東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々ヘベレケ日記/立石根岸東十条と縦横無尽梯子酒。

      大寒や真白き空を眺めをり   八十八

今日から大寒だネ。一段と寒さ厳しくなる季節がやって来た訳だが、東京は今朝雨から霙(みぞれ)に変わり、初雪が舞った。
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今朝仕事場へ向かう途中、品川スイムスクールの裏側では温水プールの排水で出来たのだろうか、温かい水溜まりで鳩や雀が浸かっていた。
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鳩たちも今朝の初雪に驚きながら、羽を温めていたのだろうネ。

冬の夜空は、空気が澄み東京でも綺麗に輝く星を眺めることが出来る。帰り道、ちょいと空を見上げれば、小さな幸せに出逢えるのだナ。

      大寒や北斗七星まさかさま

僕の大好きな俳人・村上鬼城(きじょう)の詠んだ句だ。

大寒の夜、何気なく空を眺めた時に目に飛び込んだ北斗七星の姿は、澄んだ空気の中で一層輝いて見えたことだろう。

柄杓のカタチの星座が真っ逆さまに目に映った時の気分がダイレクトに伝わってくる。「まさかさま」が素晴らしいのだナ。耳が不自由だった鬼城ならではの、心で感じたままに詠み上げた名句だネ。

鬼城は、正岡子規に句を習い、子規亡き後は、高浜虚子に師した。
もう随分昔になるが、9月17日の鬼城忌に高崎の龍広寺にある墓前をお詣りしたことがあった。

毎年、大寒を迎えるとこの句を思い出すのだナ。
     ◇        ◇        ◇
昨日は、酒朋ビリー隊長が早めに仕事が終わるとの連絡があり、午後5時過ぎに仕事場を出た。もちろん、京成立石へと向かう訳だが、この時間のダイヤはどうも遠距離の帰宅組に合わせているためか、快速や快特が矢鱈と多い。

当然、立石は普通電車しか止まらないので、途中駅で通過待ちとなる。
ワタクシ卑しい吞んべいなので、この数分間がじれったいのでアル。
『宇ち多゛』に何人の列が出来ているだろうか、うんぬんかんぬんと頭の中がモヤモヤし出すのだナ。

やっと京成立石駅に到着すると、もう足は勝手に早歩きになる。木曜日は『栄寿司』も休みなので静かだが、『宇ち多゛』からは活気溢れる声が外まで響いていた。
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裏側に周り、赤暖簾を持ち上げると既にビリーが居た。シンキをアテに梅割りを煽ってる。

宗さんと目が合うと口の両端を少しだけ上に持ち上げ、笑いながら「其処で良いかい?」と無言の合図。いつもは奥の卓が定席なのだが、ビリー隊長が中席に座っていたので、この日はそちらへ。
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暫くすると地元のウーさんもやって来た。ビールから梅割りに移り、良い塩梅に酔い始めた。

この日の話題は、もっぱら自転車ホッシーだったネ。ここ数週間、十二指腸の調子が良くないとのことで酒を控えた方が良い筈なのだが、相変わらず酒場で出逢う。ビリーも赤羽で出逢ったと云っていた。

そんな訳で、宗さんから「体調が良くなるまで、当分の間此処に来ちゃ駄目だ」との愛に溢れた「出禁」宣告をされたのだナ。

まぁ、冗談だが、それだけ皆がホッシーの躯の事を心配してるってこったナ。さぁ、明日の朝はホッシーが、どんな顔して宇ち入りするのか愉しみだ。

『二毛作』も定休日なので、我々は早々に立石を引き上げた。
青砥で乗り換えて、向かう先は鶯谷だ。と云っても、立ちガールを買いに行こうって訳じゃぁナイ。
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絢爛豪華なラブホ街を抜けて、言問通りを渡り、路地裏を抜ければ居酒屋『鍵屋』の灯りが見える。
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此処は「根岸の里の侘び住い」、大正時代の面影を今に残す風情溢れた酒場でアル。

先日、吉田類さんと訪れた小金井公園内の『江戸東京たてもの園』には江戸期に建てられた昔の『鍵屋』が移築保存されている。
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それはもう見事な造りで必見だ。
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まるで、そのまま時代劇に出てくる酒場の様だ。

丁度、先客がお勘定を済ませた所だったので、燗付け器の前に座る事が出来た。
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この日の肴は、煮こごりだった。これが、堪らなく美味い一品なのだ。
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我々は唯じっと、桜正宗のぬる燗を待つ。
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店主の清水賢太郎さんは、いつも僕らには大振りの蛇の目本きき猪口が差し出される。隣りの御仁には小さなお猪口だが、我々よっぽど大酒呑みだと思われているのだナ。
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二本の徳利が目の前に置かれ、さて乾杯。甘口の桜正宗はぬる燗にすると味が絶妙なバランスに変わるのだ。辛口の大関は熱燗が良し。
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大きな楓(カエデ)のカウンターで酒を酌むと、とても居心地が良い。
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長い年月を経て飴色になった店内は、所々に時代の陰影が宿っている。正に、東京の居酒屋の有るべき姿、此処に在りと言う訳だ。酒も肴も設えも、その総てが古き良き東京なのだ。
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煮奴の変わらぬ味も良し。畳みいわしも酒がススむ。
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さぁ、お猪口の蛇の目が廻らぬうちに最後の酒を呑み干そう。

賢太郎さん、女将さん、ご馳走様でした。程良く酒に酔い、店を後にした。

さて、三軒目は東十条へ。JR東十条駅北口2番出口を出て、そのまま真っ直ぐ進む。
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ニュー加賀屋を過ぎると正面にセブンイレブンが出る。その右隣りが大衆酒場『みとめ』だ。
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青いテントが僕らを呼んでいるのだネ。

此処も素敵なコの字ワールドな酒場でアル。
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左右に扉が有るので、夕べは左側へ。
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ビリー隊長は酎ハイを頼み、僕は麦焼酎のお湯割りにした。

酒のアテは、みとめ自慢の「スタミナ」だ。
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野菜が11種類も入っており、ニンニクも効いてホントにスタミナばっちグーなのだネ。
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大きな鍋が、さながら湯船の様にチロリが浸かってる。

この日の東京縦横無尽ハシゴ酒は、立石・根岸・東十条と三軒で終了。雨が降り始めたし、家路に向かうことにした。
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〆の炭水化物を食べていなかったナ、と永谷園の出番で一日を締め括くったのサ。
by cafegent | 2012-01-20 14:46 | 飲み歩き