東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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「センセイの鞄」に出て来る居酒屋を求めて。

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僕はいつも携帯電話をマナーモードにしている。着信音を出した事が殆ど無い。

大抵、ジーンズの左ポケットに入れているのだが、ちょくちょく鳴っていると錯覚する事が有る。ポケットの中でブルッと携帯が振動したと思い、取り出してみるとそんな気配は全く無く着信は無いのだ。でも、確かに携帯が震えたんだがなぁ...。

ずっと、この事が気になっていたら、先日「R25」誌の中で興味深いコラムを読んだ。
携帯をバイブレーションに設定して、何らかの着信を待っている時に、この「錯覚」バイブ着信を感じる事が有るそうだ。アメリカで研究実証されており、「Phantom Vibration Syndrome」(ファントム・バイブレーション・シンドローム)だと云うらしい。直訳すれば、「幻想振動症候群」でアル。

2007年6月12日付の米紙『USAトゥディ』の記事では、「携帯電話の着信に対する『過剰な意識』がこのような現象を生む」と記されているとの事だ。

ずっとポケットにマナーモードの携帯を入れていると、電話が当たっている太ももがバイブの刺激を「着信」と記憶して脳に伝えるそうだ。それ故に、何か別の振動や刺激(財布や鍵が太ももに当たったり等)で、太ももに何かが触れただけで、勝手に脳の方が、着信が有ったと勘違いしてしまうらしい。人間の知覚システムの「誤認警報」だそうだ。

そして、何かの連絡を心待ちにしている時などに、一層この反応が敏感になり錯覚振動を覚えるそうだ。ガールフレンドからの連絡を待ってる時なんかが多いんだろうネ。

それにしても、こんな事でも解明しようと云うコトが偉いね。またひとつ、どーでもいー事の勉強になったナ。それなのに、相変わらずブルっとした錯覚バイブに驚くのでアル。
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先日、神保町の居酒屋「兵六」へお邪魔した。雨の降る夜7時半頃だったので、店内もお客さんで賑わっており、カウンターも卓も満席状態だった。まぁ、これと云って予定も有る訳じゃなし、のんびりと待つとしようかと思ったら、店主の柴山真人さんが「立ち飲みでも良ければ席を作りましょう。」と声を掛けてくれた。
嬉しいじゃないか。仕事が終わって、真っ先に来たのだから、人肌の薩摩焼酎で自分を癒したい。

窓辺に置かれた数々の鞄類を脇へ退かしてくれて、カウンターの後ろの狭い処に立ち飲み専用スペースを設けてくれた。木の桟にスッポリと納まる四角い陶板が皿の代わりだ。無双の徳利と白湯の入った小さな薬缶もちょこんと置けるのだ。
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立たせちゃって申し訳ない、と真人さんから、きびなごを頂いてしまった。これまた、嬉しいね、優しいね。暫くの間、窓の外の雨を眺めながら、一人酒と向き合ってみた。そう「ダレヤメ」からの解放だネ。

丁度、一つ目の徳利が空いた頃にカウンターが空いた。ひょいと躯を向き直し腰を下ろす。独り呑みも愉しいなぁ、と手作りシューマイをアテに酒を嗜んでいると、卓の方に知った顔を発見。我が酒の朋友、矢野寛明師じゃないか。てっきり四人で吞んで居るのかと思いきや、彼も独り吞みだった。早い時間から近所の「ラドリオ」で一杯引っ掛けて、その後此処へ来たそうだ。良いねぇ。

無双の徳利を何回お替わりしたのだろうか、すっかり酔い心地だ。
時計の針も10時を過ぎていた。それにしてもお客さんが多い。そして、皆知った顔が集っているのだ。皆、長年足繁く通っており、ほぼ毎日仕事が終わると此処の暖簾をくぐるのだろう。
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川上弘美の小説に「センセイの鞄」と云う作品が有る。初老の先生と元教え子との素敵な恋の話だが、ここに大変庶民的な居酒屋が登場する。

毎日、仕事が終わり家の近くの居酒屋の戸をガラリと開け、カウンターに腰掛け独り吞みのツキコさん。約束した訳じゃないが、センセイもまた独り酒を一献つけている。この何でもない情景にとても憧れていた。切なく淡いツキコさんの恋物語、泣けたナ。

そして僕も毎晩ホッと一息つける居心地良い酒場を求めている。だが、一つ処に落ち着けない性分ゆえに東京都内を縦横無尽に飲み倒している訳だ。

自分がもっと何事にも無頓着な性格だったら、きっと一つのお気に入りの酒場を見つけたら、其処しか通わないのだろうネ。欲張りで何にでも興味を抱いてしまうから、毎晩電車に乗って酒場を廻るのだろう。
でも、今暫くは此処「兵六」で独り酒を愉しみたいものだ。

そして、この夜もやっぱり矢野君とハシゴ酒となった。そして、酩酊。
駄目だこりゃ。
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by cafegent | 2008-09-25 17:04 | ひとりごと