東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent

2012年 05月 25日 ( 2 )

    忍音(しのびね)を聞くや境内 ほとゝぎす   八十八

今年も漸く我が街に、時鳥(ホトトギス)の啼く声が聴こえて来た。

毎年、5月の20日頃になると林試の森公園の樹々の上から声が聴こえてくる。
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今年もその時季から毎朝仕事場へ向かう途中に公園に立寄っていた。
連日、啼き声を確認出来ずにいたが、今朝犬の散歩をしていた方が声を聴いたと教えてくれた。
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今朝は既にその声を聴く事が出来なかったのだが、目黒不動尊に移動して、境内を昇り本堂の裏手に在る大日如来像の方へ行くとホトトギスの啼く声が聴こえて来たのだ。
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その年、最初に聴くホトトギスの声を「忍音(しのびね)」と云う。これは、「枕草子」に出てくるのだナ。

ホトトギスほど多くの文字が当てられている鳥も少ない。
時鳥、子規、夕告鳥、不如帰、杜鵑などだネ。

聞做(ききなし)と云う言葉が有る。「聞きなし」とは、鳥の啼く声を人の言葉に置き換えて、覚え易くしたものなのだナ。

一番判り易いのは、鶯(ウグイス)だネ。ホーホケキョが、「法・法華経」「法を聞けよう」となる。

今、林試の森で聴こえるセンダイムシクイは、「焼酎一杯グィーッ」と啼く。

そして、今朝聴いたホトトギスの聞きなしは、「テッペンカケタカ(天辺駆けたか)」や「本尊建てたか」となる。また「トッキョ、キョ、カキョク(特許許可局)」なんてのも有る。

今朝は目黒不動で聴いたから、「本尊建てたか!」と聴こえたのだナ。

松尾芭蕉や小林一茶も時鳥を詠んだ。

      木がくれて 茶摘ときけや ほとゝぎす    芭蕉

      薄墨を 流した空や 時鳥(ホトトギス)   一茶

茶摘みと時鳥(ホトトギス)は季重なりなのだが、夏の季語の「時鳥」と春の季語の「茶摘み」を芭蕉は「木がくれて」で「季と季との時候の取り合わせ」としている。

「取り合わせ」(二物衝撃)は、正岡子規が云うところの「配合」だ。
二つの事物を取り合わせることで、相乗効果を生み出し聞き手に強い印象を与えるのだナ。

子規もまた詠んだ。

      卯の花の散るまで鳴くか子規(ホトトギス)

また、ちょいと小難しい話になっちまったネ。失礼!
      ◇         ◇         ◇
閑話休題。

さて、昨日は表参道で打ち合わせの後、友人の見舞いに日赤医療センターまで出掛けた。

渋谷のんべい横丁で酒場『Non』を構える荒木クンが店の二階のベランダから落っこちたとの事で病院に運ばれたのだ。

見舞いに行くとICU(集中治療室)に入っているので身内じゃないと面会出来ないとの事だった。容態が心配なのでご家族の方にお会いして様子を聴くことにしたのだが、幸い検査と治療が終わり自宅療養可能との事で退院となった。

CT検査でも脳に異常は見られず、顔面打撲の怪我と全身打撲の痛みで助かった。

またヘベのレケになって落っこちたのかと思いきや、昼間の出来事だったらしい。だが、間違いなく酒が入ってたんだろうナ。

まぁ、五体満足で何より。ただ、余りにも顔の半分が晴れ上がって変形していたので、笑いを堪えるのに苦労した。いや、失敬。くれぐれもお大事にネ。

それにしても、明日は我が身。僕もヘベのレケには気を付けなくちゃ。

荒木クンの早期退院で見舞いを急遽取り止めた森一起さんと恵比寿駅前で合流。

『縄のれん』を覗いたら、まだ仕込み中だ。そんな訳で、『さいき』の口開けにお邪魔した。

軒先の縁台で店主のクニさんが夕涼みをしていた。

入口近くのカウンターに腰を降ろす。先ずは、生ビールで喉の乾きを潤した。
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此処『さいき』は、料理三品がお通しとして出される。これが、いつも素晴らしい。

夕べは「春キャベツの浅漬け」「メジマグロと槍イカのお造り」そして「帆立の稚貝」だった。
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陽の高いうちの居酒屋は長閑だナ。開け放たれた玄関から聴こえて来る往来する人の声が心地良い。

クニさんとおしゃべりしている女性の声に聞き覚えがあった。ヒョイと窓を見るとワインバー『Whoopee』のゆきえちゃんだった。

久しぶりに遭ったので、後ほど店に顔を出すことにした。

一の蔵をシャーベット状に凍らせた凍結酒を戴いた。
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初夏の心地良い風とシャリシャリに凍った日本酒が僕の汗ばんだ体を癒してくれる。

帆立の稚貝で作った汁が、実に美味かった。
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優しい味が酒の味を際立たせてくれるのだナ。

可愛い女の子たちが発する「いってらっしゃ〜い」の優しい声に見送られ、ご馳走様だ。クニさんは何処かへ徘徊しに行っちゃったネ。

『さいき』をでて駅方面に戻り、スグ右に折れれば『縄のれん』だ。
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開店早々だと云うのに店内満杯だった。
カウンターの真ん中へ滑り込み、縄のれん自慢のボールを戴く。
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暫くすると、我がカミサンが銀座を出たとの連絡が入る。30分程で合流となった。しかし、「私の着く時間を予測して、レバーとシロとミノを焼いて貰っておいて!」とのメール、完全に僕が格下扱いだよネ。
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サトシ君、苦笑いしながら「心配しなくても無くならないから大丈夫」と優しいお言葉。ありがとうネ。

相変わらず、『縄のれん』の牛モツは美味い。中でもミノとハラミは、絶品だネ。
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このシロのあの醤油ダレも素晴らしい。

やっぱり恵比寿に来たら此処と『さいき』と『かおる』はマストだナ。

駅方面に戻り恵比寿ストアに在る立ち飲みワインバー『Whoopee』ヘ。
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僕が赤ワイン、森さんが白、そしてカミサンはヒューガルデンビール。
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此処も相変わらず繁盛しているネ。次から次と入ってくるものネ。
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ゆきえちゃんも元気で何よりだ!
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最近我が家でハマッているレバーパテを頼み、味を研究。此処のも美味しいネ。
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赤を二杯にして、ハートランドビールで〆た。

久しぶりの恵比寿3軒ハシゴ酒は、心地良い五月の風に乗って無事地元へと戻った。
by cafegent | 2012-05-25 16:35 | 飲み歩き
昨日は打ち合わせの後、そのまま友人の見舞いに病院に出掛けたので、仕事場に戻れなかった。そんな訳で、昨日の日記を更新!
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ちょいと嬉しい出来事があった。

いつも吉田類さんの句会でご一緒させている我が酒朋の伊勢さんが、原作を手掛けている漫画がある。
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雑誌『コミック・ガッツポン』(小池書院発行)に連載中の「酒場徘徊録 日和散樽」は、毎回酒場の名店と文学を取り上げている。
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初回は、木場の『河本』。神保町『兵六』、浅草橋『西口やきとん』と続いており、今度で4連載目だ。

「散樽さん」ことサンダル履きの伊勢さんが、毎回素敵な酒場を文学と共に歩くのだナ。

今回は浅草ホッピーロードの煮込み屋『正ちゃん』が登場している。
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そして、類さん句会も登場しており、なんとソコにこの僕も登場していたのでアル。
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どうですか!コレ。まさにいつもの間抜け面(苦笑)
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でも、本当に良く特徴を捉えて描かれてるネ。サスガッ!

『兵六』の時に店主の柴山真人さんが「自分が漫画に登場するなんて夢見たい」と語っていたのだが、僕もホント夢みたいでアル。

また、その時は、ドーンッ!でお馴染みのマタェモンさんのドーン姿やビリー隊長の姿も描かれていて、ちょっと羨ましかったのだナ。
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そんな訳で、類さん句会の模様が頭から登場している。
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以前、向島百花園で句会を催したのだが、そんな雰囲気の場面が描かれていた。
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類さんの句会は酒好きが多いので、もちろん乾杯から!

今回の漫画では、僕の好きな俳人久保田万太郎を取り上げており、酒場も大好きな『正ちゃん』なんて、もう最高なのだナ。
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初夏の風が心地良い日和、外のパイプ椅子に座って自慢の煮込みでホッピーをクゥーッといきたいものだ。
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伊勢さん、本当にありがとうございます!
     ◇         ◇         ◇
さて、火曜は日帰り出張のビリー隊長から18時半頃に桜木町に到着とのメールが届いた。そんな訳で、僕も品川から横浜方面へと向かった。

もちろん目指すのは野毛の名店だネ。

野毛動物園通りを真っ直ぐ進むと途中、ツバメがぐるりと輪を描いて、頭上の電線に止まった。

昼間は汗ばむ陽気だったが、夕暮れの空は雲に覆われていた。燗酒に丁度良い気候だナ。

『武蔵屋』に到着すると入口辺りに10人近い方々が居た。おや、こんなにもう並んでいるのかと思いきや、皆さんもう三杯終了して出て来た一行だった。僕らの前に4人程待っていたが、なんとか僕らも座る事が出来た。

軒先では、可愛い女の子が「ここは何のお店なの?」と聞いて来た。
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ビリー隊長が「お酒を吞むお店だよ」って云うと「えぇ、みんな酔っちゃうよ」だってサ。無邪気で可愛いネ。

此処に来る時は、いつもタイミング良く座れるのだナ。
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入口の戸も窓も開け放たれて、初夏の薫りが春の名残りを払う様に流れて行く。

夏場は先ずビールから戴くが、この日は最初から桜正宗の燗酒をお願いした。土瓶から波々と注がれる酒がコップの表面に丸く浮き上がる。
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この日は椅子席だったので、口を持って行くのも楽チンだった。
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クゥーッ!最高だネ。
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ビリーも僕もガラスで出来た玩具「水飲み鳥」みたいだネ。
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此処『武蔵屋』は先代の時代から「酒は三杯まで」と決められており、馴染み客の間では『三杯屋』の俗名で通っている。

但し、ビールは別なので、ご安心あれ。
最初の一杯には、玉ねぎの甘酢浸けと雪花菜(おから)が付く。
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素朴な味わいでとても美味い。

この日は初めて訪れた方が多かったネ。
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皆さん、此処の風情に感激しながら、ご満悦でしたナ。

三月、この酒場を舞台にしたお芝居「野毛武蔵屋 三杯屋の奇跡」が上演された。酒を注いでくれる佐藤さんも役者として登場していた。

二杯目の酒と共に運ばれて来るのは、納豆とタラ豆腐だ。
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タラの塩味が豆腐に沁みて美味い。なんでもない納豆も此処で食べると何故か美味い。

昔から酒の肴は変わらない。変わらないからこそ、これが愉しみとなるのだ。そして、最後の三杯目には、お新香の盛り合わせが出る。
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ぬか漬けも良い酒の肴となる。

あぁ、素晴らしいひとときだ。三杯のぬる燗が五臓六腑に沁み渡った。
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酒朋と向かい合い、酌む酒のなんと美味いことよ。窓の外では、此処のアイドル猫クロの声が聴こえる。長閑な夜だ。

御歳九十歳とは思えない程元気な喜久代おばちゃんの笑顔もまた酒の美味さを増してくれる。
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最後に「おばちゃんからの気持ち」の一杯をご馳走になりお勘定をして貰った。

この日はあいにく『ホッピー仙人』がお休みなので、『新京』へ。
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さすがにサッカー中継の日は空いていたネ。ビリー隊長は、ツンデレ女将にいじられながら吞むのが好きでアル。
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この日も「お湯割りで」とお願いしたら一刀両断!「自分でやって!」と一言で返された(苦笑)

此処は自分で伝票に注文を書いて渡す仕組み。これさえ覚えておけば、パラダイスな酒場だヨ。
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先ずはいつものペペロンチーノにジャガイモ炒め。
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何故か芋料理が豊富でアル。
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イカオクラ、なんと100円!そして美味い。
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殆どの料理が、100円から300円だから嬉しい限りだネ。
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氷頭(ヒズ)の酢の物は、250円。やはり美味い。
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サッカーも日本が勝利となり、ウコン茶割りも美味い。

月に一度の野毛の酒場詣で、やっぱり最高だナ。
by cafegent | 2012-05-25 13:40 | 飲み歩き