『簑笠庵』に咲いた桜草一輪にオジサンはときめくのだ。
2010年 02月 23日
我国は草もさくらを咲きにけり
僕の大好きな一茶の詠んだ句だ。桜の花が舞う大地の足元にも小さな桜が咲き誇る。百花繚乱の桜と可憐な桜草は、どちらも日本人の心に響くのだナ。
頬染めて酒に酔うたか桜草
コレは以前、僕が詠んだ句だが、この句を見て永井荷風の句を教えてくれた友人が居た。
葡萄酒の色にさきけり桜草
素晴らしいね。桜草は千以上もの種類が有り、姿や色も皆違うし、それぞれの雰囲気を表した名前もまた素晴らしいのだ。
荷風先生は、きっとこんな桜草を眺めて詠んだのだろうか。
◇ ◇ ◇
さて、週末いつもの京成立石で朝酒を愉しんだ。
皆と別れ電車に乗ったら、無性に鰻が食べたくなり慈恵医大病院近くの『手の字 本丸』へと向かった。
銭湯でひとっ風呂浴びて、昼間の酒を抜いた。
店主の山本さんが新作の「温野菜のアンチョビソース和え」を作ってくれたが、これがまた格別酒に合うのだ。
カウンターでのんびりと酒を呑んでたら、ガラリと戸が開いた。酒場で良く合う酒朋フルちゃんが友人を連れてやって来た。
真希子さんは僕も一度神保町の『銀漢亭』でお逢いした事があるが、写真を撮っている方らしい。
また、彼女に写真を習っていたと云うトクちゃんは、『兵六』を始め、今ではすっかり僕らの酒仲間になっているのだナ。トクちゃんを神保町の酒場に連れて来たのが、何を隠そう真希子さんであった。
ただ、僕は余りお話をした事がなかったので、この晩の簑笠庵でやっと打ち解けて酒が呑めた。
しかし、百花繚乱に咲き誇り見事に散る桜の花が「恋」ならば、この場合チト違う。今はパッと散る「恋」よりも、永く楽しく酒を酌み交わせる「友」が良いのだネ。そう、野に咲く桜草の様にね。
さて、今日は門前仲町にでも繰り出そうかナ。