時々、普通の町の中華屋さんに行きたくなる。
大抵、何処も赤い暖簾に「中華料理」の文字が白く抜かれていたりするネ。仕事場から歩いて数分の処に在る『元祖つけ麺大王』もそんな店のひとつだ。
オヤジさんがチャッチャカ中華鍋を振って作るチャーハンの、なんでもない極々普通の味がいい。
今日はそんな気分で、昼飯を食べた。
美術館に行って、作品を眺めていると時々展示什器のガラスにおでこや鼻の脂汗が付いている事がある。
僕自身、良く身を乗り出して作品を見ようとして間のガラス板の事をすっかり忘れてぶつかる事が有るのだ。
そんな訳で、同類の方が居た事に何故か心和んでしまうのだナ。
メガネを掛けていると、ガラスに気付かない事が多いのだよネ。
まぁ、それだけ夢中になって作品に魅入っている訳だが。
さぁ、早くおデコぶつけに『上村松園展』を観に行かなくては!
◇ ◇ ◇
振替休日の月曜日、夜BS-TBSの『吉田類の酒場放浪記』を見ると、ナント類さん高田馬場の『いこい』を紹介していた。
此処は余り人に教えていない名店だったが、テレビで紹介されたのなら僕も書く事にしようか。
此処は酒の先輩大島さんに教えて戴いてから、お気に入りの酒場の一つとなった。つい先日も行って来たばかりでアル。
高田馬場駅の早稲田口改札を出て、早稲田通りの左側の道を馬場口交差点方面に向かって歩く。交差点手前の細い路地を左へ折れると、すぐ其処にひっそりと佇む赤い屋根の酒場『いこい』が在る。
この日は、立石『宇ち多゛』に30余年通う大常連の大島さんと酒朋岩井さんにお誘いを受け『いこい』で待ち合わせた。
おや!岩井さん、既に顔がピンク色に染まってますナ。
ホルモンが大好きな大島さんは知人から初めて宇ち多゛を教わった30数年前に一緒に教わった店が、此処『いこい』だったそうだ。
それ以来、美味いホルモンが食べたくなると『宇ち多゛』か此処に来ていると云う。
夕方6時半に到着すると、口開けから来ていた二人は、既に呑んでいた。
米焼酎よかいちをボトルで戴き、黒ホッピーで割る。
早く二人に追いつかなくちゃなぁ。
お通しで出て来るキャベツのお漬け物も浅漬けで酒に良く合う。
ニンニクを乗せた「ニーレ(腎臓)刺身」(450円)の美味いこと。
ノッケからたまらないネ。
此処は二代目の若き主人がご夫婦で切り盛りしているが、時々初代も店に現れるのだナ。
ホルモンの色んな部位を調理してくれるので評判の店だが、開業したての昭和42年頃は、豚の内臓などゲテモノ感が強く、一般の人に馴染みが薄かったと云う事もあり、初代は辞書を引きながらメニューをドイツ語表現にしたそうだ。
それ故、品書きはご覧の通り、ツンゲ塩焼、ヘルツ塩焼、ウルテス酢の物と云った具合だ。ツンゲはタン、ヘルツはハツ、それにウルテスはコブクロでアル。
今では、この表記の方がかえって眼を引くらしく、若いお客さんたちも増えているみたい。
「豚耳」はコラーゲン豊富で、酢味噌をつけると美味くて箸が止まらない。
「味噌炒め」(450円)は、ダルム(小腸)とレバーをフライパンで味噌味に炒めた名物料理だ。
此処のホルモンは、串焼きではなく、フライパンで炒める。
そして、最後に刻み葱とニンニクが乗る。
此処の「煮込み」はあっさりとした味付けだが、これにもまたたっぷりのニンニクと葱が乗る。
これは、好みでニンニクが苦手ならば、入れないでと頼む事が出来る。それ位、アットホームな店なのだナ。
続いて「なんこつ塩焼き」(450円)と「ツンゲ塩焼き」(450円)も戴いた。
そろそろ満足してきたので、〆に絶対ハズせない定番名物「ぞうすい」(500円)をお願いする。
こちらは、奥様が愛情込めて作ってくれて、熱々でハフハフなのだ。
オヤジ三人大満足のホルモン三昧でしたネ。
小体の店だから、類さんの情報で増々混んでしまうかナ。