東京だからこそ出会う人や店をつれづれなるままに紹介


by cafegent
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カテゴリ:飲み歩き( 782 )


   すべってころんで山がひっそり    山頭火

ここ二週間ほど、窓を開けて寝るのが心地よかったが、今朝は寒くて目が覚めてしまった。季節の移ろいは本当に急にやって来るのだナ。暦では寒露を迎えたわけだから、朝晩の冷え込みも一段と感じるようになったネ。

我が街で子育てを終えたツバメたちももう南方へと旅立ってしまった。

朝の公園では入れ替わりにキビタキやエゾビタキの群れがやって来ている。季節を72に分けて表す七十二候では「鴻雁来(こうがんきたる)の時季。ツバメと入れ違いに雁が北国から渡ってくる季節というわけだ。雁は日本で越冬し、春が訪れると遙か遠くのシベリアやカムチャッカの方へ帰って行く。

ワタクシごとであるが、9月の終わりに足を滑らせて頭から転んでしまい、頭頂部を打撲し入院する羽目になってしまった。酒が入っているため、血が噴き出して白いTシャツが血に染まってしまった。

CTなどの脳検査の結果、幸いにも脳内に支障がなかったため、すぐに退院することが出来た。そして、今日は昭和大学病院にて頭に打たれた医療用ホチキスの針を抜いて貰った。

手術後の縫合を抜く時は、抜糸(ばっし)と呼ぶが、ステープラーの針を抜くことを抜鈎(ばっこう)と呼ぶのだネ。初めて知った言葉だったナ。それにしても還暦を目前に控え、自分が思っているよりも歳を取っているということを入院して改めて感じさせられた。まったくもって、トホホでアル。

    ◇             ◇             ◇

   酔うてこほろぎと寝てゐたよ    山頭火

今週の金曜日、十月十一日は「一草忌」、自由律俳句の先駆けとなった俳人、種田山頭火の命日だ。

酒が大好きだった山頭火は、放浪の旅を続けながら自由気ままに多くの句を詠んだ。晩年は松山で過ごしていたが、昭和15年の10月11日、句会の最中に脳いっ血で帰らぬ人となった。

酒好きは僕も変わらない。いよいよ本当に気をつけて日々を生きなくちゃアカンなぁ。


さて、先週末は久しぶりの日本堤『丸千葉』にて酒宴となった。

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この日メンバーは皆古い酒朋で、毎年隅田川の花火大会に招いて下さっている大野夫妻へのお礼を兼ねた宴でアル。

この日は総勢9名だったので大テーブルに椅子を追加して貰い座らせて頂いた。

先ずは、ビールで喉を潤す。

幹事のユージ君と横浜から参戦のヒロミチ君は一足先に『大林酒場』でミルク割りとか。羨ましい限りでアル
ご近所の大野夫妻は此処の大常連さんだから、店主のやっちゃんこと多田さんとも仲良しだ。

この店は料理も酒も素晴らしいのだが、マシンガントークのやっちゃん劇場がなんといっても愉しいひと時を演出してくれるのだナ。

こちらは大野さんオススメのほうれん草の和え物だ。ほうれん草はごま和えとマヨネーズ和えがあるのだが、断然マヨネーズの方が焼酎に合うのだヨ。

大勢だとたくさん頼めるから嬉しいネ。


しめ鯖にニラ玉も良し!


丸千葉の鶏の唐揚げも大きくてスバラシイ。
口いっぱいに頬張れるってワンパクな少年時代にワープ出来る。

途中からラグビーワールドカップで大忙しのキクさんがご登場!

再び、カンパイだ。

丸千葉は、ひっきりなしにお客さんが入ってくる。皆が此処に来ると笑顔が絶えない。

コの字のカウンターで一人酒を嗜んでいる人、横並びで和気藹々と飲んでいるご夫婦、僕らのようにテーブルで酒宴を愉しんでいる方々、此処は本当に居心地の良い酒場でアル。

ポンポンポ~ンと飛び出るやっちゃんの軽妙洒脱なトークも酒の肴になる。これこそ東京の大衆酒場のあるべき姿かもしれないナ。

それにしてもあっという間にキンミヤの一升瓶が空いたネ。

二本目に突入だ。
皆、だんだんと酔いがまわっていくネ。これが丸千葉マジックなのだナ!

丸千葉名物のハンバーグやかつ煮も美味い!
この日はラグビーワールドカップの試合もあったので、店のテレビでパブリックビューイングとなった。

日本対サモアの試合だったが、本当に素晴らしい試合だったネ。しかも、我が日本代表が勝利を得たのだから酒が美味いのなんの、南野陽子!なんちて。

〆の焼きそばとチャーハンも平らげて満腹だ。

この日が誕生日だったやっちゃん、素敵な酒宴をありがとう!

そしてお誕生日おめでとう!

こうして、日本堤、東浅草の夜は更けていったのでアール。


by cafegent | 2019-10-08 18:16 | 飲み歩き

旅は玄関の扉を開けた時から始まる。スズメたちが集い駅へと向かう道の上の電線で鳴き交わしている。この日は熱海から伊東方面へと海沿いを旅するので、足元は先日小田原の『マツシタ靴店』で手に入れたギョサンだ。



有人改札に向かい駅員さんに日付入りの印を押してもらう。通勤途中の人たちに混じり、暫し満員の山手線に揺られよう。品川駅で東海道線に乗り換えた。この日最初に目指すのは品川から一駅目の川崎だ。朝8時20分、川崎に到着すると酒朋のワタベ君が待っていた。東口の階段を降り、左手へと歩く。そして8時半口開けの食堂『丸大ホール』の暖簾が掛かるのを待つのだ。

長い暖簾が外に掛かり「さぁ、どうぞ」の声に誘(いざな)われ、僕らは中へと吸い込まれる。奥から二つ目のテーブルに腰を下ろし、焼酎の緑茶割りをお願いした。壁に掛かる細長い短冊から酒の肴を探すのだ。そして先ずはハムエッグを注文。

此処のハムエッグは2枚のハムに半熟の両目、それにポテトサラダと千切りキャベツが盛られている。

開店から数分で各テーブルにご常連さんたちが座り始める。

二杯目はシークァーサー割りをお願いした。

ワタベ君は二品目を何にしようか悩んでいる。そして、450円の肉野菜炒めをやめて400円の野菜炒めを注文した。
町中華の店でいつも思うのだが、普通の野菜炒めを頼んでも必ず豚肉のコマ切れは入っているよネ。なので、僕はいつも普通の野菜炒めにするのだナ。


丸大ホールの野菜炒めは、二人で十分過ぎるぐらいのボリュームだ。

これで400円は嬉しい限りでアル。6人連れの若い男女がワクワクした素振りで店の扉を開けて入ってきた。彼らも夏休みの最後を朝から食堂呑みで楽しむ予定なのだろうネ。


朝のモーニングを済ませ、僕らは再び川崎駅へと戻った。ホームに降りて熱海までのグリーン券情報をスイカへと記録する。特急踊り子号を見送り、熱海行きの快速アクティに乗り込んだ。平日なのでなんとか二人席へと座ることが出来た。土日や祭日だとグリーン券を購入したのにグリーン車に座れない人も出ることがあるからネ。


さぁ、いざ居酒屋グリーンの旅の始まりだ!

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ちょっとした旅でも僕はグラスやお猪口を持参する。これだけで、車中の呑み旅の愉しさが、グンと倍増するのだナ。


駅で仕入れた崎陽軒のポケットシウマイを酒のつまみに戴こう。芥子をシウマイにチョイチョイと乗せて醤油を垂らす。

シウマイはこのサイズがちょうど良い。横浜を過ぎ、大船、茅ヶ崎と進んで行くと車窓の向こうの景色も変わっていく。


高いビル群が少なくなり、緑が多くなっていく。
そして列車は小田原を過ぎ、真鶴、湯河原と青い海を眺めながら終点熱海へと到着だ。

この日は名残の夏を楽しんでくれと言わんばかりに9月の太陽が眩しい。平日でも熱海は賑わっている。僕らは駅前に在る足湯へと向かった。

足を湯に浸かるだけなのに、なんでこんなに気持ちが良いのだろうか?
頭寒足熱と云うが、日差しが強いから頭も暑かったネ。
駅前のアーケードを散策し、温泉まんじゅうをつまみに缶ビールを開ける。
あぁ、極楽ゴクラク。再び熱海駅へと戻り、JR伊東線へ乗るのだ。
この列車は下田方面へと向かう伊豆急行なのだが、伊東まではJRなので、鈍行に揺られのんびりと青春18きっぷで行けるのでアル。

熱海とは打って変わって駅前の人は少なかったが、この辺りは週末が賑わうのだろうか。
川沿いの東海館で温泉に浸かろうと思ったら、平日は館内見学のみとのことだった。残念!
そんな訳で、早々に馴染みの店に顔を出すことにした。毎回、青春19きっぷを使い伊東に足を運ぶ目当ては、ラーメン屋の『福みつ』だ。
此処は美味しいラーメンと餃子を出す店だが、いつもご常連さんが朝から酒を愉しんでいる。
『福みつ』は漁港が近いから、早朝から仕事を終えた海の男衆や奥さんたちが仕事の後の憩いを楽しんでいるのだ。
毎回カラになると入れて帰るキープボトルならぬキープ紙パックの宝焼酎ピュアを奥から出してきて、抹茶割りにして戴く。

この日は昼を廻っていたので、昼食に来たカップルなども居て混んでいたが、何とかワタベ君と二人座ることが出来た。
さぁ、改めて旅に乾杯!ぬか漬けをつまみに焼酎を呑んでいるとみんなから「クーちゃん」と呼ばれて愛されている久美子さんが仕込み終えたキンメの煮付けを出してくれた。
『福みつ』では、ボトルさえ入れていれば、あとは何も注文する必要がない。クーちゃんがその日に仕入れた食材を工夫して様々な酒の肴を出してくれるのだナ。
お次は分厚いハムステーキの登場だ。あぁ、酒がススむススむ。

この日は横浜で仕事を終えた酒朋Kちゃんが特急踊り子号に乗って伊東まで来てくれたので、『福みつ』で合流となった。
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クーちゃんお手製の唐揚げも酒に合う。

午後3時を過ぎ、ご馳走さま!海岸沿いを歩き、程よい酔いをさます。
この日は本当に真夏が戻ったような暑さになった。少し歩いただけでも肌が焼けたほどだったナ。
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酔いもさめたので、僕ら三人は海沿いに在る源泉掛け流しの温泉『汐留の湯』に向かった。

此処は湯川第3浴場という公衆浴場で地元の方々が毎日利用している。
湯船が真ん中にありそれを囲むように洗い場が有るのだ。少し熱めの湯にじっくりと浸かり、冷たい水を浴びる。これを三回繰り返しリフレッシュだ。サ道で云うところの「整う」ってワケだ。
こうして、男三人伊東の旅を終えた。
伊東から熱海までの車中、ビールで温泉後の体を冷やす。
天井の扇風機が心地よい風を運んでくれていたナ。

再び熱海駅まで戻り、東海道線に乗り換えた。さぁ、お次は小田原で降りて酒場へと向かおうか。


by cafegent | 2019-09-06 07:50 | 飲み歩き

先日、入谷の朝顔市の帰りに立ち寄った根岸の居酒屋『鍵屋』では、とても楽しい時間を過ごすことが出来た。
どっしりとした楓(かえで)の板で設えたカウンター席の奥で、偶然隣り合わせになったのは浅草見番裏で店を構える『ぬる燗』の主人、近藤さんだった。


もう随分も前になるが酒朋ハッシーさんと浅草界隈をハシゴしている時に、彼が好きな酒場が在るからと連れて行って貰ったのが『ぬる燗』だった。それから何度かお邪魔したが、いつも店主のツンデレと云うか、ニヒルな態度にどぎまぎしながら酒を酌んでいたのを思い出す。それから暫くして店を移転したことは耳に入っていたのだが、何故か新店舗を訪れていなかったのでアル。


鍵屋で浴衣の話から盛り上がり、桜政宗は僕は一年中ぬる燗で頂いていると云う話になり、話の流れから彼が居酒屋『ぬる燗』の主人(あるじ)であることが判ったのだ。おや、あの店での強気な態度は何処へ行ったのだろうか、ハテ?と思いながら酒を酌み交わした。そうなのか、自分の至福のひと時を過ごす時は、自分の構えている店、晴れ舞台で見せる顔とは違うのだナ。この日は本当に愉しい酒を嗜むことが出来た。ぬる燗の近藤さんの屈託のない笑顔と優しさに溢れた応対に一目惚れしてしまったのだナ。


いつの間にやら、桜政宗のぬる燗を四本も空けていた。この日は足がもつれる前に帰路へと着いた。

さて、入谷の朝顔市が終わるとスグに浅草のほおずき市が始まる。

そんな訳で週明けの水曜日、浅草寺へのお詣りをしに雷門をくぐった。

梅雨の合間の晴れだったので、今季初の浴衣に袖を通してみた。
雷門から境内へと続く仲見世は国際色豊かな人で溢れていた。そんな中で、粋な浴衣姿の姐さんたちを見かけるとつい目が追ってしまう。若い男の子たちの浴衣姿を見るとほとんどが帯を胸の下あたりで〆ていて、まるで天才バカボンにしか見えないのだヨ。

レンタルショップで浴衣を借りた外人の兄さんたちも同様だ。何故、着付ける側も腰の下で帯を巻くように教えてあげないのだろうか、ハテ?

四万六千日をお詣りし、我が友たちの無病息災を願いた。
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浅草寺の境内では、所狭しとほおずき売りの出店が威勢の良い掛け声で人を集めていたナ。
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素敵な浴衣を着た美少女の周りにアマチュアカメラマン達が大勢集まってシャッターを切っていたので、僕もスマホでパチリ!
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ほおずき市も廻り、ちょいと一杯と思ってバー『サンボア』へと向かうとあいにくの定休日であった。暫くご無沙汰すると休みの日を忘れてしまうのがイカンのだナ。


仲見世の一本脇の路地を歩き、レストラン大宮の向かいに在る『オオミヤ姉妹』なる店でビールを頂いた。此処はミニワッフルの「浅草ロマン焼きミニカステーラ」という菓子が名物らしい。
焦がしバターが香ばしい匂いを漂わせていたが、僕は迷わずビールをお願いした。
そして、店の軒先の縁台に腰を下ろしちょいと一休み。


さぁ、午後6時が近づいて来た。浅草寺を抜けて浅草5656会館の脇へと曲がる。

そう、この日は先日の『鍵屋』での裏を返しに浅草『ぬる燗』へと向かったのでアル。

到着すると青地に白抜き「酒や」と記された暖簾が夕暮れの風に揺れていた。ガラリと戸を開けると既に二人の先客が酒を愉しんでいた。此処はいつも予約で満杯になる酒場だが、いつもの如く主人が口元の片方だけを少しだけ上に上げて(これをニヒルと呼ぶのだヨ)、「この日は運良く一席だけ空いているよ」とのことだった。


そんな訳で、タイミング良く、いや運が良く『酒や ぬる燗』のカウンター席に座り、裏を返すことが出来たのでアル。


ちなみに「裏を返す」とは、元は吉原遊郭に遊びに行く際には「一旦指名した遊女は変えてはならない」という遊郭特有のルール、しきたりのことなのだネ。吉原に行っても最初は酒をお酌してもらえるだけで、次に訪れたら煙管に火を点けてくれる。こうやって何度もなんども同じ遊女を指名することで、ようやく床についてくれるってワケなのだナ。遊郭の玄関の中の壁には在籍する遊女の名前を記した木札がズラリと架けられている。そして、客が指名すると、その遊女の名前が記された木札を裏にひっくり返して架けるのだ。「裏を返す」は、この慣わしから生まれた言葉であり、粋さをモットーとした江戸っ子たちは「裏を返さぬは、江戸っ子の恥だぜ」と言っていたとか、ハテ?


で、僕も「裏を返し」に浅草『ぬる燗』の暖簾を潜ったのだ。

この日のお通しは、胃に優しい野菜の汁物だった。最初の酒は「伯楽星」をお願いした。
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「愛宕の松」で知られる宮城の新澤醸造店が造るこの酒は、口当たりの良さと最後まで爽やかな清涼感があり、蒸し暑い梅雨時期にうってつけの一杯だ。僕は手頃な価格で美味い酒を探すのが好きなので、「日高見」の純米と並んで好きな宮城の地酒だナ。


酒の肴は「生ホヤの胡瓜酢」をお願いした。目の前で料理する姿を眺めながらの酒も実に旨い。

東北の酒には東北の料理だネ。あぁ、幸せなひと時だ。


お次の酒は「紀土(キッド)」のカラクチキッド特別純米酒を選んだ。紀土も色々と種類を出しているが、カラクチキッドとは思い切ったネーミングにしたものだ。この酒はその名の通り、キレの良さがイイネ!純米大吟醸のフルーティーさの余韻を残しつつ辛口が効いている。和歌山県の平和酒造も素晴らしいブランドを確立したネ。


三杯目は岐阜・多治見の地酒「三千盛(みちさかり)」にしてみた。

いつも呑むのは純米だが、この「超特辛口」は初めて呑む酒でアル。これは、大吟醸ながらしっかりとした旨味が喉を抜けて、その後のキレが素晴らしかった。


口開けにお邪魔したが、次々と予約のお客さんたちが来店する。本当に一席だけ空いていたのだネ。僕の隣の女性客はご常連さんらしいが、近藤さんの辛口トークを浴びていた。歌舞伎役者が舞台の上から見得を切るように、これも彼ならでは「のぬる燗劇場」での大切な一幕なのだ。

あぁ、1時間半あまり、楽しい時間と旨い酒、美味しい肴を堪能させて戴いた。近藤さん、ご馳走さまでした。


浅草『ぬる燗』を訪れてから、二週間近くが過ぎた昨日、地元の酒場『牛太郎』へと向うと店から出てきた客がいた。そしてその距離が縮まると互いの顔を見合わせて、笑ってしまった。今度は近藤さんが、わざわざ「裏を返し」に武蔵小山まで足を運んでくれたって訳だ。

これだから、酒の縁(えにし)は奥が深く、素晴らしいのだナ。


by cafegent | 2019-07-25 01:56 | 飲み歩き

「恐れ入谷の鬼子母神、びっくり下谷の広徳寺、そうで有馬の水天宮・・・」フーテンの寅さんじゃないが、江戸っ子はこんな駄洒落が好きなんだナ。
毎年、七夕の季節になると台東区下谷に在る入谷鬼子母神の境内とその門前周辺の大通り両脇に沢山の朝顔売りが軒を連ねる。
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朝顔の店に並んで、屋台も沢山出店しているのだナ。
7月の6日から8日までの三日間なので、その年によって曜日が変わる。今年は土・日・月だったので、月曜の夕方に朝顔市を訪れた。僕はプライベートや仕事でお世話になった方々へのお礼とお中元を兼ねて、手頃な朝顔の鉢を贈っている。朝顔市に並ぶ鉢も年々多種多様になっている。
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僕は大輪の「団十郎」が好きなのだが、白い花の「平安の香り」や朝焼けの空の色をした「暁の海」なんて品種も有る。贈る相手の顔を思い浮かべながら選ぶのも、此処に来る楽しみのひとつなのでアル。


今回も8件の方に贈るため、宅配便の伝票に宛先を書いた。総てを書き終えたら、鬼子母神へお参りだ。

元は、とある大名の奥女中にできたおできを此処、真源寺の願掛け参りで完治したことから「恐れ入谷の鬼子母神」と言われるようになったとか、ハテ?

まだ日が暮れ泥(なず)む午後5時、言問(こととい)通りを鬼子母神から根岸一丁目交差点まで戻り鶯谷駅下へと進む。
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ここ数年、朝顔市の日は梅雨の雨降りが多かったが、この日は気持ちの良い青空が広がった。
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立ち飲み『晩杯屋』の先を右に折れ、スグの路地を左に曲がると目指す酒場が在る。
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紺色で『鍵屋』と染め抜かれた夏仕様の白い暖簾が七月の風に揺れている。打ち水をした玄関の軒下には夕涼み用の縁台が涼を運んで来てくれるようだ。


暖簾を潜ると先客が数人¬型のカウンターで酒を酌んでいる。

奥に粋な浴衣姿の二人連れが居り、その隣へと腰を下ろした。

主人の賢太郎さんに桜正宗のぬる燗をお願いする。此処に来ると僕は一年中、桜のぬる燗だ。

鍵屋には数種類の大きさのお猪口が用意されている。小さな盃でちびりちびりとやるのが好きな御仁もいれば、グイッとぐい飲みする奴も居る。そして、賢太郎さんは僕が座ると迷わず一番大きな蛇の目入りの盃を差し出してくるのだナ。これだと二度ほど酒を注げば、もうお代りだ。

この日のお通しは煮豆だった。夏の季節は、煮こごりや心太(ところてん)なども出るので、毎回何だ出てくるかも楽しみでアル。
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煮豆を肴に酒を呑むってのが、東京の酒場の在るべき姿だと思っている。

此処は今を遡ること163年前の安政3年(1856年)に創業した江戸の酒場だ。但し、今の建物は今から45年ぐらい前に言問(こととい)通りの道路拡張に伴い取り壊しの危機に遭った創業時の家屋に替わり、探したそうだ。だが、創業から残る建物は東京都が管理する「江戸東京たてもの園」に完全な形で移築保存されているので、今も見学することが出来るのだナ。

それでも、今の建屋も大正元年に建てられたと言うから、多くの歴史を見てきたことだろうネ。

この日、僕が選んだ酒の肴は、味噌おでんだ。豆腐とこんにゃく、ちくわぶに甘い田楽味噌が乗っている。

ちくわぶってのも東京の居酒屋らしくて好きなのだ。店主が自ら串打ちをする鰻のくりから焼きも旨い。冬場の煮やっこも酒がススむ。


この日、お隣で呑んでいた二人は粋な浴衣姿で酒を愉しんでいた。ハテ、何処かでお見かけした顔なのだが、思い出せずにいた。浴衣の話から酒の話になり、他愛のない話題で盛り上がっていたら、何度かお邪魔したことのある浅草見番近くの酒場の主人(あるじ)だと判った。

なんだ、もっと早く言っておくれよ、と思いながらも思い出せない爺ぃの僕が恥ずかしい。

素敵なお連れさんに酒までお酌して戴いた。あぁ、手酌酒の何十倍も旨いネ。


愉しいひとときは酒もススむススむ。桜政宗のぬる燗を4本空けたところで、心地よく酔いも回ってきた。よし、梅雨の合間に太陽が覗いたら僕も浴衣で出かけよう。

賢太郎さん、女将さん、ご馳走様でした。

外に置いた朝顔を忘れずに持ち帰らないとナ。今だに「お兄さん、どう?」と年齢不詳のレディからの誘い声を尻目に、鶯谷のホテル街をスルリと抜けて駅へと向かった。

入谷の朝顔市が終わると、翌日から浅草の鬼灯(ほおずき)市が始まるのだ。晴れてくれたら、浴衣に雪駄で出かけようかナ。




by cafegent | 2019-07-19 17:36 | 飲み歩き

七夕の日曜日、朝から小雨が降り続いていたが武蔵小山駅から電車に乗って新丸子の駅へと向かった。この日は馴染みの酒場『牛太郎』に集うご常連さん達との酒宴だった。


午前11時40分、目当ての『三ちゃん食堂』に着くと酒朋嶋岡さんが既に口開けを待っていた。

今回の酒席は9名だったので、事前に席を作って戴いたようだ。12時開店なので、雨の中続々とお客さん達が集まってくる。

さぁ、12時に暖簾が出てきた。暖簾を引っ掛けるところが少し高いので往生していると、店の看板姉さんから「あんた達、早くから待っているんだから、こう時こそ手を貸しなさいよ!」と笑いながらゲキが飛ぶ。そして背の高い嶋岡さんが暖簾を引っ掛けるのだった。


そう言えば、いつの間にか入り口の扉が新しくなっていたネ。

店内に入ると向かって右側のテーブルを用意していてくれた。此処は三つ並んだ長方形のテーブルが3列ドーンと並んでいる。その正面奥が厨房だ。

此処は食堂と云っても、ほとんどの客が酒を愉しんでいる。定食もボリューム満点でガッツリと食べられるので若者にも大人気の街の食堂でもある。僕らにとっては「食堂呑み」のオアシスでアル。

先ずはビールで乾杯だ。クゥーッ、キリンラガーが美味い!これぞ露払いならぬ、梅雨払いだナ。白菜の漬物も相変わらずの味で素晴らしい。ネギぬたもイイネ!

刺身の盛り合わせにはコハダ、中トロ、活帆立、今が旬の蛸、赤貝、それに鯨が盛られていた。
クジラ刺し、美味かったナァ。
今回の集いは『牛太郎』歴50年以上の古参ご常連からここ数年よく通っている酒朋ナカミまで実に幅が広い集まりとなった。
僕の隣の小枝会長は、牛太郎ボーリング大会の会長を務めている。舞茸の天ぷらにカツオのたたきも美味い。

『三ちゃん食堂』の壁には多くの芸能人のサイン色紙やビール会社のポスターが貼ってあるが、その合間にヌードカレンダーも貼られている。


だが、ヌードと言ったって巨匠篠山紀信撮影の芸術写真だヨ。このカレンダーは年末に此処を訪れると貰えるお店の名前の入ったカレンダーなのでアル。


そして、みんなが以前から気になっていた麻婆豆腐を頼んだ。

結構辛いのだが、どことなく和風の味なんだネ。
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こちらは、ハムカツだ。此処は揚げ物も実に美味い。春巻き、イカフライ、メンコロミックスなど酒がススむ品が多い。


午後12時20分、もう店内は満席だ。雨だから少ないかと思いきや、いつも通りだナ。

ビールから焼酎に切り替える。

芋焼酎の「一刻者(いっこもん)」を炭酸割りと水割りで戴いた。焼酎も3本空いたネ。
えんどう豆の塩茹でが結構イイつまみになった。
〆にラーメンとチャーハン、そして塩焼きそばを戴いた。
此処の塩焼きそばが本当に美味しいのだナ。午後1時50分、たくさん食べてたくさん飲んだ。
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『三ちゃん食堂』の皆様、ご馳走様でした。


我々一行は再び電車に乗って、武蔵小山へと戻った。

武蔵小山駅に到着すると偶然にも『牛太郎』のじょうさん一家に遭遇したヨ。

これこそ、酒縁だネ!

改札を出て、平和通り商店街の方へと歩く。外はまだ小雨が降り続いていたナ。
向かう先は武蔵小山でも古いカラオケスナックだ。
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こうして、雨の日曜日もユル~く時間が過ぎていったのでアール。


by cafegent | 2019-07-08 12:59 | 飲み歩き

日曜日は、ぶらぶらと武蔵小山からかむろ坂の桜のアーチを抜けて五反田へと散歩をした。

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東京の桜も満開となり、目黒川では花筏(いかだ)が浮かぶ水辺をお花見船が出ていた。
坂口安吾が書いた小説「桜の森の満開の下」では、七人の女房を持つ山賊と恐ろしい女が登場していたが、目黒川沿いに在る「五反田ふれあい水辺広場」では、山賊どもに出会うことなく、満開の桜の下で春爛漫と陽気に酒に酔い酒宴に興じる人たちで盛り上がっていた。
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花筏も美しいネ。

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この日は、僕が大好きな目黒の居酒屋『友(とも)』のご主人とご常連さん達のお花見酒宴が催されていた。
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酒を持参し、途中参加して僕も楽しく酔いながら絶景の桜を愉しんだ。
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風もなく穏やかな日曜の午後は、たくさんの人たちが花見酒に酔っていた。
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別のグループでお花見をしていた酒朋裕子ちゃんにも遭遇した。美しい彼女の頬も桜色のようになっていたナ。
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そして、ぶらぶらと目黒川沿いを歩きながら花見を続けたのでアル。

閑話休題。

さて、前日の土曜日は、品川駅で酒朋ゆうじと待ち合わせをして青春18きっぷの旅に出た。

9時18分発の快速アクティーに乗る予定が、反対側のホームで話し込んでいるうちに後ろのホームからアクティーが出発してしまった。

のっけからやらかしてしまったが、旅はのんびりで構わない。次の各駅停車の列車で熱海まで向かうことにした。


旅は家を出た時から始まっている。違う土地へ向かうと思うだけで胸が高まるし、何よりも呑み鉄が好きな僕は、その日の気分によって持参する酒を考えるのも好きなのだ。

今回は天気も良かったので、キンキンに冷えたシャルドネと前日の夜に深夜食堂『いちりん』のノブちゃんに作ってもらったハムエッグサンドウィッチを持参した。


グリーン券を購入し、グリーン車の二階へと上がる。列車が動き出したら、缶ビールをプシュッと開けるのだ。

さぁ、旅の始まりにカンパイ!男二人の飲み鉄も楽しいものだ。

崎陽軒のポケットシウマイは、つまみにちょうど良い大きさだ。缶ビールを二つ飲み終えたところで、大船駅に到着だ。大船の観音様に手を合わせ、白ワインへと切り替えた。
どうですか『いちりん』のサンドウィッチは?
シンプルなんだけれど、誰にも真似の出来ない味なのでアル。


そして、明治屋の缶つま「牛肉のデミグラスソース」を開けた。実はこの缶詰は、もう何度も旅をしている。毎回、青春18きっぷの旅に出る都度に持参しているのだが、何故か開けないまま旅が終わってしまっていたからなのだ。

今回はワインを飲み終える前にこの缶詰を開けてみた。赤ワインで煮た牛肉はなかなか良い味に仕上がっており、酒もススんだナ。


車窓からは幾つもの桜並木を眺めることが出来たし、1時間半、快適な居酒屋グリーンを愉しんだ。

満開の桜と青い海を交互に眺めながら列車は熱海駅へ到着した。


温泉まんじゅうを買い食いしながら、海岸へと散策をした。

そしてローカル線に乗り、いざ伊東へ。
伊豆急下田行きだが伊東駅まではJR線なので、青春18きっぷが使えるのだヨ。

改札を出て、湯の花通りやキネマ通りを歩く。海に近づくと松川遊歩道のソメイヨシノが満開だった。
風もなく穏やかな土曜の午後はツバメも青空を舞っていた。
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僕らは酒の前にひとっ風呂浴びることにした。
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松川沿いに立つ老舗旅館『東海館』は、もう旅館業は廃業してしまったが、かつての栄華を垣間見ることが出来る観光施設になっており、日帰り温泉に入ることが出来るのだ。
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昭和初期の建築様式をそのまま残した木造建築は見事で、廊下や階段、各部屋の意匠も素晴らしい。
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こんな時代に来てみたかった!

そして、道後温泉の湯船を彷彿させる全面タイル貼りの浴場も素敵なのだ。
この日は僕とゆうじしか客が居なかったので、まるで貸切風呂のようにのんびりゆったりと湯につかることが出来た。


さっぱりとして汗を流したから、酒も美味しく感じられるだろう。猪戸のスナック街を通り抜け、旅の目的地である『福みつ』へと向かった。

おや、日に焼けていた赤い暖簾が新しくなっていたナ。
暖簾にラーメンと記されている通り、この店はラーメンと餃子の店なのでアル。だが、伊東漁港で早朝から働く男衆やお母さんたちの癒しの場でもあるため、朝7時から深夜2時まで営業しており、食事と酒と肴を提供してくれるのだ。以前はお母さんが夜の営業を担当していたが、体を患ってからはクーちゃんこと久美子さんが一人、通し営業で切り盛りしている。


椅子に座るとカウンターの奥に仕舞ってある寳焼酎のキープボトルの紙パックを出してくれる。

氷を入れたグラスに焼酎を入れて粉末の抹茶を入れて水を注ぐ。ハイ、抹茶割りの完成だ。

『福みつ』は、黙って呑んでいれば、クーちゃんがいろんなおつまみを出してくれる。
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料理上手の酒の肴は、訪れる度に違うのが嬉しい限りでアル。
この日は、きんぴらごぼうにシナチク、ホタルイカの酢味噌和えに新鮮なシラスおろしが続けざまに乗った。
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クゥッ、地物をつまみにシ焼酎が止まらない。僕らのつまみを出しながらも、ご常連さんの頼んだお弁当を幾つも作っていた。
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ひと仕事終えたクーちゃんは、実に美味そうにタバコを吸っている。
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初訪問のゆうじも大満足なご様子だ!

そして、牛肉としらたきの煮物とクリームコロッケ、秋刀魚の丸干しに酢の物まで出してくれた。
2時間ほど至福のひとときを堪能した。
これだけ食べて一人千円札一枚で済むのだから、本当にいつもクーちゃんには頭が上がらない。今回は新しい焼酎も入れたのでボトルキープ代を支払いご馳走様!
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近くの『三木洋菓子店』に立ち寄り土産の「猫の舌クッキー」を調達し、海岸沿いへと歩く。
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4月の風が肌に心地好い。青空が広がり初島もよく見えた。
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向かうは、湯川第3浴場『汐留の湯』だ。
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此処は源泉掛け流しの湯で、地元民じゃなくても250円で利用出来るのが嬉しい。
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熱めの湯に浸かり、じっくりと汗を出す。
男湯の窓を開けると相模灘の向こうに浮かぶ初島を望むことが出来る。春風が汗を収めてくれるのだナ。


二度目の風呂でリフレッシュ出来たので、僕らは再び青春18きっぷの旅に戻った。

伊東から熱海まではタイミング良く、快適な展望列車リゾート21だった。

黒いボディの黒船電車は、全席自由席で、快適な旅を満喫出来るのだヨ。
ゆうじの持参した赤ワインを飲みながら海を眺め、しばしのリゾート気分を愉しんだ。
熱海からは直ぐに電車に乗り小田原へと向かった。

午後5時、男二人は小田原駅を出て真っ直ぐホルモン焼きの『柳屋本店』へと移動した。
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おぉ、カウンター席が空いていた。こりゃラッキーだ。大将が炭火で焼くホルモンを眺めながら呑む此処の3冷ホッピーは最高だぜ!
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3冷で和む、此処はいつだって元号が『冷和』だナ!
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此処に来たら、前菜などは頼まず真っ先にシロ焼きとシロチンをお願いするのだ。
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あぁ、もうこれだけでシアワセな気分に浸れるのだナ。
自家製の特製ダレがかかった炭火焼のシロの美味いのナンノ南野洋子!なんちて。
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レンジでチンした輪切りのシロもこのタレに付けて食べても美味い。
そして男二人呑みに臭いなど関係ない!と云う訳で、お願いしたのはかしらのニンニク焼きでアル。
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あぁ、もう最高だ!
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二代目の女将さんとの会話も実に楽しい。
そう云えば、女将さんがブラックベルベッツの皆さんと一緒に写した写真が欲しいって言っていたナァ。あれは、いつのおでん祭りの時だっただろうか?テラシィイさん、写真持っていないですか?


美味しいホッピーとホルモンに舌鼓を打ち、ご馳走様!

こうして、春の青春18きっぷの旅は5回使い切ったのでアール。


by cafegent | 2019-04-08 16:26 | 飲み歩き

   釣鐘のうなるばかりに野分かな  漱石


一週間前の中秋の名月では、美しい月が夜空から街を照らしていたが、昨夜は台風24号が日本列島を縦断し、野分の風が吹き荒れた。

いつもならば日曜は東中野『もつ焼き丸松』の口開けで呑むのだが、昨日はJRが早々に山手線や総武線を運休にすると発表していたので地元武蔵小山から出ずに過ごした。


台風が北上し、東京に青空が広がったが、街では倒木が線路や道路を塞いだりして、通勤通学の足を止めていた。

自宅近くの林試の森公園でも、彼方此方数十本もの木々がなぎ倒されていた。
公園に向かう途中の歯科医院の看板も落っこちていたナ。

改めて暴風の怖さを実感した。

季節も秋分を迎え、七十二候では「蟄虫戸を坯す(すごもりのむしとをとざす)」虫や蛇、カエルなどが土の中へと隠れて戸を閉ざす時季となった。春の啓蟄の頃まで巣ごもりをして過ごすのだナ。

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それにしても、昨晩の暴風で太い木の根っこが土からえぐられるように倒されていたのだから、巣ごもり支度していた虫たちも堪ったもんじゃないネ。

     ◇          ◇          ◇

閑話休題。

先週の土曜日は、気心知れた酒朋たちと吉原大門に程近い日本堤の居酒屋『丸千葉』で酒宴となった。ボクは一人0次会でもしようと武蔵小山『牛太郎』の暖簾を潜った。ちょうどタイミングよく一席空いていたので腰を下ろすと店主のジョーさんからコブクロ刺しをご馳走して戴いた。

そして、地元民がこよなく愛しているハイサワーをゴクリ!
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あぁ、至福のひと時だ。

小一時間ほど過ごして、電車に乗った。


午後4時45分、南千住駅に到着だ。

JRの陸橋を渡り東京スカイツリーがそびえ立つ方向へと足を進める。

「あしたのジョー」で馴染み深い泪橋の交差点を渡り少し歩くと酒場『大林』の暖簾が揺れている。


暫く店を閉めていたがまた営業を再開したのだネ。東浅草二丁目の交差点を右へ折れると『丸千葉』だ。

暖簾の前で酒朋たちが集まっていた。

キクさん派手なパッチワークのジャケットを纏っているナと思いきや、ダンディ岩崎さんも同様なパッチワークのパンツを履いていた。不良ジジィたちの面目躍如ってところか!

この日の酒宴は、皆それぞれが、此処『丸千葉』を贔屓にしている面々が集まった。立石『宇ち多゛』仲間のダンディさん、大島さん、ユウジとは此処で忘年会や新年会などをしている。吉原大門に住んでいるムッちゃんは、ご近所なので夫婦でキンミヤのボトルを入れている大常連だ。

キクさんとも時々一緒に来ていたが、今回このメンツでの酒宴は初めてだったナ。

と云うわけで、カンパ~イ!


僕らは5時の予約だったのだが、この日も既にテーブルもカウンター席も満席だった。ムッちゃん曰く、もう地元の連中でさえ予約しないと入れない状態だとか。それでもタイミングよく席が空いた時に暖簾を潜った方たちはスンナリと入れたりするのだナ。それもすべてホールを仕切るやっちゃんの差配の為せるワザなのだ。

此処は料理も酒も美味しいのはもちろんのこと「やっちゃん劇場」を堪能するのも愉しみのひとつなのでアル。松村邦洋ばりのトーンでお客さんに接してくれるのだが、これが実に気持イイのだナ。やっちゃんの口からポンポンと飛び出る言葉に場が一気に和み、さぁ大いに楽しく飲もうっていう雰囲気を作ってくれるのだ。


それにしてもダンディ岩崎さん、痛風の悪化に続き肺炎をこじらせて12キロも体重が落ちたそうだ。


仕事の都合でトレイドマークだった口髭も剃って、なんだか別人と飲んでいる感じがしたナァ。でも悪態を吐く口だけは変わらず健在だったから、まぁ良いか(苦笑)
赤星で乾杯した後は、キンミヤに切り替えた。
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刺身を盛り合わせにして戴き、自慢のメンチカツやサラダをお願いした。

日本酒党の大島さんは、いつもの鮟肝だ!

こちらも酒がススむんだよネ。


普段夫婦二人で来ているムッちゃんは、いつも注文できない品をいっぱい頼めて満面の笑みを浮かべてたナ。

鳥の唐揚げにカツ煮、焼きたらこ、肉入りピーマン炒め、などなど此処ぞと云う勢いで頼んだネ。これだから、丸千葉呑み会は堪らんのだヨ!むふふ。

日本酒党の大島さんは、お猪口じゃ小さすぎてビアタンに菊正宗をトクトクと注いでいた。

もう少し秋が深まってきたら丸千葉名物の鍋物も始まるのだ。次回はまた鍋の時期に集まろうか。

ご馳走様でした!


最後は、店主のやっちゃんも交えて、はいパチリ!
そして酩酊したまま、僕らは『大坪屋』の酎ハイに呑まれていったのでアール。


by cafegent | 2018-10-01 15:50 | 飲み歩き
今日は夏至から数えて11日目であり、季節を72に分けて表す七十二候では「半夏生」(はんげ、しょうず)の時季となった。農家では、田植えを終わらせる頃の節目とされている。半夏生(片白草)の葉が半分白くなり半分だけ白化粧をしているかのようになる頃だから、とも伝えられている。
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本来ならば、梅雨明け前の厳しい暑さを感じる季節なわけだが、今年はなんと6月のうちに関東の梅雨が明けてしまったのだネ。これには、さすがに驚いた。6月に関東甲信地方の梅雨が明けたのは初めてのことらしい。

       半夏生葉を白く染め梅雨あがる    山口青邨(せいそん)

関東では、昔から半夏生にタコを食べる風習がある。田植えが終わる頃、沢山有るタコの吸盤のように稲穂が多く付き実るように、またタコの八本足のように稲がしっかりと根を貼るようにと願をかけたからだそうだ。実際にタコを食べると疲労回復にもなるし、農家の人々の生きる知恵だったのかもしれないネ。

今夜は、蛸を肴に冷酒でもやろうかナ。
        ◇              ◇              ◇
閑話休題

昨日は夕方から浅草にて酒朋ハッシーと老舗居酒屋の『三岩酒場』で待ち合わせをした。

田原町で地下鉄を降り、寿四丁目の交差点からなるべく日差しを避けるように雷門方面へと歩いた。天ぷら「てんや」の角を左へ折れれば、浅草すしや通り。
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もう風に揺れる三岩の暖簾が目に入る。

ガラリと戸を開けるとスグ手前のテーブルでハッシーが呑んでいた。先ずは、冷えたビールで喉の渇きを潤そう。キリンの瓶ビールをお願いして、一緒にそら豆と漬物も頼んだ。
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クーッ、ビールが美味い!そら豆も良い塩梅で茹でてある。漬物は、南瓜に瓜、しば漬けだ。かぼちゃが入っているのが独特だナ。

二本目のビールが空いた頃に酒朋トクちゃんが入ってきた。
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ビールとどじょう鍋を追加した。どじょうは骨を抜いて開いてあるのが「柳川鍋」、骨を残して捌いていない丸のままが「どぜう鍋」だ。
カルシウム補給と夏バテ防止に、僕らは「どぜう鍋」をチョイス!
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此処は、昭和二年創業。女将さんに聞けば、最初から大衆居酒屋として始めたとのことだった。
寿司屋が並ぶ「すしや通り」だから、てっきり開業当時はお寿司屋さんなのかとばかりに思っていたが、ハズレだった。

この写真は、まだこの通りがアーケードになるずっと昔だ。
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『三岩酒場』の立て看板には「宝焼酎35円」と書いてあるのだヨ。

『三岩酒場』は此処で修行を積んで独立したり、暖簾分けをした店が数十軒も有り「三岩睦会」を作って親睦を深めていると伺った。みんなで親睦会を開いたり、旅行に行ったりしているそうだ。上の席に三岩睦会の皆が集まる時には、店を閉めてしまうそうだ。この大らかさも浅草育ちの気風(きっぷ)の良さを感じるのだナ。

ゴボウと刻みネギがたっぷりと入ったどじょうは、山椒が合うネ。ウーロン酎ハイがススむススむ。

こちらは、三岩名物の「鮪フライ」でアル。
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あぁ、旨い!コレ、衣が軽くて口当たりも良く、マグロの旨味も閉じ込められている。これはソースじゃなくて醤油で食べた方が良いのだナ。

大将、女将さん、ご馳走様でした。

『相模屋本店』で一杯やろうと思いきや、満杯でダメだった。では、のんびり散歩しながら夜の酒宴の場所まで歩こうということになった。

浅草ロック座の前を抜けて浅草寺の裏手へと進む。「正直ビヤホール」の在る交差点から「ソンポーン」の方へと歩く。夕暮れになり少しだけ風が吹いてきた。
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浅草四丁目の通りでは植木市が開催されていたナ。
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移転前のソンポーンの前を抜けて、角町通りへ。

この界隈は言わずと知れた吉原ソープ街だ。昔は送迎用のリムジーンが主流だったが、今は殆どがグランビアクラスの高級ワンボックスカーなのだネ。

吉原大門に到着だ。この日の酒宴は、吉原『金すし』さんだ。
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早いもので、酒朋ミヤッチの七回忌でアル。妹のカズちゃんから連絡が有り、ミヤッチの呑み仲間が集って楽しく呑んで語ろうということになった。

ミヤッチこと宮本征一は浅草の祭りをこよなく愛していた。
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お母さんに見せていただいた写真だが、子供の頃から祭り好きだったんだネ。
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三社祭の終わった後は、いつも蝉の抜け殻のようになっていたっけ。
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寿一丁目の祭袢纏がよく似合っていたヨ。ダンディさんやビリーたちともよく上野あたりで呑んだナァ。
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ミヤッチは、いつも自転車でやって来ていたっけ。
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北海道産の毛ガニも味噌がたっぷりと詰まっていて美味かった。
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此処は、いつも美味しい魚介を出してくれる。冬場の鍋などは、食べきれないほどのボリュームだしネ。
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この日も、腹一杯になり過ぎて最後の握り寿司がキツかった。

大いに呑み、食べて笑って、ミヤッチの笑顔を思い出すことも出来た。
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ミヤッチのお母さんももう80歳を過ぎたと云うが、アメリカに旅行に行ったりと元気にアクティブな生活を送っていると伺った。妹さんも元気そうで何よりだった。
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2012年の七月に亡くなったミヤッチ。僕の幼馴染みで酒朋だったひとみ姐さんも七月にこの世を去った。毎年七夕の月は、二人の酒朋を偲んで酒を酌んでいる。笑って過ごしたいから献杯はしないんだ。
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いつものようにいつもの呑み仲間と集って酒を酌み交わすのだ。これが一番の供養だろう。

来週は、ひとみ姐さんを偲ぶ酒宴だ。これも毎年恒例の行事となったが、この日のように楽しく笑ってひとみさんを思い出すとしようか。
by cafegent | 2018-07-02 15:07 | 飲み歩き
東京のソメイヨシノはすっかり葉桜になったネ。八重桜はまだ少し花を残しているだろうか。

我が家の近所では、もう藤の花が咲いていた。
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春は急速にやって来る。
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路傍の花々も色とりどりに咲き始め、その花蜜を求めて蝶やハナアブたちが集まってくる。

足腰のリハビリを兼ねて、今朝もゆっくりと公園を歩いた。
恋の季節を迎えた小鳥たちも木々の彼方此方で囀(さえず)っている。
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四十雀(しじゅうから)は、懸命に子育て用の巣材を集めていた。
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卵を産んでもヘビやカラスに襲われてしまうことも多い。来月あたり、可愛いヒナが孵ることを願うばかりでアル。

今朝は久しぶりにセンダイムシクイの鳴く声も聴くことが出来た。
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そろそろ、オルルリもやって来る頃だろうか。自由に空を飛び回る小鳥たちが羨ましい。

1年前に発症した座骨神経痛が再び再発し、右足に電気が走るような痛みが続いている。日々、食生活には気を使っていた筈だが、医者曰く「もうそういう歳なんだってことを自分で理解しなくちゃ」だとサ。まったく、トホホだね。

特に何かが原因と云う訳でもなく「加齢」が原因なのだとか。最近は仕事でもハズキルーペの世話になっているし、日々老ぼれて行くのかと思うと寂しい思いもする。だが、それじゃイカンのだナ。

朝のテレビ小説『半分、青い。』のヒロイン楡野鈴愛(すずめ)は左耳が聞こえないコだが、いつも元気いっぱいに前に向かって進んでいる。
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ボクも腰と右足は痛いがこうして文章だって書ける訳だし、杖をつけばゆっくりでも街を歩くことだって出来るのだ。よし、頑張らなくちゃ!
      ◇            ◇            ◇
先日、湯治を兼ねて伊東の温泉へと出かけた。我が酒朋・キクさんと品川駅で合流し、快速アクティのグリーン車に乗って一路熱海へ。
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熱海からJRで伊東へと移動し、『東海館』へと向かう。
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此処は伊東が誇る名温泉旅館だったが、平成9年に廃館となり、伊東市へと寄贈され5年前から館内見学と温泉の利用が可能となった施設に生まれ変わった。
昭和初期の建築様式がそのまま保存されており、衣装を凝らした飾り窓など見る価値も十分に有る。
また、総タイル貼りの浴場は、道後温泉を彷彿させる風情豊かな温泉だ。
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じっくりと5分湯船に浸かること三回、右足のシビレがスーッと皮膚から抜けていくようだ。あぁ、伊東まで来た甲斐があったナ。

昔、伊東の老人ケアハウスのプロデュースをしたことがあった。この辺りは「猪戸温泉郷」と呼ばれており、その昔は怪我をしたイノシシが此処の湯に浸かり傷を癒したことから、その名が付いた。

温泉を出て、館内を見学した。
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その昔、この周辺は「猪戸新地」と呼ばれた、いわゆる赤線地帯だった。此処には赤線、青線合わせて50軒近くの店があったそうだ。伊東には、「猪戸新地」の他に「新天地」と云う娼街もあった。
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散歩をすれば、遊郭の入り口を飾るアーチの跡が残っていたり、モダンなタイル貼りの柱など、当時の面影を残す建物も見つけることが出来る。
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だが、さすがに「東海館」の資料室には、そこのところは触れていなかったナァ。

足と腰を湯でほぐし、僕らはラーメン屋『福みつ屋』へと向かった。

伊東に来る目当ては、この店だ。
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キクさんに教わってから、毎年足を運んでいる。ほぼ、年中無休で早朝から深夜まで営業しており、早朝は伊東漁港での仕事を終えた方々が一杯引っ掛けに来ている。

昼過ぎにお邪魔したが、タイミングよく入ることが出来た。
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そして、キクさんキープの宝焼酎のピュアパックを抹茶割りで戴いた。
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この日は、カツオのタタキを出してくれた。
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抹茶割りが美味しいのだナ。

働き者のクーちゃんが、美味しい料理を作ってくれる。
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何も言わなくても、酒に合う品を次々に出してくれるのだから嬉しい限り。こちらは、地元で採れたと云うノビルだ。
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味噌で戴く山菜は、良い酒の肴になったナァ。お客さんのお裾分けのフキも美味しかった。
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高崎の酒朋、後閑さんが置いていってくれたレモンをカットして酎ハイにシフト。
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程良く飲んで午後の風呂まで再び小休止。
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この日は気候も穏やかだったので海岸の防波堤で1時間ほど昼寝をした。
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すっかり酒が抜けたところで、湯川の海岸沿いに在る源泉掛け流しの湯『汐留の湯』にやって来た。
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此処は本来区民専用の湯なのだが、区民以外でも250円で利用することが出来るのだから、嬉しい限りでアル。また、タオルも貸してくれるから、突然風呂に入りたくなっても大丈夫なのだ。

タイル貼りの大きな湯船が中央にあり、その意匠も見る価値大有りだナ。

二つの温泉で足腰を養生し、伊東を後にした。そして、僕らが向かったのは小田原だ。
この日は小田原城址公園二の丸広場に於いて『小田原おでん祭り』が開催されていたので、かなりの人が観光で訪れていたらしい。
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目当ての『大学酒蔵』に到着すると、口開けしたばかりだと云うのにコの字のカウンターは満席に近かった。だが、ご常連さんたちが席をずれて詰めてくれたお陰で、なんとか座ることが出来た。
そして、酒朋キクさんは座った途端に、ご常連さんから「さっき、おでん祭りに出ていた方ですよね」と芸人と勘違いされていた(笑)

そう言えば、以前『小田原おでん祭り』でライブを行ったブラックベルベッツの面々とこの店でお会いしたことがあったが、今年も演奏したのかなぁ?
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さて、燗酒でカンパイだ。
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地物のほうぼうの刺身も歯ごたえがあって美味い。
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こちの天ぷらも酒に合うナァ。200円の厚焼き玉子は、良い箸休めだネ。

テレビから流れている「釣りバカ日誌」を観ながら、酒をシソ割りに切り替えた。
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シソ割りとは、「バイス」だね。
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アジフライも良い酒の肴だった。
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ゆっくりと湯治も出来たし、美味い小田原の魚も味わうことが出来た。
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足は痛いが、少し元気を貰えた気がしたかな。こんな老いぼれダメ親爺に付き合ってくれた酒朋キクさんに感謝!
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こうして、僕らは「青春18きっぷ」で東京まで戻ったのでアール。
by cafegent | 2018-04-18 00:55 | 飲み歩き
         春や昔 十五万石の 城下哉

松山の街を詠んだ正岡子規の名句だ。司馬遼太郎の名作「坂の上の雲」の最初の章も「春や昔」が用いられているが、子規や漱石がこの街の人々に俳句の素晴らしさを広めた功績は大きい。
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伊予から電車に揺られ松山市に入ると車窓から城下町松山が誇る松山城を望むことが出来た。
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駅を降り立つとツバメたちが優美に弧を描きながら出迎えてくれた。
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駅前には先の句の大きな句碑が立っている。
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この句碑を見る度に「あぁ、再び子規の生まれた街に戻って来たのだナ」と実感するのである。
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そして、真っ先に市内を走る市電・市バスが一日乗り放題出来る「1Dayチケット」を買うのだ。
400円で一日中乗り降り出来るのだから、実に嬉しい限り。市電の運賃が160円なのだから、3回利用すればもうお得なのだネ。
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JR松山駅から地下道を抜けて市電の松山駅前電停へ。先ず向かうのは「道後温泉」だ。
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チンチン電車でのんびりと20分程で坊っちゃんの愛した道後温泉に到着だ。
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アーケード街を通り抜けると三千年の歴史を誇る威風堂々とした構えの『道後温泉本館』が正面に佇む。
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今年は道後温泉本館の改築から120周年の大還暦を迎えたこともあり、全国各地からいつも以上に観光客が訪れているそうだ。
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此処は「神の湯」「霊(たま)の湯」の二つの温泉が有り、それぞれ二階、三階でゆったりと寛げる4種のコースがある。僕はいつも1階の「神の湯」のみを利用する一番安い410円の湯に決めている。初めての方ならば、湯上がりに浴衣に着替えてのんびりとお茶と名物坊っちゃんおだんごで一休みすると良いだろうネ。僕はさっぱりと汗を流したら酒場へと直行なので、此処は温泉のみにしているのだナ。皆さんもきっと湯上がりには城下町の酒場で冷たいビールからスタートしたいよネ。

神の湯に浸かり、じっくりと汗を出し仕事疲れを洗い流す。旅の途中の堪らないひとときだ。湯船で出逢った青年は東京・浅草のホテルで働いており、スカイツリー&浅草見物などの観光客誘致の為に松山市を訪れているとのことだった。ミシュラングリーンガイドで三ツ星を獲得した温泉に浸かり、良いアイディアが浮かんだだろうか。旅先で出逢った裸の縁だ、彼の仕事が上手く行く様に願うばかり。

さすがに1時間近くも湯船を出たり入ったりしていたから、汗を出し切った感がする。こりゃあ、間違いなくビールが美味いゾ。

脱衣所の天井扇風機の下でゆっくりと身体を休め肌が乾くまで裸で過ごすのが一番気持ちが良い。心身共にリフレッシュ出来た。さぁ、酒場へと繰り出そうか。

再び路面電車に乗り、松山市駅前で降りる。「いよてつ高島屋」前のタクシー乗り場を進みスグ左手の商店街の中に佇む酒場がおでんの名店『赤丹本店』だ。
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本当は先にお隣の『ビアホールみゅんへん』で美味い生をゴクリとやりたかったのだが、この日は生憎の定休日でアル。

隣りの「赤丹本店」の前で、女将さんが花に水をあげていた。まだ開店時間よりも少し早かったが「外は熱いからさぁさ中へ」と入れて戴いた。
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縄のれんを潜り、中へお邪魔する。数年ぶりの訪問だが、先週も来たっけと思わせてくれる和んだ空気が漂う酒場だ。

「赤丹本店」は昭和8年創業の老舗酒場でアル。おでん鍋前のカウンターに腰を降ろし、女将さんに生ビールをお願いした。ジョッキに冷えた生ビールを注ぐお母さん、慣れた手付きでビアサーバーを操っているのだナ。

「さぁ、グゥッと一口飲みな!早く早く!」そう促され一口飲むと「もっと沢山飲みんさい」と僕のジョッキを取り上げて減ったところへ波々と生ビールを足してくれたのだ。あぁ、嬉しい心遣いだなぁ。一気に喉が潤い、躯が生き返った。

使い込まれた木のカウンターが実に良い雰囲気を醸し出している。入口側のカウンターの端が丸くなっており、お客を優しく招いてくれているようだ。

女将さん自慢のおでんを戴こう。じゃこ天、タケノコ、そして牛スジをお願いした。
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此処のおでんは皿にからし酢味噌が載せてある独特のスタイルだ。酸味の利いた味噌が不思議とおでんに合うのだナ。松山ではおでんにからし味噌や酢味噌を合わせるそうだネ。

じゃこ天をアテにビールがススむ。二杯目の生ビールをお願いした。
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開け放たれた入口から時折流れて来る風も心地良い。ボーッと入口を眺めていたら、若い女性が一人入って来た。「お母さん、外のミントの葉貰っていい?」と聞いている。「遠慮せんと持っていき!」近くで飲食店をやっているのだろうか、店の外で先程水をあげていたミントを摘んで帰って行った。地元の素朴なやりとり、良いなぁ。夏の午後の至福の時でアル。

カウンターの奥で、板さんが小魚の干物を仕込んでいた。
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あれは?と聞くと「ホータレ」と返事が返って来た。女将さん「ほっぺたが垂れ下がるほど美味いから『ほうたれ』と呼ぶんよ」と教えてくれた。飯(マンマ)を借りて来る程美味い岡山の魚「ままかり」と似た名前の由来だネ。

これは食べない訳にはいかない。小さなホータレイワシは、1時間ほど天日干したもので、これ以上干すと身が硬くなってしまうと伺った。

暫くすると香ばしく焼かれたほうたれが6尾やって来た。
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レモンをギュッと垂らしそのまま頭から噛む。おぉ、本当に頬が垂れそうになるくらいに旨みが口の中に広がった。こりゃ日本酒だナ。新潟の純米酒「妙高山」をお願いした。濃厚な純米の味とほんのりと苦いほうたれのワタが絶妙にマッチする。

店名の「赤丹」はご主人が花札が好きで、其処から付けたんじゃないかナァ、と云っていた。旅行が大好きで、旅先で味わった炉端焼きの店を始め、おでんも出す様になったそうだ。
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ご主人と二人で始めた店だが、大分前に先立たれ女将さんが切り盛りするようになって60数年が経つと云う。今年で84歳になったと伺ったが、肌艶も良く快活だ。

二杯目の冷酒を呑み干してご馳走さま。次回も美味いおでんと旬の肴を楽しみにしよう。

再び市電に乗り大街道駅へ。

電停前のアーケード街に入り二本目の路地を左へ進むと酒場が立ち並ぶ歓楽街になる。八坂通りの東側、中華料理店とローソンの間の路地も小さなスナックが沢山入居しているソシアルビルが続く。
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若い女のコの勧誘を振り切って、一路向かったのは家庭料理の店『上浦(かみうら)』だ。ソシアルビルの一階の奥にひっそりと店を構えているが、ビルの入口に行灯が出ているから初めての皆さんでも判る筈だ。

此処は、7人掛けのL字型カウンター席と4人掛け席が二つの小上がりの小体の居酒屋だ。女将さんが一人で切り盛りするには丁度良い大きさでアル。
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気さくな女将さんの評判が良く、地元のご常連さん達に愛されている酒場なのだネ。

一軒目の「赤丹本店」の様な老舗の雰囲気は無いが、清潔感溢れるモダンなインテリアは女将さんの雰囲気にとても似合っている。カウンターの上に並べられた大皿には正に「家庭料理」の味が並んでいる。
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きんぴらごぼう、枝豆、焼き茄子、かぼちゃ煮など、ほっこり出来るものばかりでアル。
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先ずは生ビールを戴いた。
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かぼちゃ煮も甘過ぎず、酒の良いアテとなる。続いて頂いた焼き茄子も暑い夏ならではの家庭料理だネ。
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冷えた焼き茄子に鰹節が乗っている。醤油を垂らして口に運べば子供の頃に田舎で食べた懐かしい味が蘇ってきた。

女将の国政美根子さんは、永い間地元の古いスナックで働いていたそうだ。その後、息子さんも立派に独り立ちし岡山で働いているので、10年前に自分の店を構えたそうだ。店名の「上浦」とは国政さんの出身地だそうだ。上浦は大三島(おおみしま)に在り、今は今治市の一部だネ。「しまなみ街道」の愛媛側の入口と云った方が判り易いか。

此処の料理は家で作って来て店に運んでいる。本当に家庭料理なのだネ。

以前、お邪魔した時は女将さんのお孫さんが出ている松山東高校が夏の甲子園の地方大会のベスト8に残ったとかなり上機嫌だった。その年は、僕の出身高校も甲子園への出場が決まったこともあり、店に来たご常連さんたちと高校野球バナシで盛り上がり、心地よく酔っ払ったっけ。

焼酎の水割りを戴いて、この日も高校野球談義に華が咲いた。
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あぁ、たこ天も美味かったナァ。

居心地が良過ぎて長居しそうになったが、この後に予定が入っていたので、〆て戴いた。

女将さん、美味しい料理と旨い酒、ご馳走さまでした。
by cafegent | 2017-08-22 20:53 | 飲み歩き