天気が良かったので、目黒から歩き池田山公園まで散歩をした。企画中の仕事のアイディアがうまく浮かばないので気分転換をしたのだ。
途中、美智子様の生家が在った正田家跡地に出来た「ねむの木の庭」へ立ち寄るとのんびりと日向ぼっこをしているお年寄りなどが花を愛でていた。
マーガレットが見事に咲いていた。
ナデシコの花も愛らしかったナ。
池田山公園では、紫陽花も咲き出しており、池のほとりではアヤメの花が空に向かって咲いていた。
池では大きな鯉に混じって、メダカや小魚も泳いでいた。
ちょっと前まではオタマジャクシが沢山居たが、皆カエルになって飛び出して行ったのだろうか。
しばらくベンチに座ってのんびりと過ごしたが、面白いプランが浮かんで来た。矢張り、考え事には頭をスコーンと解放出来る処に限るね。
足元に「蛍袋」(ホタルブクロ)の花を見つけた。
キキョウの仲間で、釣り鐘草とも云われている花だ。ほんと、つりがねを垂らしているみたいだよね。
今日は東銀座の代理店に行ったので、帰りに木挽町で昼飯を食べた。
銀座歌舞伎座の裏辺り、木挽町界隈はなんとも長閑な裏通りだ。
コロッケパンが美味しいチョウシ屋や割烹おさき、老舗の酒蔵秩父錦など、佇まいその物が素晴らしく「木挽町」と云う町にしっかりと馴染んでいるのだ。
イイよね、此の年期の入った佇まい。
此の辺りは、時が止まったかのようにひっそりとした路地が多い。何度歩いても、知らない路地を見つけたり、「こんな処に、こんな店が在ったのか」と云う発見も多々ある界隈なのだ。
新富町に程近い銀座一丁目の小さな路地裏に一軒の蕎麦屋が在るのだ。
それにしても、一体誰がこの路地を通ると云うのだ。此れはもう偶然通らなければ決して見つける事が出来ないのじゃなかろうか。それでも、店はいつも混んでおり暫く外で待つ事になる。
手打ちそばの「木挽町 湯津上屋」は元々在った日本家屋を綺麗に改築したのだと思うが、実に可愛らしい佇まいだ。外の風が気持ち良い昼どき、玄関が開け放たれて暖簾の向こうに中が見渡せる。外観からもある程度想像は出来たが本当に小さな店だ。小さなカウンター席の向こうでは、ご主人が黙々と蕎麦を茹でている。キリッとした女将さんのてきぱきと働く姿も清々しくて実に気持ちが良い。
此処は、塩原の蕎麦屋「湯津上屋」の息子さん夫婦が東京に開いた店だそうだが、実家でみっちりと修行を積んだのか、それはもう素晴らしい蕎麦だ。田舎蕎麦の様な色合いだが、太過ぎず、細過ぎずの絶妙な蕎麦はコシも有り喉越しも良い。
まずはもりそばだが、この季節にオススメなのは「冷やかけすだち」そばだ。
初めて食べた時の驚きと感動を是非お裾分けしたいと思う一品である。冷えたそばつゆに浮かぶ薄切り酢橘の香りが蕎麦の味わいを際立たせ、食後の爽快感だけがずっと残りまた味わいたくなる蕎麦なのだ。
うーん、ジメジメした梅雨の鬱陶しさを吹き飛ばしてくれる程、爽快な蕎麦だ。
外も長閑だね。
美味い蕎麦の後は、近所の喫茶店で珈琲を飲もう。
喫茶ミモザは昭和40年代から時が止まってしまった様である。横のテーブルはインベーダーゲーム機だし、こっちのテーブルの上にはグラスの水に光る布が浮かべてある。
当時、流行ったスナックとかの装飾品ではきっと旬だったのだろう。
灰皿には煎れ終わった珈琲豆を乾燥させて敷いて有る。コレ、脱臭効果があっていいんだよネ。
珈琲も丁寧に煎れており、香りが良い。
こーゆー喫茶店ではナポリタンが美味いのだが、ミモザのスパゲティも評判だそうだ。今度食べてみよう。
僕らと一緒に蕎麦屋に並んでいた二人連れも食後の一服をしていた。湯津上屋からミモザがまるで、コースのようだなぁ。
それにしてもサスガだなと思ったのは、ミモザの女将さんが実に品が良く凛としている事だ。銀座で生まれて、銀座で育ったのだ、と云うオーラを発している事が凄い。木挽町って不思議な町だなぁ。