イントゥ・ザ・ワイルドに見る「旅」という麻薬。
2008年 09月 26日
アラスカの荒野の中、朽ち果てたバスの中で死んだクリストファー・マッカンドレスと云う青年のドキュメントだが、ペン監督が10年もの歳月をかけて撮った映画だけに期待に胸弾み鑑賞した。
成績優秀で大学を卒業し、何不自由無い家庭環境に育った若者が家族を捨て、生活を捨て、何もかも放り出して放浪の旅に出る。
古びたトヨタを途中で乗り捨て、バックパック背負ってヒッチハイクを繰り返し、川を下り、途中トランプ(放浪者)なヒッピー中年カップルに世話になったり、家族以上に熱く語ってくれる農場経営者や孤独な老人と出会ったり。
皆が、目指すアラスカに到達したら、また戻っておいでと優しい言葉を投げかけてくれる。だが、クリストファーは、彼等との出会いと別れを繰り返しながら、かたくなにアラスカの荒野を目指すのだ。
経験の無さを克服する為に、彼は地あたまの良さで本を読み漁り、人生の先輩たちからウィルダネスな生活のノウハウを学び、無謀な独り旅を続けて行く。
自らを放浪の使者とでも表現したいのか、無謀な青年の幼稚さからか、本名を捨て身分証を捨て、「アレキサンダー・スーパートランプ」と名乗るクリス。
金を燃やしたり、本当のホームレスに交じって、寝床を確保しようとしたり、と若さ故の愚かさに時として腹立たしい部分もあるのだが、彼をアラスカへの旅へと駆り立てた父親との確執を各章の合間合間に挿入する事で、クリスの深層を描こうとしている。
実はアマちゃんのガキなのだナ、彼は。そして、父親に見る許せない過去(不倫)に対する抵抗を大学卒業までジッと心に秘めていたが、卒業と同時に糸がプツンと切れたのだ。そして、ピュア過ぎる心の持ち主だからこそ、「世間を捨てる旅」に出たのだろう。
二年間の放浪の果てにクリスが見た大自然の風景には圧倒されっぱなしだった。雪原や渓谷、峡谷、力強く流れる川のうねり、もう自然の美しさにこの映画の救いを見い出した。きっと彼もこの景色に魅了され、独りで生きることを自問しながら長い一日一日を過ごしたのだろう。
ショーン・ペンはクラッカワーの原作を読んで、これを映画化したいと考え、独自に取材をして見つけた事実も加えて脚本を練り上げた。
ショーン・ペンの解釈によるクリス・マッカンドレスの生涯だ。
きっと、ショーン・ペンはクリスの生き方に共感を覚えたのだナ。それまでの自分の人生に重ね合わせて。
148分と随分長い映画だったが、見終わってその長さに気付く程見入ってしまった。脚本も良かったし、ショーン・ペンの監督としての腕は凄いね。どんだけ編集しても、これだけの長さになったのだろう。
見終わって外へ出ると殺伐とした都会の風景だ。荒野の大自然の美しさと共にその厳しさも感じたが、もっと感じた事は「旅もまた麻薬」なのだナ、と云う事か。
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昨日は昼間御成門に用事があったので、「味芳斎」にて昼飯を喰った。
刺激を求めて、激辛の牛丼にしようと思ったら、アッサリ「品切れ!」の宣告だ。人気メニューだけに、まぁ仕方無いか。此処は他にも沢山美味い物が多いのだから。で、「納豆炒飯」を戴いた。
夜は、日比谷で打ち合せだった。仕事が終わり、さてどうしようか。都営三田線で二駅先は神保町か。
てな訳で、また「兵六」の暖簾をくぐることにした。
カウンターでは、ひとみ姐さんが既に一杯やっている。詩人の紅さん、サッカー好きのフルさんに囲まれて、随分と愉しそうに呑んで居た。
炒豆腐に餃子、つけ揚げと美味しい料理もたんまり戴いた。
あぁ、この夜も大いに愉しく酔った。「兵六」の灯りが消える時刻、皆で連れ立って次の店へと移動する。
交差点を渡り、立ち飲みの「銀漢亭」へ。
出版社が集る街は、やはり物書きの方々も多い。兵六歴40年とか、学生運動の頃から来ていた云々と酒に身を委ね、皆大いに語っていたナ。
「兵六」の馴染み客、京子さんが来月浅草雷門一丁目辺りに酒場を開店するそうだ。「箕笠庵」と云う名だ。なんとも素敵な名前だネ。秦野の近くに箕笠神社と云う処が在るが、別に関係ないんだろうね。
今度から、浅草に行ったら「アロマ」で珈琲飲んで、「正直ビアホール」で喉を潤し、「箕笠庵」の暖簾をくぐるとしようか。
ひとみ姐さんと渋谷に戻り、のんべい横丁の「Non」へ。
フランス帰りの美女たちに囲まれて、またまた愉しく酔ってしまった。
このところ、最後は「Non」で締めくくる夜が多いなぁ。
まぁ、或る意味此処も「センセイの鞄」な店なのだネ。
夕べは歩いて帰る気力無く、終電で帰宅。あぁ、酔っぱらった。