日々ヘベレケ日記/じんちゃん、兵六と黄昏ハシゴ酒。
2011年 06月 24日
サラリーマン時代、事在る毎に新たな企画を立て海外出張申請をした。1週間の出張の場合ならば、4日程有休を足し其処から足を伸ばす。
仕事で廻る先はニューヨークやパリ、ロンドン、それにミラノなど大都市ばかりだったので、一段落すると列車に乗り地方へと旅に出た。
しかし、四十を過ぎた頃から、日本を余り知らないと云う事に気がついた。青春18切符などもずっと後になってから、大人でも使えるのだと判った次第でアル。
仕事で新幹線に乗ると、座席シートのポケットに「トランヴェール」なる冊子が備わっている。JR東日本企画が編集したフリーペーパーだが、いつも東日本の特集を読む度に胸躍る気持ちになった。
その年の秋、紅葉の奥会津を旅して、念願の只見線に乗った。丁度、SL列車が只見線を走る時期だったので、会津川口駅と会津中川駅間の絶景ビューポイントへと向かった。
汽笛の音が森の中から響き、段々と轟音が大きくなってくる。
川面に映る紅葉の上を走るSL会津只見号が白い煙を吹き上げながら進む勇姿は、見事だった。
このタイミングで発売されたのが、「JR東日本パス」でアル。
一万円で終日、何処でも東北の新幹線や在来線が乗り降り自由なのだから、魅力的だ。しかし、日帰りと云うのもチト厳しいので「大人買い」で二枚購入した。これならば、間の区間だけ実費を払えば行きと帰りにこれを使えば良い訳だからネ。
先日訪れた遠野の風景は、ジョン・フォード監督が撮った往年の名作映画「わが谷は緑なりき」を思い出した。
遠野の小川のせせらぎが、初夏の風にゆらゆらと舞い落ちた新緑の葉を下流へと運ぶ。稲田からは蛙の鳴く声、樹々の間からはホオジロやウグイスの啼く声が青空に響く。
釜石線の車中で出会ったお爺ちゃんは、とっても可愛い人だった。一緒に酒を酌み交わしたのだが、話をしながら寝てしまったり、僕らが先に降りてしまったから、さてちゃんと家路に辿りつけただろうか、ハテ。
遠野の村をバスで案内してくれた運転手さんとガイドのオバちゃんも気さくな方たちだった。バスに乗り込んだのは、僕らだけ。なんだか、家族4人で旅をしている気がしたネ。
山と山に囲まれた東北の風景は見渡す限り稲田が広がり、緑の世界だ。
この辺りは低い田舎家と田畑が続いているが、3月の大震災の時は可成り揺れが大きく陶窯が崩壊したりと云った被害も多かったそうだ。
遠野から十駅目の終着駅が釜石だ。気仙沼やなど海岸沿いは震災後の大津波により甚大な被害を被った。今も地震の影響による地盤沈下で町が冠水し易くなっているらしい。梅雨が近づいている東北地方では、まだ不安が募るばかりでアル。
僕が遠野を訪れた日も大きなワンボックスカーやトラックに乗った地元の人々が、大船渡や陸前高田へ支援に向かうところ、と言っていた。
復興まではまだ何年もかかるだろう。それまでの間、出来るだけ東北に足を運びたいと思う。
◇ ◇ ◇
さて、東北の旅から十日間が経った。
昨日は朝一番でランニングをした。髪を切ったら、シャワーを浴びても乾きが早いから楽になったナ。
午後五時半、まだ日暮れ前だが、仕事を終え本郷三丁目へと向かった。大江戸線の改札を出て春日通りを右手へと曲がると本郷通りに出る。
「本郷もかねやすまでは江戸の内」と云う古い川柳が残っている。
『かねやす』は、本郷三丁目交差点の地下鉄駅側の角辺りだネ。
本郷通りを丸ノ内線改札側に進むと目指す酒場は近い。
昭和の面影を色濃く残すエチソウビルは、昔から『酒蔵駒忠』が在る。
その『酒蔵駒忠』の角を曲がると、かつて焼鳥『串安』が在った場所に行列が出来ている。
そして、僕の後ろにも続々と列が並ぶ。
昨日は一人だったので、先ずはサッポロ赤星の大瓶を戴いた。
幕開けは、ガツ刺しから登場。
そして、大根お酢。
生は自粛中のレバなので、軽く塩で炙って貰った。
この日は、僕の隣りに座った方々と仲良く吞んだ。
宮澤さんと唐崎さんは、『じんちゃん』の入っているエチソウビルの二階に「R.G.design」という一級建築士事務所を構えているのだそうだ。
毎日毎晩、『じんちゃん』の暖簾が出ると、美味そうなもつ焼きの匂いがビルの階段を伝って、仕事が手に付かなくなるそうだ(苦笑)
で、この日は五時半頃仕事を切り上げて並んだらしい。
毎日、上から並び具合をチェック出来るのだから、羨ましい限りだネ。
今朝、彼らからメイルを戴いたのだが、この賞状は、この後ちゃんと彼らが額装して、お店に飾ったそうだ。
すっかり日も暮れた午後7時半、神保町へと移動した。
暫くすると皇居二周10キロランナーのビリー隊長がやって来た。
ところ天 鼻から出たる 痛さかな
それにしても凄い句だネ。流石、落語協会会長の小三治師匠だ。
午後10時を廻り、ビリー隊長もそろそろ電車が厳しい時間となった。
そんな事を想い浮かべながら、駅へと向かうのだが、先程の梅割りが効いて来た。あぁ、すっかりヘベのレケになっちまったのだナ。