「こんな夢を見た。」が、しかし夢じゃない幸せなのだ。
2007年 02月 20日
自分でもかなり不可解で不条理な夢を良く見るが、眠っている間は、そのでたらめな世界がちゃんとつじつまが合って繋がっているから不思議だね。これをノートに記すなんてコトもした事はないが、漱石は実際に見た夢を記したのだろうか。それとも原稿用紙の前で浮かんだ10篇なんだろうか。
この映画、監督も凄いが、キャストも豪勢。小泉今日子、松尾スズキ、うじきつよし、中村梅之助、山本耕史、市川実日子、阿部サダヲ、石原良純、秀島史香、藤岡 弘、、緒川たまき、ピエール瀧、松山ケンイチ、本上まなみ、石坂浩二等々蒼々たる面々が出演している。第一夜を撮った実相寺監督と脚本の久世光彦はこの映画が遺作となってしまった、合掌。
先週末、久しぶりに祐天寺にある馴染みの寿司屋『鮨 たなべ』に行ってきた。昨年、何度か電話を入れたが繋がらなかったので、もしや閉店したかな、と勝手に思っていたのだが、「もつ焼き ばん」の帰りにたなべの場所に行ってみたら、いつも通り開いていたのだ。そんな訳で、また美味い飯と酒を楽しんできた訳なのだ。大将に聞いたら、昨年電話の調子が悪くて工事していて繋がらなかった時期があって、何人かの客にも同じ事を云われたらしい。そうだろう、僕だけじゃなかったんだよ。まずはビールで連れを待つことにした。昨年、この店の近くにマンションを買った友人は、僕が長年していた「たなべ」話に期待が膨らみ、ようやく実現した次第である。先日、ブタドクロと行った店で「寿司屋の所作がなってない」と云う話をしたが、たなべは大将の田辺さんも若い職人も実に気持ちの良い所作なのである。カウンターに座った瞬間から幸せなひとときが味わえるのが、良い店なのだ。そう云う意味でも、ここは良い店だ。
さて、この日はまず「ピーナッツ豆腐」と「岩海苔」が小皿で登場。
食べ終わった後にほんのりとピーナッツが香ばしく残ってビールに合うのだ。
「たなべ」では、どんどんと小皿が出てくるので、食べ終わったらカウンターの上に乗せる。そうすると次の料理を用意してくれるのだ。酒もしかりで、空いた猪口を上に乗せれば、大将がなみなみと新しい酒を注いでくれる。
3品目の「白身と蟹と三つ葉、ぎんなんの葛湯仕立て」に合わせて、冷酒に切り替えた。まずは、秋田・六郷の「春霞」を注いでくれた。熱々の葛に冷酒が合うのだ。
4品目に「蟹爪とかに味噌和え」が出され、続いて「白魚のおどり」が登場。
これ、このまま噛まずに飲み込むと生きた白魚が胃を内側から喰いちぎり内蔵を栄養としてお腹の中で大きく育つそうだから、しっかり噛んで食べなくちゃぁ駄目なのだ。(ウソです、はい。)
次に脂のたっぷり乗った富山は「氷見の寒ブリ」を刺身で出してくれた。とても甘くて、口の中で溶けていくこの季節のブリは大間のトロに匹敵するくらいに美味い。そして「岡山産のたいら貝」。分厚い貝柱の刺身にレモンと塩でシンプルに食すのだが、一緒に添えてくれた梅和えを少し乗せて食べると、これまた絶妙。冷酒が進む進む。今度は新潟、越後魚沼の地酒「高千代」。これは、まろやかで呑み易い酒だ。
これに合わせて、福島は、いわき市「小名浜のめひかり」を焼いてくれた。
次は「のれそれ」が登場。
そして、さっきの「ブリのアラ煮」が登場。この時期のブリはどう料理しても美味しいねぇ。
と、今度は北海道、「厚岸の生牡蛎」の登場。
今度の地酒は金沢の純米酒「加賀鳶」をトクトクと。これ辛口でイケるっ、やっぱり冬の魚介には北国の地酒が良く合うんだなぁ。
続けて、「子持ち槍いかご飯」が出てきた。
次に出されたのは、「淡路産真あじの自家製干物」。
そして、ここの名物「鮟肝の飛び卵和え」の登場。
で、最後に「バラちらしの小どんぶり」で小皿料理の〆となる。
冷酒もこのへんにしとこうと思ったが、「新潟の北雪が美味いよ」との誘惑に負けてしまった。純米の「北雪」はキリっとした辛口で、次の握りにも良く合いそうだ。
さて、ようやく握りの出番である。が、かなり呑んだし、お腹もふくれた。握りは少しにしておこう、と思ったのもつかの間結局いろいろ食べたのだった。まずはトロ、次にマグロの漬け。
いやぁ、喰った喰った。これだけ喰って呑んだら、幸せこの上なしなのだ。この日は、金正日の誕生日、総書記はもっとゴージャスで沢山の美女をはべらせて呑めや歌えの大騒ぎでもしているのだろうか。でも、きっと僕のこの小さな幸せの方が楽しいんだろうなぁ。日が明ければ、僕も誕生日なのだ。金正日と一日違いって云うのも何だかなぁ。
それにしても、目黒のはずれには何でこんなに美味い寿司屋が点在しているのだろう。
油面の交差点からさらに奥に入った所にある『寿司 いずみ』はその中でも極めつけの寿司屋だ。こんなに行きにくい場所にある寿司屋も凄いが、その味と江戸前のしごとには恐れ入るばかりなのだ。こればっかりは是非自分で味わってみて欲しいけれど、赤酢、白酢、柚子酢で〆た三種の小肌は絶品なのだ。あぁ、書きながら食べたくなってしまった。近々、行くとしようかな。