東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/渋谷の至福『鳥重』劇場を堪能!

昨日から急に秋らしい気候になったネ。今朝は久しぶりに長袖のボタンダウンに袖を通した。

先週、渋谷のんべい横丁の焼き鳥屋『鳥重』の女将、東山とし子さんが献上した本が講談社より発売された。目黒の有隣堂書店にも置いてあったので、買い求めた。

本のタイトルは「ぶつよ!」だ。これは、お母さんのいつもの口癖でアル。行儀の悪い客や泥酔した者たちに向けた愛のある叱咤激励の言葉なのだナ。
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ぶつよ!―奇跡の焼鳥屋「鳥重」名物お母さんの元気が出る言葉

お母さんは、毎日間口2坪の小さなヿ字カウンターの中で焼き鳥を焼き続けている。
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一回10人で三回転、一日30人のお客に美味い焼き鳥と酒を提供してくれるのだ。イチロー選手もオフシーズンになると必ず『鳥重』にやって来るし、建築家のエドワード鈴木さんやホリエモンなども此処の味を愛している。

日本一予約が取りづらい小体の焼き鳥屋だが、お母さんの言葉に元気を貰った方は可成り多いことだろう。僕も以前仕事で行き詰まっていた時に「ためいきは命を削るカンナだよ」と云われたことがある。

そんな名物女将の愛ある言葉がぎっしりと詰まった一冊だ。読み終えて、最後のページに「皆様、ありがとうございました」と今まで『鳥重』を訪れた方々の名前が手描きで綴られていた。
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知っている方も沢山居たが、その中に僕の名前を見つけて思わず目頭が熱くなった。

思えば、『鳥重』に行きはじめて32年だ。亡くなったひとみ姐さんたちと行ったのが最初かナ。当時はドタキャンが出たりするとお母さんから「9時半の回、席が空いているけどどう?」なんて連絡を戴いたっけ。

大勢の方々に愛されて61年、この12月29日に幕を下ろすことになった。
もう予約は取れないだろうネ。

台風の時など、予約をしていた方々が皆キャンセルをしてしまい、いつも「のんべい横丁」で呑み歩いている僕や山場などは、そんな時ふらりと覗いて食べさせてもらったりしていた。どれもが懐かしい思い出だ。

『鳥重』を知らない方もこの本を是非読んで欲しい。仕事を愛し、お客さんを愛したお母さんの珠玉の名言にきっと心打たれる筈だ。
      ◇          ◇          ◇
さて、夕べはその『鳥重』の9時半の回に行くことになっていた。その前に武蔵小山『牛太郎』の暖簾を潜った。

店に入るとライターの森一起さんと渋谷のんべい横丁でバー『Non』を営む荒木が呑んでいた。
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荒木はかなりヘベのレケになっていたが、この後もう一軒『晩杯屋』に行くと云う。ちゃんと店を開けられるのか心配だったが、放っとこう。
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途中、ヒゲオヤジ君たちもやって来て一緒に飲むことにした。
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土砂降りの通り雨も去って行き、暖簾の間から心地よい秋風が店内を通り抜けていった。

顔馴染みしか残っていない『牛太郎』、隣りの『ラーメンICHI』から野菜マシマシのラーメンを出前。二郎系の店だが、中々美味いと評判だ。

牛太郎の店主ジョウさん自らラーメンを持って来てくれましたナ。
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たまにはこんなアットホームな酒場になっても良いだろう。なんせ、ラーメンICHIは、牛太郎の焼き場を預かるヒロシ君の自慢の息子がラーメンを作っているのだしネ。

さて、僕は渋谷に移動した。
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『鳥重』を覗くとまだ前の回の方々で賑わっている。お母さんから「もうちょっと何処かで待っててネ」と声を架けられたし、のんべい横丁の表に廻ってバー『Cruva』へ。
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ヨッさんも元気そうでなにより。生ビールを戴いて、鳥重劇場の幕開けを待つことにした。
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午後10時15分、漸く『鳥重』の三回目がスタート。一番左端へ座った。

お店にも本の紹介が貼ってありましたナ。
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昨年までは月に一二度は通っていたが、余りにも予約が取れないと友人たちからも云われたりして、なんとなく今年は余り予約をしていなかった。
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しかし、後3ヶ月で此処が無くなると思うと寂しいネ。今回は一人だったので無理言って入れて貰ったのだが、皆さん、半年以上も前から予約を入れて本当に心待ちにしていた様子だったナ。
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柔らかいもつをタレで焼いて貰う。この味は、此処以外では味わえない名物だ。
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ソトはこんがりカリっとして中はレアで口の中でトロけてしまう。
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大根おろしをたっぷりと乗せて頬張るのだナ。

さて、串が焼ける間にお母さんから何を飲むか聞かれる。今回は赤ワインを戴いた。
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グラスから溢れる程にたんまりと注がれたワインの見事な勇姿。レバーと見事にマリアージュ。

二串目は、心臓だ。普通の焼き鳥屋だとひとつのハツを二つに裂いて、それを3つ程串に刺しているが、此処は違う。
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まるごとのハツを12個も大串に刺して焼いてくれるのだ。これはもう天然のソーセージって感じだネ。プリッとした食感で柚子胡椒が合う。

この日は一人だったので、串は2本で終了。
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後は、究極のレバ刺し「ナマ」を戴く。

夏場の白レバーはまるでトリュフの様なのだ。
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生姜とにんにくで戴き、お次は胡麻油で戴く。あぁ、もうこれが食べられなくなるのかと思うとやっぱり寂しい!
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お手所(おしぼり)を戴いて、お新香と鳥スープで〆る。
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このお新香も大変美味しいのだナ。
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大きな薬缶でコトコトと出汁をとったスープは鳥のエキス満載で最高に美味しい。

これにて至福の「鳥重劇場」の終了だ。

買ったばかりのお母さんの著書「ぶつよ!」に言葉を戴いた。
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これは僕の宝物になるナ。
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カミサンのお土産用に焼いて貰った合鴨とハツと柔らかいモツも受け取った。お母さん、感謝多謝!
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年内にもう一度来よう。お母さん、ご馳走様でした。もう12時を廻ったし、電車の事は忘れよう。

そんな訳で、また酒場へと戻った。

ユニバーサルミュージックの藤田君と久しぶりに呑んだ。CKBの新譜を戴いたので、今日はそれを聴きながら仕事場に居る。
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須永辰緒さんMixのアルバムはゴキゲンだ。

と仕事もしないで日記を書き終えた。
by cafegent | 2012-09-25 14:37 | 食べる