東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
    蜩(ひぐらし)や夕日の星は見えながら   正岡子規
b0019140_1230912.jpg
八月ももう半ば、お盆休みを終えて仕事が始まった人も多いことだろうネ。七十二候では、「寒蝉鳴」(ひぐらし、なく)の季節となった。寒蝉(ヒグラシ)が鳴き始める時季が来た訳だが、今年は少し早く八月に入った途端にヒグラシの声を耳にした。

日が暮れ始めた頃に樹々の間からカナカナカナと鳴く声を聞くと、もうスグ夏も終わりなのだナ、と少し物悲しく哀愁を感じてしまう。

そんなお盆休みの中、青春18きっぷを使って列車の旅に出掛けた。品川からだと混んでいる可能性が高いので東京駅まで行ってから東海道線に乗ることにした。
帰省ラッシュ真っただ中だったので、駅ナカの駅弁屋も大混雑だ。駅弁に悩んで座れなかったら元も子も無い。早々に選んで会計を済ませて、ダッシュした。
b0019140_12404785.jpg
青春18きっぷでは特急列車の乗車出来ないが、スイカでグリーン券を購入すれば普通列車や快速のグリーン車には乗ることが出来る為、少し早めにホームに並ぶことにした。

そして、無事にグリーン車に座ることが出来た。さぁ、居酒屋グリーンの始まりだ!車窓の向こうの景色が動き出したら、缶ビールを開ける。
b0019140_12411463.jpg
渋滞に巻き込まれる心配もなく、大いに酒を愉しめるのだから列車の旅はスバラシイのだナ。

横浜を過ぎたあたりで白ワインの栓を開けた。
b0019140_12413486.jpg
最近の缶詰のオツマミは充実しているネ。今回は、牡蛎のアヒージョ缶と中村屋のインドカリーチキン缶を持参してみた。
b0019140_12415379.jpg
おぉ、中々良いチョイスだったナ。真鶴を過ぎた。
b0019140_12433159.jpg
東京駅を出て2時間弱で熱海駅に到着だ。
b0019140_1246560.jpg
熱海では、『日航亭』で日帰り温泉に浸かることにした。此処は源泉掛け流しで、朝9時から営業しているのがウレシイ限りでアル。他の温泉施設は殆どが午後からの営業なので、旅の途中下車では時間が合わないのだネ。

温泉で汗を流し、旅の気分を盛り上げた。さぁ、再び長旅だ。熱海からはのんびりと各駅停車の旅となる。熱海から掛川へ。掛川から豊橋へ。この区間は横並びの座席なので本を読みながら時間を過ごした。そして、豊橋駅からは大垣行きの東海道本線の新快速に乗り、目的地名古屋へと向った。
b0019140_12482671.jpg
この新快速は2列シートだったので、再び缶酎ハイを開けて旅を満喫することが出来た。

名古屋のひとつ手前の金山で下車し、地下鉄で上前津方面へと向った。

新天地通りを足早に歩き、酒場を目指す。大衆酒場『末廣屋』に到着すると、残念ながらシャッターが降りていた。
b0019140_12484185.jpg
やっぱりお盆休みだったのだナ。

気を取り直して、大須でもう一軒お気に入りの居酒屋へ。
b0019140_12485853.jpg
こちらは先に開いていることを確認していた。『味処 大須亭』の暖簾を潜ると店内はほぼ満席だった。これは難しいかナ、と思いきや二階の広間が空いているとのこと。運良く入ることが出来た。
b0019140_12505356.jpg
ピーマンの塩昆布和えをアテに生ビールをゴクリ。
b0019140_12494164.jpg
あぁ、至福のひとときだ。名物の手羽先もやって来た。
b0019140_12492013.jpg
此処の手羽先は味付けが濃過ぎず、僕の好みなのだナ。芋焼酎の水割りがクィクィとススむのだ。

続いて若鶏の霜降りの登場だ。こちらは、しょうが、わさび、梅肉、からしの4種類の味から選ぶことが出来る。
b0019140_12511316.jpg
今回はサッパリと梅肉和えにした。分厚くスライスされた霜降り肉に梅が香ばしい。これを戴けただけで、大須に来た甲斐が有ったのだナ。

芋焼酎のお代わりを飲み干してご馳走さま。
b0019140_12514739.jpg
「大甚本店」に電話を掛けてみたが、矢張り休みだったようだ。

地下鉄で伏見まで移動して、お次の目的地『島正』へ。満席だったが、幸い10分程で座ることが出来た。

サッポロ赤星を戴き、再び喉を潤した。ビールのアテは、味噌たっぷりの串かつだ。
b0019140_12524793.jpg
コレを食べなくちゃ名古屋に来た気がしない。

そして、名物のどて焼き盛り合わせだ。
b0019140_1253395.jpg
先ずは、豆腐にこんにゃく、里芋串が出た。八丁味噌がよく沁みて本当に美味い。見た目は濃い味の様だが、食べるとそれほど濃くはないのだナ。
b0019140_12532236.jpg
続いて、牛スジと大根、玉子が来た。
b0019140_12533997.jpg
賀茂鶴のぬる燗を戴いた。
b0019140_12535061.jpg
むふふ、旨い。小皿の豆もやしも僕のお気に入り。
b0019140_12535914.jpg
人参とキュウリが入ってシャキシャキして美味い。日本酒のお代わりを戴いて、ご馳走さま。追加で戴いた串焼きも美味しかったナァ。
b0019140_12541742.jpg
心臓とネギマ、日本酒がススんだ。大将、女将さん、二代目、ご馳走さまでした!

「島正」を出て少し街を歩いた。広小路通りを進み、栄から久屋大通りを歩き矢場町へ。

夜になっても名古屋は蒸し暑い。さぁ、向うは『味仙』の矢場店だ。
b0019140_1254302.jpg
此処はいつでも活気に満ち溢れているネ。
b0019140_12544593.jpg
セロリ炒めとニラ玉をアテにビールがススむススむ。
b0019140_12545891.jpg
暑いときは辛いモン喰って、更に汗を出す。あぁ、辛い!暑い!汗ダクだ!ビールが水の様に喉を滑り落ちていく。
b0019140_12572030.jpg
二本目のビールを飲み終えた頃にお待ちかねの台湾ラーメンがやって来た。
b0019140_12551311.jpg
これで、バッチリ汗を出し切るのだ。

ホテルに戻る途中に在るオーセンティックなバー『BARNS』に立ち寄った。
b0019140_12562873.jpg
蒸し暑い夏の夜をギムレットでリフレッシュ。あぁ、サッパリするナ。二杯目は、モスコミュールをお願いした。
b0019140_12561447.jpg
こちらでは、生姜を漬け込んだウォッカに唐辛子を浸けたウォッカを合わせている。刺激的な辛さが、これまた夏の夜にピッタリだった。
# by cafegent | 2015-08-18 13:01 | 飲み歩き | Trackback | Comments(2)
季節を72に分けて表す七十二候では「土潤溽暑」(つちうるおいて、むしあつし)の頃、ムッとした熱波が漂い肌にまとわりつく蒸し暑い季節がやって来た訳だネ。「溽暑」とは、いささか難しい漢字だが「じょくしょ」と読む。腕の毛穴から汗が吹き出して来る、そんな湿度の高い蒸し暑さを指す言葉でアル。
b0019140_16473583.jpg
「溽暑」が過ぎれば、今度は「炎暑」の到来だ。クラッと目眩のする様な砂灼(すなや)くる暑さは堪ったもんじゃない。ゆらゆらと陽炎の様に熱波が揺れる灼熱のアスファルト、打ち水をして涼をとる光景を目にする季節だネ。

    柔らかく女豹がふみて岩灼(や)くる    富安風生

酷暑が続く八月の夏真っ盛り、長屋の一角、開け放たれた玄関の簾の向こうに肌襦袢姿で畳の上に横になる女の姿を目にして、灼けた岩の上でしなやかな姿態をさらけ出す女豹(めひょう)にでも見立てたのだろうか?
あぁ、そんな光景に出会(でくわ)してみたいものだナ。
      ◇           ◇           ◇
閑話休題。

先日、久しぶりに大好きな寿司屋へと出掛けた。我が家から歩いても10分程に在るのでもっと通えるのだが、如何せんその店の主人(あるじ)が15年以上修業した寿司屋さんに行くことが多いので、ご無沙汰してしまっている次第なのだ。

その店は目黒と五反田の間、桐谷斎場の通りから脇に入った処に在る。
b0019140_1622426.jpg
『なかのや』の暖簾を潜ると主人のキンちゃんが笑顔で迎えてくれた。

席に着くと、先ずは日本酒と塩のみで味つけした白身の骨と貝ヒモの出汁で仕上げた一口大の雑炊が出て来た。
b0019140_16213992.jpg
柚子の香りが立ち、胃に優しい一品だ。最初にこれを戴くと悪酔いしないかもしれないナ。

続いて、三浦半島で獲れた蛸を粗塩で戴いた。
b0019140_16222480.jpg
うん、旨味が凝縮して噛めば噛む程に美味さが広がっていく。これに合わせる酒は、「魚沼」の辛口純米だ。むふふ。
b0019140_16224446.jpg
出汁に漬け込んだ子持ちシャコも実に美味い。そして、漬け込んで二ヶ月の茶ぶり赤なまこの登場だ。
b0019140_16225834.jpg
こんな手間のかかる仕事ぶりは、キンちゃんが研鑽を積んだ目黒の『寿司いずみ』仕込みだネ。さっぱりとして、涼を感じる一品だ。

再び、シャコが出てきた。
b0019140_16231833.jpg
愛知産の蝦蛄を酢で〆ている。おぉ、これまた美味い。酒を和歌山の地酒、平和酒造の「紀土(キッド)」に切り替えた。純米の風味豊かな香りにしっかりとキレのある口当りの酒だった。クゥーッ、旨い。

お次は、琵琶湖の天然鮎だ。
b0019140_16251589.jpg
季節を味わうってのは、至福のひとときだナ。小さいながら、豊富な藻を食べて育った鮎の肝に琵琶湖の味を感じることが出来た。
今度は、ホシガレイだ。
b0019140_16252669.jpg
こちらは、肝ポン酢に付けて戴いた。ギュッとした歯ごたえも美味さを引き立てる。続けて、ホシガレイのエンガワの炙りだ。
b0019140_16253659.jpg
皮付きのエンガワは、口溶けが凄かった!あぁ、幸せだ。

さぁ、この季節がやって来た。
b0019140_1625472.jpg
エゾバフンウニの濃いオレンジ色が磁器の器に映えている。ムヒョーッ、口へ運ぶと濃厚な旨味と甘味がズンと残る。可成り後味が強いウニだネ。冷酒がクィクィと進むのだ。
b0019140_16281786.jpg
外房で獲れたアワビの蒸しも素晴らしい。
b0019140_16283956.jpg
山葵をちょいと載せて口へ運ぶ。おぉ、身が柔らかく味も濃い。

次に出て来たのは、青柳を干したモノだった。
b0019140_16285063.jpg
コレは酒に合う珍味だナ。噛めば噛む程旨味が口一杯に広がり、酒を誘う。

続いてもまた珍味だ。
b0019140_1629165.jpg
アワビの肝の味噌粕漬けか。キンちゃん、「寿司いずみ」の大将仕込みの味をしっかりと受け継いでいるネ。酒は山形の地酒「銀嶺月山」の純米だ。おぉ、酒米の仄かにフルーティな香りが僕の鼻腔をくすぐる。月山の名水で仕込んだ酒ならではの、まろやかで優しい喉越しの酒だ。クィッと呑める一杯だ。

さぁ、キンちゃん劇場の第一幕が終わり、握りの幕が上がった。

先ずは、小鯛のおぼろ握りから。
b0019140_16292516.jpg
おぼろに漬け込んで小鯛の味を濃く出していた。こんな江戸前の仕事は、中々他店では味わえないのだナ。むふふ。

こちらは、蒸しあゆの握りでアル。
b0019140_16313370.jpg
鮎の肌の色が美しいネ。
b0019140_1632985.jpg
続いて、中トロの握りと静岡で獲れた小肌の握りだ。
b0019140_16321977.jpg
どちらも云うこと無しの美味さだネ。

続いて出たのは、キタムラサキウニの握りだ。
b0019140_16323159.jpg
こちらは、エゾバフンウニよりも色が白い淡い味が特徴のウニだネ。
b0019140_16324026.jpg
愛知のトリガイは、歯ごたえも良く良い味がしていた。
b0019140_16344650.jpg
鹿児島のアジ握りも脂の乗りが良く旨い。
b0019140_16345859.jpg
マグロ赤身、クルマエビおぼろ漬け握りと美味い寿司が続く。
b0019140_16351120.jpg
そして、箸休めになかのやの焼き印が押された卵焼きを戴いた。
b0019140_16352259.jpg
おぉ、甘くて美味い。
b0019140_16353335.jpg
キンメ昆布締めには、広島の地酒「極鳳」の純米酒を合わせてみた。間違いない取り合わせだナ。
b0019140_16354869.jpg
沢庵をかじり、ホッと一息。

お次は、三重桑名のはまぐりの二つ合わせ握りだ。
b0019140_16384852.jpg
あぁ、もう申し分ない美味さに感動だナ。

立て続けに煮穴子の登場だ。
b0019140_1639611.jpg
穴子のためだけに煮詰めたツメが極上のテリを魅せていた。
b0019140_1639164.jpg
イカの握りも甘い。

マイワシの細巻きをリクエストしてみた。
b0019140_1639323.jpg
むほッ、脂の乗りが絶妙で美味い。細巻きなので、パクパクとイケるのだナ。

そして最後の締めくくりは、銚子の金目鯛の炙りだ。
b0019140_16395970.jpg
脂乗りも凄い!口の中で溶けるようだった。

キンちゃんの握り劇場も無事に終演だ。
b0019140_16401019.jpg
〆の味噌汁が満腹の胃袋をサラリと流してくれた気がした。

相変わらず、良いおもてなしをしてくれたネ。残った酒をグィと飲み干し、ご馳走さま。
b0019140_16394847.jpg
渋めのお茶を戴いて、酔いを冷ますことが出来た。

次回はいつ訪れようか。ウニの季節にもう一度来ようかナ。外はすっかり暗くなっていた。我が家を通り過ぎ、そのまま武蔵小山『長平』に向ったのでアール。
# by cafegent | 2015-07-29 16:49 | 食べる | Trackback | Comments(0)
暦では「大暑」を迎えた昨日、打ち合わせを終えた足でそのまま横浜・桜木町へと向った。午後四時、桜木町駅から野毛動物園方面へと急ぐと案の定目指す店の前では長い行列が出来ていた。

普段は午後五時開店の居酒屋『武蔵屋』だが、この日は一時間前倒しにしての口開けとなった。
b0019140_10542420.jpg
何故ならば、前日の新聞に「3杯屋、歴史に幕」の記事が出たからだった。

御歳93歳の喜久代おばちゃんが横浜国大の学生アルバイトたちと切り盛りする小体の居酒屋「武蔵屋」が、今月一杯で店を閉じることになった。
b0019140_10534877.jpg
現在、木・金曜日の週二日しか営業をしていないので、今週と来週の4日間で終わりとなる訳だ。
b0019140_10543820.jpg
酒場番長の矢野寛明さん、プロモデラーのMAX渡辺さんも少し遅れて到着だ。
b0019140_10545049.jpg
看板猫のクロも行列が気になるのか、覗きに来ていたナ。

「コップ酒は、一人3杯まで」先代の木村銀蔵さんがお客さんの躯を気遣い酒は3杯までと決め武蔵屋を始めたのが、今から69年前、昭和21年のこと。元々、大正時代に横浜港近くの酒屋の一角で立ち飲み屋としてスタートした。戦後、この野毛に移転して「武蔵屋」として始めたのだナ。'83年に銀蔵さんがお亡くなりになった後は喜久代おばちゃんと妹の富美子さんの二人でこの店を継いだのだ。

3年前には女優の五大路子さんが「野毛武蔵屋 三杯屋の奇跡」と云う舞台を上演したり、林文子横浜市長が直々店まで感謝状を持参した等、横浜では大変有名な居酒屋だ。

古き良き昭和の香り漂う木造の建て屋は、売却され取り壊されると聞いた。とても残念でならないが、喜久代おばちゃんが決めたことだから仕方が無い。夕べは1時間半程並んだが、この店で酒を酌み交わした友たちのことを思い出しながら、ゆっくりと3杯の燗酒を味わった。
b0019140_10483720.jpg
仙台に赴任中のビリー隊長やブラジルに赴任中の浜田信郎さんとも此処でご一緒したネ。

しかも、昨日は我が酒朋たちが沢山集まっていた。開店と同時にカウンターに座ったのが、ヨシタカさんとヒロミチ君、奥の座敷には「野毛ハイボール」の店主、佐野さん。
b0019140_12105289.jpg
僕の数人前にはNMBEプロジェクトの庄子さんとレコード番長の須永辰緒さん、そして僕の後ろには、チャンピオンやボヤちゃん、牛太郎仲間の大沢さんなどが並んで居たのだナ。
b0019140_11501669.jpg
待った後のビールは最高に美味い!
b0019140_11511363.jpg
玉ねぎの甘酢漬け、おから、鱈豆腐、お豆、納豆、お新香といつもの定番料理が順序良く出た訳だが、この日は五菜に加え最後に赤飯が出て来た。
b0019140_1055322.jpg
おばちゃん、最後に粋な計らいをしてくれたネ。
b0019140_11512910.jpg
この鱈豆腐ももう食べ納めかと思うと寂しいナァ。
b0019140_11533274.jpg
なみなみと注がれた燗酒は、口を持っていかないとこぼしてしまう。

壁に掛けられた多くの文化人たちの色紙をあらためて眺めた。日本画家の平山郁夫さん、洋画家の中西繁さん、コラムニストの青木雨彦さん、作家の川上弘美さん、新井満さん、内館牧子さん等々、皆個性溢れる言葉を残していた。その中でも僕が大好きなのが青木雨彦さんの色紙だ。

      塗箸の剥げて小芋の煮ころがし

武蔵屋の塗り箸、今は面取りした箸に代わったが昔は丸くてスグにコロコロと転がって机から落ちてしまうことが多かったのだナ。玉ねぎの甘酢漬けの皿やおからの皿で上手く箸をはさんで落ちない様に工夫しながら燗酒を呑んだことも今では愉しい思い出となった。

遠くから蝉の鳴く声が聴こえてきた。開け放たれた窓から時折流れ込む風も夏の武蔵屋の憩いだった。横浜で育った画家、中島千波さんが色紙に描いた武蔵屋の木枠の窓辺の絵が僕らの座ったテーブルの横に掛けられていた。
b0019140_10485178.jpg
この絵ももう見納めか、と感慨深く眺めてしまったナ。

     尋ね人尋ねあぐねて赤蜻蛉(とんぼ)

こちらは、新井満さんの色紙から。
b0019140_128423.jpg
一時間程、瓶ビールと3杯のコップ酒を愉しんだ。
b0019140_1275442.jpg
気心しれた酒朋たちと酒を酌み交わせたのも最高の思い出となった。
b0019140_11573074.jpg
喜久代おばちゃん、永い間本当にお疲れさまでした。まだまだ元気そうだし、ゆっくりと休息してくださいませ。

そして、呑ん兵衛の赤蜻蛉たちは、夕暮れの街へとハシゴしたのだナ。
# by cafegent | 2015-07-24 12:02 | 飲み歩き | Trackback | Comments(2)
昨日7月7日は生憎の雨となった。東京は湿度が高く、重く湿った空気が歩く足を遅くしていたナ。

七夕の日に降る雨を『催涙雨』と言う。彦星(牽牛)と織姫の涙が雨になったものと云われている。それは、二人が逢った後に再び別れるときに流す惜別の涙か、逢えなかったときに流す涙だとか。どちらにせよ随分とロマンティックな話だネ。
b0019140_15522435.jpg
その七夕の日をはさんだ7月の6・7・8日の三日間、入谷では東京の初夏の風物詩「入谷の朝顔まつり」が催されている。
b0019140_15453790.jpg
入谷鬼子母神・真源寺の境内をはじめ、周辺の通りには100軒以上もの朝顔業者が沢山の朝顔鉢を販売するのだネ。
b0019140_1550595.jpg
そして反対側の通り沿いでは100軒近い露天商が軒を連ねる。
b0019140_15454918.jpg
先ずは、入谷鬼子母神へお詣りをしに行かなくちゃ。
b0019140_1548644.jpg
小雨がまだ降り続いていたが、大勢の方が来ていたナ。
b0019140_15465176.jpg
僕もそうだが、毎年贔屓にしている朝顔屋さんを訪ね朝顔の鉢を買う方が多い。
b0019140_15484327.jpg
世話になった方々へのお中元を兼ねた鉢の発送手配を済ませ、自分用の鉢を買うのだナ。
b0019140_1548222.jpg
今年は千葉の稲毛に住む旧友が一緒だったので、朝顔を買った後入谷の路地裏に見つけた店で一休みした。

入った店は『Cafe de RaMo』と云う店でワインとアボ豚料理の店だった。「アボ豚」とは、アボカドオイルで育てた豚だそうで、イベリコ豚の様なブランド肉なのだネ。
b0019140_15485749.jpg
この日は、生ビールを戴いただけだったので、次回改めて「アボ豚」料理を味わいに来ることにした。

そして、夕方5時になった。言問通りを鶯谷駅方面に戻り、根岸の居酒屋『鍵屋』の口開けにお邪魔した。店に到着すると丁度賢太郎さんが暖簾を出しているところだった。
b0019140_15573962.jpg
紺地の暖簾から夏仕様の白い暖簾に切り替わっていたナ。

僕らの他にも朝顔の鉢を抱えたお客さんが入って来た。朝顔を間違えない様に女将さんが札をつけてくれた。嬉しい心遣いに感謝!

入口側の焼き台前に座り、桜正宗のぬる燗をお願いした。「鍵屋」では数種類のお猪口が有るのだが、僕にはいつも一番大きなぐい飲みが出てくるのだナ。これだと、ついつい呑み過ぎてしまうのだヨ(苦笑)

年季の入った分厚い楓(カエデ)のカウンターを前にすると、自分がこの酒場に見合う年齢になったのだナ、としみじみと感じてしまう。

お通しは、お馴染みの煮豆だ。
b0019140_1555185.jpg
夏になるとお通しが煮こごりや心太(ところてん)になったりする。
心太が酒のアテになるなんて粋だよネ。

開け放たれた玄関の暖簾越しから時折心地良い初夏の風が流れ込んでくる。首の後ろに風を感じながらぐい飲みを口へと運ぶのだ。
b0019140_15555221.jpg
クゥーッ、ぬる燗の仄かな甘みが五臓六腑を刺激する。旨いナァ。
そこへ香ばしく焼かれた鰻のくりから焼きが登場した。
b0019140_15552066.jpg
蒲焼きと違いプリッとした食感が、このくりから焼きの持ち味だ。山椒を振り掛けてかぶりつく。むほほ、相変わらず美味しい串だったナ。

二本目のぬる燗と共に冷や奴が来た。
b0019140_15561581.jpg
木の簀の子に乗った豆腐は見事に冷たい。薬味の刻み大葉と生姜をつけダレに浸し奴を戴く。このヒンヤリした口に、これまたぬる燗が合うのだナ。

口開けから15分も経たない内にカウンター席も小上がりの卓もお客さんで一杯になった。またもや朝顔市で鉢を買って来た方が居て、入口脇には朝顔の鉢だらけになっていた。

合鴨串も焼いて戴いた。賢太郎さんの塩加減が実に上手いのだナ。
b0019140_15563185.jpg
長ネギも塩が甘さを引き出してくれていた。合鴨は脂が乗っていて最高だ。

三本目の徳利も空いたので、ご馳走さま。

午後6時半、外はまだ明るい。言問通りを渡り階段を昇りJR鶯谷駅へ。此処から秋葉原経由で神保町へと移動した。

地下鉄の階段を昇ると四角い空が見えた。暮れ泥(なず)む東京の空では、彦星と織姫が無事に出逢えたのだろうか。

喫茶『さぼうる』や『ラドリオ』『ミロンガ』の在る路地を抜けて、酒場『兵六』の縄のれんを潜る。馴染みの顔が既に呑んで居た。
b0019140_15565160.jpg
さつま無双の燗酒を白湯で割り、ごくり。ふぅ、落ち着いた。友人は冷たい麦焼酎にしたのだネ。

友人のカミサンも合流し、七夕の夜の酒宴は愉しく続いたのであった。

# by cafegent | 2015-07-08 16:01 | 飲み歩き | Trackback | Comments(0)
暦ではもう夏の中日になったのだネ。

七十二候では「梅子黄」(うみのみ、きばむ)の頃となった。梅の実が熟し始めた。僕の廻りでも梅酒を漬けている人が多いが、我が家にも亡くなった叔母が漬けた20年物の梅酒が有る。トロリとして、ソーダで割ると美味いのだが、もったいなくて毎年チビリチビリと戴いている。
b0019140_13173051.jpg
先日観た是枝監督の映画『海街diary』の中でも庭の梅の木を摘み、梅酒を漬ける場面が登場した。三人姉妹の元に突然加わった末妹のすずが、懸命に梅の実を採る姿がとても印象的に映った。

この映画の原作である吉田秋生さんの描く鎌倉の街も、そこに登場する家族や彼女たちを取り囲む廻りの人々も僕は大好きなのだが、この映画には完全にヤラれたナ。
b0019140_1323239.jpg
写真家の瀧本幹也さんのカメラワークがとにかく素晴らしい。三女千佳を演じた夏帆の短いソックスにソソられたし、その彼氏役のレキシが好い味を出していて良かった。
b0019140_13224831.jpg
映画を観ながら、フトローレンス・カスダン監督が1983年に撮った映画『BIG CHILL』を思い出したのだ。邦題は「再会の時」だったと思うが、映画のキーパーソンである男の葬式で集まる旧友たちの人間模様を描いた話なのだが、その男が最初から最後まで一度も登場しないのだナ。

「海街diary」でも、この四人姉妹を引き合わせた父の姿は一度も登場しない。ただ、それだけの接点なのだが、何故かずっとあの映画が頭に浮かんだのだった。

まー、どーでもイー話だネ。だが、この映画を観て一番良かったのは、広瀬すずが可愛いかったことかナ。デビュー当時の宮澤りえを彷彿させ、スクリーンいっぱいに魅力のオーラを放ち、僕を釘付けにした。

梅雨入りした紫陽花の季節と映画の中が交差し、なんとも不思議な感覚だったナ。
     ◇          ◇          ◇
閑話休題。

僕の住んでいる街・武蔵小山とその両隣り不動前と西小山の飲食店を紹介したぴあのムック本『武蔵小山食本』が発売された。
b0019140_13262599.jpg
和食、洋食、ラーメン、居酒屋、バー等々、盛り沢山の内容で初めて武蔵小山周辺を訪れる方にとっても大変重宝する一冊だ。
b0019140_13263830.jpg
もちろん、武蔵小山の居酒屋に関しては僕が紹介しているので是非ともご一読して戴きたい限りでアール。
b0019140_13275691.jpg
そんな訳で夕暮れ時になると足が向いてしまうのが武蔵小山の働く人の酒場『牛太郎(ぎゅうたろう)』だ。
b0019140_13282853.jpg
店主の新井城介さん、通称ジョーさんが奥さんと二人で切り盛りするコの字カウンターの酒場なのだナ。

此処はホッピーも置いてあるが、先ずは地元に本社と工場が在る博水社のハイサワーを戴こう。
b0019140_13284888.jpg
レモン果汁がバッチリ効いた甘く無いレモンサワーは何杯でも飲めてしまうヨ。
b0019140_13283910.jpg
ビアレモンテイストの「ハイサワーハイッピー」はボクの一番のオススメだ。

酒のアテは迷わず「とんちゃん」を頼んでみよう。
b0019140_13305158.jpg
独自のニンニクダレに漬け込んだモツの部位数種を水分が飛ぶまで鍋でじっくりと炒めており、そこへオリジナルの味噌を載せるのだ。
b0019140_13295173.jpg
都内の居酒屋は数限りなく在るが、この料理は牛太郎以外でお目にかかったことが無い。病みつく美味さなので是非!

20人で満席なので、入口の両脇に在る待ち合い席で待つことになる。此処は長年通っているご常連さんだって後ろで30分以上も待つことがザラなのだから、満席でも臆することなく後ろで待ってみて欲しい。カウンターが空いたときの喜びと酒の旨さの感動がきっと倍増するからネ。

さて、今夜も「牛太郎」の暖簾を潜ろうかナ。
# by cafegent | 2015-06-16 13:38 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
台風6号が本州を通り過ぎ昨日から夏日が続いている。今朝も東京は朝から青空が広がった。午前中からどんどん気温が上昇し、昼過ぎには30度を記録したそうだ。毎朝1万歩を歩くようにしているが、さすがに今朝は汗をかいた。

いつもの公園では、今年初のセンダイムシクイに出逢うことが出来た。
b0019140_16135582.jpg
野鳥の鳴き声を言葉になぞらえて表現することを「聞きなし」と云うのだが、有名なのはホトトギスの「特許許可局」だが、このセンダイムシクイの場合「焼酎一杯グィーッ!」なのだナ。普通に聴けば、ツィツィツィッツィーッ!なのだが、よっぽどの酒好きの野鳥研究家が、こう「聞きなし」したのだネ。

樹の幹などに居る小さな虫が好物なので、鳴き声を頼りに樹の上をじっと探し続けると見つけられる。だが、上ばかり向いているので首が疲れるのが玉に傷だ。
b0019140_1616354.jpg
ウグイスの仲間で、目の上の白い眉線がウグイスに似て特徴的なのだ。

百合の木の花も咲いていたナ。
b0019140_16242510.jpg
この樹は、チューリップに似た花が咲くので、別名「チューリップの木」とも呼ばれている。また、葉っぱが軍配に似ていることから「軍配の木」の名も持っているのだネ。

夏の様な温かさになったら、急に蝶々も沢山飛び廻るようになった。
b0019140_1626093.jpg
ツマグロヒョウモン蝶は日向に咲く花の蜜に夢中だった。
b0019140_16282958.jpg
クロアゲハは3羽のオスがメスを巡って飛び廻っていた。
b0019140_16301538.jpg

アオスジアゲハは葉っぱで一休みしていたナァ。
      ◇          ◇          ◇
閑話休題。

先週の金曜日、久しぶりに吉祥寺に出掛けた。目的は山登り!と云っても『肉山』登山でアル。今年の1月以来なので、4ヶ月ぶりの登頂となった。
b0019140_16462495.jpg
この日は、ゴールデンウィークで仙台から戻って来ている酒朋ビリー隊長と登ることにした。

先ずは一人、武蔵小山の老舗酒場『牛太郎』にて0次会。
b0019140_16473374.jpg
ビールで始めて、夜の赤身肉への思いを馳せて赤ワインを戴いた。
b0019140_1647450.jpg
この日の予約は午後8時、中央線が人身事故の影響でストップしていたので、渋谷から井の頭線で吉祥寺へと向ったでアル。

吉祥寺の駅前は学生たちで溢れ返っていた。5月に入り、新入部員が増えた同好会の飲み会の集まりだろうか。僕らオジサン連中も気だけは若い。学生に負けじと、颯爽と吉祥寺の街を歩いていったのだナ。

駅から10分弱で『肉山』に到着だ。
b0019140_16464124.jpg
この日は天候にも恵まれ、素晴らしい登山日和となった。階段を上がり、いざ登山の開始だ。

此処は赤身肉の専門店なので、牛肉、豚肉、馬肉、鹿肉等々の様々な種類の肉の赤身をシンプルな味付けで喰らうのだ。

先ずは生ビールでカンパイだ。クゥーッ!「立夏」を迎えた東京の夜8時、喉を通るビールが最高に美味い季節到来となったネ。
b0019140_1633254.jpg
プチトマトとキムチをアテにビールがススむ。

最初はお馴染み、池尻大橋のフレンチ『OGINO』が造るパテ・ド・カンパーニュから。
b0019140_1634159.jpg
店主の光山さんが懇意にしているので、この絶品パテを分けて戴いてるそうだ。濃厚な味で美味い。

続いて出たのは、80分間じっくりと焼いたした豚ロース肉からスタートだ。
b0019140_16335222.jpg
肉山では、肉本来の持つ旨味を最大限に活かすように調理している。
b0019140_16341240.jpg
このエリンギのローストもバカウマだ!

よし、赤ワインを戴こう。
b0019140_16363486.jpg
AOCテール・デ・シャルドンのマージナルの赤を選んで頂いた。
b0019140_16333615.jpg
シラーの持つスパイシーな香りが口の中に広がるのだナ。このワインに合わせるかの様に登場したのが、赤牛のもも肉ローストだ。
b0019140_16365396.jpg
ワサビを載せて口へと運ぶ。牛の赤身は噛む程に旨味が増幅する、肉らしい味わいだ。

箸休めならぬ肉休めは、もろきゅうだ。
b0019140_1637656.jpg
甘辛の味噌をつけてポキリと噛む。まだ登山は五合目あたりか。
b0019140_16371485.jpg
こちらは、牛肉のソーセージ!
b0019140_16375323.jpg
肉山自慢のチリマスタードを載せて戴くのだ。うひょーッ!むふふ、な美味さだナ。
b0019140_16421299.jpg
お次は、牛のランプ肉!ウヒョーッ!としか喩えようがない。
b0019140_16415416.jpg
アスパラガスも甘くて美味い。二本目のワインもAOCのボルドー、シャトー・オー・コロンビエ赤をチョイス。
b0019140_16425882.jpg
結構ガツンとくる濃い目の赤だったナ。赤身肉に合うぞ、コレは!

さぁ、出てきたのは馬肉のフィレだ。
b0019140_16422267.jpg
これは柔らかくて赤ワインがススむ味だった。この日は馬肉まつりか!
b0019140_16423694.jpg
続けざまに出てきた馬のハラミ肉は、この日ナンバーワン間違い無しの一皿だった。馬肉がこれほどまでに美味かったとは、恐れ入った。

そして最後の肉は、40日間熟成したリブロースだ。
b0019140_16424895.jpg
エイジングならではの旨味を纏っており、ここで再び牛肉に戻るとはヤラレたネ。無事に山頂に到着出来た!

あぁ、大満足。

〆は名物の肉山カレーと卵かけご飯を1つずつチョイス。
b0019140_16445098.jpg
此処の卵かけご飯は、醤油ではなく塩とごま油で食すのでアル。これが、実に美味い。
b0019140_1645168.jpg
カレーの味は日々進化しているそうだ。開店当初の味は、レトルトカレーとして販売されており人気上々だそうだが、現在は更に美味しくなったとスタッフが笑顔で答えてくれた。

ビリー隊長御夫妻も喜んでくれたみたいで、次回の予約をしっかりと取っていた。さて、満腹満足、お土産に自家製チリマスタード瓶も買わなくちゃ。

こうして吉祥寺の夜が更けて行くのでアール。
# by cafegent | 2015-05-14 16:48 | 食べる | Trackback | Comments(0)
風薫る五月、テレビのニュースでは、台風6号が今夜にも本州に上陸すると報じている。

ゴールデンウィークを過ぎて、暦では「初夏」となった。七十二候では「蚯蚓出」(みみず、いづる)の頃、蚯蚓(ミミズ)が地面の上を這いずり出る時季が来た訳だネ。
b0019140_1595539.jpg
気候が良くなり、やっと地上に出たと思ったミミズも油断する暇もなくムクドリなどの餌になって喰われてしまう。
b0019140_1510723.jpg
自然の摂理とは時に非情なものだが、こうやって地球は進化していくのだナ。

    出るやいな蚯蚓は蟻に引かれけり    一茶

地上に出た途端、人に踏まれたり灼熱の大陽によって干涸(ひから)びたりしてしまうミミズをしめしめと食糧として運ぶ蟻の群れを一茶は見たのだろうネ。

毎朝歩く公園では、キビタキのオスが美しい音色で囀(さえず)っている。
b0019140_15102193.jpg
この声を聴くと春から夏への移ろいを感じるのだが、今年は少し到来が遅かったようだ。だが、肝心のメスの姿が見えないので、オスも空振り状態が続いているのかもしれないナ。
b0019140_15122219.jpg
ウグイスもキビタキもメスの気を引くために、囀(さえず)るのだからネ。

五月も中旬を過ぎれば、今度はホトトギスや筒鳥が来る季節となる。だが、いつもの公園がどんどん整備されて雑木林が減っているので、今年は来てくれるかどうか微妙でアル。
      ◇           ◇           ◇
閑話休題。

さて、この連休は遠出をせずに日帰りで行ける小旅行に出掛けた。
b0019140_15332913.jpg
JRが販売している「休日おでかけパス」を利用すれば、2,670円で東京近郊の指定エリア内を一日中何度でも乗り降り自由となるので大変お得だ。しかも、特急券やグリーン券を購入すれば、普通列車のグリーン車や特急、新幹線まで利用出来るのだから嬉しい限りでアル。

今回は、品川駅から千葉の成田駅まで快適なグリーン車に乗って、暫しの「居酒屋グリーン」を愉しんだ。
b0019140_1517595.jpg
品川駅で買い込んだ駅弁はちょっと贅沢をして、東京が誇る老舗すき焼店『今半』が作るすき焼き弁当をチョイス。
b0019140_15181450.jpg
さすがに高いだけあって、牛肉の質が高かった。

船橋辺りを過ぎると、車窓の向こうの景色が一段と長閑になる。
b0019140_15193411.jpg
青々とした田んぼでは、田植えが始まっていた。二缶目のビールを飲み終える頃に成田に到着した。そこから電車を乗り換えて、砂原へと移動した。
b0019140_15182883.jpg
砂原の街は、倉敷の美観地区や小江戸川越の様に江戸時代にワープした様な家々が数多く残されている。
b0019140_15251870.jpg
よく時代劇の撮影にも使われているそうだが、最近のドラマ「東京バンドワゴン」の舞台にもなったらしいネ。
b0019140_1525550.jpg
豊かな水の郷では、沢山のツバメが宙を飛び廻っていたナ。
b0019140_1524962.jpg
東京でもツバメが営巣するが、こんなに沢山のツバメが巣を作っているなんて、やはり自然豊かな環境なのだネ。
b0019140_15244455.jpg
伊能忠敬の生家を見学し、街を歩いたあとは酒蔵見学へと向った。
b0019140_1526971.jpg
創業文政8年の歴史を誇る「東薫酒造」を訪れた。
b0019140_1526568.jpg
全国新酒鑑評会で金賞を受賞している大吟醸「叶」は、今もこの左側の年季の入った機械で搾っているのだそうだ。

酒蔵見学の後の試飲も愉しみの一つだが、搾りたて純米生原酒の瓶詰めを買うことが出来たのは嬉しかったネ。
b0019140_1527689.jpg
あぁ、来て良かった!

ツバメが多い中、違う鳴き声に目をやると電線にセグロセキレイの姿を見つけた。
b0019140_15253864.jpg
一眼レフを持って来なかったのが悔やまれたが、まぁ旅なんて記憶に残れば良いのだよナ。(と負け惜しみ!)
b0019140_15255539.jpg
砂原の街をグルリと廻り、大いに堪能した。
b0019140_15272065.jpg
再び成田へと戻り、成田山へお詣りすることにした。
b0019140_15302434.jpg
ゴールデンウィークなので、参道も凄い人通りだった。
b0019140_15303683.jpg
さぁ、参拝を終えた後はお待ちかね『川豊』での鰻だ。

成田山へ行く前に整理券を貰っていたので、店に戻ると丁度タイミング良く入店することが出来た。
b0019140_15305458.jpg
二階へと上がり、順番を待つ。この待つ間のひとときも鰻重の味を何倍にも盛り上げてくれるのだナ。
b0019140_1531846.jpg
フワフワに蒸してから焼いた鰻の美味いことったら、あぁ堪らない。

端午の節句を控えたこの日、子供に戻った様な心持ちで鰻重を頬張ったのでアール。
# by cafegent | 2015-05-12 15:37 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)
久しぶりに目黒の『寿司いずみ』にお邪魔した。

都立林試の森公園の裏手の住宅街にひっそりと佇む寿司屋は、開店以来ずっと「準備中」の札が出ているままだ。
b0019140_14465935.jpg
何故ならば、小体の店ゆえに常に予約の客で埋まっているので、ふらりと訪れても空いていないのだネ。

この日は「名残の鮟鱇を食べ尽くす」と云う会が催されており、たまたま二席だけ空いていたので、入ることが出来たのでアル。

そんな訳で、僕ら以外は皆さん鮟鱇づくしの宴となっていた。
b0019140_1450179.jpg
もちろん、僕らはいつもの様に大将にお任せだ。

先に『牛太郎』でビールを戴いていたので、此処では日本酒からスタートしよう。先ずは富山県滑川の「千代鶴」純米吟醸を戴いた。
b0019140_14502474.jpg
口当たりは少しトロッとした感じだったが、後味がサラリとして旨い。

此処では、料理が出ても決して先に箸をつけてはいけない。そんなルールがあるのだ。どの料理も大将が手間を惜しまずに試作を繰り返し完成したものばかりなので、大将の講釈(料理の説明、魚の産地など)を聞いてからじゃないと食べてはいけないのでアル。

もしも先に勝手に食べたなら、「勝手な行動をすると感情的になって、勘定100倍にやるよ!」と一括だ。この究極なオヤジギャグに苦笑いしながら、過ごすひとときもまた愉しいのだヨ。

そして、この日も「名残の鮟鱇を食べ尽くす」会の方々に同じギャグを言いながら、突然こちらに振るのだナ。
「アチラのお客様は、常に勘定二倍を戴いているので、いつでも好きな時に食べていいんですヨ!」だとサ。この容赦ないイジリに心ならずも幸せを感じるのでアール。

さぁ、「いずみ劇場」の幕開けだ。最初はお隣さん達の鮟鱇のお裾分けから。「あんこうの冷や汁」の登場だ。
b0019140_14514483.jpg
能登では、あんこうの卵巣を「布」と呼ぶ。平板状で布切れのようなので、ヌノと呼ばれているそうだ。この布を大根と一緒に冷や汁仕立てにしているのだが、凝縮された旨味がすべて大根に滲みていた。まさに深まる春に相応しい一品だったナ。

お次は「焼き蝦蛄」だ。
b0019140_1452073.jpg
岡山浅口で獲れた蝦蛄は、香ばしくて酒がススむ。岡山ではシャコはおやつ代わりに食べているらしく、我が家でも毎年カミサンの実家から大量の蝦蛄が届く。カミサンは手慣れた手つきで殻を剥くのだが、僕は可成り手間取りながら剥くことになる。慣れとはスゴイよネ。

そして「タコの桜煮」が出た。
b0019140_14534083.jpg
桜の花と葉を一緒に煮込むため、桜の良い香りが食欲をソソルのだナ。
タコは「明鏡止水」でお馴染み大澤酒造が作るサイダーを使って煮込んでいるのでとても柔らかい。器まで桜の花とは、この時季ならではの料理だ。

酒は富山県高岡の「勝駒」しぼりたて新酒を戴いた。
b0019140_14562080.jpg
これはまたフルーティで爽やかな新酒だナ。

この酒に合わせるようにカツオと花鯛の刺身が登場。
b0019140_14562859.jpg
「いずみ」では、刺身は玉葱の擦りおろしに和芥子を載せて食す。今回は静岡山の新玉葱に、いずみ自慢の和芥子を合わせる。大将曰く、この和芥子はユーサイドの久保田社長渾身の本物の和がらしで、からしの産地は季節によって変わるそうだ。
b0019140_14564023.jpg
カツオに載せて口へ運ぶ。あぁ、むふふの瞬間だ。
b0019140_14575652.jpg
花鯛は、きび酢で軽く〆ており、酒がススむススむ。

お次は再び、あんこうのお裾分けだ。
b0019140_14581080.jpg
「あん肝玉子」は、たっぷりのあん肝が入っており「痛風まっしぐら」な一品だった。赤山椒をパラリと振り掛けて、戴いた。あぁ、最高に美味い。

今度の酒は千葉県の飯沼本家が造る「一喜」を戴いた。
b0019140_14581928.jpg
この酒蔵は「甲子(きのえね)正宗」が評判だが、この一喜もフルーティでスッキリとした呑み易い酒だ。では、この一杯の喜びをじっくりと味わおう。

蕗(フキ)味噌をアテに酒がススむ。
b0019140_1503063.jpg
油炒めをしていないので、蕗の旨味をストレートに味わっている感じだったナ。

料理は続く、どこまでも!
b0019140_1505616.jpg
さぁ、お次は大将自信作の「桜蒸し」の登場だ。
b0019140_1511491.jpg
お椀の蓋を取った瞬間に桜の香りが、僕の鼻腔を突き抜けた。芝えびのすり身でサクランボの実を包み込み、大島桜の葉で巻いてある。その下には桜鯛の身だ。これを大島桜の花と葉を刻んだあんに絡めて戴くのだナ。むふふ。視覚、臭覚、味覚が渾然一体となって、小さな椀の中に百花繚乱の桜を表していた。

     世の中にたえて桜のなかりせば
            春の心はのどけからまし

この味に、思わず在原業平(ありわらのなりひら)が詠んだ歌が浮かんだ。
この世の中に、桜の花がなかったら、どんなにも春を長閑(のどか)な気分で過ごせただろうに、と詠っているのだネ。

親方の料理の世界は、本当に素晴らしい。お椀の中の壺中天だナ。小さな器の中に無限の宇宙が広がっているかのようだ。
b0019140_1515420.jpg
お次もまた蓋物だった。
b0019140_152782.jpg
こちらは、あんこうの肝と身のクリーム煮だ。濃厚なあん肝を優しい味で上品に仕上げてあるのだが、これも間違いなく「痛風まっしぐら!」な一椀だネ。ぐふふ。

酒は東北・塩釜の阿部勘酒造が造る「阿部勘」特別純米を戴いた。
b0019140_155498.jpg
阿部勘と云えば、東日本大震災の被害を受けた酒蔵だが、この4年間で完全に復活したのだネ。

2006年に他界した阿部勘の名杜氏・伊藤栄さんの愛弟子である平塚杜氏が仕込んだ渾身の酒は、僅かに感じる酸味と米の旨味が口一杯に広がり実に味わい深い一杯だった。

この酒に合わせてもう少し珍味を戴こう。
b0019140_1552339.jpg
今回は鯛の子で造った明太子、赤貝の塩辛、それにアワビの肝を出して戴いた。
b0019140_1553783.jpg
あぁ、シアワセのひとときだ。もう、痛風でも何でも来いってもんだ!

更に追い打ちをかけるように出てきたのは、再びあんこうのお裾分け!
b0019140_155488.jpg
あん肝の酒だった。
b0019140_155598.jpg
おぉ、濃厚な甘みと旨味が酒とマリアージュしていたナ。

料理の最後は、北寄(ホッキ)貝のお造りだ。
b0019140_1565345.jpg
北海道出身の僕は、この貝に目がない。ほんのり桃色の貝は、本来東北北海道あたりの食べ物なので、東京では馴染み薄だったが、回転寿司屋さんのお陰でやっと日の目を見ることとなった貝かもしれないネ。食感も良く、噛むほどに旨味が広がるのだナ。
b0019140_157557.jpg
さて、酒を切り替えて「いずみ劇場」第二幕の幕開けだ。

白く濁った酒は「アームストロング砲」の異名を持つ「鍋島」の特別本醸造活性にごり生酒だ。
b0019140_1595296.jpg
フルーティーで甘みの強い酒だが、シュワシュワッとしたスパークリングの炭酸感が食事の幕間をリフレッシュさせてくれた。

握りの最初は細魚(サヨリ)から。
b0019140_1510499.jpg
季節を味わうって素敵だネ。

こちらは、鯵の赤ちゃん仁丹(ジンタン)だ。
b0019140_15101512.jpg
先ずは酢〆で戴く。うん、美味い。
b0019140_15103077.jpg
続いて白板昆布を載せた仁丹の昆布〆だ。甲乙つけ難くどちらも素晴らしい。

そして、陸奥湾の内側、関根浜で獲れた本州ムラサキウニの握りを戴いた。
b0019140_15104121.jpg
口に入れた途端、思わず口角が緩んだ。いやぁ、本当に甘くて旨味が凝縮されいる。

寿司いずみでは、季節毎に美味いウニを各地から取り寄せているので東京に居ながらにして全国ウニの旅が出来るのだナ。

酒は新潟の大洋酒造が造る「越の魂」純米吟醸を戴いた。キレがよく爽快な口あたりの辛口で、いずみの大将もお気に入りの酒でアル。

握りは、春を告げる魚シロウオだ。
b0019140_151054100.jpg
純白なシロウオの群れが泳いでいるような握りだネ。むふふ、のふ。こちらは、マカジキだ。あぁ、これも美味し。

さぁ、寿司いずみ恒例の「小肌三本〆」でアル。
b0019140_15334283.jpg
先ずは赤酢で〆た小肌から。云わずもがなの美味さだネ。お次は、白酢で〆た小肌だ。
b0019140_15335830.jpg
そしてトリは、白板昆布で〆た真打ち登場。いずみと云えば小肌三種の食べ比べだが、時には柚子酢になったり、洋酒ジンを用いたジン酢だったりと大将の遊び心が溢れている。だが、何れもが大変に美味いのだから、只々驚くばかりなのだナ。

最後の酒は、「明鏡止水」でお馴染み長野の大澤酒造が造る変わり種「ラヴィ・アン・ローズ」で締めくくった。盃を口に持って行けば、鼻腔をくすぐるマスカットの様な果実香にクラッとし、口に含めばサラリとした軽やかな味に安堵する。そう、少々呑み過ぎたかナ、と思った時の〆に持ってこいの日本酒がコレだ。

新玉ねぎの擦りおろしを載せたカツオのヅケも味に深みがあり美味し。
b0019140_15341933.jpg
花鯛の握りは、歯ごたえも良く甘い。
b0019140_15342936.jpg
本マグロも云うこと無し。
b0019140_15343992.jpg
香ばしく炙った筍の握りも最高に美味かったナァ。

この後、いずみ自慢の煮蛤に煮穴子も握って戴き、最後は大好きな海老のおぼろで終了した。「おぼろ」とは江戸の頃の寿司種の保存法であり、保存用に車海老を漬け込んでいたおぼろを酢飯に見立てて、握りにするのだネ。
b0019140_15352216.jpg
最後は、春を運ぶ桜のお吸い物で締めくくった。

あぁ、この夜も最高に幸せな時間を過ごすことが出来た。我が家では、ハレの日は大いに奮発することにしている。この日は結婚記念日だった訳だが、夫婦二人が幸せな気分に浸り、酒に酔えるなんてちょっと贅沢だが、これからも続けて行けることを願うばかりでアル。

ご馳走さまでした。次回は北海道のウニの季節に来れたら良いナァ。穏やかな気候の春の夜、林試の森公園を抜けて武蔵小山まで歩こう。まだ『丸佐 長平』が開いている時刻だしネ。
# by cafegent | 2015-05-01 15:37 | 食べる | Trackback | Comments(0)
再び、ワタクシごとで恐縮なのだが、今朝の朝日新聞に刊行した単行本『日本の漁港を訪ね地魚に唸る―漁師の活気と海の幸』の広告が出稿された。
b0019140_16274890.jpg
同じシリーズの『日本の大和言葉を美しく話す』が24万部も売れているので、こちらもヒットして欲しいナァ。
b0019140_1628339.jpg
大きな書店では、嬉しいことに平積みしてくれていたりコーナーを作ってくれている。
b0019140_1628120.jpg
僕も地道に宣伝して行かなくちゃ!

閑話休題。
春分を迎え、東京は満開の桜に包まれている。
b0019140_15472611.jpg
季節を72に分けて表す七十二候では「雷乃発声」(かみなり、すなわちこえをはっす)の頃。遠くで春雷の音が響き、稲光りが空に光る時季が来た訳だ。

    忽(たちま)ちに月をほろぼす春の雷   

俳人・日野草城(そうじょう)が詠んだ句でアル。「ホトトギス」で虚子に俳句を学んだ草城だが、肺結核で病に伏せっていた。

病床で窓の向こうの月を眺めていたら突然春雷が轟き、月が消え去ってしまった。そんな情景を詠ったのだろうか。

「春雷」と云えば、北海道出身のフォークデュオふきのとうのヒット曲が思い浮かぶ。
   
    ♪春の雷に 白い花が散り 桜花吹雪 風に消えてゆく♪
b0019140_15473654.jpg
今日の東京も強い風が吹き荒れている。隅田川も桜の花筏(いかだ)が出来ているのかナ。空は薄曇りだが、明日の夜の「皆既月食」は観ることが出来るのだろうか。
     ◇          ◇          ◇
先日、酒朋に誘われて五反田に在る日本酒の酒場にお邪魔した。『和酒バールAGI(あぎ)』と云う店なのだが、四谷で人気を誇る『居酒屋やまちゃん』(最近、新宿御苑に移転したらしいネ)の様な居酒屋だ。
b0019140_1633775.jpg
なにしろ、二千円で季節の日本酒20銘柄が飲み放題なのだから嬉しい次第でアル。「やまちゃん」は時間無制限で三千円だが、こちらは二時間制だ。それでも十分過ぎる程、酒を堪能出来る。
b0019140_163558.jpg
日本酒以外も飲み放題なので、先ずは生ビールでカンパイ!
b0019140_1695923.jpg
さぁ、「上喜元からくち」から始めるとしようか。
b0019140_1641136.jpg
此処は日本酒に合う料理も充実しており、酒がススむススむ。
b0019140_16424100.jpg
里芋の煮揚げも旨かったナァ。
b0019140_1661050.jpg
「乾坤一」の純米や「玉川 祝米」「天吹 雄町」など純米吟醸も旨い。
b0019140_1663448.jpg
自慢の鶏唐揚げは一個単位で注文出来るのも嬉しい。
b0019140_1684759.jpg
流石に20銘柄全部を制覇することは出来なかったが、可成り呑んだナ。
b0019140_1692081.jpg
鯛の兜煮をアテに、次々と注いで貰った。
b0019140_169669.jpg
酒と同量の水を戴きながら呑んだので、悪酔いすることも無く大いに愉しんだ。良い酒場を教えて頂き感謝多謝!
b0019140_1693253.jpg
酒朋TNKさん、また行こうネ!
# by cafegent | 2015-04-03 16:29 | 飲み歩き | Trackback | Comments(1)
ワタクシごとで恐縮ですが、昨年一年をかけて日本全国を巡り、各地の漁港を訪ね歩いた旅行記『日本の漁港を訪ね地魚に唸る』が3月24日に発売になります。魚のイラストは、僕の大好きなイラストレーター矢田勝美さんに描いて頂いた。各地の漁港は旅をした僕が描いてみた。
b0019140_13124312.jpg
この本の始めにも記したのだが、古い旅の記憶を辿り、それを思い出す度にその土地や風景の感じ方が変わってきた。いつの間にか僕自身が歳を重ね、遠い昔の旅の思い出自体が郷愁を秘めたものになって来ているからだろうナ。

若い頃は海外にばかり目が行ってしまい、日本を巡る旅など数える程だったが、この十年余り積極的に旅を企てるのは国内ばかり。旅をしてみて、改めて我が国は廻りを海に囲まれている島国なのだと気付かされた次第でアル。その海岸線沿いには、三千近くもの漁港が在った。北海道だけでも285漁港在り、全国規模に流通している漁港だけでも623漁港在ると知り、日本は世界に誇る魚大国なのだと感じたワケだ。

この旅の手帖は、約一年をかけて日本各地の漁港を尋ね歩き、地元の方や漁師さん、漁協の方々などに地元で水揚げされる魚介類を教えて頂き食べ歩いた記録だ。雑魚(ザコ)と呼ばれる地魚は、決して東京の魚屋には並ばないのだナ。中にはセリにもかけられず、漁師の自家消費となる魚などが有る事を知り、自分の足で日本の漁港を尋ねてみたいと思ったのがきっかけでアル。

旅の宿の朝、春はウグイスのさえずりで目がさめ、夏はツバメの啼く声に誘われて浜に出た。行き交う人達と挨拶を交わす。時には何時間もバスを待ち、漁港まで辿り着いたことに喜びを覚えたり、やっと着いたら大時化で休漁となり、目当ての魚が食べられず悔んだりした。思えば、五十余年の人生の中で初めての経験かもしれない。

道を尋ねたら、方言が強すぎて判らないこともご愛嬌だった。
b0019140_13161181.jpg
水平線の向こうに太陽が昇る頃、大漁旗を掲げたイカ釣り漁船が朝日を浴びて漁港に戻って来る姿に歓喜した。時には、茜色に染まる夕暮れの波止場に立つ自分が哀愁に浸っていることに照れ笑いしたことも忘れないだろうナァ。
b0019140_1317867.jpg
この旅は日本各地の海沿いばかりの旅とはいえ、海や浜辺の景色だけではなく、海の向こうを望む山々の稜線もくっきりと旅の思い出として僕の中に深く刻まれた。
b0019140_13194927.jpg
旅に携えたスケッチブックに見聞きしたメモを記し、それを頼りに漁港を巡る旅を綴ってみた。

心はもう次の新しい旅へと動いているのだ。

まだ知らぬ漁港が私を旅へと誘(いざな)う。新しい画帖を携えて、もっと自由気ままな旅に出掛けてみたい。そして更なる未知の魚たちに出逢いたいものだ。

この本を読んで漁港を旅した気分に浸るのも良し、実際に旅に出て、漁港を訪ね、地魚を食べに行くのも良し。読んで戴いた多くの皆さんの新しい旅への架け橋となって頂けたら幸いなり。
# by cafegent | 2015-03-20 13:23 | ひとりごと | Trackback | Comments(9)