東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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ほぼヘベ日記/春分の日、雨の桜台でやきとんに酔う。

仕事場に向かう途中、道端に海棠の蕾みが膨らんでいるのを見つけた。
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桜の花と同じ頃に美しい花を咲かせるのだろうなぁ。

3.11に起きた未曾有の東日本大震災と原発事故から二週間が経とうとしている。

東北の太平洋湾岸地域をはじめ被災地では、自衛隊や消防職員、地域住民、それに全国各地から集まっているボランティアの方々が日夜被災地支援に全力を注いでいる。都内の大きな街道も被災地へ物資を運ぶトラックが次々と通り過ぎて行く。

無事に被災地の方々に届く事を願いながら、過ぎ去る車の群れを眺めていた。昨日は以前旅をした東北の事を書いてみたが、記憶と共にその土地の匂いも蘇るのだナ。

さて、東京に長く住んでいると自然界の匂いに疎(うと)くなる。

年が明けて、土から蕗の薹(とう)や土筆(つくし)が顔をのぞかせる時季が来るとその香りもまた春を呼ぶのでアル。山菜を摘んで、家路を急ぎ開いた新聞紙の上で土を落とし分けるのだ。大きな鍋にたっぷりと湧いたお湯でアク抜きをし、佃煮を作る。家々で味が違うのだが、近所の皆が持ち寄って来るので、色んな味を楽しめるのだナ。
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      (フリー写真素材『接写でござる』より)

      土筆揺れしゃがむ乳房も揺れてをり   八十八

今も食卓に乗る山菜の佃煮は、幼い頃に嗅いだ野原の匂いがする。
その田舎を無くした方々が東北地方に大勢いるのかと思うと、今も胸が苦しい。

       ◇        ◇        ◇
春分の日の月曜は、終日春の雨が降り続いた。
前日に野方『秋元屋』に伺ったので、この日は桜台に開いた『秋元屋』にお邪魔した。

池袋で電車を乗り換え、桜台駅を降りるともう眼と鼻の先だ。
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傘を開く前に店に着いてしまうのだネ。

四時口開けの店内は、雨のせいかまだ空いていた。
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三浦さんの立つ焼き台の横に座り、生ビールから戴いた。

小体の店内は13人程座れるコの字カウンターに小さなテーブル卓に10人程座れるのかナ。

品書きはほぼ野方店と同じだが、フライヤーが無いため揚げ物は無い。そのかわり桜台にしか無い一品も有る。お馴染みのキャベツに加えて、こちらではレタスも人気だ。
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味噌とマヨネーズを付けて食べれば、よい酒のアテになる。レタスなんてものは、余り栄養も無く美味い訳じゃないが、あのシャキっとした食感を楽しむ野菜なのだナ。

半焼きたんも半焼ハツも三浦さんの絶妙な火加減で素晴らしい。
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サスガ秋元屋ナンバーワンの焼き手は腕が違うネ。野方ご常連の皆川さんが足繁く桜台に通うのも頷ける。
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このネギロースも桜台のみだ。

酒を三冷ホッピーに替え、自慢のつくねを戴いた。
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野方店ではチキンボールだったが、こちらは軟骨も入った豚のつくねでアル。
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店で手作りしているだけあって、ジューシーな肉汁が口一杯に広がって実に美味い。

三冷をおかわりして、お次ぎも桜台のみのオリジナルを戴いた。
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どうですか、このグツグツと煮立つスープは!

この牛テールスープは、桜台店スタッフの片倉さんが作っている。
隣りで食べている人のを見ると皆注文してしまう程の人気メニューだ。
彼は寡黙で控えめな方だが、こんな素晴らしい一品を作れるのだから凄いネ。このスープは少しだけ濃い目の味になっているが、それだけ酒がススむのだナ。

八広の『丸好酒場』にも「じゃがカレー」なる一品が有るのだが、ご飯に合うカレーじゃなく、あくまでも酒のアテとして作っているのだ。
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この牛テールスープも同様だ。毎回、有るかどうか判らないが、タイミング良くメニューに有れば是非とも一度ご賞味願いたい味でアル。
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野方店と違って、外に行列は出来ない。何故ならば、皆さんご近所から集まってくるので、席が埋まっていればまた出直してくるのだネ。開店から早や三ヶ月程が経つが、もう地域に根付いた名店になっている。
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気がつけば後ろのテーブル席も一杯だ。まいちゃんもテッシーも野方での経験が活きており実に小気味良く動いてる。
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特製ハイボールも変わらずキリリと冷えて美味い。
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日曜の「ヨジアキ」は当分変わらないだろうが、時々時間を作って桜台にも顔を出そう。三浦さん、ご馳走さまでした。
by cafegent | 2011-03-24 17:02 | 飲み歩き