マジックアワーに誘われて、一日七軒のハシゴ酒。さすがに酩酊だ。
2008年 06月 24日
新緑が眩しい中、雀たちも沢山飛び交い、眺めているだけで心穏やかになれた。
先日、三谷幸喜監督の映画「ザ・マジックアワー」を観た。
マジックアワーと云う言葉は以前、「ほぼ日」に連載していた写真家の菅原一剛さんのコラムで初めて知った映画用語だが、テレンス・マリック監督が撮った「天国の日々」では全編をこの太陽が沈みかけるマジックアワーどきに撮影したそうだ。夕暮れに輝く麦畑の何とも美しかったことか、映像美の魅力に惹き付けられた作品だった。
三谷監督もこの映画用語を知った事で、興味を抱き、そこから内容を考えていったと語っていた。
そして、何よりも此の映画が素晴らしかったのは、初めて喜劇を演じた佐藤浩市の凄さだろう。役者と云う仕事って凄いんだなぁとつくづく感じさせられた。
僕は全編笑い転げてしまった程だが、もうこの一場面だけでロードショーで見る価値があるナと思ったシーンがある。酒場で敵のボスと鉢合わせする場面での佐藤浩市の演技は最高に面白かった。
昔、大友克洋の漫画「ショートピース」の中で、四畳半程の部屋に新年会で四人が集って居るのだが「実はオレ宇宙人なんだよね」ってシーンが有ったのだ。それを思い出しちまって、暫く他のプロットに移っても佐藤浩市の演技を思い出して、笑いが止まらずに困ってしまった程だ。
是非この映画で、とんでもなくクレージーな佐藤浩市を観て欲しいモンです。
それでも、30分も待たずに席に着く事が出来た。久しぶりの鏡下の席。
この日が初宇ち多”と云うモリンコと梅割りにレバ生塩を戴いた。ツル、てっぽうは既に終わっていたが、脂少ないとこ良く焼いてタレで頂き、煮込みも間に合った。
まぁ、仕方ないと夕暮れ時の曳舟川通りを散歩しながら、「岩金酒場」の暖簾をくぐる。
此処は四方一面を蔦に覆われており、古き良き昭和の香りが漂っている居酒屋だ。陽が沈みかけた群青色の空の下、その建物は風に揺れる暖簾を引き立たせて、自ら存在証明を誇示しているようだ。隣家も取り壊されて仕舞ったので、本当にポツンと佇むと云った雰囲気だったナ。
暖簾をくぐり、ガラリと戸を開けると優しい笑顔の姉妹がカウンターの中から「いらっしゃい」と声を掛けてくれるのだ。
グラスに注がれた焼酎は既に此処独自のブレンドが施されており、炭酸の効いたソーダが横に置かれる。
カウンターに座ると、正面には食器棚を覆い隠すかの様に沢山の短冊が貼られている。
ハムカツ、あじフライ、鯨ベーコン、豚モツ煮込みと下町の居酒屋定番のメニューがずらりと書いてある。此れからの季節は、煮こごりや冷やしトマトがビールのアテに最適だろう。
昔から、このお方は酔っぱらってはドコかしらにカサブタ作ってたからねぇ。まるで、マジックアワーが過ぎた後の満月の様なアタマだね。
良い気分になってきた。
この後、新橋「ぼんそわ」へ行きレモンサワーで楽しんだ。
渋谷「Non」ではビールで乾杯。
屋根裏の酒場マルクスがこの日が最後の営業だったのだが、人、人、人で大盛況だった様子。でも、誰に会ったかもまるで覚えていない。
あぁ、参ったネ。
タボちゃん、楠林さん、マルクスお疲れさまでした。次もまた良い酒場を作ってくだされ。