東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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2007年 08月 28日 ( 2 )

「ミュージックマガジン」9月号の表紙をウチの兄貴が飾っていた。
と云ってもイラストであるが、メガネにあご髭を描けば誰が描いても似るのだ。
「渋谷系」なるジャンルの特集であったが、そこに至るまでに彼ら(渋谷系アーチストと呼ばれていた方々)が聴き込んでいたレコードを紹介していたのが懐かしくって良かった。

しかし、お互い近くに居るくせにもう1年以上も顔を合わせていないなぁ。前に会った時も確か偶然どこかの喫茶店だったような気もするし。「便りが無いのは元気な証拠」とも云うし、外で聞いたり、見たりで近況は判るし、まぁ良しとするか。
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そう云えば、もう随分前の事を思い出した。
兄貴が最初の嫁をもらった時の事だ。結婚式が代官山の小さな教会でとり行われ、久しぶりに逢う友人、知人たちが集まった。

式が終わり、次の宴までまだ暫く時間もあったので、代官山に出来て間もない『ラ・ボエム』でお茶を飲むことにした。ご存知の通り、あの店はイタリアン・カフェであるから、パスタ料理なんかがメインである。で、珈琲だって当時はまだ馴染みの薄いエスプレッソなんぞも有る。
で、こっちも気取って「エスプレッソ、ひとつ。」と注文し、暫くぶりの友人と話に華が咲き、夢中になってしゃべっている。そこへ、ホールの方がエスプレッソを運んで来た。

「よしっ」とばかりに、昔イタリアで教えて貰ったエスプレッソの飲み方をやってみることにした。
小さなカップに入った濃いエスプレッソへスプーン3杯、たっぷり目の砂糖を入れるのである。それを溶かしながらドロっと甘〜い「ライオネル・コーヒー・キャンディ」味のエスプレッソを飲むと云う訳だ。

で、友人と話をしながら白いシュガーポットの蓋を取り、スプーンで砂糖をすくっては入れ、すくっては入れと3杯程入れたのだ。別に難しい行為では無いので、会話を続けながら、片手でやって、クルクルッとスプーンを掻き回す。そのままカップを口元へ運んだ途端、ブッハ〜ッと口から吹き出してしまったのだ。

あの白いシュガーポットに入っているのは砂糖じゃなく、粉チーズだったのだ。
おいおい、こりゃ誰だって間違うだろうに、と怒りが込み上げてきたのだが、よくよく見ればエスプレッソの皿には、ちょこんと紙に包まれた角砂糖が2個載っているではないか。
あちゃちゃちゃちゃぁ、話に夢中になっていて見なかったこっちが駄目だった訳ナノネ。
そして、あれ以来、僕は「珈琲はブラック」と決めているのだ。
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日曜日の夕方、権太楼師匠の落語を聴きに行こうと新宿「末広亭」に足を運んだ。
予定では8時過ぎからの上がりとなっていたのだが、夕方5時半上がりに変わっていた。夜席開始早々の登場である。早く行って良かった良かった。何しろ、権太楼師匠が目当てであったので、行って終わっていたら悔しいかぎり。

そんな訳で、昼の部のトリを務める伯楽師匠の「火焔太鼓」から拝見したが、いいねぇ、やっぱりベテランの高座は。
古典は何度も何度もいろんな噺家さんのを演じるのを聴いて誰それのあれが良い、ってな感じになってくる。「火焔太鼓」は志ん朝が好きだが、それを越えたのも早く聴いてみたいもんだ。

夜の部は、前座に続き、二ツ目の春風亭朝也の「真田小僧」。
アコーディオン漫談の近藤志げる師匠、
そして、まってましたの柳家権太楼師匠の登場だ。それにしても、ここの所の師匠は大忙しなんだろうねぇ、サっと来てドっと演じて、ピューッと去っていった。
今度から、サドピの権太楼師匠って呼ぼうかしら。

で、この日かけたのは「黄金の大黒」と云う、これもお馴染みの噺。

米俵を背負った金の大黒様の像を大家の子供が見つけ、こりゃ目出たいと大家さん宅に長屋連を集めて祝宴をするって噺なのだが、
権太楼師匠は「大家さんの飼い猫」でサゲるって云う、実に痛快な一席に仕立てていた。

大抵のオチは、大家の家で長屋連中が目出たい宴で騒いでいると、大黒様がこっそりと部屋を出て行こうとする。驚いた大家さん「すいません、すっかりどんちゃん騒ぎでうるさ過ぎましたか。」、すると金の大黒様「酒盛りがあんまり楽しい様子なんで、仲間に入れてもらいたい。で、この米俵売ってこようかと。」と云う噺である。

これを権太楼師匠は、うひゃーっってな感じのオチで演じてくれた。
これは、ちょうど1年前の末広亭にて馬桜師匠が演じた「黄金の大黒」と同じオチなのだが、舞台の上で目一杯繰り広げる師匠のテンポよい身振りとキャラクターの個性の妙に最初から最後まで笑いっぱなしだった。

春風亭一之輔は「鈴ケ森」の一席。これもいろんな方が演じているが、ドジで間抜けな泥棒の話だ。
そして、これまた楽しみにしていた春風亭正朝師匠の登場だ。この日は、「悋気(りんき)の火の玉」をかけた。悋気とはいわゆる女のジェラシーである。古女房の幽霊と浮気相手の芸者の幽霊が火の玉になっても喧嘩しあってる、と云う話だ。

三遊亭吉窓師匠は「動物園」、これも先日鈴本夏祭りにて我太楼師匠が掛けたが、そちらの方が笑えたかな。
落語界の朝青龍、三遊亭歌武蔵師匠はお馴染み「たらちね」。あの風体で上品な言葉使いの女房を演じるのが面白かった。この方、相撲取りから噺家になって、噺家になってからも自衛隊に入隊したりと変わった経歴の持ち主である。

続く、春風亭柳朝師匠は「後生うなぎ」、柳家小袁治師匠は「紀州」の天下取りの一席。

そして、トリを飾った春風亭一朝師匠は「黄金餅」で高座に上がった。ケチの西念が餅の中にお金を入れて、腹ん中に隠していたら、喉を詰まらせて死んじまった。
それを覗き見していた男が供養をすると云って、急いで西念を火葬してしまい、金を上手いこと手中に収め、餅屋を開いたと云う古典落語だ。実際にゃ有り得ない話だが火葬場から金をくすねるシーンはなんとも痛快だった。
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この日も大いに笑えた寄席だった。
流石にそれぞれの師匠の味が出ていて、どれも実に楽しく観ることが出来た。
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by cafegent | 2007-08-28 18:35 | ひとりごと
先日友人から戴いた素麺「揖保の糸」があったので、土曜の朝はさっぱり、つるりと素麺を茹でることにした。
さっと茹でて、氷水で冷やすだけで、いとも簡単に出来てしまう素麺。なれば、薬味こそはひと手間かけてやらなければ素麺に申し訳ない。
そうだろ、なぁ「揖保の糸」よ。(って、まるでペプシNEXと語る妻夫木君みたい。)

茗荷を刻み、大葉を刻み、浅葱を刻み小鉢へ盛る。フライパンで乾煎りした白胡麻をすりこぎで擦り潰す。生姜を卸し金でおろす。
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これで準備良しだ。あとはキンキンに冷えた器に水を張り素麺を浮かべれば完成だ。目にも涼しく、喉越しも良いってもんだ。

食後には前日『なるきよ』でお土産に戴いた初ものの梨を剥いた。
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子供の頃、秋祭りで山車を引いたり神輿を担ぐと梨を貰ったもんだ。あぁ云う思い出は、今でもずっと記憶に残っていて、梨を食べる度にあの頃が浮かんでくる。ここ最近の出来事はすぐ忘れてしまうのになぁ。あぁ、嫌だ。

さてと、メダカに餌をやってから一仕事。
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今年の夏に10匹程メダカの子が生まれたが、いつの間にか減っていき6匹が元気に育っている。それでも親メダカの1/5程の大きさだ。

午前中に用事を済ませて、午後から銀座に出た。
29日まで歌舞伎座で開催している「八月納涼大歌舞伎」の二幕目を観に行くためだが、着いたら凄い人出にびっくりしてしまった。
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小1時間程行列の中で待ち、いざ会場へ向かうと四階の一幕見席は既に埋まっており立ち見となってしまった。
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第二部の最初は『ゆうれい貸屋』だ。山本周五郎原作の喜劇だが、三津五郎演じる桶屋の弥六のろくでなし亭主ぶりが良かった。幽霊の芸者染次を演じた福助は妖艶な色っぽさととぼけたシナで魅力たっぷり。勘三郎演じるくず屋の幽霊、浮気者の娘幽霊を演じる七之助も大いに舞台を湧かせてくれた。

先日、正蔵の落語「お菊の皿」を聞いた時のハナシ。
お化けと幽霊はどう違うのか?さて、それはと云えば、美しい女の人があの世へ行けば「幽霊」になる。で、そうじゃない女の人があの世に行けば「お化け」になると云うことだ。でも、あの世に行かなくったってぇ、廻りを見渡しゃお化けは沢山いるなぁ。って会場ドっと沸き上がったのは云うまでもない。
絶世の美女のゆうれいならば誰だって一緒に居てもいいかなぁ、なんて思っちまうんだろうな。

幽霊の染次が弥六の為に酒と肴をどっかから失敬してくるのだが、とある祭の夜は豪勢に「おこわ飯」が用意されていた。弥六が「おぉ、どうしたんだ!こわメシなんてご馳走だねぇ。」と云えば、染次が「毎晩,毎晩柳の下でうらめしや、うらめしや、ってやってるけれど、祭の日ぐらいはこわめしや、ってなるんだよぉ、お前さん。」てな具合。ねぇ、これもう落語でしょう。

弥六が人に恨みをもって妬んでいる奴をつかまえて、幽霊を貸し出す商売をしている時にかなり高い値段を提示する。客は「いくら、足元を見る商売って言ったって」と嘆くんだが、幽霊にゃぁ足が無いのがつきものだから、ここもかなり笑ってしまった。
あぁ、このネタ戴き、ってのが随所にあって、実に楽しい芝居だった。

おっと、一話目が終わり、席を立つ方がたが居る。次はなんとか座って観る事が出来た。
二話目の『新版 舌切雀』は、3年前に「今昔桃太郎」で作・演出を手掛け大好評だった渡辺えり子がまたも勘三郎の為に素晴らしい演出で魅せてくれた。
雀の舌をハサミで切ってしまう意地の悪い強欲ばあさんに扮した勘三郎の演技は抱腹絶倒。息子役の勘太郎との親子掛け合いも小気味良く、素晴らしい。三津五郎の小人は笑わせてくれた。今回、2作ともで大いに笑わせてくれた三津五郎は、ちょっとこれから追っかけてみようかな。
また、ひびのこずえが手掛ける鳥たちの世界の絢爛豪華な衣装も必見だった。

笑いの壷のヒントを戴き、上機嫌で歌舞伎座を出る。
「大野屋」に立ち寄って、普段使いの手ぬぐいをいくつか購入。「伊東屋」で用事をすませ、夜は馴染みの寿司屋に伺うことにした。
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銀座から日比谷線に乗り、そのまま祐天寺駅へ。

『もつ焼き ばん』の前を通ると、なんとも空席があるではないか。うぅ、席が空いてりゃ、入りたい。その2日前なんざぁ、『ばん』まで来たら、「電気工事で臨時休業」との張り紙。あぁ、がっかり、と恵比寿の『カドヤ』までテクテクと歩いて戻る始末。
でも、この日の夜は『寿司たなべ』と決めていた。誘惑を断ち切り、いざ、進め。

目黒の水道局近くと実にヘンピな場所に在りながら、多くのファンが居る『寿司たなべ』は、兎に角ネタが良い。
全国から仕入れたとびきり旬の魚が大将の手にかかり、更に美味さに磨きがかかるのだ。こりゃぁ、古典落語を熟練の技で自分のモノにしてしまう扇橋師匠や権太楼師匠のようだね、まるで。

冷えたビールをまず一杯。

最初は小鉢が次々とカウンターに上がる。先ず「岩海苔」、「ピーナツ豆腐」。お馴染みの一品にもう頬が緩む。
そこへ大将、「穴子の刺身」を出して来た。
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この穴子がまた何とも歯ごたえある食感で塩で頂いたがかなり美味い。付け合わせの「梅山葵」を穴子に載っけて食せば、また違った味で楽しめる。この梅は酒のアテにも丁度良く、これだけで酒がクイクイいけるってもんだ。
次はさっぱり「穴子皮の酢の物」。
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そして、「ズワイ蟹の鋏肉」、「甘鯛のがごめ昆布しめ」と続く。「がごめ昆布」とは北海道は、函館から室蘭あたりで取れる昆布なのだが、他の昆布に比べねっとりと粘り気があり、甘鯛の味を際立たせていた。そして、珍しいと云う「葡萄海老」。
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その名の通り、葡萄色した尾が目を引いたが、味も大変美味しかった。
次に続くは、お馴染みいわき市小名浜の「めひかり」ちゃんだ。
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熱々でふっくらした身は、酒に合う。
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キリっと冷えた「一ノ蔵」にピッタリの肴が続くなぁ。
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「北海道産いくら」、「穴子とエシャロットの味噌和え」と小鉢が出て、「気仙沼の戻り鰹」の登場だ。
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冷酒は「立山」へと移る。
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そして「たなべ」の人気を引っ張っている「バラちらしの小どんぶり」、「淡路産真あじの自家製干物」、「鮟肝の飛び卵和え」と怒濤の連発。

さて、ここからようやく握りを頂くことに。

「大間まぐろ」、「鮪の漬け」、「赤ムツ」、「すみいか」、「愛知のコハダ」と握ってもらい、酒は金沢の純米酒「加賀鳶」に。
そして、先程の葡萄えびの「えび頭」を素揚げにして出してくれた。

酒の勢いに乗って、お次は神奈川県三崎の「松輪のサバ」。おぉ、身がしまっていて美味しい。「利尻バフンウニ」を頂き、味噌汁で小休止。

そんな処へで、玄関がガラガラっと開いた。おや、どこかで見た様なお方と思いきや、寺本りえこさん夫妻ではないか。そうだよね、皆このお店を贔屓にしているんだものねぇ。

兵庫の純米酒「奥播磨」を頂き、大分姫島の「車海老」、「赤貝ひも」、厚岸の「新さんま」、そして最後に「いいだこ」で〆た。

お茶を頂き、デザートに「生アロエ」で喉をさっぱりと。
あぁ、もうこれ以上は喰えねぇ、限界だ。

秋が深まるとまた美味しい食材が入って来る。松茸なんぞも出て来るし、また近々寄らせてもらわなくちゃぁ。

大将、いつもご馳走さま。
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by cafegent | 2007-08-28 11:46 | 食べる