もう秋の匂いがするね。秋は哀愁漂うネ。
2008年 09月 09日
何事も雰囲気から入り、気分を作り上げる僕としては、秋の風を頬に受けながら、独り通りを歩く時も秋の哀愁漂う曲をセレクトしてi-Podで聴きながら進むのだ。
この季節、良く架ける曲と云えば、当然「枯葉」が浮かぶ。チェット・ベイカーも良いし、イヴ・モンタンも素晴らしい。レオン・ラッセルの「A Song For You」も気分だね。フランソワーズ・アルディも冷たい石畳の上を歩いてる時なんかに流れてきたら、急に泣き出してしまいそうになるかもしれない。
はちみつぱいの「君と旅行鞄」とスーパーバタードッグの「サヨナラCOLOR」も哀愁漂うネ。マイペースの「東京」も僕には秋だなぁ。
夕べ、独りで酒を呑みながら、何とは無しに映画「卒業」のサントラ盤を聴いた。サイモン&ガーファンクルの名盤だ。
ダスティン・ホフマンが主演した映画だが、この中で使われたポール・サイモンが唄う歌に「April Come She Will」と云う曲があった。「四月になれば彼女は」と邦題が付いていたが、今もジンと来る歌だね。
四月 彼女はやって来た。川の流れが満ち、雨が溢れる頃。
五月 彼女はとどまり、僕の腕で再び休息している。
六月 彼女の態度が変わるだろう。落ち着かない足取りで夜を彷徨う。
七月 彼女は飛び立つだろう。でも、そっとしていよう。
八月 彼女はこの世を去る。秋風は肌寒く、冷たく吹いている。
九月 僕は思い出すだろう。新しい愛も、今はもう古い思い出になっていたことを。
CDの歌詞カードに出ていたが、訳せばこんな感じだろうか。
聴きながら、何故だか目頭がウルウルと来て、泪が溢れ出てきて仕舞った。この曲も秋だね。タリスカーの18年と共に、過ぎ去った夏を呑み干した。心の中を通り過ぎる風は、遠い異国スコットランドはスカイ島の崖っぷちから吹いて来たのだろうか。
そんな哀愁も一晩寝れば吹き飛んでしまうものだが、うたた寝したまま朝を迎えたお陰で、背中が痛い。うぅ、参ったナ。
それにしても、外の風がサラっとしてきたね。窓を開放して寝るのも気持ちが良い季節になった。
札幌で育った僕には「狸小路」のアーケードを彷彿させてくれるし、都会の中なのに地方都市の安堵感が在る街だね。安くて美味い店も沢山有るし、温泉だってある。
そして何よりも素敵な酒場が多いってのが何よりだね。
そんな「ムサコ」をこよなく愛している方々が作っているフリーペーパーが有る。武蔵小山情報誌「まるっと武蔵小山」だ。
友人の息子もちゃっかり登場しているのが、地元タウン誌らしいネ。
編集もしっかりしているし、僕の好きな店なども紹介されており、保存したくなるMAPも付いているのだ。こんなに地元を愛する人たちが沢山居る街だから、素敵な商店街になっているのだネ。
そんなムサコの名物酒場「牛太郎」が、我らが酒の朋友モリンコさんの取材で今月号(10月号だね)の「料理通信」に紹介されたのだ。
先日、「ホルモン道場みやこや」の帰り道、ほろ酔い気分で歩いていたら、店を閉めたばかりの「牛太郎」の城さんとお会いした。
出版前のゲラを読んだのだろうね、しきりにモリンコの文章に感激していたナ。
僕も丁度取材の時に横で同席していたのだけれど、八月の暑い最中、汗だくになって此の店の歴史や数々のエピソードを伺う事が出来た。
先代が元々紀尾井町の映画の撮影所の近くで傘の行商をしていたハナシや、元々は浅草の染太郎の隣で店を営んでいたコト等々、長年営業してたからこその逸話も数知れずだった。
エアコンも無いコの字カウンターにびっちりと人が並ぶと余計に暑さが増すのだが、冷えたホッピーを一口飲めば、生き返らせてくれるのだ。そのうちに窓から玄関に風が抜けて行く。