東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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湯島の『EST!』に丹波の松茸ご飯。幸せが同時に来たみたい。

昨晩、京都から丹波の松茸を戴いたとの朗報を受けたので、友人宅へお呼ばれした。松茸はこれと云って栄養がある訳ではないが、あの香りはたまらない。随分と前に京都の亀岡の旅館で出された松茸料理は今も記憶に残っている。十月になると必ず思い出す味と香りだ。

松茸の香りを存分に味わうのならば土瓶蒸しがいい。家で食すならば、炊き込みご飯がいい。土鍋の蓋を開けた途端に、ふわっと芳醇な香りが鼻を誘う。よく松茸は香りが命なので決して水で洗ってはいけない、と聞いていたものだったが、昨年テレビで京味のご主人が水でゴシゴシと松茸を洗っていた。水で洗ったって松茸の香りは飛ばないと豪語していた。大きな土鍋で炊き上げたので残りご飯をおむすびにして土産に包んでもらった。これは冷めても美味いので、今朝のご飯に大変良かった。

宴の用意が出来るまで、まだ少し時間がかかるとの事だったので、久しぶりのバーに寄ってみた。湯島の駅を上がるとすぐの露地に佇むバー『EST!』だ。
湯島の『EST!』に丹波の松茸ご飯。幸せが同時に来たみたい。_b0019140_1195355.jpg
このバーは都会の喧噪をしばし忘れさせてくれる処である。実に六年ぶりの訪問になったのだが、マスターの渡辺師がちゃんと覚えていてくれたのが嬉しい限り。マスターは健在だが、他の従業員は新人に入れ替わっていた。なんでも、以前のバーテンダー氏は近くの不忍池方面のビルの7階に自分のバーを構えたそうだ。夏の夕暮れ時あたりは景色が良さそうなので楽しみなバーだな。

エストの渡辺師は御歳74歳とのことだ。銀座の吉田翁と同い年だそうである。このバーは盆暮れ以外無休である。故にマスターも毎日カウンターに立ち、シェイカーを振るっているのである。その元気な姿は10歳以上は若く見える。

まずは、マティーニを戴いた。このカクテルはつまみにオリーブが付いているのがいい。空腹の胃に強い酒を流し込む前には何か口に入れる方がよい。
渡辺師は最初渋谷のバーで修行し、その後『琥珀』という酒場に入り、そこから独立したのがここである。それにしても琥珀からこんなに近くに独立した店を出すなんて、当時大騒ぎにならなかったのだろうか。
琥珀は三島由紀夫が愛した店でも或る。時間が許せば、どちらも寄りたいバーだ。
二杯目はマンハッタンをオン・ザ・ロック。前日が余りにも寒かったので、この日は冬仕立ての洋服を来て出掛けたのだが、思いのほか気温が高く汗をかいた。ジャケットを壁のコートハンガーに掛けたのだが、それでも体温は上昇したままだった。マンハッタンは、口に当たる氷がひんやりと気持ちが良かった。
三杯目はギムレット。これで完璧に汗が引いた。小一時間の至福を堪能し、近々また寄らせてもらう事を渡辺師に告げ、店を出た。

やはり、空腹に3杯のカクテルは効くなぁ。でも、気分は上々である。頭の中では「松茸、松茸、京都の松茸〜」とずっと鳴り響いているからであった。
by cafegent | 2007-10-18 15:09 | 飲み歩き