東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々へべ日記/『ばん』から恵比寿『かおる』へ梯子酒。

暦は二十四節気で「小雪」になった。
と云っても、ウィスキ〜がお好きでしょ、の小雪じゃぁナイ。

札幌で昨日地震があったが、これから増々積雪も多くなるので、心配だネ。実家に電話を架けてみたが、我が家は何ともなかった。

余震の続く東北地方の被災地の方々も厳しい冬を迎える。その事は日々忘れずに生きようじゃないか。

七十二候では、「虹蔵不見」(にじ、かくれてみえず)。冬が来て陽気も少なくなり、虹も見えなくなる時季なのだナ。
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まぁ、実際の季節と比べるとまだまだ空は明るいのだけどネ。
      ◇        ◇        ◇
そろそろ、川越の友人からさつま芋が届く。毎年楽しみにしている。

川越札の辻のさつま芋は江戸の昔から美味いと有名だ。

先日も書いたのだが、お江戸日本橋から川越札の辻までの距離が十三里だったそうだ。それをもじって、栗(九里)より(四里)甘い十三里半(九里+四里より上だネ)とさつま芋の事を「十三里半」と呼んだ。

我が家の方は、寒くなると今でも石焼き芋の屋台が来る。子ども達は親爺さんのなぞなぞに答えて、焼き芋のおまけを楽しんでいるのだナ。

栗より甘いさつま芋だが、どうしてどうして栗だって美味いよネ。
少しねっとりとした天津甘栗も美味いが、ホクホクの和栗で炊いた栗ご飯は秋ならではの幸せだ。
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また、甘く煮詰めたグラッセもウイスキーに合う。

最近はあの渋皮が剥きやすくなった品種も開発されたそうだ。
「ポロタン」と云う品種で、この栗で作ったマロングラッセは、ひと粒ナント600円もするそうだ。

一本800円近くする焼き芋が有るかと思えば、こんな究極のマロングラッセもあるのだネ。美味を求めると、きりがないネ。
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     行く秋や手をひろげたる栗の毬(いが)

芭蕉が詠んだ栗の句だ。伊賀滞在時に詠まれたもので、手をパッと広げた様に栗のいがが弾けている様子が浮かぶ。
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毬(いが)は「伊賀」にかけたのかもしれず、伊賀人との心が開いたと詠ったのかもしれないナ。
      ◇         ◇         ◇
閑話休題(それは、さておき)。
毎週火曜日の深夜に放映しているドラマ『深夜食堂』は、毎回素晴らしい短編映画を観ているようだ。
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阿倍夜郎さんの原作漫画ももちろん素晴らしいのだが、いつもホロリと泣かされるのだナ。
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そして、単純な思考回路なワタクシはいつも登場する料理に感化されてしまう。そんな訳で夕べもクリームシチューを作った。

鶏肉に小麦粉をまぶして鍋で炒め、ジャガイモ、玉ねぎ、人参、莢いんげんなどを一緒に煮込む。
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肉と野菜から十二分にダシが取れるから、これだけでも美味しいスープが出来るのだが、あえてシチューにするのだナ。
仕上げにパルミジャーノ・レッジャーノを摺って入れるとコクが増す。

土鍋で炊いたご飯にかけても美味い。
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ちょいとベランダに出て外の冷たい風に当り、寒い一日の締めくくりの様に食べるのだ。ほら、ホッコリと躯が温まりお代わりしたくなるのだヨ。
      ◇         ◇         ◇
さて、火曜日は一人で祐天寺『ばん』に顔を出した。
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此処は故ひとみ姐さんが元気だった頃、一番通った酒場だったのじゃないかなぁ。
僕の仕事場が在る大鳥神社からバスに乗ると15分程で祐天寺前に着く。バス停に降りるともう目の前に『ばん』の赤提灯が見えるのだ。

夕暮れ時になると、ひとみさんからメールが届く。「ばんに来ない!」「ばんに居るよ!」いつも一言だった。きっと、長文は苦手だったんだろうネ。

トイレ前の卓席には長年通うご常連たちが集まっていた。僕は一人カウンターのキーちゃんの前で吞んでいたのだが、「こっちに来なよ」の呼び声と共にジョッキを持って移動した。

此処はご存知の方も多いと思うが「サワー発祥の店」でアル。
今も大半の方は生レモンサワーを吞んでいる。もちろんホッピーだって有る。

焼酎の炭酸割りは昔「炭酎」(タンチュー)や「バンタン」など色々な呼称があった。「バンタン」は当時、映画「番場の忠太郎」(瞼の母)が流行って忠太郎の忠を焼酎の酎にもじって、番場の忠太郎の炭酸割りで、こう呼ばれることになったそうだ。

漫画家の故滝田ゆうさんが、中公文庫の『また酒中日記』(吉行淳之介編)の中で「バンタン」の事を紹介していた。
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毎週火曜日の『ばん』は、茹で玉子がサービスで付く。僕はこれを名物の「トンビ豆腐」に入れてトロトロに煮込まれたトンビ(豚の尾)を玉子の黄身に浸けて食べるのが好きなのだ。
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そう、門前仲町『大坂屋』の玉子入りスープに煮込みを浸けて食べるのと同じだネ。これ、本当に美味しいので是非とも試して欲しいものだ。

此処は焼酎の量が多いので、つい吞み過ぎるとヘベのレケになる。
この日も久しぶりの方々にお会いしたので、レモンサワーにホッピーとちょいと呑み過ぎた。

でも、愉しく酔えたなぁ。ツイッター仲間のYOSHITAKAさんにもお会い出来たし、嬉しい限り。

『ばん』を出て、恵比寿方面に歩く。外の風に当たれば酔いも冷めるかと思いきや、余計に酔いが廻ってしまったのだナ。
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二軒目に酒寮『さいき』を覗いたら、あいにくの満席だった。

『縄のれん』も賑わっていたので、今年の夏に改装再開した焼き鳥『かおる』にお邪魔した。
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此処もとても居心地の良い酒場でアル。
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カボスサワーを戴いていると仕事帰りのカミサンがやって来た。
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湯豆腐を戴いたが、これまた美味し。此処は何を頼んでも美味い。
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和洋有るのも嬉しい限り。

カミサンが串を頼んでいるうちに僕はカウンターで寝てしまった。
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二代目に呆れられながら、なんとか起きてみたが『ばん』の酒がボディーブロウの様に効いて来たのだナ。

もう一軒行くとほざいてウルサかったらしいが、トンと記憶にない。
我が家でも呆れられる始末であった。こうなるともう記憶が飛んだモン勝ちかもネ。うひひ。

「東京自由人日記」バンタンの記事
by cafegent | 2011-11-25 11:28 | 飲み歩き