今年も黒潮に乗って初鰹が北上して来た。太平洋を泳いで来た鰹の多くは三陸沖で水揚げされるのだナ。太平洋沿岸を北上する鰹だが、土佐の高知で水揚げされる時期をもって毎年「初鰹」とされる。
我が家では、たっぷりの玉ねぎとニンニク、生姜、そして大葉をたっぷりと刻んだ鰹のたたきを作る。
日本酒と共に初夏を味わうのだナ。
目には青葉 山ほととぎす 初鰹 山口素堂
目には新緑の青葉が映り、耳には山から時鳥(ホトトギス)の啼く声が聞こえ手来る時季。あぁ、早く初がつをが食べたい!と云う気持ちを句に詠んだのだろうか。
先週、我が街でも時鳥の姿を見た。
なんとも長閑に啼く声に時を忘れてしまった。馴染みの魚屋にも初がつをが入荷したので、初かつをのタタキを味わった。
東京の街は、紫陽花の花の蕾みが膨らみ始めたネ。
季節を目や耳で感じられるから四季の有る我が国は素晴らしい。
◇ ◇ ◇
月曜日は一人で門前仲町の牛もつ煮込み『大坂屋』さんへお邪魔した。
此処は根岸の『鍵屋』、野毛の『武蔵屋』、昔の銀座『卯波』、そして恵比寿の『さいき』同様に大好きな古典酒場のひとつ。
陽が長くなった午後6時、ガラリと戸を開けるとなんとか詰めて頂いて鍋前に座る事が出来た。
最近は四代目に当たるお嬢さんが店に立っているので、土曜日も営業再開したのだネ。サッポロ赤星で喉を潤し、美味いもつ煮込みを戴いた。
三代目の元子さん、先日温泉旅行に行った際に投句した俳句が入選したらしく賞状と印刷された冊子が届いたそうだ。
元子さんは吉田類さん主宰の俳句会『舟』の創立メンバーの一人。
スカーフは 亡き友のもの 十三夜 麗風
「麗風」は元子さんの俳号ですネ。類さんの番組「酒場放浪記」の『大坂屋』の時に伊勢幸祐さんと共に紹介された一句ですネ。素晴らしい。
最近は、お嬢さんも御子息と共に俳句を少し始めたと伺った。
是非、大坂屋句会を開きたいものですナ。
日本酒をクィっと引っ掛けてご馳走様だ。
仲町の参道を歩き、木場へと進んだ。
この日の『河本』は夕立の影響か空いていた。
僕で4人目だったそうだ。
真寿美さんとノンビリ話をしながらホッピーを戴いた。
三軒目は地元に戻り、カミサンと合流。
馴染みの酒場でゆっくりと過ごした。
そうそう、此処のドライカレーは美味い。むふふ。
火曜日も午後から夕立が気になっていたが、埼京線で遠征。
渋谷駅で酒朋ビリー隊長と合流し、一路十条へ。
『齋藤酒場』の暖簾を潜ると、いつも満杯の店内が空いていた。女将さん曰く「ゲリラ豪雨の影響かもネ」とのこと。
スンナリと席に着き「冷やしビール」の赤星を戴いた。
酒のアテは、新ジャガ芋煮とカレーコロッケだ。
窓も入口の戸も開け放たれており、抜ける風が初夏を運んでくる。
何処から吹くのかかすかに新緑の薫りがするのだナ。こんな今の時季の風を「青嵐」(あおあらし)と呼ぶ。
青嵐一蝶(いっちょう)飛んで矢より迅(はや)し 虚子
燗酒を一本づつ戴いてお会計〆て1,710円也。二人でネ!
JRで一駅移動し赤羽へ。
なんとか雨に当たらずに済んだ。
目指す酒場は『まるます家』だ。あぁ、ブレブレ!
店内相変わらず満杯だ。
いつもの入口脇端っこ特設席へ滑り込む。
ボックス席では友人イシガミちゃんと遭遇。『牛太郎』の常連だが、赤羽まで来るのだネ。
お姐さんから間髪入れずに「ジャン酎モヒートでイイのよネ!」と声が架かる。
そして、スーッとアンゴスチュラ・ビタースの瓶も持って来てくれましたネ。感謝多謝!
ホヤ塩辛とイカフライをアテにモヒートがススんだ。
揚げたてのイカフフライ、最高だネ!
ジャンボ酎ハイのモヒートが1,050円にホヤとイカフライが各350円か。
さぁ、お会計!今度は二人で1,750円也。いつもいつもスイマセーン!ご馳走さまでした。
さぁ、『まるます家』を出てスグの路地を左折。
おでんの『丸健水産』は、前日の『酒場放浪記』に登場したお陰で早い時間は激混みだったそうだ。午後八時半を廻った頃は空いていたネ。
赤羽の地酒「丸眞正宗」のカップ酒とおでん一人前の通称「セット」を戴いた。
大好きなちくわぶも入れてくれた。嬉しいネ、美味しいネ。
そして、苦笑いのビリー隊長。苦笑いの秘密は、ビリーのたっての希望で削除!ぐふふ。
心地良い風が通り抜け、外吞みが本当に気持ちいいネ。
あぁ、おでんに芥子を付け過ぎた。
辛い!参ったな、こりゃ。トホホのホ。
マルカップの酒は、少しだけ残して若旦那の浩二さんの元へと持って行く。熱々のおでん汁とにんにく七味を入れてくれるのだナ。
これが食後の〆のスープの様に胃に滲みるのだ。
若旦那のお母さんも遅くまで働いておりましたネ。お疲れ様です。
美味しい酒と美味しいおでん、ありがとうございました!
そんなこんなで夜も更けていったのでアール。