連日、胸焼けの朝を迎えているような。トホホ。
2008年 06月 23日
西麻布キャンティの階段を下りると、先程まで僕を困らせていた梅雨の湿度から解放されて、穏やかな冷気がシャツの隙間を通り過ぎた。「いらっしゃいませ」の声と共に心地良い風が僕を救ってくれたのだ。
奥へ進みいつものテーブルへ向かうと仲間が既に席に着いており、キールを飲んでいた。いつもはイカツい野郎ばかりの円卓なのだが、この夜は女性が二人居たので随分と華やかな宴となった。当初は肉が食べたいとのリクエストが出ていたので、鉄板焼きか焼肉にでも行こうかと思案していたのだが、キャンティの前菜とデザートのハナシを聴いて居たらしく、どうしても此処が良いと云う事になったのだ。
一緒に仕事をしている者が此の店を贔屓にしており、もうかれこれ30年近く毎週2回はキャンティを訪れているのだ。「もう三千回くらいは来ているんじゃないの?此の店の家具なんて、全部僕が支払ったようなもんだよ。」とあながち冗談じゃない様なジョークを飛ばしている。かの服部幸應先生は飯倉のキャンティ本店に週2,3回通っており、もう五千回以上は行っている、と語っているそうだが、此の店は本当にこんなお馴染みさんばかりが贔屓にしている名店だ。
20年位の間に巷には数えきれない程のイタリア料理店が出来たが、「オーセンティック・イタリアン」な料理を味わいたいと思ったら「キャンティ」しか浮かばないのだ。一時、キャンティ出身者が出した天現寺の「アッピア」も良かったが、結局キャンティと同じ味を倍近い値段で食べる事になるので、居心地の良いキャンティになってしまうのだね。まぁ、テレビで良く見かける方々を生で拝見したい人はアッピアが良いだろう。「笑っていいとも」の舞台裏かと思う時が多々あるしネ。
あぁ、冷たいビールが僕を生き返らせてくれた。痛風持ちの友人はウーロン茶を飲んでいる。かわいそうに。
ワゴンに乗せた前菜が次々とテーブルに並べられて行く。それでも乗り切らず、ワゴンが2つやって来た。前菜は20種類は有るだろうか。
担当のカメリエーレが立て板に水の如く、スラスラと各料理を説明してくれるのだが、最後にはこっちの方が判らなくなってくるのでアル。
お馴染みゴボウのサラダに変わって、山芋のソテーなんてのが登場していた。秀逸のポテトサラダ、鰻の稚魚のオイル煮込み、トリッパの煮込み、鮎のマリネ、季節のフルーツと生ハム、米茄子のアンチョビ仕立て、イベリコ豚のロースト、和牛サーロインの生肉、魚介のサラダ、季節野菜のサラダ、鮃のカルパッチョ、カポナータ(いわゆるラタトゥイユね。)、トマトとモッツァレラ、モッツァレラチーズのフライ、サザエのバジリコバター焼き等々、あぁやっぱり全部は覚えられん。
僕が選んだのは、先ず「岩牡蠣」。
ペロリと平らげたところで、最後の前菜「トリッパの煮込み」が熱々になって登場。
トマト煮込みではなく、肉じゃがの様なホっとする味わいに仕上がっており、汁まで残さずパンを浸して食べてしまった。
ここで、今の時期だけしかやっていないと云う「朝採れのとうもろこしの冷製ポタージュ」を戴いた。日曜日に来たときに教えてもらったそうだが、その日の早朝に収穫したてのとうもろこしは、水分を多く含みとても粒が水々しいらしい。
さて、パスタは今が旬の「ウニとキャビアの冷製カッペリーニ」。
細くて腰のあるパスタに濃厚なウニとキャビアが絡まり、もう「むふふ」な感じ。美味しすぎてどう表現したら良いかわからん。
女性たちは牛とほうれん草のグラタン・フローレンス風を頼み、僕のメインは和牛のサーロインステーキ。
食後のデザートもまた、この店の楽しみの一つだ。前菜と同様に沢山の種類がワゴンに乗って運ばれて来る。キャンティの名物の一つになっている栗のロールケーキ「ネスラード」やアップルパイ、ティラミス、カスタードプリン、等々15,6種類程の中から幾つかチョイスした。デザートも少しづつ種類を味わえるのが嬉しい限りだ。
女性陣は4種類程選んでいたが、こればっかりは別腹なのだろうネ。
最後の珈琲で酔った頭をリフレッシュ。実に素晴らしい宴となった。
皆と別れ、渋谷まで出た。暫く足が遠退いていた「なるきよ」へ向かったのだ。
来月、キラー通り沿いに待望の二号店「やるきよ」を開店すると聞いていたしね。
金曜日がラストとなるバー「マルクス」に顔を出すと、店主の楠林さんはじめ大勢の顔馴染みが集っていた。
皆、ラストデイは混むと思って集ったのだろうか。でも、翌日も結局集っていたネ。
成清君と田中ミッチー、キムちゃんに誘われて九州らーめんの「渋三」へ移動。
キャンティを出てから何時間経っただろうか、と自問してみたが結局食べてしまった。