日々是日記/初観音から至福のハラミを求め『みやこや』へ。
2012年 01月 19日
春を迎えぬ冬はない
今朝、海福寺の前に出ていた法語でアル。
時々、目にする法語が心に響き、一日の始まりをとても爽やかにしてくれる。もう随分前だが、仕事関係のトラブルで憂鬱な気分になっていた時に何処かの寺に貼られていた言葉に救われたこともあった。
心が渇いている時は挨拶をしよう。
自身のみならず相手の心も潤う。
このコトバに随分と気持ちが穏やかになったものだ。
他にもずっと心に残っているコトバを記しておきたい。
たとえ明日、世界が滅びるとしても、
今日、君はリンゴの木を植える。
東欧の詩人ゲオルグの詩の一節だが、作家の開高健さんは生前このコトバを色紙に良く書いており、酒場などに残している。これも、何処かの寺で見てノートに残したっけ。
◇ ◇ ◇
昨日は、初観音の日。浅草観音浅草寺では、「亡者送り」が行われた。
24人の住職が交代で七日間、昼夜不断の祈祷を続ける。最後の日の夕刻、最後に貫主が修法を行い、読経が終わると真っ暗になり闇の中から真っ赤に燃える松明(たいまつ)を手にした鬼が二人現れる。
鬼達は境内を駆け下りて松明を地面に叩き付けるのだ。これで魑魅魍魎(ちみもうりょう)の悪霊を払い天下太平を祈るのだナ。
今から355年前の江戸の昔、江戸城天守閣と市街の大半を焼失し、10万人以上もの死者を出した「明暦の大火」が起こった。これも1月18日の出来事でアル。
恋の病に臥せった16歳の娘お菊が亡くなった。寺での法事の後、しきたりに沿って娘の振り袖を古着屋に売り払った。その振り袖は別の娘お花の元に渡ったが、その娘も病死した。
振り袖は、また別の古着屋を経て、別の娘おたつの手に渡った。だが、彼女もまた病死した。明暦元年、1年、2年の1月16日、三人が次々と同じ日に亡くなり、三家の家族が相談し、彼女らが袖を通した振り袖を本郷円山町の本妙寺にて供養してもらうことになった。
和尚が読経し、奇怪な因縁の振り袖を火の中に投げ込むと、突如吹いたつむじ風により火のついた振り袖が舞い上がり寺の本堂に燃え移った。その火が江戸中に広がり大火となり、「振り袖火事」の名がついた。
以来、1月18日は「振り袖火事」の日と言われている。
列島の太平洋側では、この冬記録的な乾燥日が続いているネ。34日連続とのことで、昨日東京に乾燥注意予報が出た。
空気が乾燥すると静電気も起きるし、火災も起こり易くなる。
このところ、また地震も続いているし、振り袖火事じゃないが、十分に気を付けなくてはならないネ。
◇ ◇ ◇
さて、夕べは「亡者送り」の後、木場『河本』の暖簾を潜った。
ガラリと戸を開ければ、いつもの面々がホっピーに酔っている。
午後8時、営業終了と共に奥から猫のモコが現れた。この後は猫ちゃんたちの夜宴の時間でアル。我々は早々に引き上げないとネ。
ちょいと肉が食べたくなったので、武蔵小山の名店『ホルモン道場みやこや』に向かった。駅前でカミサンと合流だ。
此処は、大坂鶴橋の焼肉屋に見られる様にカウンターに幾つものガスロースターが乗っている。カウンター焼肉なので「お一人様」でも大丈夫なのだナ。
串の焼きとん類も有るし、酒のアテも豊富だ。ホルモン類も充実しており、何でも美味しいのだが、特に評判なのがハラミでアル。
此処を教えてくれたバーのマスターは、「みやこやのハラミが食べたい時は、店を臨時休業にする」と云ってたっけ。でも、その言葉に嘘はない。本当にスバラシイのだヨ。
そして、飲み物はホイスに限る。下町のボールと双璧を成すのが、山手のホイスなのだから。なにより、此処のご主人後藤さんはホイスを造る後藤商店の家系なのだから本家ホイスを飲むことが出来るって訳だ。
続いて、カシラとミノを相盛りでお願いした。
ホイスもクイクイと喉を通る。むふふ、な幸せ。
歯ごたえ系好きなカミサンは、ミノが大好物。二人して暫し焼くことに夢中でアル。
此処は一階はカウンターのみだが、二階が座敷になっている。イメージとしては赤羽『まるます家』の二階を小さくした感じかナ。あぁ、押上『まるい』の二階にも雰囲気が似ている。15人程入れるが時には20人以上で宴会を開いている方々も見受けられる。
夕べも二階は賑やかだったなぁ。会社の新年会だろうか、一階のトイレの前でずっと若者に説教垂れている御仁が居たものナ。
此処はご主人が肉を捌き、息子さんがつまみ類を受け持ち、ホイスを作る。実に仲睦まじい親子の姿に僕らも和むのだ。
満足満腹!武蔵小山は、こんな名店が点在しているから日々徘徊が愉しいのだナ。
『みやこや』は、働く人の酒場『牛太郎』のすぐ先でアル。是非!
ハラミでしっかり腹を満たしたので、隠れ家『Bar 酒音(Shu-On)』へ。細い階段を上がり、戸を開けると結構入ってる。だが、なんとかカウンターに座れたのだネ。
馴染みの酒場で、馴染みの顔に出会い、他愛無い会話に心が和んだ。
寒空の下、冷たい風が酔いを覚ましてくれた。こんな晩は、星と対話が出来そうだ。