東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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清風徐来、今宵も酒場で梯子酒

新橋での用事が終わり、昼飯は残暑バテを凌ぐ美味いもんにしようと鰻でもと思ったが、ここん所続いている。駅の方に戻り、久しぶりに『天はる』の天丼を喰うことにした。
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天婦羅なら茅場町『みかわ』、山の上ホテルの『山の上』が好みだが、天丼と云えば、築地の『いしい』、日本堤の『土手の伊勢屋』、そしてこの『天はる』が気に入っている。
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もの静かに淡々と天婦羅を揚げているご主人の姿がまた良いのだ。
『いしい』も『土手の伊勢屋』も働く労働者にエネルギー補給と云わんばかりに丼の汁が濃い味になっているのだが、『天はる』は濃過ぎず程よい味付けである。
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何だか歳を取るにつれて、行く店の順序が入れ替わって来ている気がするなぁ。

さて、話は変わるのだが、中国宋の詩人、蘇軾(そしょく)の漢詩に
「赤壁賦」と云う漢詩がある。
その中の一節に「清風徐来 水波不興」(せいふうおもむろにきたりて、すいはおこらず)が出て来る。

清らかな風が穏やかに吹き、川面には波も立たない。

この詩を知ったのはもう随分前に北大路魯山人の描いた作品を目にしたからである。その時は、「清風徐来」の4文字だけだったのだが、頭の中に気持ちのよい涼風が吹いて来る光景が浮かび、とても興味を抱いたのだった。

広尾の図書館で調べるとこれが結構長い詩で要約すると「客人と共に舟を出していたが、清風が穏やかに吹き、川面には波も立たない。酒を酌み交わし、詩を詠む。月が昇り、月影が水に映り、風の流れにまかせて舟は浮かぶ。客人も喜び、また酒を呑み、肴も尽きてきた。みな次第に舟の中で眠りこけだし、いつしか東の空が白く明けてきてたのもわからなかった。」と詩っている。

どうだい。ねぇ、いいでしょう。
月明かりの下で、穏やかな涼風に舟を預けて酒を酌み交わしたいものだ。って、く〜っ、やっぱ酒かぁーッ!

魯山人が描いた作品でもう一つ印象に残ったのが別の詩である。
こちらも先程のと似ているのだが、「時至 清風 自来」と云う詩だ。ときいたる、せいふう、おのずからくる、だ。
くる時が来れば、自ずから清らかな風は吹いて来るのだ、と云うことだろうか。魯山人が僕に「余り焦るな。自分を信じてじっと待て。」と問いかけてくるようだ。

何故こんな事を書いているかと云うと、久しぶりに『北大路魯山人展』を観て来たからだ。
魯山人の作品展を前に観たのはもう随分前だ。確か池袋のセゾン美術館で開催された『イサム・ノグチと北大路魯山人展』だったから、もう11年も前になるのか。
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魯山人は美食家であり、陶芸作品は花を生けたり、料理を盛りつけてこそ映える、「使ってなんぼ」を追求した「用の美」を提唱し続けていた。
料理を盛りつけた展示方法も「なるほど」と魯山人の意図を汲み取れるように工夫されていた。
魯山人自身は30歳を過ぎてから料理に目覚めたり、古美術を知り、陶芸も観る世界から作家との交流により自ら創り手となり、信楽、伊賀、織部など晩年になるに連れて素晴らしい作品が生まれている。かく言う僕もあれから11年も歳を取っている訳だから、あの頃は感じ得なかった魯山人の想いが少しだけ理解出来たような気がした。

23日(木)まで日本橋三越の新館7Fで開催しているので是非おススメしたい。

夜は仕事帰りに恵比寿『縄のれん』に立ち寄ってみたら9時前だと云うのにシャッターが半分降りていた。お盆明けで仕入れが少なかったので閉めたんだろうか。
あぁ、頭の中があの酎ハイだったのにぃ。

まぁ閉まってるだから仕方ぁない。と『カドヤ』へ向った。
店は相変わらず繁盛しており良い雰囲気を醸し出していた。

日本堤の『大林』しかりだが、玄関の戸が開け放たれているので、中の様子が実に良くうかがえる。
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酒を呑み、和む客の顔を見ればその店の善し悪しが判るってもんだ。
今日も『カドヤ』の客たちは皆いい顔をしていた。
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カウンターにひとみ姐さんとアーティストの遠藤聡明さん、そしてカドヤの小川社長が居たので、同席させてもらった。
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それにしても酒呑みが集うと何だか楽しいねぇ。ここん処、矢野カンメイ師匠の姿をお見かけしないが、聞けば小川社長の新店舗の設計等々で忙しいらしい。いいねぇ、売れっ子は!
新しい店も楽しみだ。
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ソーメイさんの絵はフリーペーパー「88」の表紙でもお馴染みだが、あの版画とっても好きなのだ。カドヤの店内にも作品が飾ってあるが、僕はあのソーメイさんの浮世絵の世界が気に入っている。
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この日も浮世絵の話になったのだが、ソーメイさん曰く「広重にしたって、彼は絵師。彫り師と刷り師が凄いんだよ。」と。その通りだね。

最近の作品はJALの情報誌の表紙を飾っていた。
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それにしても、アーティストって凄いよね。絵を見ただけで誰の作品か判るのだから。独自の作風を確立しながらも、所々で新しいスタイルにトライしたりもしていて、どこかで見つけると「へぇ、これもソーメイさんの絵なんだ。」と驚くことがある。お店もアートも常にトライ&エラーは大事だよね。

そんな所にカドヤのハンサム店長ジュンちゃんがメニューの試作品を持って来てくれた。
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「豚もやし」との事。出された以上、ちゃんと試食しなくちゃ、と食べてみた。うーん、美味しいのだが、パンチに欠ける。胡麻油の風味が程よく香ばしい匂いを放っているが、それならラー油か赤唐辛子でピリっと締めた方が酒のアテにはいいんじゃないか。
などと勝手な事を云ってしまったが、許せ若者。オジさんダテに食べ歩いていないのだから。

開けっ放しの入口は、時として困ることもある。外を知った顔が通り過ぎようとした。
エイジアエンジニアが所属しているプロダクションの社長のケーシーさんだ。「おぅ、丁度いい所に居たもんだ。こっちは4人だ、焼酎おごれッ!!」って、
何だいきなり。全くこの人はいつもこーなんだけれど、憎めないお方。
この日は業界の重鎮、ドライブミュージックの清水社長と一緒だったのでご挨拶。

『カドヤ』を出て、エビスストアの『Whoopee』へ移動。
あれ、懐かしい顔が、と思ったら以前ここで働いていたアスカ嬢が戻っていた。
バルセロナにピアノ留学中なのだが、夏休みで帰省しているとの事だった。
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うんうん、可愛いコが居ると和むねぇ。一日の締めくくりには最高だ。
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気分良く赤ワインも一本空いてしまった。
さて、帰るとするか。
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by cafegent | 2007-08-21 13:16 | 飲み歩き