16:13 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
東京も道端の足元辺りから、秋の虫が集(すだ)く季節となったネ。暦では「寒露」を迎えた。夏から秋へと移ろう頃にかけて、路傍の野草に宿る冷たい露のことを「寒露」と呼ぶ。葉に乗った露で水分補給をするのが、蝶々たちだ。

朝の公園でもユラユラと飛来するアサギマダラの姿を見ることが出来るし、水を飲むムラサキツバメ蝶なども見つけられるのだナ。
b0019140_16571492.jpg
水を飲みに来るのは蝶々だけではない。秋の渡り鳥たちも食事を終えた後に水場に舞い降りてくる。
b0019140_1659287.jpg
水分補給をしたり、水浴びをするためだネ。キビタキやメジロなどの小さな鳥たちが水を浴びる姿は、なんとも愛らしい。
b0019140_171966.jpg
これから、まだいろんな野鳥がやって来るだろうから、朝の公園散歩もやめられないナ。

     ◇           ◇           ◇
先日、久しぶりに札幌の実家に里帰りをした。今回は大腸ガンの手術を無事に終えた母の見舞いも兼ねての帰省だったのだが、急遽東京に暮らす母の妹の叔母を連れて行くことになった。

母ももうスグ88歳の米寿を迎えるのだが、叔母ももう84歳と高齢な上にリウマチを患っており、手足が思うように動かない。それでも、元気なうちに札幌に居る姉に会いに行きたい、と願っていたのだネ。そんな訳で、僕が付添いながら札幌の母の元に向かったのでアル。

母は抗がん剤の治療も終わったらしく、思いの外元気だったのが何よりだった。
b0019140_1733189.jpg
それにしても、羽田も新千歳空港も航空会社の方々が親切に応対してくれて、車椅子での搭乗もスムーズに運び、感謝しっぱなしだったナ。

無事に叔母ちゃんを連れて帰ると、母も大喜びし、10年ぶりの再会に話も尽きないようだった。こうなると、僕のことなどお構いなしになってしまうので、こっちも早々に酒場へと繰り出すことにしたのだナ。

我が家は札幌市内を循環する市電の電停近くなので、チンチン電車に乗り繁華街へと出るのだ。
b0019140_1751075.jpg
前回帰省した時には、まだこの電車は循環しておらず、ススキノ駅と大通り4丁目駅の間が繋がっていなかったのだネ。だから、文庫本に夢中になって4丁目駅に到着しても終点だから乗り過ごすことがなかった。それが、今年から新駅が増えてグルグル回ることになったのから、一駅乗り過ごしてしまったのだヨ。一人アウェー感を抱きながら、電車を降りたのでアル。トホホ。

アーケードが続く狸小路を抜けて、1丁目まで歩く。テレビ塔の近くまで進むと目当ての酒場『第3モッキリセンター』の暖簾が揺れていた。
b0019140_1755047.jpg
ガラリと戸を開けて、細長いコの字カウンターの左手へと向かう。
あぁ、札幌に戻って来た!、と云う実感が湧いてくる。

先ずは、生ビールを頂こう。酒の肴はしめ鯖だ。
b0019140_176260.jpg
強く〆た酢の味に体が思わず震えるのだナ。これは酒がススむススむ。クィッとビールを飲み干して、にごり酒に切り替えた。
b0019140_1761815.jpg
熱々のツブ鍋も良い酒の肴だナ。札幌の人は本当にツブ貝が大好きだと思う。花見や行楽の席にも必ずと言って良いほどツブ貝煮が登場するしネ。おでん屋でも寿司屋でも外せない食材だ。

ご主人の加藤さんにご挨拶をすると、先日僕の本を持参したお客様が店を訪れたと伺った。なんとも嬉しい限りでアル。
b0019140_1763292.jpg
札幌は飲食店の宝庫だけれども、此処は値段良し、味良し、雰囲気良しと三拍子揃った名店だ。あぁ、燗酒も胃に沁みるナァ。札幌の良心、皆さんも札幌を訪れたら是非!
[PR]
# by cafegent | 2016-10-11 17:08 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)