東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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日々是日記/梅雨明けの東京、鰻で乗り切ろう!

暑い!朝から暑い。
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梅雨が明けた途端、夏が腕まくりをして仁王立ちだネ。

昨日は七月七日、「七夕」だった。

    鵲(かささぎ)の渡せる橋に置く霜(しも)の 
                白きを見れば夜ぞ更けにける

小倉百人一首の中で三十六歌仙の一人、中納言大伴家持(おおとものやかもち)が詠んだ七夕の歌だ。

七夕の夜は天の川にカササギが沢山飛んで来て、互いに翼を広げて「かささぎの橋」を作り、牽牛(けんぎゅう)と織女(おりひめ)の仲立ちをする。
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そのカササギが渡した橋に霜が降り積もっているように夜空は星で真っ白だ。それを見ていると、いつの間にか夜もすっかり更けたのだナ。
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七夕飾りでは、笹の葉に必ず架ける短冊がある。「七夕の夜は晴れますように」、この願いが叶わないとカササギが飛んで来れずに織姫と彦星が出逢えないからだネ。

    彦星の行合(ゆきあい)を待つかささぎの
            門(と)渡る橋を我(われ)にかさなん

こちらは、菅原道真が詠んだ歌。七夕の夜、鵲(カササギ)が渡す橋を、この我に貸して欲しいものだ。そうすれば、橋を渡って都に残る妻に逢えるのに、と詠っているのだネ。

昨日は、僕の会社で一時働いていた山本純クンから電話を戴いた。久しぶりだったので、何だろうと思ったら結婚の報告だった。職場で出逢ったコと七夕の日に婚姻届を出したとのことだった。あのヤマジュンが所帯を持ったとは、大したもんだ。

偕老同穴の契りを結んだ訳だから、末永く仲睦まじき夫婦になって貰いたいのだナ。心より、おめでとう。

夕方、東京の空は夕立に見舞われたが、1時間程でカラリと雨も上がったネ。織姫と彦星も無事に再会出来ただろうか。ハテ?
      ◇          ◇          ◇
閑話休題。

先日、無性に鰻が食べたくなった。だが、折からの高騰により近所の鰻屋でさえ、三千円を越えている。

ならば、と思い立ち新宿駅西口へと向かうことにした。地上に出て、ユニクロの先を曲がれば「新宿思い出横丁」だ。『岐阜屋』や『きくや』、ソイ丼の『つるかめ食堂』等々、馴染みの酒場が軒を連ねている。

中通りの角に佇む『カブト』に来た。
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オープンエアな、コの字の酒場は路地を抜ける風が時おり暖簾を揺らし香ばしい鰻の薫りを漂わせる。

先ずはビールを戴き、乾いた喉を潤すのだ。
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昭和28年創業の老舗鰻串焼きの店は、まさに「ザ・昭和」の世界を醸し出している。店主自身も今の若者たちに古き良き昭和の雰囲気を継承したいと願っている。

焼き台の頭上に灯る裸電球の傘には、永年の鰻の脂が培った痕跡が黒光りしているのだナ。

パチパチと音を放つ紀州備長炭が店自慢のタレを潜った鰻串を香ばしく焼き上げるのだ。

カブトの二代目は、今年81歳だそうだ。
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初代の父の跡を継いで47年になるのだネ。長年、大将のサポートを務めてきた伊藤さんも先月、体調を壊し辞めたと聞いた。伊藤さんは昭和18年生まれだから、今年70歳になるのか。なんでも心臓を患い入院しているらしい。大事に至らなければ良いが、心配だネ。

伊藤さんはもうコの字カウンターの中には居ないが、今は大将のお孫さんが立っており、冷えたキンミヤや酒を注いでくれるのだナ。
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此処『カブト』では、鰻をまるごと一匹味わえる「一通り」を頼むと良い。えりが二串、ひれも二串、きもが1串、蒲焼きが1串、そして最後にればが1串出て来るのだ。
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この「鰻のれば」は、一通りを頼んだ客じゃないと出て来ないのだヨ。

以前は、この「鰻一通り」は1,150円だったが、今は鰻の高騰も続いており、1,540円だ。それでも安いよネ。

ビールを飲み干し、お次は酎(チュウ)を戴こう。
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グラスに盛り切りで注がれたキンミヤ焼酎は、自分でカウンターに置いていある梅エキスで割るも良し。そのまま呑んでもキリリと旨い。

約30分、至福の一時を愉しみ『カブト』を出た。ご馳走様でした!

梅雨明けの東京、あと数回は此処の鰻串の世話になるのだナ。
by cafegent | 2013-07-08 13:46 | 飲み歩き