五月雨や桶の輪切るる夜の声 芭蕉
昨日はは朝からずっと小雨が降り続いていた。
芭蕉が詠んだのは梅雨の時季だろうか。五月の雨が桶に溜まり過ぎて、桶の木を囲んでいる箍(タガ)が外れた音が夜に響いたのだろうネ。
芭蕉は「五月雨」の句を幾つか詠んでいるが、一番有名なのは「五月雨を集めてはやし最上川」だと思うが、ボクは先の句が好きなのだナ。
先週の土曜日は朝からいつもの立石朝酒に出掛けた。
『もつ焼 宇ち多゛』の口開けを待っていると、わんぱく兄が仕事へ向かう途中で顔を出してくれた。
小指を骨折したらしいが、酔っ払っての怪我らしく僕も人ごととは思えなかった。お大事に!
さぁ、開店だ!宗さんが皆に酒を注ぐ!
この日は午後から俳句吟行が控えていたので、軽くビールで留めた。
美味いもつ焼を味わった後は、斜向いの『栄寿司』へ。
いつもより30分程早く暖簾が出たので、タイミング良く口開けにお邪魔出来た。
北寄貝やシマアジなどを戴く。
この白えびも甘くて美味しかったなぁ。8貫戴いて、ご馳走様!
午後からは門前仲町へ。
この日は俳句仲間である泥頭(デイズ)さん主宰の「ぶりかま句会」の吟行に参加させて戴いた。「吟行」とは、俳句の題材を探すために名所旧跡などを歩くことを言う。
今回は門前仲町から清澄白河周辺の深川散歩の吟行となった。
富岡八幡宮を参拝し、境内で開催中の復興支援岩手物産市に立ち寄る。
深川公園近くで、風情溢れる八百屋さんを発見。
白薔薇を庇(ひさし)にしたる八百屋かな 泥頭(デイズ)
続いて向かうは法乗院「深川えんま堂」だ。
お賽銭を入れるとえんま様が喋るのだヨ。
商売繁盛や学業増進に加え、浮気封じなんてのもあった。面白いネ。
海辺橋のたもとに在る「採茶(さいと)庵跡」へ。
松尾芭蕉は元禄二年、此処から船に乗り隅田川を進み千住へと渡った。千住で船を降りた芭蕉は其所から「奥の細道」の旅に出たのだネ。
月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。
舟の上に生涯をうかべ馬の口とらへて老を迎ふる者は、
日々旅にして旅を栖(すみか)とす。
ご存知、「奥の細道」の序文だネ。芭蕉の旅を想い浮かべながら、深川を散策。
芭蕉翁と記念撮影!
仙台堀川沿いの「芭蕉俳句の散歩道」と云う小径を歩く。
句碑が幾つも有るのだネ。
さぁ、清澄庭園に到着だ。
此処で我が酒朋の伊勢さんと合流。
風薫る五月の空の下、亀たちも長閑に甲羅干し。
太陽も夏が待ち遠しいのだろうか。
池に降り注ぐキツい陽射しが爽快だ。
庭園の水面がキラリ夏立ちぬ 八十八
黄菖蒲が咲き始めていた。
来月には見事な花菖蒲(ハナショウブ)が咲き誇るのだネ。
右腕に掛けし上着や花菖蒲 山宗
民家の軒先では、もう紫陽花の花が咲いていた。早いなぁ。
芭蕉稲荷神社にお詣りし、芭蕉記念館へ。
今回は此処の二階をお借りしての句会となった。
十二人が参加し、一人五句づつ詠んだ。
いつもは酒を酌み交しながらの句会だが、さすがに芭蕉記念館じゃそうはいかない。
午後の深川散歩で浮かんだ句を詠み終えた。
選句も終わり、いざ酒宴へ。
芭蕉記念館から深川神明宮を抜けて森下駅方面へ。
清澄通りに出て左へ折れると目指す『魚三酒場』に到着だ。
二階の座敷にて深川吟行の打ち上げだ。
先ずはビールで、カンパ〜イ!皆さん、お疲れさまでした。
毎回思うが、此処のコース料理は本当に凄い量なのだナ。
どうですか、このウニと甘えび。
そして、豪勢な刺身盛り合わせに、初めての方は目を丸くしていたネ。
特大エビフライは一人2本と大盤振る舞い。生モノ以外は、お持ち帰りも出来るから嬉しい限りでアル。
魚三名物5.5合の大徳利で酒も戴いた。
皆さん、大いに呑んで大いに食べたネ。
句会の選評に耳を傾けながら、コップの酒が空いていく。
17時過ぎから始まった酒宴もあっという間に20時半を廻ってしまった。本当は二時間だったのに、『魚三酒場』の皆様有り難うございました。感謝多謝!
一応、これにてお開きとなったが、呑んべいたちは次の酒場へと移動した。
こうして酒宴は続いたのであった。
ぶりかま句会にお誘い戴き有り難うございました!泥頭さん、お疲れさまでした。
水の上(え)に生涯うかべ午睡(ひるね)かな
今回の吟行を見事に詠んだ散樽(さんだる)さんの句で締めくくろう。